※注意※  本作中で妖夢は可愛い男の子です。 「こんな可愛い子が女の子のわけないじゃない」とは幽々子様のありがたいお言葉です。  幽々子様と意見を共にできない方はブラウザの戻る機能か、閉じる機能をお使いください。  ふたなり脳内フィルターを掛けることもできる内容ですのでなのでそのような読み方をしてもいいと、自由に読むべきだと、パチュリー女史が仰ってました。  幽々子様の白い肌が目に焼きついて離れない。  お師匠様がいなくなって、何年になるのだろう。  幽々子様のお世話をするようになって、幽々子様の肌を見るのは初めてでないどころか、何百回、何千回を数えるはず。  幽々子様の着替えも湯浴みも手伝ってきた。  それなのに今日に限って、湯船から上がられた幽々子様の肌が桜色に染まっているのを見て、何故か私は目を逸らしてしまっていた。  しかも目を逸らしたというのに、幽々子様の身体を盗み見ようとしてしまう自分に気付いて私はそれを恥じた。  私は耐えられず、着替えを準備しておきましたとだけ幽々子様にお伝えして、その場を離れてしまった。  幽々子様の怪訝な声を聞こえない振りをして。  逃げるように庭で素振りに励んでいると、幽々子様が精が出るわねと褒めてくださった。  いつもならその一言で飛び上がるほど嬉しいのに、今日だけはそんな気持ちが湧き上がらず、かえって申し訳ない気分に陥ってしまった。 「今日の私は全然駄目だな」  寝付けない。  何度目か分からない寝返りをうつが、寝返りをうてばうつほど目が冴えてくる。  いつもならすぐに襲ってくるはずの睡魔が今日に限っては影も現そうとしない。  眠ろうと努めて、目をつむると幽々子様の白い肌が頭から離れてくれない。  こんな気分になったのは初めてだった。  諦めて、書にでも目を通そう、きっと眠くなる。  そう思い起き上がろうとすると、妙な感覚に襲われた。  背筋が震えた。 「何、今の?」  身体を動かすと、全身が震えるように気持ちよかった。  そうして私は初めて気付いた。  その気持ちいいのの原因が私の下半身、おちんちんだったということに。 「何……これ……」  その初めての体験に私は戸惑った。  いつも私がおしっこをするときに見ているおちんちんと全然違っていた。  柔らかかったはずのソレは、何故か硬くそそり立っている。  私の着ていた寝衣の間から頭を覗かせていたそれに私はおそるおそる指で触れて見た。 「ひんっ……、何、何なの……」  指で触れただけなのに、体の震えが止まらない。  初めて味わう感覚に私の好奇心が止まらなくなっていた。  初めは指先で少し触るだけだったのが、指で掴むようになってきて、更に手で握ることを覚えてしまった。 「すごい、これ、気持ちいい……」  おちんちんを指で弄る、何の意味があるのか分からないけれど、ただ気持ちよかった。  私は自分のおちんちんを触りながら凝視してしまう。  その肌の色を見ていると、今日見た幽々子様の肌を思い出してしまった。その途端、おちんちんがびくんと反応した。 「幽々子様……綺麗だった……」  何故かは分からなかった。でも幽々子様の裸を思い出しながらおちんちんを弄ると、ただ弄ってるだけより遥かに気持ちよかった。  私は敢えて思い出さないようにしていた幽々子様の身体を思い描くようになってしまった。  幽々子様が湯船に浸かると、空気で膨らませた手ぬぐいの様に水面に浮いてくるおっぱい。  大きくはないけれど柔らかそうな幽々子様のお尻。  幽々子様の身体を洗うときにそこだけは洗わせてはくれないところ。  今までは普通に見ていたはずの幽々子様の身体を思い出すと、私の手は止まらなくなっていた。  体が震える。手が止まらない。視界が点滅する。 「何、これ……気持ちよすぎるのっ」  今まで干した布団に包まるのを気持ちいいんだと思っていた。美味しいものを食べるのが楽しかった。幽々子様に頭を撫でられるのが幸せだった。  そんな今までの私がいなくなってしまいそうだった。  何かが私の中に生まれた。今まで私の中にこんなものはいなかった。私の中から何かが出てこようとしてる。  私がおちんちんを擦る度に私の中でそれは育っていた。  何が何だか分からなくなりそうだたけど、それでも私は手を動かすのを止めれなかった。  その瞬間、私は幽々子様の名前を呼んでいた。  そしてそれは私の中から生まれた。  おちんちんを擦った時とは比べ物にならないほどの快感が私を貫いた。  私のおちんちんが脈打って、何かを生み出していた。それは勢い良く、私の手に、身体に、床に飛び散っていた。  それでも私は手を動かすのを止められず、その白濁液を吐き出し続けた。  座り込んだ私が自分を取り戻すのにはしばらく時間が掛かった。  そして呆然とした。床や私の手についた白濁液。  何かの病気になったんだろうか?、そんな考えが私の中に浮かんだ。  今日一日私がおかしかったのも病気のせいに違いない。  私が病気だから幽々子様の裸を見て変な気持ちになったんだ。  そして幽々子様の顔が脳裏に浮かんだ。  何故かは分からないけれど、幽々子様に凄く申し訳ないことをしてしまったと気付いてしまった。  幽々子様を思い浮かべながらおちんちんを弄るだなんて。従者として取るべき行動ではないのは分かっていた。  動転していた私に、その次に起きた事態は介錯に等しいものだった。 「ねぇ、妖夢。行灯の油、どこかしら?」  幽々子様はするりと部屋に現れる癖がある。  別に襖をすり抜けるわけでもないのだが、亡霊の姫らしく気配を感じさせてくれない。  いつも突然現れるのはおやめくださいと申し上げていたのだけれど、この時ほど本気でそう思ったことはなかった。 「よ、妖夢……?」 「幽々子様……」  幽々子様に見下ろされる私。そんな私は下半身を丸出して、おちんちんからねばねばした液体を撒き散らしている。  しかもその白濁液を吐き出した瞬間には、当の本人を思い浮かべていたのだ。  いろいろな意味で限界だった。  涙腺が緩む。  あぁ、もう駄目だ。  幽々子様が指一つでも動かしたら私は泣いてしまう。  そう分かっていた。 「妖夢、貴方……」  ほら、泣く。  ほろり、ほろり、と涙がこぼれ始めた。  私が変な病気になってしまった。  幽々子様を思い浮かべながら変なことをしてしまった。  幽々子様に見られてしまった。  そんな想いがぐちゃぐちゃになって私の頬を塗らす。 「ゆ、幽々子様、申し訳ございません。幽々子様……もうしわけ……」  涙が止まらない。私は幽々子様の従者として相応しくない、そんな想いが浮かんで、更に涙となって零れ落ちた。  ふわりと私の鼻腔に香の香りが拡がる。  幽々子様の使っている香の香りだ。  そのことに気づいて、私はようやく幽々子様に抱きしめられているという事実を認識できた。 「いいのよ、妖夢」  私の顔が幽々子様の胸に埋まる。  私はさきほどまで思い浮かべていた幽々子様の胸の間でしばらく泣いていた。 「妖夢、自分のしたことが分かってるの?」 「申し訳ございません」  謝るしかない。  やっと止まってくれた涙の後に、私は寝衣を整えて、汚した畳をざっとふき取り、幽々子様の目の前に土下座していた。  私はどんな叱責でも受けるつもりだった。  私の病気が原因で暇を出されるならそれも受け入れるつもりだった、泣いてしまうだろうけれど。  そんな暗い考えに浸っていた私に、幽々子様は優しく微笑んでくれた。 「怒ってるわけじゃないよ、妖夢。  ただ知識として貴方のしたことがどうゆう意味を持つか知っているか、聞いてみたの」 「い、いえ……ただ、なんとなく、その我慢できなくなって、幽々子様を思い出したら、そのもっと我慢できなくなってしまいました。こんなの初めてなので……」 「よっ、妖夢……私を思い浮かべながら……したの?」 「は、はいっ、申し訳ございません。幽々子様を思い浮かべながらこんな不始末っ」 「い、いいのよ。ただ驚いただけだから。  あぁ、そう、妖夢は私を想像してくれたのね」  何か幽々子様は浮かれていた。良く分からない。善いことをしたという実感は私には何もないのだけれど。 「はぁ、妖忌は何も教えてくれなかったのね。まったく、不器用なんだから。いいこと妖夢……」  それからの話はいろいろ衝撃だった。  お師匠様の教えてくれた、男はコウノトリが連れてきて、女は白菜から生まれると信じていた私には、師匠との特訓中に木刀が頭頂部を直撃したとき以上の衝撃だった。 「というわけよ、わかった、妖夢? 貴方のしたことは褒めるようなことではないけれど、生理現象なの。だから気にしちゃだめよ」  気にしちゃだめ、そう言われても困る。病気でないことは分かったが、私のさっきまでの行動は……その幽々子様と生殖行為をしたいという欲求がある、と本人から説明されてしまったわけで。  しかも本人にそのことを伝えてしまった。  いろいろ順番として間違ってることは私にもはっきり分かった。  幽々子様の顔を真っ直ぐ見れないけれど、私はとりあえず頷くしかなかった。  気まずい沈黙が漂う。  幽々子様を盗み見ると顔までは見えなかったけれど、幽々子様も寝衣のせいか体がはっきり見える。  しかもさっき泣いていたとは言え、幽々子様の胸に顔を埋めてしまった。  柔らかかった、いい香りだった。  そんなことを思い出してしまったせいか、私のおちんちんがまた硬さを取り戻していた。 「あっ」  私は慌ててそれを手で隠したけれど、それは幽々子様に私の痴態をはっきり晒すことになってしまった。 「あら、妖夢……」 「ゆ、幽々子様、今日はもうお休みになられ……」 「妖夢はもう少し勉強した方がいいわね」 「勉強?」  幽々子様がゆらりと立ち上がる。そして私が見上げた幽々子様の表情は今まで私がみたことのないものだった。  幽々子様がこんな表情をできるなんて。 「ねぇ、妖夢。さっき説明したわね、妖夢のものを女の人の女陰に入れるって。見せてあげましょうか」 「ゆ、幽々子様……?」  幽々子様が私のほうに近づいてくる。 「私を思い出しながら、自慰してたんでしょう。私、妖夢になら見せてあげてもいいのよ」 「……」  私の喉が凍ってしまったかのように言葉が出なくなる。  幽々子様の下半身が私の目の前に広がる。  幽々子様の寝衣一枚隔てた向うには、幽々子様のそこがある。  私の喉はからからに乾いて一言も言葉が出てこない。私はただうなづくことしかできなかった。 「はぁ、いいのよ、そこ、んっ、妖夢、上手よ」  私の口の中に幽々子様の味が広がる。  幽々子様の女陰を見せられて、指で広げてみるように言われて、舐めるように言われるまでの時間はそんなに長くなかった。  幽々子様には、ただ教えてもらうだけだったはずだったけれど、そんなことはどうでもよくなっていた。  私が舌を動かすたびに、幽々子様が気持ちよさそうな声を上げてくれる。  そんな幽々子様を見ているだけで私のおちんちんも切なくなってくる。  自分で触りたいのはやまやまだたけれど、幽々子様の許しがないと触ってはいけない、そんな気がして我慢していた。 「ふふっ、妖夢、切なそうね……」  幽々子様はお見通しらしい。 「はい、幽々子様の声を聞いてるだけで、私のこんなに大きくなって……」  私も幽々子様も一糸纏っていない姿でお互いの状況が薄暗い部屋の中でも良く分かる。  幽々子様の内腿は私の唾液だけではない液体で僅かな光を反射している。  そして私のおちんちんはさっきから幽々子様を見て、舐めているだけで触っていないのに硬くなっていた。 「ねえ、妖夢、入れてみたい?」 「は、はいっ」  思わず反射的に答えてしまってから、その意味に気付いて問い直して見た。 「い、いいんですか? 幽々子様」 「駄目なら言わないわよ」 「そうですけど、これってしちゃったら赤ちゃんできるんですよね?」 「あら、妖夢、私のこと嫌い?」 「いえ、大好きですっ」  また言ってから気付いた。勢いに任せて私、幽々子様にとんでもないことを言ってしまった。 「あ、その、好きってその……」  私は何か言おうとするが言葉が出てこない。  そしてそれは幽々子様に中断させられた。幽々子様の唇が、舌が私の口を塞いで、入って来る。 「ねぇ、妖夢」  唇を離した幽々子様の顔が目の前にある。こんな幽々子様と近い距離で話すのは初めてだった。  今まで従者と主という距離だったのが、一歩近づいた。そんな距離だった。 「私も妖夢このこと大好きよ、勿論、こんなことをしてもいいという意味でね」 「幽々子様……」 「ねえ、妖夢、貴方はどう?」 「はい、私も、幽々子様が大好きです。ずっとお傍にいさせていただきます」 「それを聞いて安心したわ」  幽々子様の嬉しそうな顔に私の胸が熱くなる。 「これで赤ちゃん作れるわね」  幽々子様はそんなことを言いながら私を押し倒す。 「これが妖夢のおちんちんなのね」  幽々子様が私のおちんちんを掴みながらそんなことを言う。  幽々子様にまじまじと見られて恥ずかしかったけれど、それ以上に幽々子様の指に触られていることで私の体はどうにかなってしまいそうだった。 「妖夢、入れるわよ」  幽々子様は私に跨るように、腰を私のおちんちんの上に持ってくる。 「妖夢の初めてもらうわ。嬉しいわ、妖夢の初めてになれるなんて。妖夢、貴方も私の初めてあげるんだから大切にしてね」 「は、初めて?」  私が疑問の声を上げるが、幽々子様はそれに構わず、私のおちんちんに指を添えたまま、腰を落としていく。  幽々子様の女陰に私のおちんちんが触れる。幽々子様の熱いそこに私のものが包み込まれていく。だけど私は幽々子様の苦悶の表情に胸を突かれた。 「ゆ、幽々子様、どうなされました!」 「妖夢はずるいわ、初めても痛くないだなんて」  幽々子様から流れる赤いものに私は揺さぶられる。そんな私を落ち着かせるように、幽々子様は私に抱きついてきた。 「初めてはこうゆうものらしいの。だから安心して」 「はぁ……」  幽々子様はそのまま私の目蓋に口づけをしてくる。私達はしばらく繋がったまま、互いの体温を感じあっていた。  そんな心地よい沈黙を破ったのは幽々子様だった 「ねえ、妖夢。女性より先に果てては駄目よ。出そうになっても我慢するのよ」 「し、しかし……」  突然そんなことを言われても、だった。幽々子様の中は入れているだけでも十分気持ちよくて、このまま果ててしまってもいいと思っていた。  それを幽々子様に禁じられた。幽々子様の命令は絶対だ。 「いいから」 「はい、分かりました」 「じゃ、動くわね」  私の上で幽々子様がゆっくりと身体を動かし始めた。それだけで私は言いようのない快感に襲われた。  自分でしたとき、これ以上の快感はないと思ったばかりだったのに、まったく比べ物にならないほど幽々子様の中は私のおちんちんを締め上げてくる。 「ほら、妖夢も動いて……」  幽々子様に促されるがどうして良いのかよく分からない。とりあえず幽々子様の様子を見ながら少しずつ少しずつ腰を動かしていく。  そうして幽々子様の反応を見ながら幽々子様の好まれる場所を探していく。  幽々子様が身体を動かすたびに幽々子様の大きなおっぱいが重力に逆らって、そして重力に従って落ちてくる。  その光景に私は目が離せなくなっていた。そんな私の視線に気付いた幽々子様は、何も言わずに私の手を取って幽々子様の胸に導いた。  私の小さな手に収まりきらない幽々子様の胸の重みが私の手に伝わってくる。  幽々子様のおっぱいを触っていると、さっき幽々子様の胸で泣いたときのことを思い出す。幽々子様の胸に顔を埋めたた時の幽々子様の柔らかさと香りを。  顔を埋めたときも柔らかいと思ったけれど、こうして手で直接触ると想像していたよりもっと柔らかいことを実感する。それなのに重力にはちゃんと逆らって私の手を迎え入れてくれる。  私の上で幽々子様の体が踊る。  私と一つになることで幽々子様のこのような艶姿が見れるという事実に私の胸が熱くなる。  亡霊の姫であるはずの幽々子様の顔に汗が流れる。  その汗が飛び散り私の口の中に一粒飛び込んできた。  味など分かるような状況ではないのに、幽々子様の汗はすごく甘く感じられた。  そして私の口が幽々子様をもっと求め始めた。 「幽々子様、キスしてください」  私の口が勝手にそう動いた。  幽々子様は優しく微笑んでくれて、私の唇に幽々子様の唇が重ねられた。  口の中で幽々子様の舌や唇や私のものがぐちゃぐちゃになるように絡み合う。  それでも私たちの腰はお互いを求め合うように止まらない。  私が腰を引くと幽々子様の腰が私のを貪り喰うように追いかけてくる。  幽々子様が腰をうねらせると私も幽々子様を貪りたくなって幽々子様を突き上げる。  幽々子様の淫らな表情に私の脳幹が溶けそうになる。  淫らという言葉は聞いたことがあった。  お師匠様が淫らな行いはしてはいけないと仰っていた。  ただ淫らという言葉が今の幽々子様の表情を見て初めて理解できた。  そしてお師匠様の言葉に逆らうしかないことに気付いた。お師匠様の教えに逆らうなど、いつ以来だろう。  こんな淫らな幽々子様と淫らな行いをしないなんて無理、そうきっと私の表情も幽々子様みたいな表情をしているんだろう。  私が幽々子様にこんな表情をさせている、そう思うと身体に巡る血の量が倍になったように感じる。  全身が敏感になっていく。  幽々子様と繋がっているおちんちんも、唇も、いつのまにか互いに絡み合っていたお互いの指も、幽々子様のかすかな動きを伝えてくる。  幽々子様の目も伝えてくる。 「妖夢、いっしょに……」と。  私は幽々子様の名前を叫んだ。  幽々子様も私の名前を呼んでくださった。  そしてそれが結界が破る呪いだった。  幽々子様が私の体の上で身体を震わせた。幽々子様の口から私の名前を呼んでいるのか、意味のない言葉か分からない声が迸る。  そして幽々子様の体が私のおちんちんを貪るように締め上げて、私も幽々子様と同じ世界に達した。  私のおちんちんが震えるたびに、幽々子様の女陰が私の白濁液を吸い上げていく。  おかしくなりそうだった。幽々子様が私のおちんちんから永遠に吸い上げていくように感じた。それは多分そんな長くない時間だったはずなのに。  気がつくと幽々子様は私と繋がったまま、私にしなだれかかっていた。 「あ、幽々子様っ、もうし……」 「謝るなんて、無粋よ」 「は、はい、ではどうれば……」 「こういう時は黙って――」  唇を塞がれた。  結局その晩はそのまま三本ほど幽々子様と手合わせすることになった。  そして朝日が障子を赤く染める頃、私たちは抱きしめあったまま、夢と現を行き来していた。 「ねえ、妖夢起きてるかしら」 「はい、なんとか――」  夢から引き戻された。夢の中でも幽々子様と抱き合っていた気がする。  そのせいかこれが現実なのか夢なのか分からない。 「これで私達は夫婦にならないといけないわね」 「なっ、そ、それは」  まどろみが吹き飛んだ。  嬉しいのと驚いたのと、こんなときに限ってお師匠様の怒り顔が思い浮かんで、私は狼狽のあまり口走った。 「も、もちろんでつっ、あ、愛しておりまつっ」  噛んだ。  幽々子様があまりに可笑しそうに笑うので、私もつられて笑ってしまった。 「でも、妖夢はまだ早いかしらね」 「た、確かに私は未熟ものです。でも幽々子様をお守りし、一緒にいるためならそれが何百由旬の道程であろうと――」  言葉に詰まる。私のこの想いを言葉で言い表すには私はあまりに未熟だった。 「そうそれなら……」  幽々子様は私を抱きしめて頭を撫でてくださりながら仰った。 「あの桜を咲かせることができたなら……」  幽々子様は障子で遮られていたけれど、あの桜を見ていたのだ。  あの桜を咲かせることができたなら、私は幽々子様とつり合うようだろうか。  そうあの桜を咲かせれば幽々子様と夫婦になれるのだ。 「だから私は春を集めたんでふ。幽々子様の喜ぶ顔が見たくて、何よりあの約束を果たふためでふっ」  妖夢が呂律が回っていないにしても言い切ると、空になったお猪口を霊夢の前に突き出す。  注げ、と。  霊夢は何も文句を言わずに、そのお猪口に酒を注ぎ足す。  霊夢の顔は赤く染まっていた。酒に酔っているわけではない。  そしてそれは車座になっている、魔理沙と咲夜も同様だった。  まさか酔った妖夢がこんな話をし始めるとは、妖夢に浴びせるように酒を飲ませた三人はまったく想定していなかった。 「ねえ、こんな話させて大丈夫かしら」 「いや、これは不可抗力だろ」 「あの亡霊の姫様が、紫とあっちで飲んでいるのが救いね」 「この距離だったら聞こえないでしょうしね」 「それにしても……」  三人は視線だけ交わした会話を打ち切り、妖夢の話を反芻する。  三人とも何となく足をもじもじさせているが大した問題ではない。 「つまり私達は」 「例の異変のときに」 「二人の恋路を邪魔したってこと?」 「そんなつもりなかったわよ」 「私だって」 「私もよ」 「何こそこそ話しているんですか」  妖夢は何十杯目かの酒を一気に空け、今度はお猪口を咲夜の前に突き出す。  咲夜がお酌をする。 「実はその翌日の事なんですが……、ヒック」  妖夢と幽々子の初夜の翌日の話が始まる。 「幽々子様ったら、朝、と言っても一緒に昼まで寝ていたんですが。幽々子様、布団を被ったまま出てこないんですよ。  引き剥がそうとしたら、『今になって恥ずかしくなってきた』とか仰るんですよ。  卑怯じゃないですか。ええ、もちろん布団に戻って抱きしめましたよ。  そうしたら流れで、そう、明るいところで幽々子様の体見たら我慢できるわけないじゃないですか」  自分の頬に手を当てて照れる妖夢を横目に、霊夢、魔理沙、咲夜は顔を見合わせる。  妖夢に酒を無理強いするのは止めよう、と。  紫と飲んでいたはずの幽々子がいつの間にか妖夢の後ろに立っている。  妖夢は幽々子を背中にしたまま、幽々子の曲線美について滔々と語り始めた。 「幽々子様に、ちゃんと体を見せてもらったんですよ。  恥ずかしい恥ずかしいと言いながら、幽々子様は着物を脱いでくださって。  襦袢だけになった時に、もう止めましょうって言うんですけど、止められるわけないじゃないですか。  お見せしたかったですよ、三人に……」  幽々子を背後霊として背負ったまま、身振り手振りを加えて妖夢の熱弁は続く。