〜  ぼくのかんがえたフランドール・スカーレット  〜  紅魔館に関わったものが週に一度は見ないと落ち着かないという、魔理沙に撃ち落される美鈴の姿が今日も披露された。 「なんだ今日はいつもより歯応えがないな」 「そんな日もありますよ」  魔理沙は倒れこんだ美鈴を門にもたれかけさせる。ありがとうございます、と応える美鈴は元気がないというわけではなさそうで、魔理沙は安心した。病人相手に勝っても、目覚めが悪い。  お久しぶりですねと言われて、紅魔館に来るのは十日ぶりくらいだったことに今更ながら気付く。前回来てから何となく足が遠のいて、自分の家で研究に没頭していたりしたが、どうにもこうにも行き詰まり気分転換と資料収集を兼ねて紅魔館にやってきた、と魔理沙が言うと、美鈴は苦笑する。 「今度パチュリー様の本を返してもらいに伺いますね」 「まー、ウチまで借りに来るんなら止めないぞ」 「じゃ、それでもいいですよ」 「おう、じゃ、待ってるぞ」  手をひらひら振りながら、魔理沙は紅魔館の玄関に向かって歩いていく。  美鈴は本当に回収しに言ったら、大変な一日になるんだろうなと思いつつ、今日は無事に何もなく終わるといいなぁ、と思いながら腰をあげる。 「さて、元気に門番致すとしましょうか」  門番なのに館の方を眺めながら、身体を伸ばした。 「何か今日は騒がしいな」  いつもはもう少し落ち着いた雰囲気なことが多い紅魔館がざわめいている。咲夜の前以外では、ふらふらしているか遊んでばかりいる妖精メイドがそれなりに忙しそうにしている。 「パーティーとか宴会があるって話は聞いてないんだがな」  それくらいしか、ここまでメイド達が忙しそうにしているのは、魔理沙の記憶にない。  首を傾げながら図書館に向かっていると、ちょうど良い相手に出会った。 「よう、小悪魔、元気か」 「あ、魔理沙さん、こんにちは」 「何か騒がしいな、何かあったのか?」 「え、えぇ、まぁ…」  小悪魔は口篭る。 「いや、言えないことならいいんだが」 「言えないというか、言えない事と言えば言えない事ですね」 「良く分からんが、良く分かった。まぁ、ここにいればそのうち分かるだろ。ところでパチュリーはいつも通り病弱に元気か?これから本を借りにと思ってたんだが」 「あっ、今日はパチュリー様、本当に御加減が良くないんです。出来れば今日は安静にしてあげてもらないでしょうか?」 「何かの病気か?」  魔理沙が心配顔で小悪魔に尋ねる。 「いえ、そう言うわけではないんですが、ちょっと昨晩試された魔法に消耗しきってしまったようで、今日一日は私以外は面会謝絶にしているんです」 「そんなにか。というか、何の魔法だ。そんなにパチュリーを消耗させるだなんて」 「いや、それが……」  またも小悪魔は口篭る。本当に嘘のつけない悪魔だな、と魔理沙が苦笑する。 「そんな子悪魔に免じて今日は行かないでおいといてやるよ」 「それはありがとうございます。貸してあげた本返してくれると約束してくれるならなら、私の部屋でお茶でも出しましょうか?」  小悪魔の提案に、魔理沙は少し考える。今までも何度かあったことで、本を返す、返さないは話の枕のようなもので、実際は返さなくても見逃してくれることを経験上学んでいた。しかも小悪魔の部屋も、主であるパチュリーのところから借りていて、司書らしく品揃えは悪くない。  だがフランドールの顔が脳裏に浮かぶと、魔理沙は断りの言葉を吐き出す。 「いや、フランドールのところに行くことにするわ」 「妹様…のところですか」  フランドールに何かあったのか?そう思わせる小悪魔の口調だったが、行って見れば分かるかと思い直す。 「じゃ、お茶は今度よろしく。お茶菓子も付けてくれよな」 「はいはい、分かりました」 「『はい』は一回だぜ。それとパチュリーによろしく。お大事にな、と」 「本を返してくれれば、きっと治りますよ」 「最近耳が遠くてな」  そう言う魔理沙の耳にメイド達の声が耳に入る。 「今日は騒がしいよな」 「耳遠くないじゃないですか」 「気のせいだ」  そんな軽口を叩いてるうちに、メイドの一団が先の廊下を曲がって姿を現す。 「ん?」  メイドに囲まれるように、一人の女性が姿を現す。 「すげい美人だな」  魔理沙が思わずそうもらしてしまうほど、その女性の姿形は整っていた。  腰まで伸びた軽くウェーブしているブロンドと、幻想郷では少数派な出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいるプロポーション。目鼻もはっきりしていているが、なんとなく感じるあどけなさと全体とのギャップが美人なのに可愛らしいという印象を持たせている。来ているドレスも舞踏会用ですか、というくらい着飾っているものだった。  一歩進めるたびに、ウェーブした髪が波打ち、呼吸をするたびに豊かな胸が上下に揺れる。  誰なんだ、はじめて見る顔にしては知っている気がする。デジャ・ヴュか?他の吸血鬼とスカーレット家で親交があるという話は聞いたことないし、幻想郷で噂に聞いたこともないというのはおかしい。外界から迷い込んで来たにしては堂々としすぎている。まるでこの館に長く住んでいる者のようだ。結局誰なんだ?  魔理沙は恋色の脳細胞をフル回転させるが、一致する人物を検出することができない。  ふと、女性と目が合う。  魔理沙を見て、満面の笑みを浮かべるその女性は、飛んだ。  こんな廊下で、そんな角度で、そんなドレスで空飛んだら、絶対にスカートの中、メイドに見えるって。あの視線は絶対見えてるな、いや、そのスピードはまずいって。おいおい。  魔理沙はパニくってた。見知らぬ人にいきなりスターダストレヴァリエされたら当然ではあるのだが。 「魔理沙ー!」  魔理沙が自分を呼ぶ声を聞き取るのと、呼んでる本人が魔理沙に全身でボディブローを決めたのは同時だった。  魔理沙の身体が空を飛ぶ。もちろん箒で空を飛んだわけではなくて、物理的な衝撃が運動エネルギーとして作用した結果だった。  その女性が今度は駆け寄ってくる。 「魔理沙、魔理沙ー」 「あぁ、大丈夫だ、フラン」  そう言おうとするが、魔理沙の口からは言葉らしい言葉が出てこない。薄れゆく意識の中で、魔理沙は自分の名前を呼ぶフランドールの頭を撫でようとして、ブラックアウト。  魔理沙が目を覚ますと、フランドールの部屋だった。  初めに感じたのは左手の温もりだった。そちらを見えるとフランドールが魔理沙の左手を握っていた。 「あ、魔理沙、気が付いたんだ。大丈夫、壊れてない?」 「フ、フラン…、んっ、多分大丈夫だ」 「よっ」っと声を上げて、魔理沙は上半身を起こす。僅かに痛みは走ったが、それほど痛みは感じない。大したことはなさそうだった。 「大丈夫そうだ。心配掛けてすまなかったな、フラン」 「ううん、私が悪いの。ごめんなさい…」  フランドールはいつもの率直さで謝ってくる。その態度や仕草はいつもと変わりないが、容姿の違いが魔理沙を戸惑わせる。  フランドールは魔理沙の胸のあたりに抱きついて謝っているが、魔理沙はすごい気になっていた。 「でかい…」  フランドールの胸があたっている。紅魔館でナンバー2くらいに昇格している。ナンバー1になったら、誰かのアイデンティティが崩壊しそうなので、そこはフランドールの慎ましい所なんだろう。  さっきの魔理沙の呟きにフランドールは、何の事だろうと首を傾げている。 「いや、なんでもないんだ」  そういって、魔理沙はフランドールの頭を撫でる。  そうしてやると顔の造作は大人っぽくなっているが、表情は元のままだった。やっぱりフランはフランか、と思いつつ、聞かずにはいられなかった。 「いったい、どうしたんだ?その身体。成長期というには成長しすぎだろう。いや吸血鬼の詳しい生態は知らないんだが」  十日でこれだけ成長したら、まさに筍だが、そんなことはないよな、まさかとか一抹の疑念を払いきれずに聞いて見る。 「魔理沙に言われたからレディになったんだよ」  そうフランドールに言われて、記憶を掘り起こす魔理沙。 「あ、あぁっ」  時はその十日前に遡る。  その日、魔理沙はパチュリーから本を借りようとしていた。 「貸してあげるけど、覚悟はしてね」  だがその日はパチュリーの蟲の居所が悪かったのか、ただ単にその本が読みたい本だったのか、笑顔でエメラルドメガリスを頭上10cmに展開しながらの貸し出し許可では、さすがに魔理沙ももう一度借りていくとは言えなかった。  そんな緊張感を消してくれたのが、魔理沙にとっての救世主フランドールだった。 「魔理沙ー、あそぼー」  この時も魔理沙の腰に体当たりをしてきた。  ふと空気が緩み、パチュリーも今度は限定付きで貸し出しを許可してきた。この館から持ち出さないという、契約までさせられて、結局フランドールの部屋で読むことにした。 「あはははっはあははははははははh」  それでも最初の頃はフランドールとの無茶な弾幕ごっこをしていた魔理沙だったが、3セットもつき合わされると疲れがピークに達する。 「うおっ」  フランドールの弾幕が箒の柄に当たりバランスを崩し、墜落してしまう。なんとか受身はとったがへたばるには十分だった。 「むきゅー」 「魔理沙、パチュリーみたい」 「パチュリーと同じで病弱なんだ、だから休憩させてくれ」 「魔理沙、元気じゃない」  そう言いながらもフランドールは満足したのか、弾幕ごっこを閉幕させてくれた。  いつの間にか置いてあったティーセットでお茶を用意すると、フランドールのベッドの上でさっきパチュリーから借りてきた本を読み出す。  最初のうちはティーセットにあったショートブレッドを食べていたフランドールだったが、3つ食べたあたりで飽きたのか、あぐらをかいて本を読んでいる魔理沙の膝の上に乗ってきた。  魔理沙は弾幕で乾いた咽を一杯の紅茶で湿らせた後は、黙々とページをめくる。  その光景はフランドールにとっては退屈は退屈だったが、そんな静かな魔理沙もスキだったので、魔理沙の膝の上で魔理沙の顔を眺めていた。  陽の光が差し込まないこの部屋では、どのくらいの時間が経過したのか分からないが、フランドールが魔理沙の膝の上で目を覚ました。いつのまにか寝てしまっていた。  ちょうど魔理沙はパチュリーから借りた本の最後の1ページをめくったところだった。  寝起きのフランドールは魔理沙がテキストを目で追うのを何も言わずに眺めている。  魔理沙が長めの息を吐いた。 「読み終わったの?」 「あぁ、お待たせ」 「んー」  フランドールは魔理沙の組んだ足の上にのったまま、魔理沙を押し倒して、魔理沙に抱きつく。 「こら、フラン」 「ふふふー」  フランドールは唇を合わせるだけのキスをする。魔理沙はそんなフランドールの頭を撫でた。  魔理沙に抱きついたままのフランドールの髪を魔理沙は自分の指先に絡めたり、ほどいたりしていじっている。フランドールはくすぐったそうに、それでも大人しくしている。  が、思いついたように口を開く。 「ねえ、魔理沙聞いていい?」 「ん、なんだ?」 「魔理沙は私に、お姉様と咲夜がベッドでやっているようなことやってくれないの?」  吹いた。盛大に吹いた。  やっぱり、あの二人そうゆう関係か。レミ咲か、咲レミか、リバーシブルか。いや、問題はそこじゃない。魔理沙は混乱している。 「いや、ほら、なぁ」 「ねー、してくれないの?」  魔理沙とて考えたことはないでもない。だが、いくら吸血鬼とは言え、幼いフランドールといたすのがいいこととは思えなかったのだ。 「えーと、そうだ、うん、フランがレディになったらその時にな」 「んー、いつの話になるのかな」 「でも、約束するよ」  そう言って、魔理沙は少し強めのキスをする。  フランドールもごまかされたのかなと思いつつ、そのときはそのキスに満足した、はずだった。 「あー、そうだった」 「忘れてるなんてひどーい」  半分本心とは言え、半分その場のがれだったとは言えない魔理沙だった。 「それでねー。パチュリーにレディになりたいんだけどって言ったの」 「パチュリーーーーーー!」 「?」 「いや、続けてくれ」 「いや、そしたらパチュリー変な事いったの」 「変な事?」 「『大きくなる薬は作れるけど、読者の半分を敵に回すから駄目』」 「……」 「だから、パチュリーが意地悪だから、私えーえんてーのくすしにお薬をもらいに行くって言ったら、パチュリーは難しい顔をして、お薬をくれたの」 「永琳だと吸血鬼でも使えるミッシングパープルパワーな薬を処方しそうだし、パチュリーの判断は間違ってない…のか?」  フランドールは説明しなかったが、そのときフランドールは倒れこんでいる小悪魔の上に座って、図書館は紅蓮の炎が燃え盛っていた。パチュリーが寝込んでいるのは、その復旧と薬の精製の反動だったのだが、そのことが魔理沙の耳入ることはなかった。 「そしてこうなったの」  フランドールはドレスの裾を持って、くるりと一回転する。正直嫉妬する気も起きないくらいの美女に「成っていた」。 「そのドレスはどうしたんだ?」 「私が元の服のままで廊下を歩いてたら、咲夜とめーりんが作ってくれたの」  大きくなっても、元のままの服で歩くフランドールを想像すると、なんというか扇情的としかいいようなない光景が目に浮かぶ。 「二人とも綺麗になったって言ってくれたよ。お姉様も泣きそうな顔で誉めてくれたの。きっと妹の私の成長が嬉しかったのね」  いや、それは違う、絶対に、と魔理沙は心の中で断言する。 「カリスマが…」とうわ言を言いながら咲夜のひざに泣きついているレミリア・スカーレットお嬢様の姿を思い浮かべて、魔理沙は心底同情する。  黙ってさえいれば、紫と同じくらいの畏怖を他者に与えるだろう。黙ってさえいれば。 「まーりーさっ」  また魔理沙の胸に飛び込んでくる。行動は全然変わっていない。  そして子供の無邪気さで言って来るのだ。 「ね、約束通り、レディになったよ」  まるで初めてのお使いをちゃんとやりとげたから褒めてほしい、と言う様な表情で、淫靡な誘いをする。 「ねえ、魔理沙は約束守ってくれるよね」  魔理沙の背中にぞくりとしたものが走る。  フランドールの瞳が開き、魔理沙は吸い込まれそうな錯覚を覚える。  これ以上、『この』フランドールを出しては駄目だ。  魔理沙はとっさにキスをした。  最初は重ねただけの唇が、お互いの唇を割り、舌が絡む。魔理沙が押し倒されるように、フランドールが魔理沙にもたれ掛かってくる。それをはねのける事もせず、魔理沙はフランドールとキスをし続ける。  唇をさきに離したのはフランドールの方だった。 「ねえ、いいの、魔理沙?」 「なんだ、今更。誘ってきたのはフランの方だろう」  魔理沙はフランのドレスの肩紐を外しながら言う。 「でも、めーりんが言ってた。こうゆうことは本当に好きな人同士でやるのがいいんだって」 「じゃ、問題ないじゃないか」  フランドールの形よく育った胸が空気に晒される。フランドールが魔理沙の言葉に喜んで身体を動かすと、その胸も一緒に揺れる。 「ねえ、私、魔理沙が好き。大好き」 「私もフランのこと大好きだぜ」 「やったー」  むき出しになった胸のまま、魔理沙に抱きつくフランドール。魔理沙はフランドールの胸に顔をうずめる結果となった。 「ねえ、魔理沙」 「ん、なんだ」 「もう一回、大人のキスして」 「さっきのキスが気に入ったのか?」 「うん、いつも魔理沙としてるキスも好きだけど、大人のキス、何か身体がポカポカしてきちゃうの」 「フランはえっちだな」 「そんなことないよー」 「んっ」  今度はフランドールのほうからキスをしてくる。  魔理沙は油断していた。フランドールはやれば出来る子だったのだ。  フランのキス、だんだん上手くなってきてる、そう気づいたときには魔理沙の下半身の力は抜け、フランドールの唇から逃げられなくなってしまっていた。 「魔理沙、気持ちよくなってくれた?」  フランドールが笑顔で魔理沙に尋ねる。可憐で、幼く、魔理沙の血流を沸騰させるような笑顔で。  魔理沙は応えられずに俯いてしまう。 「それじゃ、うなづいているのと一緒だよ」  そういって、フランドールは魔理沙の顎を持って、魔理沙の顔を上げさせる。  目をつむっている魔理沙の唇をもう一度奪う。  キスをし始めた頃には温かった紅茶がもう完全に冷たくなっていた。魔理沙はいつの間にか、服が上半身だけはだけていて、お互いに胸を愛撫しながらキスをされていた。  胸への愛撫はお互いにしていたが、キスのほうは完全にフランドールにされるがままだった。  フランドールに唾を流し込まれて、流し込まれた唾を飲み損ねてこぼしてしまったら、更に流し込まれていた。 「けほ、けほ」  思わず魔理沙はむせてしまい、フランドールもキスし続けるのを諦めた。 「魔理沙、だめだよ、ちゃんと飲んでくれなきゃ」 「そんなこと言っても、無理なものは無理なんだ」 「そのせりふ、魔理沙っぽくない」  そう言って、フランドールは人差し指を魔理沙の唇に押し付ける。それだけで魔理沙はフランドールのキスを思い出し、鼓動が早くなる。 「でも、キスだけで気持ちよさそうな顔をしてる魔理沙も可愛かったよ」 「はは、まさかフランに可愛いといわれるとは思わなかったぜ」 「私は思ってたよ、ずっと言いたかった」 「…」 「だから魔理沙にはもっと気持ちよくなって欲しいな」  フランドールに右手に魔力が収束していく。紅い光子がフランドールの手の周りで生まれ、フランドールの掌に集って行く。  まったく想像していなかった魔理沙はまったく反応することができなかった。  フランドールの右手が魔理沙の下半身に向けられる。  紅い光で渦を巻き、放たれる。  強い衝撃に魔理沙は気を失いそうになる。ぎりぎり意識を保つと、今度は自分の体内から衝撃が走る。 「魔理沙にはもっと気持ちよくなってほしいから」  同じ言葉を繰り返すフランドールの笑顔を見ながら、魔理沙は衝撃で倒れこんだ状態から起き上がろうとする。  だが、完全に下半身に力が入らない。というか感覚がない。  だが、感覚がなくなったと感じていたのは魔理沙の勘違いだった。魔理沙の体内から発生した衝撃に全神経が集中して、他の感覚を身体が勝手に省略していただけだった。 「私も魔理沙と一緒に、気持ちよくなるの。魔理沙のおちんちんで」 「あ、あ、ぁ…」  魔理沙は自分の心拍に合わせて脈打つ、ソレの感覚にただ呆然としていた。 「魔理沙のどんな感じかな」 「や、やめろ、見るなっ」 「ざんねーん」  魔理沙はスカートを押さえようとするが、数フレーム間に合わず、フランドールの手がスカートをめくりあげていた。 「成功ー」 「フ、フラン、これは…」 「お姉様達が使ってるのを、見よう見真似!」 「の、覗きはいけないぞ」 「うん、分かったー」 「そ、そうか」  絶対分かってないと魔理沙は思ったが今はそんなことを考えてる場合ではないと思い直す。流されそうな状況をどうにかしようとしてたが、あっさりフランドールに持って行かれる。 「魔理沙のおちんちん、かっこいい」 「っ、さ、触るな」 「んー、どうしてー?」 「ぁ、揉むな、んっ」 「でも、魔理沙気持ちよさそうな声出してるよ」 「ううっ、それでも、だめ、んっ」 「だーめ」  また、フランドールに唇を塞がれる。  またキスで魔理沙の思考を溶かした後で、フランドールは魔理沙の腰の上にまたがる。 「魔理沙にも気持ちよくなって欲しいんだけど、私も気持ちよくなりたいの」  そう言ってフランドールは自分のスカートをめくりあげる。 「魔理沙とキスしてるだけでこんなになっちゃってるの」  魔理沙の目に入ってきたのは、もうぐしょぐしょになっているショーツだった。 「ねえ、一緒に気持ちよくなってだめかな」  一瞬魔理沙は答えをためらう。だが、もはやいろいろな意味で手遅れだった。 「いいんじゃないか」 「魔理沙、ありがと」  今度は昨日までの唇が触れ合うキスだった。  フランドールがゆっくり腰を下ろしてくる。 「あっ」「んっ」  魔理沙の肉棒の先端と、フランドールの性器が触れ合った瞬間にお互いに声を上げてしまう。 「ここかな…」 「ほら…」  腰を下ろすときに、位置に戸惑うフランドールに、魔理沙は自分の体勢を変えることでよりスムーズに行くように修正する。  やっぱりフランはフランか、そんな感慨に耽る間もなく、魔理沙の肉棒がフランの蜜壺に浸されていく。  魔理沙はフランの中の熱さに呻き声をあげそうになるがなんとか我慢する。 「んっ」  フランドールは一気に腰をおろす。 「フラン、大丈夫か」  魔理沙は見上げるようにフランの顔を確認する。 「魔理沙、魔理沙の感じるよ」  そういってフランドールは魔理沙を抱きしめる。 「私の、全部、フランの中だ」  魔理沙もフランドールを抱きしめて、目の前にある胸にキスをする。 「魔理沙…こっちにもキスをして」 「あぁ、好きなだけしてやるよ」  唇を突き出してきたフランドールに魔理沙はキスをする。  結局フランドールの唇に主導権を奪われてしまったが。  繋がったまま、抱きしめあって、キスをする。その行為がフランドールの体内に変化をもたらす。 「ねえ、魔理沙、熱い…」 「そうか、確かに抱きしめあってるし、でも室温は…」 「そうゆうのじゃないの、もう我慢できないから動くね」 「えっ、あっ」  フランドールはゆっくりと身体を動かし始める。  それにあわせて魔理沙もゆっくりと腰を動かす。それだけで二人はお互いに快楽を感じていた。 「魔理沙の、私の中えぐってる…」 「フランの中も熱くてとけそうだ」  お互いに自分達が快感を告白すると、一気に動きが激しくなる。 「はっ、んっ、魔理沙、そんなに突き上げないで」 「フランこそ、そんなに深く腰を下ろすと私の全部フランを感じてしまって」 「だって、こうすると奥に魔理沙のがずん、て来て」 「そうするとフランのに私のが食べられそうになって、気持ちいいんだ」 「私も魔理沙の熱くて、固くて気持ちいい」 「フランのも柔らかいのにきつくて気持ちいいぞ」 「じゃ、魔理沙にもっと気持ちよくなってもらわないと」  フランは更に腰の上下運動を早くする。  魔理沙の目の前でフランの胸が慣性と重力に従って空気中を泳いでいる。魔理沙の手は自然のフランドールの胸に伸びた。 「フランの胸、こんなに先端硬くなってる」 「だって、魔理沙にしてもらってると、魔理沙に触られたところ、全部気持ちよくて。キスしてるときも、触れたところ触りたくてしょうがなかったの」 「フランは本当にえっちだな」  魔理沙はフランの胸の先端を親指の腹で押しつぶす。 「ふぁぁ、魔理沙…アソコも胸も、どっちも気持ちいい」 「じゃ、もっと気持ちよ…あぁ、そ、そんなに締め付けるな、やばい…フランのナカ気持ちよすぎる」 「だって、魔理沙にきゅっとされると気持ちよすぎて、身体が勝手に反応しちゃうの」  お互いがお互いを感じ、お互いに高めあっていく。 「やぁ、魔理沙のおちんちん、すごく私のナカをいっぱいにしてるの」 「あぁ、もっと一杯にしてやる。だからもっと動いてくれ」 「うん、そうする、そうするよ、魔理沙。だって、動くと気持ちよすぎて飛んじゃいそうになるの」 「あぁ、一緒に飛んでやる。だから、んっ、もっと…もっと…」 「魔理沙、魔理沙ぁ、やぁ、飛んじゃう、飛んじゃうの」 「フラン、私も、飛ぶ…」  二人の頭の中がチリチリしてくる。身体も脳も焼ききれそうな感覚を覚える。 「飛んじゃえ、魔理沙、飛んじゃえ」 「フランも飛べ、一緒に」 「うん、飛んじゃう、飛んじゃう」 「あぁ、もう出る、出るっ」  魔理沙が登ってくるモノに耐えられなくなった。 「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」  魔理沙の肉棒から、噴出すようにフランドールの体内に白濁液が注ぎ込まれる。 「や、魔理沙の熱い、出てる、飛んじゃう、熱くて飛んじゃうの。魔理沙ぁぁぁぁぁぁ」  魔理沙の白濁液につられるようにフランドールもいってしまう。 「ふぁぁ、フラン、止まらない、フランのナカに止まらないぜ…」 「ぁぁ、魔理沙のたくさん出てる…私のお腹、魔理沙のでいっぱい」 「んっ、フランのに搾り取られてる。フラン…」 「魔理沙の…たくさん出てる…」  二人は繋がったまま倒れこむ。 「魔理沙、たくさん出したね」 「お、おぅ、なんだ、そのフランの気持ちよかったからな」 「うん」  恥ずかしそうに、でも嬉しそうにフランドールは微笑む。  こんなに嬉しそうならいいか、と魔理沙は思った。だが、フランの一言に絶句する。 「こんなにたくさん出されたら赤ちゃんできちゃうかな」 「な、なぁ、フラン…」 「うんっ、赤ちゃんできるまでやろうね、魔理沙」  フランは身体を起こして、腰を動かし始める。  出したばかりというのに、魔理沙のはフランドールのナカで再び硬さを取り戻し始める。 「コンテニューだ」 「コンテニューね」  コインをいくつ使ったのか分からないが、魔理沙が目を覚ますと、いつもの身体に戻ったフランドールが無邪気な笑顔で夢を見ていた。魔理沙の身体も元に戻っている。 「まぁ、レディの修行からやりなおしだぞ」  魔理沙はそういってフランの短く戻った髪を弄る。 「さぁ、二度寝だ」  魔理沙はフランドールを引き寄せるように抱いて、もう一度夢の世界に落ちていった。  フランドールが目を覚ますと魔理沙の腕の中だった。自分の身体が元に戻ったことに少し驚いたが、魔理沙の腕の中にいることでどうでもよくなった。 「魔理沙、大好きっ」 「ねえ、小悪魔」 「なんでしょう、パチュリー様」  パチュリーの口にスプーンでスープを運んでいる手を休めて、小悪魔が主の言葉を待つ。 「どうしてあの大人になる薬はレミィには効かずに、妹様には効いたのかしら」  昔、友人に頼まれた時の事を思い出す。今回妹様に処方したのはそのときの焼きなおしだ。多少手は加えてあるが基本的な構成には手をつけていない。駄目だったら、駄目だったで他の薬を薦めればいいかと思っていた。 「あ、あー、ははは」  苦笑いする小悪魔にパチュリーは怪訝な顔をする。 「レミリア様の時は実はパチュリー様の薬が捨ててあるのを後で見つけたんですよ」 「なんですって?」 「咲夜さん経由で渡したのが失敗でしたね」 「あぁ、そうゆうことね。まったく、後でレミィにいろいろ言われたのは、言われ損だったのね。ベーキングパウダーかしら、葛粉かしら、レミィが飲んだの」 「私が永遠亭から手に入れた媚薬だったのかもしれませんよ」  小悪魔の口が耳までさけている。  パチュリーはため息をつきながら漏らす。 「レミィはさぞかし、鳴いた、でしょうね」 「そうでしょうね」  小悪魔はさきほどの笑みを崩さずに言った。 「実はその薬、パチュリー様が召し上がられたスープにも入っている、と言ったら信じますか?」  家に帰ることにした魔理沙をフランドールは玄関ホールまで見送りにくる。魔理沙には昨晩のアレは夢だったのかのように感じられる。 「魔理沙、また来てね」 「あぁ、またな」  いつも通りのフランドールに対して、魔理沙はいささか頬を紅くしている。 「今度は魔理沙と一緒にテーブルマナーの勉強したいな」 「フランが自分からそんなこと言い出すなんて珍しいな」 「レディになるためには通る道なんでしょ」 「そうだな。その辺りは咲夜に教えてもらわないとな」 「うん、魔理沙に恥ずかしい思いをさせないように勉強しないとね」  フランドールは元通り平坦な胸をはってやる気を見せる。 「えらい、えらい」 「えへへ」  フランドールの頭を撫でると、猫のような笑顔を浮かべる。 「じゃ、帰るぞ」 「また、明日ね」 「明日かどうかは分からないが、できるだけ近いうちにな」 「じゃ、魔理沙、キスしてー」 「おうっ」  魔理沙がフランドールの唇に自分の唇を近づける。  だが、フランドールが魔理沙の唇を奪う。 「んっ」  魔理沙の目の前に立っているフランドールは、大きいフランドールだった。 「んんんんっ」  玄関で他の見送りに来ていた昨夜の目の前でフランドールに口の中を犯される。視界の端で咲夜は初めは驚いた表情を浮かべていたが、すぐに捕食者のような表情に変わる。  魔理沙の唇を開放すると、フランドールは自分の唇に指をあてて、 「パチュリーの薬は大きくなる薬じゃなくて、大きくなる魔法が使える薬なの」 とのたもうた。 「ははは」  魔理沙はレディらしくなく、ホールに座り込んでしまった。