本SSは東方キャラの妄想で成り立っております。  また複数の妄想がありそれぞれ趣が違いますので、ご注意ください。  それぞれの妄想は記号で区切ってあります。 ***で区切られている箇所 ルナサ・プリズムリバー 男 @@@で区切られている箇所 ルナサ・プリズムリバー 射命丸 文 ###で区切られている箇所 ルナサ・プリズムリバー ミスティア・ローレライ +++で区切られている箇所 ルナサ・プリズムリバー メルラン・プリズムリバー、リリカ・プリズムリバー  また妄想中では、”何故か”ルナサ・プリズムリバーが現代日本でアイドル家業を営んでおります。  またその影響でキャラの口調が変更されておりますので、ご了承ください。設定に関しては言うまでもありません。  とりあえず男キャラが絡むのは絶対NGという方は、***で妄想が始まったら、次の***までPage Downボタンか何かでスキップすることをお勧めします。 「ふっふふ〜♪」幻想郷でも五本の指に入るであろう鼻唄と共に、最新ポルターガイスト洗濯機に三日分の洗濯物が投入される。  中に閉じ込められたポルターガイストを動力として動作するこの洗濯機は、プリズムリバー楽団と河童のコラボレーションによって開発された今年の幻想郷のヒット商品である。ほかにもポルターガイスト自動筆記万年筆やポルターガイスト・ランプなどが試作されたが実用化されたのはこの洗濯機である。  動力源はプリズムリバー楽団の演奏を定期的に聞かせること。おかげでプリズムリバー楽団は引く手数多である。  別に木っ端騒霊でも、動力源にはなるのであるが持ちが違う。この洗濯機を納入した八雲家の当主曰く、「マンガン電池とアルカリ電池くらい違うわ」だそうである。その話を聞いたプリズムリバー楽団の面々は何の事か全く理解しないにも関わらず頷いていた。  この洗濯機を今使っているのはその騒霊本人、ルナサ・プリズムリバーである。  先ほどの鼻唄も洗濯機を動かすためのものである。元からルナサは洗濯中に鼻唄を歌う癖があったので、それは変わらない。変わったのはその鼻唄が洗濯機を動かす動力になったことくらいである。  初めルナサは音楽が洗濯という労力を省くための唯の代替手段になるのではないかと、河童の提案に難色を示した。生真面目なところがあるルナサであれば皆が納得する話であるが、同様にメルラン、リリカの両名も同じ懸念を持ったのだ。  結局、人がいるところでしか演奏しない、という条件をつけて、洗濯機の開発に協力したのだ。  一人でも観客がいるのであれば、飛んで行って演奏をする、それはプリズムリバー楽団のモットーである。  彼女らは自分達の演奏に自信を持っている。例え洗濯機の動力源とするために呼んだとしても、聴いてさえもらえれば自分達の演奏で心を打てるという自信を。  そしてそれは今のところ立証されている。  紅魔館の洗濯所でのコンサートは、紅魔館の当主まで来る、恒例行事となっているほどである。  洗濯機のドラムの音をアドリブにした演奏は紅魔館の当主の妹のお気に入りで、何台もの洗濯機がそれぞれベースとなり、ドラムとなり、洗濯機の中の洗濯物の量によって毎回奏でられる音が違うのである。  それはプリズムリバー楽団の各々にとっても、気の抜けない、だが心躍る演奏であるのだ。  昨晩の会心の演奏を思い出しながら、ルナサは洗濯機の前で鼻唄を歌う。  これは久々のオフを堪能するプリズムリバー楽団員のお話である。  楽しそうに洗濯をするルナサを他所に、メルランとリリカはメルランの部屋でペンをもてあそんでいる。  目の前にあるのはプリズムリバー楽団ファンクラブ会報の原稿である。白紙の紙切れを原稿と呼んでいいのであったら、という前提条件付きであるが。  家事をルナサに丸投げしている手前、こういった雑務に近いものはメルランとリリカが請け負っている。実際に会報を発行するのは人里の熱狂的なファンであるが――何でも魔法使いをやっている娘がいる道具屋だとか聞いたことがある――毎度数ページほど、原稿を頼まれるのである。  書くのは1ページであろうと5ページであろうと文句は言われず、あちらの方で調節はしてくれるのだが、やはり0ページはまずい。  それで毎回何かしら書いて渡しているのだが……、今回はリリカとメルランは小一時間ほど腕を組んだままである。  組んだ腕で強調されてしまうメルランの双丘を見て、リリカは溜息をついて腕組みを止めた。 「駄目だー」  リリカはメルランのベッドに体を投げ出す。 「駄目ねぇ」  メルランもリリカの隣に身を投げ出す。こちらはベッドのスプリングに共鳴するようにその双丘が振動する。  今回はネタがないのだ。  ここ二月は例の洗濯機が発売されて、プリズムリバー楽団はスケジュールに日単位で空きがなかったのだ。  だがプリズムリバー楽団の演奏であれば騒霊型洗濯機は効率よく稼動できる。そのためある程度のコンサートをこなしていると、幻想郷で売られている洗濯機の大部分はしばらく演奏が不要となったのであった。そしてようやく取れた休みが今日である。  肝心の洗濯機のネタは前回の会報で書いてしまった。河童が広告を出すとか言っていたので、更に洗濯機のコラムを書くのは浅ましいようで気が引けた。  太陽の丘でのコンサートも開いてないし、来週開く予定だが「来てね!」くらいしか書くことがない、それはスケジュールに書いておけば十分、さらには新曲も無い。洗濯所コンサートでのアドリブが何曲か形になりそうであったが、コンサートで披露できるものではまだない。  行ったところと言えばよそ様の洗濯所ばかり、まさか人様の家の洗濯所の感想を書くわけにもいかず、二人は頭を悩ませていた。 「ねえ、メルラン姉さん、また4コマ漫画書いてよ」 「だ、駄目よ。あ、あれはね……」  その4コマ漫画を読んだ永琳が心の薬を持って訪ねて来たのは、メルランにとってもトラウマである。 「じゃ、またリリカのポエム……」 「焼き捨てた」  リリカはメルランのベッドに突っ伏して、布団を握り締める。 「ご、ごめん」  メルランもマジ謝りである。どこぞの覚り妖怪ではないので、好き好んで人のトラウマを引っ張りだすものでもない。  結局、夕食の時間になるまで良案が二人の頭に浮かぶことはなかった。 「ん、まだ頑張るのね、私も手伝おうか?」  風呂上りで火照った体をパジャマで隠したルナサの申し出を断り、二人は再びメルランの部屋に集まった。夕食前と違うのは、机に置かれた酒瓶である。  酒で頭の動きを良くしようというメルランの発案でありリリカもそれに乗ったのだ。  幸いにも翌日の予定も午後から。多少の寝坊は問題ない。ルナサには怒られるが、毎日の事なので二人とも慣れっこである。 「かんぱ〜い」  景気付けの一杯はものの数秒で干されてしまう。  だが、結局のところ酒に酔った頭で良い案などは出るものではないのである(世の中には例外もいるが)。 「これでどう? 『リリカ人気者計画』、目標は50位以内ね!」 「じゃ、『メルラン姉さんのルナサ姉さん越え計画』、目標は42位よ」 「……」 「……」  二人は黙って酒を呷った。喉が焼ける感覚が心地よい。  既に空き瓶が床に二本転がっている。 「いいわよね、ルナサ姉さんは」 「ずるいわよね、姉さんの何がいいのかしら。プロポーションで言えば私の方が……」 「やっぱりたまに見せる憂いの表情かしら」 「それを言ったら、私が憂いの表情を見せた方がギャップ萌えでいいんじゃないかしら」 「似合わないことはやらないほうがいいと思うわ」 「そうね……」勢いよく立ち上がったメルランは椅子に座りなおし、メルランの空いたグラスにリリカは黙って酒を注ぐ。  ぐだぐだの飲み会が続く。原稿用紙は落書きとしか思えない絵と文字が散乱していて、明日になったらリリカもメルランも解読できないであろう。 「会報もね……」メルランがぽつぽつと喋る。 「姉さんの特集号の時が一番はけるらしいのよね」 「みたいね」 「そしてね……、私の特集号の時、一回だけはけきらなかったことがあるんだって……」 「メ、メルラン姉さん」リリカはメルランを抱きしめて頭を撫でる。  そんな状況でメルランが喋るものでリリカは少しくすぐったかったが、メルランは気にせずに続ける。 「いっそのことプリズムリバー楽団じゃなくて、ルナサ・プリズムリバー楽団でいいんじゃないかしら。  そして私達は姉さんの黒子に徹するのよ。姉さんの服を借りて……」  リリカはその光景を想像して、ルナサの服のボタンがはまらず、水着の上にルナサの服を羽織って演奏する姉の姿を想像してしまう。 「だから、そうよ、今回も姉さんの特集号にしましょう。洗濯のとき鼻唄を歌う姉さん、料理中熱い鍋を触ったとき今時耳たぶを触る姉さん、布団で熊のぬいぐるみを抱いて寝る姉さん!  これはいけるわ、リリカ原稿書くわよ」  妙にテンションの上がったメルランに少し引きながらも、リリカは注意を促す。 「それは以前やろうとして、ルナサ姉さんに怒られたでしょ。プライベートはNGだって」  メルランがふらりと立ち上がる。リリカは姉の顔を見上げて、時が止まった。  メルランは笑っていた。  声を上げずに、笑っていた。  それは躁の人間ができる笑いではなかった。 「プライベートが駄目なら……妄想すればいいじゃない。姉さんの姿を!」 ********************************    ルナサ・プリズムリバー アイドル地獄編 ******************************** 「や、八雲プロデューサーどういう事ですか?」  ルナサは机を叩いて八雲プロデューサーに抗議するが、それを見越していたようでプロデューサーは全く動じる様子を見せない。 「分かっているんでしょう、ルナサ。今が貴方にとって、アイドルとして一番大切な時期なのよ。  残念ながら私のプロダクションは貴方でもっているような小所帯。  そこであの方の資金援助とコネがあれば、貴方を今年の幻想郷年納め歌唱大会に出すことだって可能なのよ」 「そ、それでも、私はこんなことのためにアイドルをしているわけではっ」 「貴方の可愛い妹達が路頭に迷ってもいいの?」  八雲プロデューサーはルナサの痛点を突いてくる。 「っ!」 「メルランちゃんは病気で、リリカちゃんはまだ幼い。あの二人の未来は貴方の未来でもあるのよ。  今のお給料ではメルランちゃんの薬代もままならないでしょう」  八雲プロデューサーは立ち上がって、立ち竦むルナサを後ろから抱きしめる。 「それに、私だってこんなこと……」 「プ、プロデューサー、な、泣いて?」 「気のせいよ……」  ルナサは自分を抱きしめる八雲プロデューサーの腕にそっと触れた。  二人の傍の机には、ホテルのレストランの名前が書かれたメモが置いてあり、その傍に置いてある名刺には、芸能界のドンとも言われる人間の名前が悪趣味な金文字で綴られている。  ルナサは俯いたまま考える。今のまま地方のドサ周りの香霖堂スーパーでお客が3人しかいないコンサートをしたり、この事務所から引き抜かれていった後輩のミスティア・ローレライに人気を掻っ攫われていったり、そんなことではこのまま埋没してしまうのは火を見るより明らかだった。  八雲プロデューサーも営業を頑張ってくれているのは分かるが限界を感じていた。  そう、そしてお金さえあれば、お金さえあれば、メルランには薬を、リリカには温かいご飯を買ってあげられるのだ。  ルナサが黙っている間、八雲プロデューサーは何も言わずにルナサの返事を待っている。そしてルナサが口を開いた。 「あの、プロデューサーいいですか?」 「何かしら?」 「携帯貸していただけますか?」  八雲プロデューサーは何も言わずに、ルナサに携帯を手渡す。  ルナサは掛けなれた番号をプッシュする。  そして何度かのコール音の後、携帯に出たのはルナサの妹の声だった。 「リリカ元気にしてる」 「ルナサおねえちゃん!うん、リリカ元気だよ」 「そう、良かったわ。メルランの様子はどう?」 「うん、メルランおねえちゃんは、今日は元気だったよ。ごはんをちゃんと食べてくれたし」 「今日のご飯は何だったのかしら?」 「うんとね、ルナサおねえちゃんがつくっていってくれた玉子やきと、パンやさんでもらってきたパンの耳!」 「……うん、おいしかった?」 「おいしかったよ! 私パンの耳すきだし! ルナサおねえちゃんのりょうりの次に、だっておなかいっぱい食べられるし」 「そう、よかったわね」 「でもメルランおねえちゃんは食べにくそうにしてたの。お水といっしょにじゃないと食べられなくて、パンの耳を2ほん食べたらおなかいっぱいなんだって」  ルナサは泣いていた。けれど妹には悟られないように、声を押し殺しながら泣いていた。 「そうか、ごはんを食べたんだね。でも明日は二人をもっといいところに連れて行って上げられると思うの。  吉○家やジ◎ナサンじゃないお店ね。メルランもたまにはもっと食べないとね」 「ほ、ほんとうに! やったー、がいしょくだー」  電話越しにでもリリカの喜ぶ顔がルナサの脳裏に浮かぶ。 「うん、そのお仕事のためにお姉ちゃんは今日は帰れないと思うの。だから火は使っちゃ駄目よ。後、集金が来ても居留守を使うのよ」 「うん、おねえちゃんもおしごとがんばって!」 「それじゃ、おやすみ、リリカ。メルランにもおやすみって伝えてあげて」 「わかったよっ! ルナサおねえちゃんがんばってね!」  ツーツーと無機質な音が携帯電話からこぼれる。  ルナサは涙を袖でぬぐうと、携帯を八雲プロデューサーに返した。  その瞳はわずかに赤かったけれど、もはやルナサに迷いはなかった。 「いいのかしら?」 「はい、お願いします」  そんなルナサを八雲プロデューサーは悲しい目で見ていた、 「お待たせしました、社長」 「はじめまして、ルナサ・プリズムリバーと申します」  八雲プロデューサーとルナサはホテルのレストランの個室で深々と礼をする。そのレストランに来るために、ルナサは事務所に置いてあった辞めていった先輩の服を着ている。ルナサの持っている服にではこのレストランにコードではじかれてしまったであろう。 「頭を上げてくださいよ、お美しい二人に頭を下げられているとこちらが恐縮してしまいます。  今料理を運ばせますので、二人とも食前酒は何になさいますか?」 「いえ、私、お酒は……」 「では私はワインを」  その「社長」の勧めで二人は、社長の向かいに座る。  こんなところで食事をしたことがないルナサは小さくなって、周りを眺めてしまう。  既に酒を飲んでいた社長を含めて三人の前に食前酒が運ばれてくる。ルナサには社長のオーダーでノンアルコールカクテルが供された。  その社長と呼ばれる男は、芸能界のドンといわれるだけあって話術に長けていており、ルナサを飽きさせない程度に話題を振って来る。  まだ若いルナサには感じ取ることはできなかったが、八雲プロデューサーにはその男のルナサを見る目に腐臭を感じ取っていた。だが、今更引き返すわけにはいかなかった。  これはルナサと家族のため、そう八雲プロデューサーは自分に言い聞かせて、社長に笑顔で話しかけた。 「頑張ってね」食事が終わると八雲プロデューサーは笑顔でルナサの肩を叩いて先に帰ってしまう。  だが八雲プロデューサーは部屋から出ると、我慢していた涙をこぼしてしまう。 「ごめんなさい……、ごめんなさい……」彼女はそう呟きながらホテルから退場していった。 「さあ、部屋に行こうか」 「……、はい……」  ルナサは社長に肩をつかまれる。その時点でようやくルナサは嫌悪感に襲われる。  子供の頃に蛇に睨まれた時の事を思い出す。そのときはまだ元気だったメルランが追い払ってくれたけれど、今は自分ひとりしかいないのだ。  ルナサは震えようとする体を抑えて、鼻唄を歌いながらキーを手で弄ぶ男と一緒にスイートルームへと向かっていった。 「さあ、私が洗ってあげようか」 「はい……」  シャワー室でルナサの体が初めて会った男の手で磨かれていく。男はあくまで紳士的にルナサの体を洗っていく。  だがルナサにとっては、料理で調理する材料を洗っているの同じようにしか感じられない。  男の手はルナサの秘所にも伸びていく。 「そ、そこは自分で洗います」 「ほら本人にも分からない汚れがあるかもしれないじゃないか、私が洗ってあげるよ」  そういって男は跪いてルナサの秘所に顔を近づける。ルナサは悲鳴を上げそうになるが、そんな事をしたら台無しになってしまう。  ルナサの足はわずかに震えているが、それも男にとっては香辛料でしかない。 「ルナサちゃんのここ、私に良く見せてもらおうか。ほら自分で開いて、私に見せてくれないか」 「そんなことできませんっ」  男はルナサに諭すように語り掛ける。だがその表情には醜悪なものが浮かび上がっていた。 「いいのかい、知ってるんだよ。君の可愛い妹さんたちのことを。  私はプロデューサーに約束してあげたんだよ。当面五年間の治療費と成人するまでの養育費をね。  それでもルナサちゃんを抱けるなら安い買い物だよ」 「下種……」 「何か言ったかい?!」  男は猛然と立ち上がり、ルナサの顎をねじ上げる。 「ん……、す、すいません、何も言ってません……」ルナサは怯えて、男に詫びるしかなかった。 「そうか、どうやら私の聞き違いだったようだね」男はその答えに半ば満足したようで息を整える。 「それでも君は紛らわしいことを言ったんだ。だからほらさっき言っただろう。やるんだ」  ルナサの脳裏に二人の妹の姿が浮かぶ。  そうだ、二人のためにこうしてここに来たんじゃない、私一人が泣けばいいんだ、そうルナサは心の中で自分に言い聞かせる。  ルナサは震える手で、自らの秘所に指を掛ける。男はそんなルナサの秘所に再び顔を近づけてまじまじと観察する。  ルナサは目を瞑って、そんな光景から目を背ける。だが男の鼻息がルナサの秘所に吹き付けられ、ルナサは背筋が凍る。 「ほう、綺麗なものだ。と、なんだ、処女じゃないのか!」 「は、はい……」 「ははっ、ちょっと大枚はたき過ぎたか。あのプロデューサーに処女かどうか確認しておけば良かった。  まあ、いい。処女でないならないなりに楽しませてもらうとするよ。それじゃ、ルナサちゃん綺麗にしてあげようか」  男の指が丁寧にルナサの女性器を洗っていく。  ルナサもそこまで念入りに洗ったことはない。まるでそのルナサの処女を奪った人間の残り香をわずかでも残したくないようであった。  ルナサは社長に抱きしめられて、ベッドまで連れて行かれる。 「さあ、楽しませてもらおうか」  男はベッドの傍に仁王立ちをしている。そして男根は既に臨戦態勢でルナサの眼前に突き出されていた。  ルナサがどうしたらいいのか分からずに戸惑っていると、男は舌打ちをする。 「なんだ、男の悦ばせ方も知らないのか。全く……ほら舐めるんだ」  ルナサはまるでアイスを舐めるかのように、男根に舌を伸ばすが中々触れる勇気まではない。男はそれに苛立って、二度目の舌打ちをするとルナサの頭を掴んで、ルナサの口に無理矢理自らの男根を突き入れた。 「歯立てたりしたら承知しないからなっ」  そう言われてもルナサは混乱してどうすることもできなかった。そんなルナサの様子に男は自ら腰を動かし始めた。 「ちっ、マグロじゃないだろうな。まあ、それならそれで教え込めばいいんだが。  分かっているんだろうな。私を気持ちよくしてくれるかどうかに、妹さん達の運命が掛かっているんだよ」  ルナサは喉まで突き入れられる男の男根を吐き出さないように耐えるのが精一杯で、男の要求してくる舌使いなどは望むべくもなかった。ルナサは吐き気を抑えながら、男のモノに歯を立てないことに苦心するがそれでも男には気に食わなかった。  男がルナサの唾液に濡れた男根をぬるりとルナサの口から引き抜くと、ルナサはむせて一層男を苛立たせることになった。  男はルナサに手を上げようか、という考えを思いとどまらせた。まだ今晩は長いのだ。ここで傷つけてしまっては、楽しめるものも楽しめなくなってしまう。  まだ軽く咳をして、まなじりに浮かんだ涙を拭おうとしたルナサの手を男の大きい手が掴んだ。  その汚らわしい瞳にルナサは縫いとめられて身動きがとれなくなる。  ルナサは自分の体の上に大きな蛇が圧し掛かってくるように感じてしまい、全身に怖気が走る。だが妹達の顔を思い出すことで、悲鳴を上げることだけは耐える。  そんなルナサに男は歪んだ嘲笑みを浮かべながら覆いかぶさっている。  男は先ほどまで自分の男根を咥えさせていた唇にも関わらず、それを自分の唇で吸う。 「んっ、んっ」  ルナサは一瞬抵抗するが、すぐに諦めて男の唇を受け入れる。  ルナサは男の唾液が自分の口の中に流れ込んでくるのを感じながら、その唾液が血液となって自分の細胞が次々と置き換えられていくのを感じ取る。  自分の握り締めた手の震えがだんだんと収まっていくのも、その手が自分のものでなくなって、目の前の男のものになったからだろうと。  男に唇を軽く噛まれて、それに嫌悪感がなくなって、何か甘い感触になってしまっているのも、唇が男のものになってしまったからに違いなかった。 「随分大人しいじゃないか、結構なことだ。まあ、抵抗してくれてもいいんだが、君が痛い思いをするだけだしね」  そう言って男はルナサの秘所に指を伸ばしてくる。  ルナサの秘所はほとんど濡れておらず、とても男のモノを受け入れられる状態ではなかった。男もその状態でどうにかするつもりはないようで、指で軽くルナサのナカを味わっていった。  ルナサは男を受け入れる覚悟など全くできていなかったが、愛撫されていれば生理現象としてある程度の反応をしてしまう。  それでルナサの緊張も多少はほぐれたと男は判断した。  男は何も言わずにルナサの肩を掴む。その動きでルナサは男がどうしようとしているか覚ってしまった。  ルナサは目を瞑って、柔らかいベッドのシーツを握り締める。明日は笑ってリリカとメルランに美味しいご飯を食べさせてあげるんだ。遠出は出来ないけど、メルランの体に優しそうな和食がいいだろうか。  リリカが大声を上げてもいいように、個室がいいけど、メルランがゆっくりできるとことがいいわね。  三人で外食をするなんていつ以来だったかしら、それはまだ……  そこでルナサの思考は男によって中断させられた。  ルナサの胎内が男によってこじ開けられていく。一応濡れていたとは言え、男のモノを受け入れられる準備が完全に出来ていたとはとても言えない状態、そこを男が押し込むように自らを突き入れてきた。 「ひ、ぐっ……」ルナサのいつも歌っている喉から相応しくない音がこぼれ出る。  ルナサは本当はもっと叫びたかった、悲鳴を上げたかった。でもそれで妹達が幸せになることはないのだ。  だからルナサは耐えた。  ルナサの表情から、そんなルナサの考えは男には手に取るように分かった。  今までも何度も見てきた表情だ。そしてその中でも極上の表情だった。 「君はきっと売れるよ。いやこの私が売れるようにしてあげるよ」  男は場違いなことをルナサに囁く。  ルナサの苦しみがそんなことで紛れるわけはないが、ルナサがそこから逃げ出せなくなるような効果を持つ呪文を男は囁き続ける。 「妹さんたちと幸せになりたいんだろう。このまま私のものになればそれが叶うんだよ」  男はゆっくりと腰を動かし始めながら、その呪文をルナサに投げかけていく。  ルナサは自分の内臓が無理矢理押し広げられる感覚に襲われながら、男の囁きから逃げることができなかった。  男のモノが何往復もしてくると、ルナサの体は本人の意思と関係なく、オスを受け入れるように順応し始める。 「君も感じ始めたのかな」男は勝手な解釈を下すが、ルナサはそれを否定したりはしない。男を喜ばせるだけだ、とルナサにも分かっていた。 「ふっ、んっ、ルナサちゃんのここは本当に気持ちいいよ。こんなに締まって、ふふふ」  ルナサは早く終わって、早く終わってとお願い続ける。  男はルナサの胸を揉み始める。  首筋に噛み付く。  唇を吸われる。  そのたびにルナサは、自分が自分のものでなくなっていくのを感じていた。 「ふひっ、は、ルナサちゃんのオマンコは本当に名器だね。私はもう、我慢できそうにないよ」  ああ、やっと終わってくれる。ルナサの心はそれで一杯になった。だが、男の次の一言がルナサの心を絶望で塗りつぶした。 「ねえ、ルナサちゃんのナカにたっぷり出してあげるからね。最近忙しくて四日ぶりの射精なんだよ。  大丈夫、もし子供ができても私が悪いようにしないから。女の子がいいかな、ルナサちゃん似のね」 「や、止めてくださいっ、ひ、そ、それだけは止めてっ」 「駄目、駄目に決まってるじゃないか、ここまで来て止められるわけないじゃないか、そんなことも分からないのかな」  男は激しい腰使いのまま、ルナサの逃げ場を奪っていく。  ルナサは抜け出そうとするが、頭一つも違う男に力で押さえつけられていてはそれも叶わない。 「出すよ、ルナサちゃんの可愛いオマンコにたくさん出してあげるからね」 「いや、いやぁぁぁぁぁ」  男の咆哮と共に、ルナサは自分のナカに熱いモノが拡がって行くのを感じる。  胎内で男根が脈動して、そのたびに胎内が汚されていく。 「いや、いやぁ……」ルナサにできるのは泣きながら、男の子種を受け止めることだけだった。  ルナサがシャワーを浴びながら、男の精液を必死に掻き出して戻って来た頃には、男は夢現の状態であった。 「んっ、長いシャワーだったな」 「す、すいません……」  このまま寝てくれれば終わりなのに、寝てくれれば良かったのに、そうルナサは思いながら男に謝る。  そしてルナサの意図通りの台詞が男の口から飛び出るとは、ルナサは全く期待していなかった。  だがそれが起こった。 「ふぅ、私は眠い。もう寝る」 「は、はいっ」  そしてルナサを再び谷に突き落とす一言が続いた。 「また、来週も頼むぞ」 「え?」 「ん?」  二人の間に半端な間が空く。  そしてその間を打ち崩したのは男の哄笑だった。 「は、ははっ、はははは、何だ聞いていなかったのか」 「な、何をですか?」 「何って、そうだろ。君みたいな無名アイドルを一晩抱くことに、君の家族を年単位で養うような価値があると思っているのかい。  そうかプロデューサーに聞いていなかったのか。あの人も人が悪いな。  まあそうでなければ君が了承しないとでも思ったのかもな。  だが君はもう逃げられないだろ。そう君の頭の中では君と妹さんとでの幸せな生活の絵が浮かんだだろう。  そして君はもうそれから手を離すことなんてできないんだよ。  だからこれからもよろしく、ルナサちゃん。今日は大して気持ちよくなかったけど、次はもっと気持ちよくしてもらうよ。  それと君にも気持ちよくなってもらうからね。大丈夫一月も経てばルナサさんも男なしではいられなくしてあげられるから」  ルナサは絨毯にへたり込む。  その上質な絨毯のおかげでルナサは全く痛みを感じなかったが、きっとこれがアスファルトでもルナサは痛みを感じなかっただろう。  ルナサの心を占めているのは妹達の笑顔と、そして目の前の男の汚らわしい肉棒であった。  そして妹達の笑顔は絶対に手放せないことも分かっていた。 「いいかい、もう私は寝るよ」 「あ、しゃ、社長……いいですか?」  ルナサは焦点の合わない目をしたまま立ち上がる。男はルナサが倒れるのではないかと危惧したが、ルナサはしっかりと立ち上がった。 「どうしたんだい、手早く済ませてくれないかな」 「はい、お金を貸してくださいませんか。明日妹達とご飯を食べに行くんです。さっき約束しちゃったんです」 「なんだ、そんなことか。財布はそこに置いてある」  男は投げやりにテーブルを指差して、そのまま毛布を被った。 「好きなだけ持っていくがいい、現金だけだぞ。返せだなんてケチ臭い事はいわん。好きに使うがいい」  男はそれだけ言うと寝息を立て始めた。  男の財布に入っていた現金は、それほど多くはなかったが、男はそもそも現金など余り使わないのであろう。  だが、その現金は先月のメルランの薬代とプリズムリバー家の食費と家賃を全て払ってもお釣りが帰って来る金額だった。  ルナサは男の財布から札を全て抜き取った。そして男のいびきが聞こえる、その部屋でその紙切れを数え始める。 「リリカ、メルラン……、何を食べようか? お寿司? すき焼き? どこでもいいわよ、お姉ちゃん、頑張ったし、これからもお姉ちゃん頑張るからね……、ははは」 ******************************** 「……」 「ねえ、メルラン姉さん……、実はルナサ姉さんの事嫌い?」 「そんなわけないじゃない。むしろ愛してると言ってもいいわ。でもほら自分の愛しているものが汚されてしまう、ほらぞくそくしちゃうじゃない。皿をわざと割るような感覚っていうか!」 「メルラン姉さん、そんな鼻息荒くしないで……。それと一言いい?」 「何?」 「ルナサ姉さんは処女だろ、ダラズ!」リリカの罵声と共にメルランの頭がはたかれる。 「っ痛いー、リリカー、暴力反対ー」 「それにルナサ姉さんにメルラン姉さんの妄想みたいな下種は似合わないわ」 「そう……じゃ、聞かせてもらいましょうか? リリカ」 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@    ルナサ・プリズムリバー アイドル擾乱編 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 「遅いですね……」 「あら、落ち着かないの?」 「それはそうですよ……」  ルナサは周りを見渡す。ホテルの最上階のレストラン、しかも個室である。  個室だと言うのに、飾られている花は造花であるはずもなく、その花を見ただけでルナサの一回のコンサート収入を超えるであろうことがルナサにもすぐに分かるほどである。 「ここ……いくらくらいするんでしょうね……」 「多分、ルナサちゃんのお給料くらいかしら」 「やっぱりそれくらいしますよね」 「あ、手取りじゃなくて額面ね」 「……」 「タッパー買ってきていいですか?」 「駄目。それに来たらしいわよ」 「遅くなったわ、ごめんね、紫ー」 「遅いわよ、文ー」  フランクな二人の挨拶にルナサはどう反応していいのか分からず、椅子に座ったまま部屋に飛び込んできたその女性を見つめてしまう。  てっきり紫より年上の人が来ると思っていたところ(決して紫が年増と言っているわけではない)、その女性はむしろルナサ本人とそこまでは年が離れていなそうな外見の女性である。  だが彼女が? 「ルナサ、ほら、立ちなさい」  紫に背中を叩かれて、ようやくルナサは二人を立たせているという不調法に気付いて椅子から飛び上がった。 「あやや、やっぱり実物は可愛いですねー、一枚写真いいですか?」 「掲載しないならいいですわ」 「それじゃ、はい、チーズ」  こうしてルナサのアイドルとは思えない、ぎこちない笑顔と共にピースをした写真ができあがることになった。 「はい、そういえば名刺、名刺、どこにしまいましたっけ?」その女性はポケットやかばんを漁る。 「また文花帖に挟んであるんじゃないの」 「おお、そうでした。どうぞ」  その女性からルナサに渡された名刺にはルナサもいつも読んでいるファッション誌の名前とそして編集長という肩書きが書いてあった。 「え? あの……これであの雑誌の事ですよね」 「ルナサ失礼よ、渡された名刺を疑うなんて」 「いやぁ、その反応には慣れっこですので。でも正真正銘編集長様様ですよ」 「貴方はそんな態度だから、そんな反応されるんでしょう」 「痛いところを突かれましたね。あ、ウェイターさんが来ましたので、まずは食事にしましょうか。美味しい料理は舌の潤滑剤ですよ」 「貴方の舌にはヤスリ料理をお勧めするわ」 「はあ、文さんって凄いんですね!」  ルナサの月並みな感嘆にも文は気をよくして舌をくるくると回す。  紫とは昔なじみであること、ルナサの先輩にあたるアイドルを世話して、大きく羽ばたかせたこと、自分の雑誌の編集方針、部下が写真を撮らせてくれないこと、云々。  紫の的確なツッコミと方向修正がなかったら、文は一時間でも二時間でも喋り続けたに違いない。  話すタイミングの掴めないルナサに、紫が振ることでルナサを喋らせる。  そういう時は、文は机に肘をついて優しい笑顔でルナサの話を聞いている。ルナサも文に対しては話しやすいようで、自分の趣味のバイオリンの話などを滔々と話している。 「同業者からルナサさんは少しあがり症だって聞いていたんですが、ちゃんと話せるじゃないですか」 「あ、あの、それは文さんが喋りやすいというか、喋りやすい空気を作ってくれているからで」 「まあ、記者みたいなこともしてますしね、私は」 「ええ、文さん、本当に話しやすいですし、話しちゃいけないこと話ちゃいそうです」 「ふふふ、それで、私はいろいろ記事を書いてきましたしね。聞きたいですか、私が今の地位に到る経緯を」 「ウチのルナサに貴方の悪行を聞かせるわけにはいかないわね。ルナサの耳が穢れるわ」 「あら、ひどいです」  ルナサは含み笑いをする二人から少し体を離してしまう。  最後のコーヒーをウェイターが置いていく。ブラックで飲む二人と、砂糖を3ヶ入れたルナサは、個室に漂うコーヒーの香りと共に今日の料理の残り香を胃に流し込んでいく。 「それでは……」  文の視線が険しくなる。これが編集長として仕事をする時の眼なんだろうとルナサは思う。 「ええ……」紫は立ち上がってルナサの肩に手を置く。 「それじゃ、後は二人で話をしていらっしゃい」 「え、プロデューサーと一緒じゃないんですか?」 「何よ、紫、ルナサさんに話をしていなかったんですか?」 「貴方を信頼……してるから……」 「そんな言い澱まなくてもいいじゃないですか、まあ、『大切』にはしますよ」 「ルナサ、駄目なら駄目って断るのよ。その場の空気に流されるのではなく、貴方自身で考えなさい。  全く駄目だと思うなら私も断っていたわ。例えこの鴉の頼みであろうとね」 「鴉だなんて酷い例え」 「本当の事でしょう。でもこの鴉は貴方を傷つけることはないわ、あったら私が殴りこむけれど。  でも傷つかないかもしれないけど、全てが楽しいことばかりでないのは貴方もこの業界に来て分かったでしょう。  それでもこれは貴方にとってチャンスなの……。  私の事務所のことは気にしなくてもいいから。ルナサが来る前に戻るだけなんだから」 「プロデューサー……」 「だからこの鴉の話をちゃんと聞いて、貴方が決めるのよ。  さっき藍からメールが来てて、メルランちゃんとリリカちゃんはもう寝かしつけたらしいから、貴方は鴉の話に専念して大丈夫よ」 「はい、分かりました。藍さんにもありがとうって伝えてください」 「良い返事ね。じゃ、鴉、変なことをしたら、承知しないからね」 「毎度ながら過保護ですね。だからいつまで経っても事務所が小さいままなんですよ」 「何とでも言いなさい。それじゃ、ご馳走様。ルナサ、頑張るのよ」  紫は文にきつい視線を投げつけて、姿を消した。 「それじゃ、行きましょうか」紫を見送って、ルナサに背中を向けていた文から声がかけられる。 「どこ、にでしょうか?」 「部屋がとってあるのよ」そう言って文はこのホテルのキーを取り出した。 「貴方もどう?」 「いえ、私、お酒は……」 「あら、もったいない。美味しいのに」ルームサービスで頼んだシャンパンを文は飲み干そうか、という勢いで空けていく。  何の用なんだろう。うわばみの様にグラスを開けていく文を前に、ソファに座ったルナサは悩む。  文の雑誌の取材であれば紫がいるところで話をするであろうし、文とは初対面でありプライベート絡みは考えにくい。 「初対面じゃないわよ」 「え?」  ルナサは文の心を読んだかのような発言にも驚いたが、その声色にも驚いた。先ほどまでに柔らかい喋り方から何か、尖ったものを感じさせる喋り方に変わっていた。まるで鴉の嘴のように。 「こっちがプライベートの口調なのよね。あ、別にこっちが素、というわけではなくてどっちも私よ。自然と使い分けしてるだけで」 「そう、なんですか」 「そう、なんですよ」  文はそう言って、ルナサの隣に腰を下ろした。ルナサの鼻に文の酒精が漂ってくる。  そして文はまたグラスを干して、その空いたグラスをルナサに突きつける。 「注いで下さる?」 「あ、は、はい……」  ルナサに酒を注がせながら、文は中断された話をする。 「貴方とは初対面じゃないのよ。と言っても貴方は知らないと思うんだけど。  貴方を初めて見たのは、そう香霖堂スーパーでのコンサート見させてもらったのよ。客席に座ってなかったから、ルナサは覚えてないと思うのよね」  ルナサは脳細胞をフル回転させるが、隣に座っている女性の顔を香霖堂スーパーの光景に組み合わせることはできなかった。 「すいません、やっぱり駄目みたいです」 「それはそうでしょ、覚えてたら私のほうがびっくりよ。  そこで貴方を知って、後からプロデューサーが紫だって聞いてこれは天啓だと思ったのよね。  で、紫に話を通して、こうしてセッティングをしてもらったのよ」 「はい……」用件がまだ分からないルナサは、曖昧な返事をする。 「まあ、まあ、用件は言うわよ、もう少し後でね。  それで香霖堂スーパーでのコンサートはひどいものだったわ」 「いや、まあ、お客さんは3人でしたしね。私もまだまだというか、今の私ではあれが限界なのかも……」 「違うわ、そんなことじゃないの。貴方の歌を分かってくれる人がいなかったことよ。貴方はあんなところで歌っていていい人ではないわ。もっとスポットライトを当たった場所で千倍も万倍もの観客を酔わせるべきなのよ。  そうあの伝説のアイドル『風見 幽香』の後を継げるのは貴方しかいないのよ」 「はあ」ルナサは文の話のスケールについて行けていない。 「ねえ、貴方、私の風見 幽香になってくださらない?」文はルナサの顎を指で摘む。  ルナサは文とこのような近距離で見詰め合うのは初めてで鼓動が早くなるのを感じる。  酒臭いのは難点だけれど、アルコールで紅くなった顔に潤んだ瞳、そして情熱的とも言える声、ルナサも自分の頬がアルコールを飲んだわけでもないのに紅くなるのを感じた。  だがルナサはその文の様子から感じ取ってしまった。 「文さんって……幽香さんとお知り合いだったりします? そういえば文さんの雑誌で幽香さんって表紙飾ってましたよね」  ルナサの質問に文は直接は答えない。 「彼女の引退したときの言葉覚えてる?」 「『普通の花屋になります』ですか」 「そう、彼女は私の手からふわりとたんぽぽの綿毛の様にいなくなったのよ」 「え、幽香さんとどういう関係……」 「こういう関係よ」  ルナサはいきなり天井のシャンデリアの灯りが目に飛び込んできたことに驚く。数拍の後に文に押し倒されていることに気付いた。 「文さん……、これって……?」 「分かったでしょう、私と幽香はこういう関係だったのよ。そう貴方の事務所の幽香先輩とはね」 「え、幽香さんが先輩?」  ルナサは紫からそんな話は聞いたことがなかった。ルナサが知ってるのは幽香は大手プロダクション所属だったという事。 「どういう事ですか?」 「要約するとね、私と幽香が出合ったのはお互いに駆け出しだった頃よ。紫もね。  そして私達は一緒にステップアップしていったの。  でも紫はあんなんでしょう、大切にしすぎるのよ。貴方みたいにね。  それでいろいろあってね、私の先代編集長が幽香を無理矢理移籍させちゃったのよ。  その時にいろいろあって幽香と付き合うことになったのよ。おかげで紫とは疎遠になってしまったけれどね。  紫もそれがベターな選択だって分かっていたはず、私だってそう思ってた。  でも……、あのコンサートで幽香はいなくなったの……。私に残されたのは手紙一通だけよ」  文は遠くを見る。 「でも昔とは違うの。今度は紫から幽香を、いや貴方を奪わなくても一緒にやっていけるだけの地位は獲たの。  自由に空を飛ぶことはできなくなったけれど、私が幽香から奪ったものに比べれば大したものじゃないわ。  ルナサ、貴方が第二の風見 幽香になるのよ」 「私は幽香さんの代わりなんですね」  ルナサは泣いていた。文は自分を見てくれているのだと思っていた。何の用かは分からなかったけれど、「ルナサ・プリズムリバー」に用があるのだと思っていた。だが文が見ていたのは自分と言う鏡に映った別人だったのだ。 「そう……ね」そして文も否定しなかった。 「紫にも少し聞いたし、ちょっと調べさせてもらったわ。貴方には病弱な妹さんと、幼い妹さんがいるんですってね。貴方くらいの駆け出しのアイドルで養うのは大変でしょう。  マンションが一部屋余ってるし、生活費を出すくらいは何とでもなるのよ。貴方にとっても悪い話じゃないのよ」  その一言はルナサには効いた。確かに今の収入ではギリギリの生活を送るしかできない。いや紫の好意で差し入れとかを貰っていなかったら、高利貸しに手を出していたかもしれない。  それが目の前の女性に自分を差し出せば解消されるのだ。 「紫に言われたでしょう、貴方自身で選びなさい。断られたら私は帰るわ。もちろんルナサ、貴方は泊まっていいのよ、清算はしておくから」 「選択肢なんて……」  ルナサは搾り出すように声を出す。 「選択肢なんてないじゃないですか。断れるわけないじゃないですか。妹達にはもっと良い生活をさせたいに決まってるんです。  好きであんなボロ屋に住んでるんじゃないです。本当はメルランにも処方された薬を半分じゃなくて全部飲ませたいんです。リリカも他の同年代の子より小さく見られるのは食事のせいだって分かってるんです」  ルナサの瞳から止まることなく涙がこぼれる。  文は指でその涙を掬う。 「ルナサ、約束する。貴方を不幸にはしないわ。私も二度とあんな想いしたくないもの」 「文さん……」 「文さん……、電気消してください」 「もったいないから駄目よ。それより写真取っていいかしら」 「絶対に駄目です」  全裸になったルナサはベッドに横たわり、手で胸と秘所を隠すのが精一杯だった。 「震えてるわ。可愛いわね」 「それは……」 「あら顔を真っ赤にしちゃって、やっぱり写真に取りたいわ」 「写真を撮ろうとしたら帰りますよ」 「あら、貴方はそんな事を言える立場じゃないのねえ。でも今日は勘弁してあげるわ。でも貴方の写真集を作ってあげるわ。もちろんカメラマンは私で。  ちょっと大胆な水着で、きっとみんな貴方に釘付けよ。でも……」  文はルナサの胸を掴んでいる手を掴む。 「このルナサは私だけのものよ。絶対に誰にも渡さないわ」  文はルナサの肢体を隠している手を掴んで、ゆっくりとルナサの体から離していく。ルナサも目を瞑って羞恥に耐えながらも抵抗しなかった。  文の目の前にルナサの体が露わになる。  グラビアアイドルになるには凹凸に欠けるのは否めないが、モデルとしてはこれ以上ない。文はそんな打算をしてしまう自分に苦笑しながら、その考えを打ち払う。  文はルナサのお腹に舌を這わせる。そのような所を他人に舐められることが初めてなルナサは思わず体を震わせてしまう。  そんな初々しいルナサを文は薄絹を扱うように柔らかい指使いで扱う。腰を撫でている指をゆっくりと太ももの方に持っていく。  ルナサは両手とも白いシーツを握り締めて、慣れない他人の体温に耐え忍んでいた。 「そんなに緊張してないでもらえる?」 「でも……」 「まあ、初めてなんだもの、仕方ないわね」  文はルナサをエスコートするように手を取って、ルナサを起き上がらせる。ルナサが大人しくそれに従うと、文は後からルナサを抱きしめる。 「あっ……」  ルナサの体を文の体温が包み込む。そして次に感じたのは文の心音だった。  ルナサはそれでようやく今一緒にいるのが文だということを体認して、自然と体の震えも止まってしまった。 「落ち着いたかしら?」 「はい……」  文はそのままルナサの髪に顔を埋めてルナサのうなじにキスをする。ルナサは思わず逃げ出しそうになるが、文は逃がさまいとルナサを抱きしめてしまう。  そのままルナサの胸に文の手が伸びてくる。 「んっ……」うなじと胸、両方を愛撫されて、ルナサは思わず甘い声を漏らしてしまう。  文はそんなルナサの声が聞きたくて、少しだけ手に力をこめて、ルナサの乳首を摘む。  ルナサの上げた可愛い悲鳴に気をよくして、文はルナサの体の各所を探っていく。その度にルナサは声を上げてしまう。  まるでルナサが声を上げるところを知っているかのような文の動きに、まるでルナサは自分が楽器になってしまったかのように錯覚してしまう。 「ルナサ……」  文がルナサの髪に顔を埋めたまま、くぐもった声をあげる。 「は、はい……」 「ねえ、もっとルナサの声を聞かせて。声を出さないように我慢しないで欲しいの。  私がルナサを知ったのは姿より声が先だったのよ。  あの時の私は貴方の声に一目惚れして、姿に二目惚れしたの。  あ、誤解しないでね。別に業界人としての意味ではないわ。まあ、それも否定はしないけれど私は貴方の声を聞いて独り占めしたいと思ったのよ。こんなふうにね」  文はそう言いながら、ルナサの胸を揉む。 「んっ……」 「ほら我慢しないで……」 「でも、その恥ずかしいので」ルナサはこうしているだけでも恥ずかしいのに、もっと声を出せという文の要求が飲める筈もなかった。  本当は電気を消して、更に布団をかぶりたかったのだ。  しかもこの部屋のカーテンは開いたままであった。  この部屋を見ることができるような建築物が周りにないのは分かっていたが、灯りが点っているので向かいに建物があったら、こうしている二人の全てが露わになってしまうだろう。  そんな状況で更に文の声を出してという要求は、ルナサには従おうとしても従えないものだった。 「無理?」 「無理……」 「それじゃぁ」ルナサにはその文の声が恐ろしいものに聞こえた。ルナサは文の顔を窺う事はできなかったけれど笑っていたに違いないと確信した。 「無理にでも声を出してもらうわ」 「ひっ」  文はルナサの秘所に指を伸ばした。それはルナサが覚悟を決める暇を与えない、まさに神速だった。 「あ、あ、文さんっ……」 「どうしたのかしら、ルナサ……、思ったより感じてくれていたのね、嬉しいわ」 「そ、そんなことは……」 「こんなに濡らしておいて、感じていないなんて嘘はつけないでしょう」  文はルナサの秘所から指を抜いてそのまま、ルナサの下腹部をなぞって行くと、愛液が灯りを反射して、ルナサの体に線が引かれていく。 「初めてなのにこんなに感じてもらえて嬉しいわ」文は後からルナサの肩にキスをする。 「うぅ……」ルナサは何も答えられず口ごもった。 「そんなルナサにはもっと感じてもらうわ」文はそう宣言すると両手でルナサの秘所に指を伸ばす。  ルナサの身体を傷つけないように気をつけながらも、ルナサの秘所に人差し指を差し込み、片手ではルナサのクリトリスを撫で摩る。 「んっっ」ルナサは耐え切れず声を漏らしてしまい、気を良くした文は更にルナサの声を聞くように指を動かす。  ルナサも初めては声を抑えていたが、文の指使いによってそれもままならなくなってくる。  文はルナサの声を聞いていると、背筋が震えるような感覚に襲われる。今まで同衾した女性でこのような気持ちにしてくれたのはルナサが初めてだった。愉しいと言ったら語弊があるだろう、だがもっと続きを聞きたい、もっと鳴かせたい、もっと私のものにしたい、そんな気持ちが止まらなくなってきた。 「ルナサ……もっと鳴いて頂戴。私にルナサの声聞かせて」  それに対するルナサの答えは、喘ぎ声だった。ルナサは何かを言おうとしたが、文には日本語には聞こえなかった。だがそれで十分だった。  文はルナサを追い込んでいく。指だけでなくルナサの肩を歯で噛んで痕をつけるが、全身が敏感になり始めているルナサにとってはそれすら快感として受け入れていた。 「どう、ルナサ……気持ちいい?」 「は、はいっ、き、気持ちいいですっ」ルナサは文の指で途切れ途切れにさせられながらも返事を返してくる。 「じゃ、ルナサ……、いっちゃいそう?」 「……。んっ」口ごもったルナサを文の指が急き立てる。 「どう?」 「は、はい……、私、もう、んっ、いっちゃいそうです」 「そう、ならいっちゃっていいわよ。ルナサ……」その文の耳元での囁きでルナサは体を震わせてしまう。 「あっ、文さん、文さんっ……、いっちゃいます、いっちゃいます、いっちゃうっ……」  文の腕の中でルナサが体を大きく震わせて、そして文にもたれ掛かってくる。そんなルナサを文は両手で抱きしめた。 「どう?」 「まだふわふわします……」 「ふふふ、良かったわ。ルナサに気持ちよくなってもらえて、しかもあんなルナサの声が聞けて……」 「むぅ」  ルナサは文の腕の中で小さくなる。そんなルナサを文は抱き変えて、姿勢を変える。  ルナサを自分の足の上に横に座らせる。 「その……重くないですか?」 「むしろ軽いわね。明日からいいもの食べさせるから、反動で余り太らないようにね」 「は、はい」  この体勢だと常にルナサの耳元で文が囁くことになる。文の声を聞くたびにルナサは先ほどまでの文にされた行為を思い出してしまう。  そして…… 「あら、ルナサの愛液が私の足に垂れてきたわ」 「あ、や、文さんっ」  ルナサは逃げ出そうとするが、そんなルナサを文は抱きしめて繋ぎとめてしまう。 「あんなに良い声だしておいて、今更でしょう」 「……。それはそうですけど……」  文の目の前で、一層頬を染めるルナサの様子に文は幸せになると同時に不安になってしまう。  いつまでルナサが自分のそばにいてくれるのか、文はルナサを売り出すのに全力でバックアップするつもりだった。そして遠くない未来にルナサは、「みんなのルナサ」になるだろう。それこそ「みんなの幽香」になった彼女のように。  そしてその時、ルナサの傍に立っているのは自分なのだろうか、それとも……。  そんな黒い思いが、思わず次の一言を言わせてしまった。 「ルナサの初めてもらっていいですか?」  その一言にルナサの顔が一瞬強張り、次の瞬間には花が咲いたような笑顔が浮かぶ。 「文さんなら……、いいですよ」  その笑顔に文の心は自己嫌悪で塗りつぶされる。  自分の不安をかき消すためにルナサに痛みを伴う行為を頼んだというのに、ルナサはあんな笑顔で了承してくれたのだ。 「ルナサ……ありがとう……」  文はルナサに顔を見られないように抱きしめる。 「苦しいですよ、文さん」文は聞こえない振りをして、ルナサを抱きしめ続けた。  ルナサは緊張の色を隠せない。  文もさっき指でルナサに愛撫している時に、勢いで一緒に処女を奪ってしまった方が良かったかもしれないとも思ったが、今更である。  ルナサは口を硬く食いしばって、文の動きを待っている。 「あの……、もう少し、緊張を緩めてもらえない?」 「は、はい……」ルナサはそう返事をするが、状況は余り良くならない。 「あの、いいですか?」ルナサがおずおずと切り出してくるので、文は耳を傾ける。 「その……確かに、今緊張してるんですけど……」それは文にも良く分かっている。 「文さんに、キス……してもらえれば落ち着くと思うんです……。だから、その、キスしながらしてもらえませんか?」全てを言い切ったので安心したのかルナサは安堵のため息を吐いた。  そして文は自分を叱責した。初めてのルナサにこんなことを言わせてどうするんだ、と。 「ごめんなさい、ルナサ、そうさせてもらうわ」 「はいっ」その笑顔で文は自分がルナサから離れられなくなったと確信してしまった。多分三日と空けて会わなかったらどうにかなってしまうかもしれない。  そう思うくらい文はルナサの笑顔に吸い込まれてしまった。そのままルナサと唇を合わせた。 「今のが私の始めてのキスですよ」そのキスが終わった後にルナサに囁かれた文は、思わずもう一度ルナサの唇を奪ってしまった。  ルナサの思考は既にパンク寸前だった。  文との――つまり人生で――二回目のキスは文の舌に口の中を蹂躙されるようなキスだった。  文の瞳には自分を欲しがっている光が爛々と輝いていて、ルナサにとってはそれが嫌ではなかった。体の奥が文を求めて、切なくなってしまう。  ルナサは気がつくと文の背中に手を回して抱きしめていた。そのせいでルナサと文の距離は更に狭まってキスが終わらなくなる。  文の胸がルナサの胸と押し付けあって、お互いの体の柔らかさを実感してしまう。  ルナサは息をするのももどかしかった。息をしてなくて良かったら、もっと文とキスができるのに、息をするためにわずかにキスの間が空いてしまう時間がもどかしかった。  そんな中、文の指が自分の秘所を再び愛撫し始めたことにルナサは当然気づいていた。だがそれは文と自分の接触面積が増えただけにしか思えず、それは本来一緒だったものが分かれて、再び結合することの一工程でしかなかった。  ルナサの体内に文の指が入り込んでくるが、ルナサは文の唇を更に求める。文もそれに応えるようにルナサの唇をついばむ。 「んっっっ……」  口を塞がれていなかったらさすがに悲鳴を上げていたかもしれない。文の指が「突き抜けた」衝撃がルナサの体を伝播していった。  文がキスを止めて「大丈夫ですか?」と聞こうとしたが、ルナサは文の唇を求めてキスを止めさせない。ルナサは今度は自分から文の口の中に舌を差し込んだ。  文の顔に驚きの色が浮かぶが、次の瞬間には勝負を挑まれたような顔をして、口の中でルナサの舌を迎え撃った。  結局その後二人は一時間ほどキスをし続けてしまった。 「ルナサさんの初めての味です」と文がルナサの処女を奪った指を舐めて、ルナサが文の耳を噛んだところで二人の行為はなし崩し的に終わりを告げた。  文は一回も達してしないし、ルナサも処女を奪われた後は文が気遣って秘所を強く弄られることもなかった。  けれど二人とも抱き合いながら笑っていた。 「ねえ、文さん」 「なんです、ルナサ?」 「明日、時間空けられませんか?」 「うーん、昼食前後2時間くらいなら」文は瞬時に明日のアポを一つキャンセルする算段を立てる。 「それなら妹たちに会って欲しいんです」 「あやや、照れますね」恋人です、と紹介されたらどうしようと文は妄想をたくましくしてしまう。 「?」文の妄想までは思いが至らず、ルナサは疑問符を浮かべる。  そんなルナサを文はもう一度抱きしめた。ルナサはそんな文の胸に顔を埋めて、妹達にこの大好きな人を何て説明しようかと考えていた。 @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 「何よ、リリカの中の射命丸さんってこんなイメージだったの?」 「いや、少し脚色は入ってるけど、まあ大枠は」 「射命丸さんが姉嫁……、いや婿かしら。愉しそうだけど苦労しそうよね。  でも射命丸さん、昔の女と姉さんを重ねるのはともかく、本人に言っちゃうのはどうなのよ」 「ほら、そこはきっと射命丸さんが偽悪的に振舞うことでルナサ姉さんの気持ちを軽くしてるのよ」 「でも、どうせならもっと姉さんにはリードして欲しいわね、私的には」 「どんな感じに?」 「そうねえ」考えながらメルランは手酌で自らのグラスに琥珀色の液体を注ぎ込む。リリカに至ってはラッパ飲みである。 「姉さんはやっぱり姉さんらしく、年少者を優しく導くのよ、きっと」 「男に寝取らせたり、年少者と絡ませたり、メルラン姉さんも屈折してるわね」そんなリリカの呟きが妄想に耽るメルランの耳に届くことはなく、メルランは次の妄想を語り始めた。 ################################    ルナサ・プリズムリバー アイドル遥碧編 ################################ 「プロデューサーお疲れ様です」 「お疲れ様でした!」 「お疲れ、ルナサ、ミスティア。明日は13時から大切な打ち合わせだから遅刻しないようにね。あとちゃんと睡眠を取って、不摂生も……」  八雲プロデューサーの話を聞き流し、二人は事務所から飛び出ていく。  以前のルナサであれば、八雲プロデューサーの話の途中で帰るなどということはなかっただろう。 「まったく、困ったわ。人間変われば変わるものね」  八雲プロデューサーはそう言うが、顔は笑っていた。  鳴かず飛ばずだったルナサも、後輩のミスティアが入ってきてから急に人気が出始めた。  余り一緒に仕事をするわけではないので、ミスティアの直接的な影響ではなかった。  八雲プロデューサーはルナサが変わったのは確信していた。  単純に魅力的になったのだ。歌唱力も元からあったし、ルックスも良かった。グラビアアイドルにするには、現時点では厳しいが。  特に急に歌が巧くなったわけでもなく、整形手術をさせたわけでもなかった。  それでも歌は人を惹きつけるようになったし、笑顔は自然になった。  それでついに深夜番組とは言え幻想郷テレビの話がきたのだ。それが明日の打ち合わせである。 「まあ、ルナサが遅刻するわけないしいいか」八雲プロデューサーは深く考えているように見えて、結構適当なので有名である。苦労するのは部下の藍である。それも有名である。 「ルナサ先輩、カラオケ行きましょうよ」 「全く八雲プロデューサーも良く言うけど、どうしてアイドルがお金を払って歌いたいのさ」 「だって、歌いたいんですよー。仕事じゃなくて自分の好きな歌を歌いたいんですよ♪」 「はいはい」道端で歌いだしたミスティアに、ルナサは苦笑しながらも、OKを出してしまう。  そうして二人は駅に向う途中のカラオケボックスにふらりと入っていく。 「一曲目は……」いきなり曲を入力し始めるミスティアと、メニューを見て飲み物を物色するルナサ。 「先輩、先輩デュエットしましょうよ」 「はいはい、注文したらね。ミスティアはいつも通りパルピスでいいのかしら?」 「それでお願いします、ルナサ先輩始まっちゃいますよ」 「分かったから」  ミスティアが十八番の御柱超えを歌い終わると、ちょうどルナサのウーロン茶とミスティアのパルピスが届く。ミスティアは店員からパルピスを受け取るとその場で飲み干してしまい「もう一杯」と注文してルナサを呆れさせてしまった。  次の曲もミスティアの入れた諏訪湖冬景色である。 「ミスティアは本当に八坂さんの歌が好きだね」 「だって、いいじゃないですか八坂神奈子…さん」まだ一ファンだった頃の名残で、敬称を付け忘れそうになるミスティアをルナサは微笑みながら見ていた。 「まあ、分からないではないけどね」  そう言いながらルナサはウーロン茶を飲む。そのウーロンに違和感が残るが、ルナサにはそれが何であるのか気づくことができなかった。 「何?」 「先輩、一緒に歌いましょう」ミスティアはルナサにマイクを押し付ける。  ルナサは座ったまま、ミスティアは振り付け付けでその後、デュエットで四曲続けて演歌を歌い続けた。二人ともさすがに喉が渇いて、それぞれウーロン茶とパルピスを飲み干す。 「はあ、プロデューサー。演歌歌わせてくれないかなあ」 「そんなに歌いたい?」 「そうですよ、そのために実家のヤツメウナギ屋を飛び出してこの業界に来たんですから。それなのに……」 「ウチは小所帯だからそんな冒険できないしね」 「そうなんですよねぇ。にしてもこのパルピス美味しいですねぇ」  パルピスとはパルスィ社製の乳酸菌飲料のことである。 「そう? パルピスの違いなんて濃さ位しか……」 「パルピスなんかどうでもいいんです!」自分で言っておいてミスティアはパルピスの話を切り捨ててしまう。 「ルナサ先輩は演歌歌いたいとか希望はないんですか?」 「んー、歌とは違うんだけどね、その……少し恥ずかしいけどバイオリンをやりたいかな。  やりたいというか、またやりたいの方が正確だね。子供の頃習ってたんだけど、いろいろあってやめちゃったんだ」 「先輩のバイオリン……素敵でしょうね」  ミスティアがうっとりとした表情でルナサを見つめてくる。その表情にルナサの胸も思わず高鳴ってしまう。  最近ルナサはミスティアを見ていると、何故か胸が締め付けられるようになっていた。  ルナサはその感情の名前にまだ気づいていなかったけれど、それが歌やいろいろなものに影響していた。  そしてそれはミスティアも一緒だったのだが、今日のミスティアは異常だった。  さっきからルナサを熱く眺めて視線を外さない。それ以前に妙に顔が赤い。 「ねえ、ミスティア……。大丈夫かい? 体調は朝から大丈夫そうだったよね」 「何かふわふわしますー」そう言うとミスティアはルナサの胸に飛び込んできた。 「わ、わ、ミ、みすちー?」思わずアイドルとしての名前で呼んでしまうルナサ、そして異臭に気づいた。 「酒、くさい?」  ルナサは自分の胸で寝息を立て始めたミスティアを抱きとめたまま、ミスティアのグラスを手にとって顔に近づける。 「あ、酒くさい……、パルピスハイになってる……」  店員がどこかで間違えたのであろう。そしてミスティアは酒に弱かった。  自分のウーロン茶も確かめると、少しアルコールの味がした。 「はあ」  ため息と共に、ルナサはミスティアを抱きしめる。  起こすなり、椅子に横にするなりしておけば良かったのだけれど、ルナサはなんとなくそれができなかった。腕の中で寝息を立てるミスティアの顔を見ているとルナサは自分の顔が熱くなって来るのを感じる。 「先輩♪」 「!」  ルナサを驚かすだけ驚かしておいて、ミスティアは再び寝息を立てる。  そして再び寝息を立て始める。 「寝言……、どんな夢を見ているのかしら」  腕の中でおそらく自分が出ている夢を見ている後輩の顔を見つめる。  ルナサも自分の鼓動がアルコール以外で早くなってくるのを感じる。シャンプーの香りと共に、ミスティアの髪がルナサの頬に触れる。ルナサの腕にはミスティアの慎ましい胸があたっている。 「ねえ、ミスティア」  ルナサはミスティアに優しく語り掛ける。ミスティアは「むにゃむにゃ」と返事をしてくる。  ミスティアに「先輩の手冷たいですね」と言われたのを思い出す。ミスティアの身体は温かい。  ミスティアの唇がルナサの目に入る。  ミスティアの身体は温かいけれど、唇は温かいのだろうか、そんな疑問がルナサの心に浮かぶ。 「ねえ、ミスティア」ルナサは同じ言葉を繰り返す。 「ねえ、ミスティア。起きないと……」ルナサはそこで一旦区切る。 「悪戯しちゃうよ」  いつもちょっかいを出されるのはルナサの方だ。だからこれは仕返し、そんな理由をルナサはでっちあげる。 「ほら、ミスティア、いいんだね」  ミスティアはルナサの腕の中で寝息を立て続ける。  ルナサは止まらなくなっていた。ミスティアのそこはどんな味がするんだろう、と。  ルナサとミスティアの顔が近づいていく。ルナサはミスティアの体を抱きしめなおして、お互いの顔を近づけていく。そうしてルナサがミスティアの寝息を自分の唇で感じるくらいまで近づけたときだった。  後、十分の一秒後だったら、二人の唇は完全に接触していたに違いない。  ミスティアの目が見開いていた。その目は驚きに染められている。  ミスティアは起きていた。実際途中までは寝ていたのだけれど、名前を呼ばれたときに目を覚ましたのだ。  だからルナサの悪戯宣言も聞いていた。だけれど、こんなに顔を近づけてくるような悪戯をしてくるとは思っていなくて、直前で目を開けてしまった。  ルナサはルナサでミスティアと目が合って、どうしたら良いか分からず顔を極近距離に近接させたまま止まってしまった。  だが抱きしめ合って、見詰め合う二人の間には磁力が働き出す。 「ねえ、ミスティア……」 「先輩……」  二人は熱に浮かされた表情でお互いの名前を呼び、ミスティアは目を閉じる。  ルナサはそのまま……  部屋にけたたましい内線のベルの音が鳴り響く。  二人は飛び上がる。  時計を見ると後五分で、ちょうど一時間だった。 「え、えっと……」 「で、出ましょうか、先輩」 「そうだね」  割り勘で会計という事務的な話以外何の話もできずに、二人はカラオケボックスから外に出た。  二人は無言で歩く。  ルナサは言い訳をするきっかけを逃していた。悪戯だと、と一言言えればそれで終わりのはずだったのに。  ミスティアも言い訳をするきっかけを逃していた。最後に目を閉じて、ルナサを促したのには言い訳ができなかった。  そして二人は黙って歩く。  だが酒を飲みなれないミスティアに変化があった。  足をもつれさせてしまったのだ。 「きゃっ」 「とっ、大丈夫?」 「はい……」  ミスティアは再びルナサの腕の中。ミスティアはルナサを見上げて、ルナサはミスティアを抱き止めている手を離すことができなかった。  そして二人の傍には看板が置いてある。   ご宿泊 ○○○○円   ご休憩 ××××円 「わ、きゃっ。いや、先輩、わざとじゃないんですよ。ほ、本当に偶然で」 「あ、うん、そうだよね」 「は、はい……」  また無言になってしまう。  ミスティアは完全にパニックになっていた。  きゃぁ、どうしょう、まさか誘ってるだなんて勘違いされていないわよね。でも先輩となら……いや、だめよミスティア、先輩とはただの先輩後輩の間柄、そんな関係で……いや、ここでステップアップ……。いやぁ、無理ぃ。  ルナサも十分パニックだった。  本当は誘ってたりするのかしら。いやあ、でもミスティアは後輩、傷をつけるわけには。でも、頬を赤らめて可愛いし。いや、でも付き合ってもいないのに……。じゃ、付き合ってって言えばいいのかしら? 「付き合って……」無意識の呟きだった。ルナサは口に出すつもりは全くなかったのだ。だがその呪文は唱えられてしまった。  ミスティアは体を強張らせる。頭の中で夢想しないでもなかった一言が先輩の口の中から出てきたのだ。 「あ、あの……」ルナサは何とか言い繕おうとするが、二の句が継げない。  ミスティアは俯いて、ルナサに表情を見せない。 「ご、ごめんなさい。帰りましょう」  ルナサはミスティアを抱いていた手をほどいて、駅の方向に歩き出そうとして失敗した。  ルナサの袖をミスティアが掴んでいた。ミスティアは俯いたまま、震える声で「先輩……」と呟く。  ルナサはそのミスティアの意図を受け取ってしばらく動けなかった。だが袖を掴む手を握って囁く。 「いいの?」  ミスティアは相変わらず俯いたままだったが、ルナサにもはっきり分かるように頷いた。  ルナサはミスティアの手を握り一歩踏み出した。二人はけばけばしい門を手を取り合って潜った。  そのホテルの二人が入った部屋は、多少雑多なものが多いビジネスホテルのようであった。  その部屋にたどり着くまで二人は手をつないだままだった。途中で人の目があったら二人とも逃げ出したかもしれないが、運よく誰にも会わずに部屋までたどり着くことができた。  ベッドに二人で並んで座っても、二人は手をつないでいた。  二人はどこから切り出したらいいのか分からず黙ってしまう。  繋いだままの手が焦りで汗ばんでくる。 「あ、ああ、そう、ミスティアごめん、家に電話するの忘れてたよ」ルナサは間をもたせたくて携帯電話を取り出す。  ルナサは携帯を取り出して妹たちに、今日は急な仕事で泊まるという嘘をついてしまう。  そしてその電話の時間を利用して二人ともその時間で自分の気持ちを整理する。二人とも自分の気持ちをはっきり認識していた。後は口に出すだけだった。 「うん、うん、それじゃ、おやすみ」  ルナサが切断ボタンを押して、妹達との繋がりを断ち切ってしまう。ただルナサは携帯の電源までは切らなかった。  再びミスティアの隣に腰掛けるルナサ。ルナサの気持ちは定まっていた。だが先に口を開いたのはミスティアの方だった。 「あ、あの……」 「ん、何かしら?」 「その……あのカラオケでルナサ先輩……」 「ストップ」  ルナサはミスティアの唇に付くくらい人差し指を近づけてミスティアの発言を制してしまう。 「いい、ミスティア。あの時、その、しようとしてたのは私なんだから私に言わせて頂戴」  ミスティアに人差し指を突きつけたままルナサがそう言うと、ミスティアは頷いてルナサに従って言葉を待つ。  ルナサはミスティアの期待を込めた視線をまっすぐに向けてくるのに耐えられず、顔を背けてしまいそうな自分を抑えて、しっかりとミスティアを見詰め合う。  ルナサは一度だけ深呼吸をして、まずはミスティアに謝る。 「そのカラオケでミスティアが寝てるときに……、勝手にキスをしようとしたことはごめん。  その目の前にミスティアの顔があってミスティアがあまりに可愛くて、どきどきが止まらなくて」  ルナサのストレートな誉め言葉に、ミスティアは紅潮してしまい、ルナサはそれをまた可愛いと思ってしまう。 「でも、やっぱり意識がないところでこっそりだなんてやっぱり卑怯だから。  だからミスティア、その……キスしていいかい?」  ルナサはいつも以上に真面目な顔でミスティアに問いかける。  ミスティアはいろいろ言いたいことはあった。あの時自分が起きていたこと、ルナサにキスをされるのを期待していたこと、本当にそうなりそうで焦って目を開けてしまったこと。  いろいろ言おうとしていたけれど、全部どうでも良くなってしまった。  ミスティアは小さく、鈴のような声でルナサに肯定の言葉を伝えた。  ルナサはミスティアの肩を掴んで、お互いに向かい合う。ミスティアは目を瞑って、ルナサに全てを委ねた。  カラオケボックスの時の再現だった。だんだんとお互いの距離が近づいてくる。  違うのは合意の上であるのと、ミスティアが起きているのをルナサが知っていること。  ミスティアの手にルナサが指を絡めてくる。ミスティアもルナサの柔らかい手を握り返す。  そして後、1センチだろうと言うところで、ルナサが囁いた。 「ミスティア好きだよ」  ルナサの出し抜けの一言にミスティアが目を見開いたところに、ルナサが唇を重ねてきた。  ルナサの顔が不敵に笑っていた気がしたが、ミスティアにとってはどうでも良かった。ミスティアはルナサにキスされたまま押し倒された。  ルナサはミスティアの頭を抱えるように抱きしめて、ミスティアと唇を貪り合う。ミスティアはルナサのキスに応えるだけで一杯一杯で、ルナサの服を握り締めてルナサの口撃に耐え忍ぶ。  ルナサがミスティアとのキスを終えた頃にはミスティアの口の周りは、お互いの唾液まみれになっていて、ルナサはそれを、枕元のティッシュでふき取りながら、ミスティアに尋ねる。 「どうだったかしら、ミスティア?」 「その……ルナサ先輩、凄過ぎです……」 「そう? 初めてだったから自信なかったんだけれどミスティアに喜んでもらえたなら良かったかな」  ミスティアの顔に笑顔が拡がった。 「ルナサ先輩も初めてだったんですか?」 「そうだよ。おかしい?」 「いえ、そうじゃなくて……、てっきりルナサ先輩みたいな素敵な人だったら……って思ってたので」 「少し前まで妹達の面倒を見るので精一杯でそんな余裕もなくてね。それに私もミスティアの初めての人になれて良かったよ」 「ルナサ先輩……」 「ミスティア」  お互いの名前を呼び合って再びキスをする。 「恥ずかしいですね……」 「そうだね」  二人はお互いの服を一枚一枚脱がせあう。ルナサのブラウスのボタンを外そうとするミスティアの手が震えているのでルナサはキスでミスティアを落ち着かせる。  お互いに下着だけになったところで、ルナサはミスティアの肢体を舐めるように眺める。その視線にミスティアは帽子で胸を隠してしまう。 「隠さないで見せてくれないかな」 「でも……私幼児体形で恥ずかしいですし……」 「それを言ったら私も、妹より貧相な体でコンプレックスなんだけれど」 「ルナサ先輩は貧相なんかじゃないです、すごい綺麗です」  ミスティアの擁護にルナサは微笑む。 「ありがとう、ミスティア。ミスティアだって幼児体形なんかじゃなくて可愛いわ。食べてしまいたいくらい」  そのままルナサはミスティアを抱きしめる。  二人の素肌が直接触れ合う。 「ミスティアの肌さらさらね」 「ルナサ先輩も……」 「そう? でもミスティア、まだ下着が邪魔ね」そう言うとルナサはミスティアを抱きしめている手でブラのホックを外してしまう。そしてミスティアのショーツに手をかけてするすると脱がせてしまう。 「ル、ルナサ先輩……」  含羞の余り身動きの取れないミスティアに見られながらルナサは自分で下着を脱いでいく。 「や、やっぱり恥ずかしいね、ミスティアに見られていると」  ルナサははにかみながらも下着を床に投げ捨ててしまう。  二人はベッドの上で、差し向かいに座る。  かちかちに緊張しているミスティアに対して、ルナサは外見上は平然としていた。ただ内心ではかなり動転していたが、ミスティアのいる手前そう振舞っていた。  ルナサはミスティアの方に乗り出して、ミスティアの髪に指を差し込んでミスティアの髪を梳く。  ミスティアの目の前にルナサの胸が突き出される形になって、ミスティアは理性的な思考ができなくなってくる。  憧れの先輩に髪を梳かれていて、その先輩の胸が目の前に突き出されている。  今までミスティアはルナサを思って自慰に耽ることがあった。いつもルナサの胸に小鳥のようについばむ光景を夢想していたのだ。その胸が目の前にある。  ミスティアは自分の夢想通りルナサの胸に吸い付いてしまう。 「んっ、ミスティアったら……」  ルナサは胸に顔を埋めてくるミスティアの頭を抱きしめて、髪を梳き続ける。髪を梳くだけでなく、髪を手にとって口付けをしたりして、胸はミスティアが吸うのに任せていた。  ミスティアにとって、ルナサの胸は陶然とさせてくれるものだった。  ルナサの乳首を赤子のように吸っていると、頭上からわずかにルナサの吐息が乱れるのが聞こえる。  それが嬉しくてミスティアはルナサの胸を更に吸う。空いた胸の方は手でその感触を味わう。  ルナサの乳首を指の腹で弄ぶ毎にルナサは切なそうな吐息と共にだんだんと乳首を際立たせてくる。それにミスティアは更に吸い付く。 「可愛いわね……」  いやらしい吸い方をしてくるミスティアの頭を撫でる。ルナサはミスティアが愛おしかった。一生懸命吸い付いて、自分に快楽を与えようとしてくるミスティアに、ルナサは背中からお尻にかけて撫でることで応える。  ミスティアの小さな背中と小ぶりなお尻の触感をルナサは味わう。特にお尻を軽く揉んだ時にミスティアが体を震わせたときはルナサの中で何かが目覚めそうになった。  ルナサはミスティアが抱きしめながらミスティアのお尻を揉み続ける。ルナサからはミスティアの表情は良くは見えなかったが嫌がっている素振りも見せないため、ゆっくりとミスティアの太ももの間に指を滑らせて行く。  ミスティアは何か言おうとしたが、ルナサはミスティアを胸に強く抱きしめて何も言わせない。  ルナサの指先がわずかな湿り気を感じ取る。 「ミスティア、これは何かしら? 少し……」 「んっ、そ、それは……」ミスティアはルナサの胸から顔を出すが、言うべき言葉が見つからない。  ルナサはミスティアの秘所を軽く指でなぞりながら、そこの様子をミスティアに囁いていく。 「最初より湿ってきてるんじゃない。ほら私が指を動かすたびに、ミスティアのここ……」  ルナサの指先には、ルナサの言うとおりまとわりつく粘液の量が増えてくる。  ミスティアはルナサに秘所を弄られて、徐々に吐息が荒くなってくる。そんなミスティアを見てルナサはもっとミスティアにしたくなってくる。 「ミスティア……だんだん熱くなってきてるわ。それにこんなに私の指をぬるぬるにしちゃって」 「だ、だって……」 「だって?」 「ルナサ先輩に触られるなんて、ついさっきまで考えてなくて……夢みたいで。  それでルナサ先輩が優しくしてくるから……」  ルナサは限界だった。胸元からミスティアが上目遣いでそんなことを言って来るのだ。 「ミスティア……、愛してるわ」ルナサはそう言ってミスティアを抱きしめると、ミスティアの秘所を弄っている指をミスティアの秘所に軽く差し込んでかき回し始めた。 「んっ、あ、ル、ルナサ先輩……」 「ミスティアが可愛いから、私我慢できそうにないわ」 「んっ、嬉しい……」  それでも健気に受け入れるミスティアにルナサは胸が熱くなるのを感じた。 「ミスティアのここで私の指こんなに濡れちゃうわよ」 「ふぁ、ふぁい……」  ミスティアは涙が止まらなくなっていた。もちろん悲しいからではない。ルナサに秘所を掻き回されるたびに体が勝手に痺れてきて涙が止まらない。 「ねえ、ミスティア、気持ちいい?」 「はい、ルナサ先輩の指……私の気持ちいいところばっかり、すごく……」 「そうよね、ミスティアこんないやらしい顔になってるもの……」  ルナサはミスティアの頭を抱きしめてキスをする。その間もミスティアの秘所を愛撫する。 「ふぁぁ……」  キスを止めると……ミスティアの唇から唾液が重力に従って、シーツを汚す。  ベッドにへたり込むように座ったミスティアは陶然とした瞳でルナサを見つめてくる。ルナサでなくとも、このミスティアを見て抱きしめたいと思わない者はいない。 「ねえ、ミスティア……気持ちいいわよね?」 「はい、ルナサ先輩」  まだ少し呆けた顔でミスティアは頷く。ミスティアは続きをして欲しくてルナサにしなだれ掛かって来るが、ルナサは手を出さずに抱きしめるに止める。 「ルナサ先輩……もっと……」 「ミスティア、えっちね」  ルナサがミスティアの頬にキスをするとミスティアが子犬のように喜ぶが物足りないのか続きをねだって来る。 「ミスティア、貴方ばっかり気持ちよくなるのはずるいわ」  そう言ってルナサはミスティアに自らの秘所を見せる。そこは一度も触られていないのに既にミスティアと同じくらい濡れそぼっていた。 「ル、ルナサ先輩……」  ミスティアがルナサに圧し掛かってくのに合わせるように、ルナサは股を開いてミスティアを迎え入れた。 「ルナサ先輩の、ここ熱いです……それにこんなに濡れて……」 「ミスティアのも一緒よ」  二人はお互いの秘所を接触させると、いやらしい水音が二人の耳に聞こえてくる。 「ねえ、ミスティア今度は貴方がして。私を気持ちよくさせて、一緒に気持ちよくなりましょう」 「は、はい、ルナサ先輩……」 「そんなにがっつかないの。今日はずっと一緒なんだから」 「はいっ!」  ミスティアがゆっくりと自らの秘所をルナサに押し付ける。ルナサもミスティアの動きに合わせるように動かす。 「ルナサ先輩……」 「ミスティアのここ、いやらしい音だしてるよ」 「それはルナサ先輩の音です……、んっ」  ルナサはミスティアにキスをして、ミスティアの口を塞ぐ。その間もミスティアは腰を動かしている。 「んっ、ミスティア……そこ……」 「こう……ですか?」 「んっ、そう……ミスティア、上手……」 「うれしい」  ルナサはミスティアがしやすいように、自分が感じるようにミスティアを誘導し、ミスティアも一生懸命ルナサを感じさせるように動いていく。  二人の秘所からこぼれ落ちた蜜がシーツに大きなシミを作っていく。ルナサはミスティアの肌に滲む汗を舐め取る。ミスティアは汚いですと言おうと思ったが、ルナサを感じさせるほうに集中することにした。 「ミスティア……んっ、は、激しいわ」 「だ、だって、こうしたほうがルナサ先輩の素敵な顔見られるんですっ」 「んっ、素敵だなんて、貴方の今の我慢している顔の方が素敵よ」 「んっ、や、ルナサ先輩に素敵って言われると、体が熱くなっちゃいます」 「私だってそうよ、貴方に誉められると……感じてしまうわ」 「んっ、あっ、ルナサ先輩……」  ミスティアが一層切なげな声をあげる。その声と表情でルナサはミスティアの限界が近いことを感じ取った。 「わ、私、もう……」 「いいわ、ミスティア……、一緒にいきましょう……」 「はい……ルナサ先輩、ルナサ先輩……」 「ミスティア……大好きよ」 「先輩、せ、先輩、ぁっ、あぁぁぁぁぁぁ……」  ルナサに大好き、と囁かれただけでミスティアは達してしまった。ミスティアは体を震わせてルナサから与えられた快感に包まれる。  ルナサもそんなミスティアの体の震えでゆっくりと達していった。 「ルナナさんっ」 「ミスティア、もうそろそろ……」 「いやですー」  ミスティアは小鳥のようにルナサの体に吸い付いていく。  二人は安い布団に包まって、ルナサがミスティアを抱きしめている。  その腕の中でミスティアはルナサの至る所にキスをしている。それが既に小一時間である。  ルナサはそろそろ眠くなってきていたが、意識を夢に奪われそうになるとミスティアのキスで目が覚めてしまう。  かと言ってルナサもミスティアを怒るつもりは全くない。  こんな可愛い後輩なのだから。 「ミスティア」 「はい?」ミスティアはルナサの首筋に吸い付きながら返事をする。 「大好きよ」 「はい!」  八雲プロデューサーの腕時計は12時55分を指している。広告代理店の営業は既に到着していて、藍に応対させている。  携帯を何度もコールするが二人とも繋がらず、さっきから事務所のフロアを歩き回って何周もしていた。  ギリギリにならないと来ないミスティアはともかく、いつも遅くても15分前には来ているルナサが来ないことが八雲プロデューサーには気がかりだった。そして更に嫌な予感をさせるのは、プリズムリバー家に電話して「仕事で泊まりじゃなかったんですか?」と返されたことだった。「そうだったわ、忘れていましたわ、ほほほ」と返して切ってしまったが……。  八雲プロデューサーの溜息の回数は二桁を優に突破した。 「お、遅くなりましたっ」  事務所に飛び込んできた二人の姿を見て、八雲プロデューサーは頭を抱える。  最悪の予想通り、二人は昨日と同じ服で、ルナサにいたっては首元に数え切れないほどのキスマークが見えていた。  それでも手を繋いでいる二人の姿を見ると、なんとなく怒る気勢が削がれてしまうのであった。 ################################ 「こんな感じ」 「ねえ、メルラン姉さん」 「何?」 「今度のコンサートの打ち合わせ、ミスティアも一緒だったよね?」 「そうね」 「直視できなそう」 「私もよ」 「ミスティアと一緒にご飯食べてると、ミスティアってよくスープとか跳ねさせちゃうじゃない」 「よくやるわね」 「で、いつもルナサ姉さんが『仕方ないわね』って拭いてあげてるわよね」 「で、ミスティアも満面の笑みで『ありがとう、ルナサ』って言うのよ……。  その……、リリカいいかしら?」 「何、メルラン姉さん」 「姉さんは私たちのものよね」 「そうね、私が間違っていた」 「私たちのルナサ姉さんに」 「乾杯」「乾杯」  そしてまた酒瓶をラッパ飲みで空けたリリカは妄想を語りだす。 ++++++++++++++++++++++++++++++++    ルナサ・プリズムリバー アイドル帰郷編 ++++++++++++++++++++++++++++++++  ルナサ・プリズムリバーの初コンサートは大成功だった。 「お疲れ様! ルナサ良かったわよっ」  冷静沈着な八雲プロデューサーも今日はテンションが高い。 「は、はい……」  控え室に戻ってくるなりルナサは床にへたり込んでしまう。 「大丈夫?」 「だ、大丈夫です……、ちょっと疲れただけで」  ルナサの顔は紅潮して、額には汗が何筋も流れている。八雲プロデューサーはルナサにスポーツドリンクを手渡し飲ませる。 「本当に大丈夫? 無理なら病院に……」 「大丈夫ですっ」 「あ、あぁ、そう。それならいいのだけれど……」  ルナサの珍しく強い剣幕に一瞬ひるんでしまう八雲プロデューサーだが、コンサート後で気が昂ぶっているのかと自分を納得させる。 「姉さん、お疲れ様」「ルナサ姉さん、すごい良かったよ」  控え室に入ってくるのはルナサの妹達。二人は一般席から見ていて、終わってすぐに控え室に来たのだった。 「あ、メルランちゃんにリリカちゃん」 「八雲さん、お疲れ様ですっ」「お姉ちゃんがお世話になってますっ」  元気な二人に八雲プロデューサーの頬が緩む。 「妹さん達も満足だったみたいね、どうしようかしら、打ち上げはいけそう?」 「姉さん、疲れてるの?」「大丈夫?」  二人はルナサの肩を持つ。 「無理なら今日はスタッフだけでやって、後日改めて打ち上げするけど……」  ルナサは悩む素振りも見せずに答える。 「んっ、そう、ですね。そうさせてもらいますか?」 「そうするわ、ルナサ本当に疲れているみたいだし。メルランちゃん、リリカちゃん、ルナサをよろしくね、タクシー呼んでくるから。ルナサの体調がまずそうだったら、私に電話するなり病院に連れて行くなりしてもらえるかしら」 「はいっ」「分かりましたー」 「それじゃ、ちょっと後始末があるから。タクシーを呼んでおくからね。  反省会は明日、時間指定はないから適当な時間に事務所に来て頂戴。今日は本当に良かったわよ、お疲れ様」  八雲プロデューサーはルナサの頭を撫でると、控え室から出て行った。 「姉さん、八雲さんの言うとおり今日のコンサートは本当に良かったわよ」 「そうそう、私もどきどきしちゃって……、ルナサ姉さんもそうでしょ」  無邪気な笑顔でメルランとリリカはルナサに話しかける。そしてルナサはリリカの問いには俯いたまま頷くだけだった。 「さあ、ルナサ姉さん」 「着替える時間も惜しいから」  メルランはルナサにコンサート衣装の上にコートを着せる。  扉を叩く音が聞こえる。 「ルナサさん、タクシーが来てるみたいですよ」スタッフの声が扉越しに聞こえてくる。 「はーい、今行きますー」メルランが元気良く返事する。 「さあ、ルナサ姉さん、一緒に帰りましょう。私たちの家に」 「うん……」 「ねえ、その子、大丈夫? 体調悪そうだけど」 「大丈夫ですよ、そんなに大したことはないって本人が言ってるので」 「でもできるだけ早く家に帰りたいんで飛ばしてもらえますか」 「はは、捕まらない程度に飛ばさせてもらうよ」  タクシーの運転手にも心配されたが、三人は30分ほど掛けて家に辿り着く。  その家は以前住んでいた長屋のようなアパートとは雲泥の差のあるマンションであった。  メルランとリリカはルナサを両側から支えるようにして、エレベーターに乗せる。  そしてルナサは「我が家」に辿り着くと、リビングで再びへたり込んだ。  だがメルランはソファに座り、リリカは絨毯に胡坐をかいて、ルナサを起こす素振りも見せない。  ルナサはコンサートから一時間以上経っているというのに、未だに息を荒げて、顔も赤らめたままだった。 「ねえ、姉さん、お疲れのところ悪いんだけど、姉さんのコンサート衣装ちゃんと見たいな」 「そうそう、ちゃっかり着てきちゃったし、明日には返さないといけないんだし、私たちの席後のほうでルナサ姉さんの格好ちゃんと見えなかったんだよね」 「……、はい……」  うな垂れていたルナサは硬い表情のまま、傍にあった椅子に手を突いてなんとか立ち上がる。  座り込んでいたためフリルは多少皺になっていたが、その黒いミニスカートはルナサの太ももを半分程度は隠していた。上半身も余りルナサの身体を隠しておらず、ノースリーブでルナサの腋は隠されていない。胸元は比較的露出していないが、背中はほとんど全て見ることができてしまう衣装である。 「うーん、遠くからだと分からなかったけど、ルナサ姉さんの美脚をこんなに見せるなんてもったいないよね」 「でも、仕方ないんじゃないかな。私だって見たいもの」 「そうだね、おかげでこうして見れるんだものね」  メルランとリリカはルナサの衣装についてああだこうだと論を戦わせている。  ルナサは辛そうに立ったままだった。 「ねえ、もう着替えてもいい?」 「駄目よ、姉さん、もったいない」  ルナサが搾り出すような声での訴えは、メルランの短い一言で却下されてしまう。 「それにー」リリカが愉しそうに言う。 「ルナサ姉さんも満更じゃじゃないんじゃないの、ふふっ」  リリカの視線の先にはルナサの太ももがある。 「そうねえ。違うの、姉さん?」  メルランも煽る。メルランの視線もルナサの太ももに突き刺さる。  ルナサはその視線に耐えるようにスカートを握り締める。  だが、そのルナサの太ももは濡れていた。汗は確かにかいているが、濡れているのは内股がメインで、外側は汗で軽く湿っているだけだ。 「姉さん、どうしてそんなに太もも濡らしちゃってるのかしら?」 「そうそう、ルナサ姉さん、どうして?」  二人の追及にルナサは答えることができずに立ちすくんでいる。 「言えないみたいね」 「そうみたいだね」  メルランとリリカは顔を合わせて嘲笑う。 「ねえ、ルナサ姉さん。じゃ、言わなくていいから」 「見せてくれないかな、その原因を」  二人の要望に、ルナサは体を震わせる。 「嫌……」  ルナサは細い声で拒否をするが、リリカとメルランの余裕の表情は消えない。 「リリカ、だってさ」 「残念。期待してるのかな、もしかしてルナサ姉さんは」 「そうね、それじゃ、期待に応えようかしら」  メルランはポケットから小さな機械を取り出す。それは小さなスイッチらしきものが二つ付いているだけの簡単なものだった。 「じゃ、姉さんのご期待通り」 「メルラン違っ……」その機械を見てルナサは小さな叫び声を上げる。  ルナサはメルランに手を伸ばすが、その瞬間部屋に異音が鳴り響く。 「ひゃっ、メ、メルラン……、や、止めてっ」  その異音はルナサからしてくる。何かが鈍く振動するような音。その異音はルナサのスカートの中から響いていた。  実際には、コンサート中からその音はずっと響いていた。だが大音響のコンサート中を除いて、その音は静かなものであった。  そしてその音に共鳴するようにルナサは体を震わせる。 「ねえ、姉さん、『見せてもらる?』」 「メ、メルラン……、や、止めてぇ……」 「リリカ、ルナサ姉さんはもっとして欲しいらしいよ」 「そうみたい、さすがルナサ姉さんだね」 「リ、リリカっ、ふぁ、あぁっ」  リリカがポケットの中で何かを動かすとルナサのスカートの中から響く異音が二つになる。  ルナサは椅子の背もたれを握り締めて立っているのがやっとの状態であった。  ルナサは息を荒げて、ルナサの太ももはまるで漏らしたかのように内股を液体で光らせていた。 「はいはい、ルナサ姉さん、止めて欲しいなら『見せてくれないとね』」 「わ、分かったわっ、リリカ、メルラン。見せるから、見せるからやめてっ」 「ルナサ姉さん、早くー」 「くっ」  二人はルナサが見せない限り、これを止めるつもりがないと分かったルナサは、椅子の背もたれから手を離してなんとか立つ。そしてスカートの裾を両手で掴む。 「姉さん……まだ」 「見せたら、本当に止めるのよ……」そう言って、ルナサは自らのミニスカートをゆっくりと持ち上げる。  そして露わになる黒いショーツ。黒いスカートに合わせて、ルナサは黒いショーツを穿いていた。  だがそれだけではなかった。異質なものが二つショーツに取り付けられていた。  それぞれが同じ筒状の構造をしていてケーブルが延びていた。そのケーブルは二本ともルナサのショーツの中に吸い込まれていた。 「み、見せたわよ……」 「どう、メルラン姉さん、見える?」 「見えないわね。確かにルナサ姉さんがいやらしくショーツをぐしょぐしょに濡らしているのは見えるけど、『どうして』そうなっているのかは見えないわね」 「ルナサ姉さん、だってさ」 「メルランっ、リリカっ」  ルナサは涙交じりの声で妹の名前を呼ぶが、妹達の顔から笑みが消えることはない。 「どうするの、姉さん。このまま一日過ごす?」 「ほ、本当に止めるのよっ、見せるからっ」 「うんうん、分かったから早く」  ルナサはスカートを左手でたくし上げたまま、右手をショーツに掛ける。  さすがにメルランもリリカも息を飲んで見つめている。  ルナサがゆっくりとショーツを下ろしていくと、筒状の装置も一緒に下がっていくがケーブルに遊びがあるためケーブルの先は変わらない。  ルナサは顔を真っ赤にしてショーツを太ももの途中まで下ろす。 「ルナサ姉さん、いやらしい……」 「本当ね」  メルランとリリカの発言は貶めるものではなく賞賛のつもりだった。ルナサがどう受け取ったのかはともかく。  装置のケーブルは一本はルナサの膣内に、もう一本は二人からは位置的に見えないが、ルナサの肛門に伸びていた。  そしてルナサの女性器からは愛液が止まることを知らずに、太ももを濡らすように湧き出ていた。 「そんなの入れたままコンサートしちゃうなんて、姉さんはアイドルの鏡だよね」 「本当。姉さん、歌いながらあんな顔しちゃってたもの。ステージの上で感じてただなんてお客さんが知ったら多分襲われちゃったんじゃない」 「これは……、貴方たちが……。  それに……、見せたじゃない。ほ、ほらっ、メルラン、リリカっ。だから早くコレをとめてっ」 「あ、うん、見とれちゃってた、ごめんね、姉さん」 「そうそう、ルナサ姉さんがすごく綺麗だから」  二人は本当に見とれていた。羞恥に染まった姉の顔に。 「それじゃ、リリカ」 「うん、姉さん」  メルランとリリカの指は……、スイッチを最大にした。 「きゃ、ひゃ、あぁ……」  もう限界が近かったルナサにとってはそれが止めだった。  ルナサはか細い嬌声を上げて、立ったまま体を絶頂に委ねてしまった。体を震わせながら床に座り込んでしまう。  愛液を吹き散らしながら、ルナサの膣内で暴れていたその機械が重い音を立てて床に落ちる。  メルランは自分の手元にあるスイッチを今度こそ本当に切る。床で異音と共に跳ね回っていたその機械は落ち着きを取り戻す。  だが、ルナサの直腸内ではもう一つの機械が蠢いたままだった。  メルランがリリカに目配せすると、リリカは手元のスイッチを切り、ルナサの腸内のそれもようやく動きを止めた。  ルナサはだらしない表情のまま座り込んでいた。  メルランが足腰に力が入らないルナサを背負ってバスルームに連れて行き、シャワーを浴びせる。適温で汚れた下半身を中心に優しく洗っていく。だがルナサのアナルにはまだその機械が入ったままだった。  そして十分ほどするとリリカも全裸でバスルームに入ってくる。リリカはメルランが愛液で汚したリビングの床の掃除をしていた。  シャワーを浴びてようやく意識がはっきりしたのかルナサは妹達を睨み付けるが、どこか遠慮があった。  そもそもこんな関係になったのはルナサが原因だった。  女所帯であるプリズムリバー家で、狭い長屋に住んでいた頃、お互いのオナニーを目撃してしまうことは一度や二度ではなかった。だがそれでもお互いにそれをなかったことにするくらいの常識は弁えていたはずだった。  だがルナサがアイドルとして働き始めた頃から歯車が狂い始めた。  ルナサへの事務所の期待は大きなものだった。そしてそれはルナサにとって重圧であった。  ルナサはそれをオナニーで発散させていた。メルランもリリカもそのルナサの激しくなっていくオナニーを見てしまったことは一度や二度ではなかった。  だがお互いにスルーしておけば、良いだけであった。  だが、ある日破局が訪れた。  朝起きてこないルナサを置いてリリカとメルランが買い物に出かけた。元は早起きであったルナサも疲れもあるのか、その日は昼前になってもまだ寝ていたのだ。  妹達はルナサを慮ってそのまま寝かせておいて日用品の買出しに行って来た。  そして二人は聞いてしまった。見てしまった。  ルナサは余程オナニーに没頭していたのか、二人には全く気づいていなかったのだ。  そして直前までルナサも静かにオナニーをしていたため、メルランとリリカはそれに気づくことができなかった。 「メルラン見て、私のいやらしいオナニー見て。ほら私のここ、こんなにメルランを思ってこんなに濡れてるの。リリカも触っていいのよ、ほら私のここ、リリカを待ってこんなになってるのっ」  ルナサの指は膣と肛門をかき回していた。しかも妹達の名前を呼びながらである。  メルランとリリカは立ち竦んでしまった。優しい姉のここまでの狂態は始めて見たのだ。  リリカは手に持っていたペットボトルを、汗ばんだ手から取り落としてしまった。その音でその場にいた全員の時間が止まった。 「メルラン、リリカっ見ないでっ」ルナサは確かにそう言った。  だがリリカには見えた。ルナサの体が自分を求めて蠢いているのを。  リリカは壁が床に見えて、窓が天窓に見えるほど視界が歪むのも構わず、ルナサの元に近づく。  二人の姉がいろいろ言っていたがリリカの耳には届かなかった。リリカはルナサの傍でしゃがむ。  相変わらずルナサは何かを言ってるが、リリカには関係なかった。 「ねえ、ルナサ姉さん、手伝ってあげる」リリカはそれだけ言ってルナサの手を取った。そして姉の指を姉の膣の中に差し込んでいった。  ルナサは抵抗せずに妹にされるがままであった。 「ルナサ姉さん、気持ちいい?」 「んっ、あ、んっ、リリカ……、気持ちいい……」 「本当にルナサ姉さん、気持ちよさそう……。  ねえ、メルラン姉さんも、ルナサ姉さんを手伝ってあげない?」  メルランがルナサに近づいてくる時の嬉しそうなルナサの表情は、リリカの記憶にはっきりと刻み込まれた。  そしてルナサは妹達の手で何度も絶頂かされた。  泣いても泣いても絶頂かされた。  そして歪んだ姉妹愛はずっと続いている。  メルランもリリカもルナサを大切に思っているし、逆もまた同じである。メルランとリリカの仲も良い。  ただ世間一般とは違う関係を持っているだけだ。  三人でも余裕で体を洗えるほどのバスルームでルナサは妹達に見られていた。 「ねえ、ルナサ姉さん……お尻のそれ……手を使わないで出してくれない?」 「無理よ……」 「コンサート中ずっと出さなかったくらいだものね。でもそのままだとルナサ姉さんの体に悪いわ」  リリカはメルランに目配せしてボディソープを手に取る。 「ほら、これで少しルナサ姉さんのお尻、滑らかにしてあげるわ」 「う、うん……」  ルナサは拒否しない。リリカは右手にボディソープをたっぷりと塗りつける。 「ほら、姉さん、四つんばいになって」リリカの命令通り、ルナサは四つんばいになる。  ルナサが動くたびにルナサの肛門から伸びたケーブルの先の機械が床に当たって音を立てる。  リリカはそのケーブルに沿って指をルナサの肛門に近づけていく。  ルナサのケーブルを飲み込んだままの肛門にリリカの指が接する。ルナサは少し顔を歪ませる。  リリカはボディソープをルナサの肛門に外からなじませていく。その度にルナサは切なそうな顔で、そのリリカの指使いに耐える 「ルナサ姉さん……どう?」  リリカはケーブルを引っ張り、ルナサの肛門からその機械を取り出そうとする。だがルナサは苦悶の表情を浮かべてしまう。 「駄目……そうだね」そう言いながらリリカは嬉しそうな表情を浮かべる。 「それじゃ、中にも塗りこまないとね」 「いいから」ルナサがそういうのにも関わらず、リリカはケーブルに沿って、つまりルナサの肛門の中心に人差し指を押し当てる。 「力抜いてね、ルナサ姉さん」  ルナサは諦めたのか、括約筋が緩むのがリリカには見えた。 「ルナサ姉さんの中ー♪」  リリカの指がわずかな抵抗の後、ルナサの肛門の中に吸い込まれていった。 「んっ、リリカのが……」  ルナサの表情は甘い表情であった。妹の指が肛門に入ってきたというのに、まるで抱きしめあってじゃれあっているかのような、そして同時に卑猥なルナサにしかできない表情だった。  リリカはルナサの肛内でゆっくりと人差し指を動かして、ルナサの肛門をほぐしていく。そして一緒にボディソープを流し込んでいく。  その冷たい感触にルナサは体を震わせる。 「まだ足りなそうだから指を増やすね」  リリカは一方的に宣言して、人差し指と中指の二本をルナサの腸内に進入させてかき回す。  さすがに苦しいのかルナサの顔が歪むが、甘い感覚に蕩けるような表情を浮かべる。 「どう、ルナサ姉さん、妹の指の味は……」 「く、苦しい……わよ」 「その割りに嫌そうな顔はしてないよね」 「機械を抜くために仕方なくなんだよね。だから仕方なくルナサ姉さんのお尻を弄ってあげる」  ルナサの直腸が更に一本増えた、リリカの三本の指でかき混ぜられる。 「リ、リリカぁ……」 「どうしたの、ルナサ姉さん。そんな気持ちよさそうな声出して」  リリカはそう言いながらもルナサの腸を指でかき回すのを止めない。  リリカに直腸を掻き回されるたびにルナサは子宮が疼いてしまう。ルナサの太ももは再び愛液を垂らしていた。 「ふぁぁ……」 「ルナサ姉さん……本当に気持ちよさそう……」 「う、うん……、リリカ……お尻気持ちいい……」 「そうだね、ルナサ姉さんのお尻ぱくぱくいって……もう大丈夫かな。ねえ、ルナサ姉さん……大丈夫?」 「大丈夫……リリカのでお尻広がったから……」 「そう、それじゃ、私の前で、ルナサ姉さん。お尻で出産してみて」 「うん、リリカ……。私お尻から出すから見ててね……」  ルナサが力む。  リリカも思わず息を止めてしまう。  ルナサの肛門が押し広げられて、ケーブルの付いたその機械が姿を現し始める。 「わあ、ルナサ姉さんのお尻、盛り上がってもうすぐ生まれそうだよ」 「リリカ……出ちゃう……お尻から出しちゃうっっっ」  浴室に硬い音が響くとルナサはバスルームの床に崩れ落ちてしまう。ルナサは息も絶え絶えになっていたが、その表情は恍惚の表情だった。 「ルナサ姉さん、お尻で出産成功だよ。それにしても、ルナサ姉さんのお尻ぽっかり広がって……」 「ねえ、二人とも私のことを忘れてないかしら」 「メルラン……」 「メルラン姉さん……、忘れてたよ」 「リリカー、ひどいわ。でも次は私の番よね」  そういうメルランの手には、どこから取り出したのか長い棒状の物があった。世に言う双頭バイブという物である。 「姉さんのお尻、そんなにぽっかり空いちゃって私を誘ってるのよね」 「メルラン、ち、違うわ……」 「私が準備したのに……」不満げなリリカを他所に、メルランは自らの膣に双頭バイブを飲み込ませていく。 「ほら、いいでしょ、次はリリカに任せるから」 「はいはい」 「姉さん……ほら……」  メルランの膣から突き出た双頭バイブにルナサは唾を飲みこむ。 「姉さんのお尻に入れるから……」 「うん、メルラン……入れて……私の出産したばかりのお尻にメルランの入れて……」  その姉の一言でメルランのスイッチが撃鉄の様な音を立てて入った。 「姉さんのお尻……」 「ふぁ、ふぁぁ……メルランので拡がっちゃう、ひぃ、お尻広がっちゃうっ!」 「いいなぁ」  リリカは指を銜えて、姉同士の交わりを見ている。  メルランが腰を動かすたびに、アナルを犯されているルナサが獣の様な声を上げている。  そこに混じれない自分が口惜しい。  ルナサと目が合った。その目はリリカを求めていた。それがリリカを突き動かした。  リリカも双頭バイブを持ち出す。それはメルランが使っているものより小振りではあった。 「ねえ、姉さんたち、私も混じっていい?」 「リ、リリカ?」 「リリカ……いいの?」  先ほどまであのような狂態を晒していたルナサが、姉の顔でルナサに確認してくる。 「うん、私の……初めては……。姉さん達にあげる」  リリカだけはまだ処女であった。だからこのような場合、メルランだけでルナサを責めることが多かった。けれどリリカも二人と一緒になりたかった。今日のルナサの姿を見てそう思ったのだ。 「そう、リリカの初めてをもらえるなんて幸せね……」 「そうね、私も姉さん越しに一緒にもらってあげるよ」  メルランはルナサと繋がったまま自分の上にルナサをまたがらせる。  そしてメルランはルナサの秘所を後から指で広げる。リリカを誘うようにルナサの蜜壷が蠢く。蜂を誘う花のように、ルナサのそこは蜜をたたえている。  そしてルナサはリリカを抱きしめて、抱き寄せる。 「ほら……」  二人の姉に導かれ、リリカはまずゆっくりと双頭バイブをルナサの膣内に挿入していく。ルナサの膣は十分蜜を湛えていて、バイブを抵抗なく飲み込んでいった。  リリカは一旦離れる。ルナサは肛門でメルランと繋がって、膣でリリカと繋がるのを待ち構えている。 「ルナサ姉さん、メルラン姉さん……」 「ほら」「おいで」  二人の姉に優しく手招きされて、リリカはルナサの上にまたがる。そして、ルナサとルナサの背中越しにメルランに抱きしめられながら、自らの膣にバイブを埋め込んでいった。 「…………っ」  リリカは痛みに声を上げそうになるが、二人の姉を見ているとその痛みが和らいでくるのを感じる 「リリカの初めてもらっちゃったわ」 「私もね」 「うん、ルナサ姉さんとメルラン姉さんに初めてあげちゃった……」  三人は抱きしめあう。  リリカが落ち着いた頃を見計らって、メルランが切り出す。 「そろそろ動いていい? 二人が上にいるとさすがに……」 「失礼ね」「失礼だよ」  メルランに言外に重いといわれた二人は憤慨するが、仕方ないことであるのは分かっている。 「じゃ、メルラン姉さん、体勢を変えるよ」 「はいよっ」  メルランとリリカにさせられてルナサも体勢を変えさせられる。  メルランとリリカがそれぞれ床に座って、ルナサはその間にはさまれる体勢になった。 「ほら、ルナサ姉さん、これなら私たち全員動けるでしょ」 「だから、姉さん覚悟してね」 「えっ」  ルナサが返事をし終える前にメルランが動き始めた。ルナサをお尻から激しく突き立てる。  リリカもまだ慣れないのかゆっくりだが、既にルナサの感じるところは知り尽くしていた。ルナサを的確に突き上げていく。  妹達に突き上げられながら、ルナサは妹達に与えられる快感を貪欲に味わっていた。  メルランはアナルを攻めながらも後から、ルナサの胸を揉んでくる。  リリカは秘所をバイブと指で同時に責めてきながら、ルナサの唇を弄ぶ。  ルナサはリリカとメルランの息の合った突き上げに息をするのが精一杯になってくる。  メルランの突き上げが胎内を全て直腸と一緒にかき回すようで、さらにその隙を突いてリリカが拙さもありながらもルナサの子宮を叩いてくる。 「姉さん、気持ちいい?」メルランが背中から聞いてくるが、ルナサは喘ぎ声で返事をするだけ。 「ルナサ姉さんの気持ちよさそうな顔……可愛い」妹に可愛いといわれて抗議したいがルナサは「うん」などと答えてしまって、後で悶えることになる。  そしてそのルナサのいじらしい答えは妹達に油を注ぐ結果になった。 「姉さん……」「ルナサ姉さんっ」  二人が激しくルナサを責め立てる。 「リリカっ、メルランっ」ルナサは妹に甘い声を出してしまう。  それほど二人から与えられる快感に溺れていた。そして姉の甘い声は妹達をも巻き込んでいた。  しっかりした姉のだらしなく自分たちを呼ぶ声がメルランとリリカの子宮を焦がしていた。 「ルナサ姉さん……、私初めてでいくわっ」 「姉さん、私も姉さんのお尻でいっちゃう」 「りりかぁ、めるらんっ……私も、私も……」  三人は一緒に絶頂の声を上げる。その声は和音となって、バスルームに響き渡った。  ルナサがメルランとリリカの背中を洗っている。 「もう、コンサート中のローターは絶対駄目よ」  そうルナサは怒っているが迫力に欠ける。 「でも、姉さん、気持ち良かったんでしょ」 「そうそう、ルナサ姉さん、歌いながらいきそうになってたじゃない。そりゃ、みんなルナサ姉さんに熱狂しちゃうわよ。あんな顔されたらね」 「バカ言わないの」  ルナサは二人に頭からシャワーを浴びせる。 「ぶはっ」「ぶっ」 「もしばれてたらどうするつもりだったの」 「それはつまり……」「バレなきゃOKってこと?」 「ち、違う……」  妹達にニヤニヤとした視線を浴びせられて、ルナサは脱衣所に逃げ出した。 「ちゃんと湯船で百数えてから上がるのよ!」 「今日の姉さん……いや今日の姉さんも」 「可愛かったね」  メルランとリリカは湯船に浸かって姉談義に花を咲かせる。  きっと湯船から上がったら夕食だろう。今日は出前だからすぐに来るし、後片付けも楽だ。つまり時間はたっぷりあるということだった。 「ねえ、次はルナサ姉さんと何をしよう?」 「そうねえ、次はコンサートの衣装を着たまま……」 「さすがメルラン姉さん、そうだよね。明日返す前に……」  笑い声がバスルームに響く。  その笑い声をルナサは、微笑みながら聞いていた。次は私の番、と。 ++++++++++++++++++++++++++++++++ 「リリカっ」 「な、何よ、メルラン姉さん」  メルランがリリカに抱きついてくる。 「やっぱり姉さんは私たちの姉さんよね」 「そうに決まってるじゃない。ルナサ姉さんは誰にも渡さないわ」 「そうね、その辺の男にも射命丸さんにもミスティアにも渡さないわ」  メルランとリリカは抱きしめあったままルナサの所有権を宣言する。  お互いの息が酒臭い。  だがメルランもリリカも先ほどまでルナサの妄想に耽っていたのだ。正直興奮していた。 「リリカ……」 「メルラン姉さん……」  二人は妄想で高揚した気分のまま口付ける。  リリカにとってルナサはメルランよりは細いが自分より豊かな肢体の持ち主である。  メルランにとってルナサはリリカよりは女性らしい体つきをしているが、自分よりは細いのである。  そして酔った二人にとってはお互いがお互いをルナサと認識してしまっても、責めることはできない。何せ空き瓶は十本である。前後不覚とか酩酊とかそういった表現が似合う深酒である。 「姉さん……」「ルナサ姉さん……」  リリカもメルランも、ルナサとキスをしているつもりであった。  お互いの服を脱がしあう。  リリカはメルランの胸に顔を埋める。 「ルナサ姉さんのおっぱい……」  リリカはメルランの胸を口に含んで吸い始める。  メルランはリリカのスカートの中に指を忍びこませる。 「姉さんのここ、可愛い……」  メルランはリリカの秘所に指を這わせる。  そして二人とも意識を失ってしまった。  ルナサはメルランとリリカを起こしに来て、途方に暮れる。  まずは酒臭かった。部屋全体に酒精が充満していたので、ルナサは廊下の扉を開けたまま室内に足を踏み入れる。  ベッドの上に二人の姿は見当たらない。  そしてベッドの傍であられもない姿で眠りこける二人の姿を見てしまう。  頬が一気に紅潮してしまう。 「仲良過ぎ……」  半裸で抱きしめあって、互いに胸を吸い、秘所を触り、そんな体勢であれば誤解も何もない。  ルナサにとって幸運だったのは、二人がルナサに対して行うつもりであったことを知らなかったことだだろう。  ルナサが机の紙の束に気づくのはその十秒後である。  メルランとリリカが妄想中に使っていたのは、ポルターガイスト自動筆記万年筆である。つまり昨晩の妄想は全て紙に書きとめられている。  机の上には、会報用の原稿用紙が山のように積まれている。  ルナサは二人を見直した。こんなに頑張って原稿を書くなんて、と。  ルナサはその原稿を手に取って……