平成9年 9月27日作成 (c) Yoshihiko Hara

 

 会社勤めをしていて、本当に嫌な思いをさせられるシーンの一つに、立場上文句の言い難い人間から、手ひどくからかわれると言うものがある。

 馬鹿にするなと啖呵の一つもきってやりたいところだが、シンパや取巻きを沢山持ってる上役だったり、取引先の人間だったりするとそうもいかない。

 頭に上ってくる血を腹の方へ押し戻し、浮かべたくもない笑みを浮かべ、わざとからかわれて見せてやる。

 プライドはズタズタ、情けないこと夥しいが、こうしないことには職場で暮らしてはいけない。

第参号

 腹を立てて見せたところで、刃向かったと恨みをかうか、「冗談のわからんやっちゃのう。」だの「ああ頭が固いと、話し辛くてかまいませんわ。周りの人もお気の毒なことで…」と、新たなからかいの的にされるのがおちだ。

 そうは言っても、悟れていないただの人間としては、馬鹿にされれば腹が立つ。仕返しの一つもしてやりたくなる。そして、こんな連中には話を聞かせてやりたくなる。三島の手無し地蔵の由来をだ。

左脇に由来の看板がある

 昔、夜になると化けては人に悪さをする石地蔵があった。ある夜いつものように化けて、侍の髪を引っ張ったところ、怒った侍にスッパリ腕を切り落とされてしまった。このため、三島市手無の地蔵堂の手無し地蔵には、その腕が無いのだと言われている。

 人間なんぞよりよっぽど偉い地蔵菩薩様だって、悪戯がすぎれば腕を切り落とされるのが世の道理だ。

 洒落で済ませられているうちは良いが、いつか月の無いのを幸いに、後ろから何をされたところで、それは自業自得と言うものだろう。

 JR三島駅から伊豆箱根鉄道に乗り換え"手無し"で下車、後は歩いて約5分のこのお堂。反省がてら、覗いて来ては如何であろうか?