綾香は身を凍らせていた。

自分のほんの20メートル先を歩く友人、浩之に声を掛けようとして。

その隣を歩く自分の半身である姉の存在が自分の眼球に映りこんだ瞬間。

妹である自分にさえ見せない朗らかな表情。
唇の動きは少ないが、自分の思いを伝えようとへ語りかけるその様子。
そして時折覗かせる恥じらい。

そんな姉の仕草に綾香の声帯も、筋も、瞼すら微動だにしない。

浩之と姉が二人で学校帰りに連れ立って歩くのは何度も見てきた。
そしてそこに割り込むことも一回や二回ではなかった。
その間には自分のいることが出来る空間があった。

でも、今回はその隙間に入ることができなかった。
ただ二人が笑みを交わし、語らいながら遠ざかっていくのを見ていることしかできなかった。

そして二人と自分の距離に比例するように、綾香の胸に積もっていくものがあった。

二人の姿が綾香の視界から消えた後、綾香は身を翻す。

その、彼女らしくない足取りで帰途につく綾香を見つめる視線があった。



  <StairCase>



「ただいま」
綾香は自分の家の門をくぐる。
執事やメイドが「おかえりなさいませ」と挨拶をするが、綾香から返ってきた返事ははいつもの快濶なものではなかった。
その様子に彼女のいつもの気持ちのいい返事を期待していた者たちは首を傾げる。
だが綾香は気にとめることもなく歩を進める。

その綾香は姉の部屋の前で立ち止まり、中の気配をうかがう。
そしてまだ姉が家の門をくぐっていないことを悟ると、自分の部屋の扉を開けた。

その扉が閉まるとほぼ同時に、次の帰宅の挨拶が執事、メイドの耳に届く。
それはヒトの声ではなかった。

「おかえり、セリオちゃん」
年配のメイドがその声の主に挨拶をする。
「はい」


その返事をしたのはHMX-13セリオだった。
本来セリオは高校での試験運用が終了し回収される予定であったが、綾香(達)の個人的な要望…ワガママによって長期連続運用テストの名目で来栖川家から西音寺女子学院へと通ううコトとなっている。
決定的だったのは主任の「まあ、いいんじゃないの」の一言だったらしい。

「お疲れなさい。変わったことは何かあった…」
「……、いいえ。特になにもありません」
珍しく口篭もるような口調のセリオにメイドは違和感を感じるがそのまま会話を続ける。
「そう、じゃ、今日もいい日だったのね」
「……はい……」
そして一瞬の空白の後、セリオはメイドに尋ねる。
「ところで芹香お嬢様はお帰りでしょうか?」
その唐突にも思えるセリオの質問に思わずメイドは聞き返してしまう。
「え、綾香様じゃなくて?」
「はい、芹香お嬢様です」
「まだ帰って来てないわよ。綾香様は部屋におられると思うけど」
「そう…ですか、ありがとうございます」
「いいのよ、そんなこと…」
「それでは失礼します」
セリオは一礼して、自分の控え室…綾香の隣の部屋へと向かっていった。

綾香は制服のまま、ベッドに仰向けになっていた。
なんとなく俯いていたら瞼から水滴がこぼれそうになるような気がして、帰って来てからずっとそのままだった。
そしてその間、頭を巡るのは帰り際の姉と友人の笑顔。
それだけが綾香の頭の中を占めていた。

そんな状態だったためか、しばらく自分の部屋の扉を叩く、控えめなノックに気付かなかった。

「……」
いつもの彼女ならすぐさま出るのだが、そのときは返事をする気にもあまりならなかった。
だが、いつまでも止まないノックの音にさすがに、彼女も返事をする。
「いるわよ、誰」
それでも不機嫌な声は隠せない。

「セリオです、よろしいでしょうか」
「何?お爺様が呼んででもいるの?」
「いえ、ちょっとお話しが」

セリオから話をしてくるというのも珍しいわね。
綾香はそんなことを思いながら返事をする。
「いいわよ、あ、ちょっとまって」

綾香は少しだけセリオを待たせる。
ベッドから起き上がって少し伸びをする。
そして自分の頬を軽く叩く。
「よし」
そうやって自分に喝を入れる。
「入っていいわよ」

「失礼します」
そう言って、セリオが入ってくる。
セリオもまだ着替えておらず、制服のままであった。

綾香は自分の椅子に座り、セリオにも椅子を勧める。
「いえ、このままで結構です」
「あ、そう」
セリオの返事に綾香は気のない返事する。

椅子に座った綾香と、彼女に向かい合って立つセリオ。
二人とも口を開かない。

痺れをきらしたように綾香がセリオに尋ねる。
「話があったんじゃないの?」

「……はい、そうです」
「なら、さっさと言いなさい」
「ええと、なんと言えばよろしいのでしょうか……」

セリオらしくないはっきりしない喋り方に、綾香のささくれ立っている神経が刺激される。
「何なの?」

「気を落とさないでください」
「な、何の話をしてるのよ!」
「浩之さんのことです」

綾香はそのセリオのセリフに肩を震わせながら、言葉を紡ぎだした。
「な、何でセリオ…、あなたがそんなことを…」

そんな綾香の様子を見つめながらも、こともなげにセリオは言葉を発する。
「ええ、見ていましたので」

綾香は椅子から立ち上がりセリオに詰め寄る。
「あ、あんあたね〜〜〜」
その綾香の剣幕にもセリオは動じない。
そんなセリオに綾香は視線を飛ばし続ける。

「綾香…様…」
「何よ」

「んんっ」
突然、ふさがれた唇に目を見開く綾香。
セリオは自分の唇を綾香の唇へと重ね合わせていた。

綾香はその事態を把握することができるず、セリオの唇の熱を自分の唇で感じ取っていた。
ふっ、とセリオが綾香から身を離し、それに合わせて二人の唇の距離も離れた。

「あ、あ、あ……」
綾香は意味のある言葉を発することもできず、後退る。

とん、という音と共をたてて綾香の足がベッドにあたり、綾香は自分のベッドに座り込んでしまう。
「な、何を……」

未だ混乱から回復しない綾香に、セリオが歩を進め近づいていく。
「なんで…、そんなことするのよ」
綾香はようやくその言葉だけを口から出すことができた。

「そんなことって…キスのことですか?」
セリオは指で自分の唇をなぞるように触りながら、綾香に近づく。
その発した答えも、別になんでもないことのような響きを綾香に与えた。
「せ、セリオ?何を言ってるの?あなた……」

セリオは綾香の眼前に立つ。
そして再び綾香の顔に自分の顔を近づける。

びくっ、と体を震わせて、そのセリオの動きに備える綾香。
だが、その綾香の想像に反して、セリオは自分の顔を綾香の顔の近くで静止させる。
静止したとは言っても、セリオの顔の備えられたセンサーには綾香の呼気が反応する距離である。

綾香の喉がなる。
セリオは口を開く。

「寂しいんですか?」

セリオの”疑問形”の言葉。
でも、それは疑問ではなく確認。

綾香の脳裏にあの二人の姿が浮かぶ。
表情を曇らせた綾香を見て、セリオは言葉を続ける。

「綾香様…。今だけは私に…お任せ下さい」
セリオは相変わらず表情も変えず、綾香にそのような言葉を投げかける。
綾香はまだ戸惑ったように声を上げる。
「セリオに任せるって、何を」
「綾香様のココロです」
「え?」
セリオは綾香がベッドについていた手を取ると、今まで綾香の上半身を支えていたその手がなくなり、綾香はベッドに倒れこむ。

そしてその上から覗き込むように覆い被さるセリオ。
「ダメ…ですか?」
セリオはこの部屋に入ってきてから初めて表情を変える。
それはほんの少し、の変化、しばらくセリオと付き合ってきた綾香でようやく分るほどのものであったが。

「私では…ダメですか?」
綾香はほんの少しだけ笑みを浮かべる。
「そんなことないわよ。セリオは私の大切なセリオなんだから。セリオにそんな表情されたら…ね」

「綾香様…」
セリオは右手を綾香の頬に当てる。
そして再び二人はキスをする。
今度は二人ともが望んだキス。

綾香は唇を重ねたままセリオの背中に両腕を回す。
セリオは片手では体重を支えきれなくなり、綾香の上に倒れこんでしまう。

その弾みに二人の唇は離れてしまう。
「あっ」
綾香の口から思わず声が漏れてしまう。

そのままの体勢で見詰め合う二人。
綾香の顔は赤く上気しており、セリオも顔も心なしか赤いように見える。

「綾香様…」
「こんなときに様なんかつけなくてもいいわよ」
「ですが綾香様は綾香様ですし……」
「まあ、それもセリオらしいと言えばらしいけどね」
そう言うと二人は微笑んで、更にもう一度唇を重ねる。

そして今度のキスは…

セリオは舌を綾香の口内へと延ばす。
始めのうちは綾香も歯を噛み締めて抵抗していたが、セリオの舌の動きに徐々にその力も弱まってくる。
そしてその瞬間を見逃すことなく、セリオの舌は綾香の口の更に深い部分に侵入する。

「んっ」
二人の舌が触れ合い、綾香は思わず舌を引っ込めてしまう。
が、それを追う様にセリオの舌が綾香の口の中を蠢く。

綾香の舌がセリオの舌に絡め取られ、弄ばれるかのようにセリオの舌にいじられる。
だが徐々に綾香も舌を動かし、セリオの舌に呼応するように舌を動かす。

お互いの口を貪る、ぴちゃぴちゃ、という水音が綾香の部屋に響く。
いつの間にか制服に包まれた綾香の胸にセリオの手のひらが当てられている。

セリオが軽く胸を掴むと、綾香が「ふんっ」と音が抜けたような声を出す。
セリオが胸を触る度に綾香は声を上げる。
そしてセリオを求める舌の動きが活発になる。

セリオは制服越しに綾香の胸の先端をつまむように指を動かす。
「ふぁぁん」
思わずはしたない声を出してしまい、綾香の口がセリオの口から離れる。
綾香は自分が出してしまった声に気付いて顔を紅潮させる。
そんな綾香の表情を見てもセリオは何も言わずに胸への愛撫を続ける。
綾香は「んんっ」と口から声が漏れないように耐えているが、次第に目が潤んでくる。

セリオは綾香の首筋に口付けをすると、「んっ」と綾香が少しくすぐったそうにする。
セリオは「ちゅ、ちゅ」と綾香の首筋から綾香の耳の周りまでキスを続ける。
「セ、セリオ〜〜……」
綾香が何かを訴えかけるような声でセリオを呼ぶが、セリオは主人の声に耳を貸さず、首の裏側にまで口付けをする。

セリオは綾香の背中に腕を回す。
「ひゃ」
綾香はビックリしたような声をあげるが、セリオはそのまま綾香を背中から抱きしめるようにして、横に寝かせる。
そしてそのまま綾香の両胸に手を這わせる。
「んんんんぁ、ぁぁぁぁぁ」
綾香の口からくぐもった声が漏れてくる。

「ひゃっ」
綾香は突然のスカートの中に感じられた感触に驚く。
セリオの手が下着越しににではあるが、綾香の秘所に当てられていた。
「ん、あっ、セ、セリオ…」
「綾香様…、センサーに湿度が感じられますね」
「ふぁ、なんてこと言うの、っ」
綾香が言い終わるのを待たずに、セリオは綾香の秘所にそって指を滑らせる。

「あ、んっ、あっ」
セリオの指の動きに同期するように綾香の口から媚声が漏れ始める。
セリオはもう一方の腕で、綾香のスカートに収められたシャツを取り出す。
そして直接綾香の腹部、そして胸部へ指を這わせる。
「んんんっ」
綾香はくすぐったそうな声を出すが、セリオの指がブラジャーにたどり着いたときには体をこわばらせる。
そして綾香の胸がシャツの中ではあるが、重力に晒される。

セリオは束縛から放たれた綾香の乳首をそっと指でつまむ。
「ひゃんっ」
びくん、と綾香の体が跳ねるように反応する。
セリオは後ろから、でも綾香の胸と秘所からは指を離さないように、抱きしめる。

セリオは綾香の胸を刺激する。
しかし乳首には直接触らず、その周りをなぞるように、揉むように刺激する。
秘所への刺激も、決して激しくはせずに、しかも最も感じる部分は触らずに愛撫する。
そんなセリオの愛撫にも綾香は「んんん、ぁ、んんんぁ…」と何かに耐えるように我慢しつづける。

「綾香様…」
苦しそうにも見える綾香の姿にセリオは主人の名前を呼ぶ。
だが、その間も指の動きは止めていないために、綾香はセリオの呼びかけに応じる様子もない。
ただ耐えるのに精一杯なのか、セリオの呟きにも近い呼びかけが聞き取れなかったのか。

セリオは軽く綾香の首に噛み付く。
それと同時に綾香の乳首をきつめに捻るあげる。
「あぁぁぁんっ」
綾香の口が開け放たれ、嬌声が綾香の部屋に響く。

「ぁぁぁぁ……」
綾香は自分の声を途中で断ち切って、再び口を閉ざす。
「綾香様…、我慢しなくて結構です」
そう言ってセリオは、綾香の秘所を愛撫していた指を下着の内側に滑り込ませる。
「きゃんっ、セ、セリオ、や、止めっ、んっ」
綾香は自分の未開地への刺激に言葉を失ってしまう。

「ふぁぁ、んんぁ、んん」
セリオのその愛撫はまだ優しいものであったが、そんな刺激にも綾香は体は反応してしまう。
その綾香の様子を見て、セリオはリミッターを外すかのように、徐々に綾香への刺激を強くしていった。

「んん、はぁぁ、んんっ、あぁぁぁ」
セリオが乳首や秘所の最も敏感な部分に指を這わせるたびに、綾香の口からは鋭い声が飛び出る。
「あぁぁ、んんんんん、あ、あぁ、あぁ」
そして秘所を強くなぞるように指を動かすと、綾香はその感触に体を震わせる。
「ふぁぁぁ、セ、セリオォ……」
綾香がもの欲しそうな目でセリオの瞳を見つける。
「んっ」
セリオは綾香に口づけする。
「んっ、んっ、あっ、んっ」
今回は綾香も積極的にセリオの唇を味わう。
二人の舌が絡み合い、そして離れて、唇を噛む。
その間もセリオの指は休まることを知らない。

「ふぁぁぁぁ」
綾香は声を上げるたびにシーツをしっかりと掴む。そうでもしないと自分がどこかへ行ってしまうのではないかと思っているかのように。
そしてもう一方の手はいつの間にか、綾香自身の膨らみ、セリオの手の及んでいない胸を自分でいじり始めていた。
「ふぁ、あ、セ、セリオ…」「はい、綾香様」
自分の名前を呼ばれ、普通の返事をしてしまうセリオ。
だが、そんなことにも綾香は構わず、自分の言いたいことを言う。
「ふぁ、いいよ。セリオ…」
いつもの主人には見られない、その淫蕩な表情にセリオの声にも熱いものが含まれているような感じがしてくる。
「はい、では、もっとして差し上げますね」
セリオはそう言って、綾香の秘所への刺激を急激に強める。
「ふぁぁぁ、あぁ、ぁぁあああぁ…」
それに呼応して綾香の声も抑制のないものになっていく。
しかし、綾香はその快感の一部も自分でしている胸からも来ていることを失念し始め、既に全ての刺激を貪欲に吸収し様としている。

「ふぁぁぁ、セ、セリオぉ…、私…、ふぁふぁ、んあぁ」
「綾香…様…」
「ふぁぁぁ、ぁ、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
綾香が今までで一番長い嬌声と共に、体を軽く痙攣させる。
「ヤってしまわれましたか」
セリオが呟くように主人の状態を口に出す。

「はぁはぁはぁ」
綾香はそんなセリオの言葉も耳に入らず、セリオに抱かれたまま肩で息をしている。

セリオの唇が笑っているような動きを示す。
しかしそれも一瞬で、綾香の秘所をいじっていてそのままだった手を動かす。
「ふぁあっ」
そんな動きに綾香は敏感に感応してしまう。

セリオはその手を使ってそのまま、既に下着としての機能を果たしていない布地を下していく。
「あっ」と、綾香は言うが、特に抵抗する素振りは見せない。
そして、そのその布地は足から抜け落ちベッドに落ちる。
その様子を綾香はあまり焦点の合っていない目で見つめる。

セリオはそんな綾香の頬にキスをする。
「んっ」
綾香はそのキスを目を閉じて受け入れる。
そして、その目じりに生じた涙をセリオはキスをして吸い取る。
唇にも軽いキス。
額にもキス。


綾香は目を開いても、熱を持ったような表情で茫としている。

セリオは綾香を抱きとめていた両手から、綾香を解放する。
綾香は少し寂しげな表情をするが、セリオが綾香の腰のあたりを触るのを感じて少し嬉しそうな表情をする。
セリオがその腕に力を掛けて、綾香の体勢を変えようとすると、綾香は静々とそれに従って、ベッドにうつ伏せになった。
ただし、ただベッドにうつ伏せになったのではなく、少し腰を突き出した扇情的だった。
綾香は恥ずかしそうに、シーツに顔をうずめている。

セリオは綾香のスカートをめくり、秘所から菊座まで露わになった綾香の股間を眺める。
そしてすっと、中指一本で綾香の秘所を一回擦る。
「ひぃんっ」
まだ先ほど達した余韻が残っているのだろう。シーツを通して、綾香のくぐもった声が聞こえる。

セリオは躊躇せずに、綾香の秘所に顔を近づける。
そして綾香の秘所に舌を這わす。
「ひゃ、セ、セリオっ」
その感触に驚いたのか、綾香が身を捻らせて、自分の下半身を見やる。
「あ、や、止めないっ」
と言いながら、綾香は身をくねらすが、セリオは綾香の下半身を腕で固定しているために、あまり効果がない。
セリオが舌をすぼめて、綾香の中に舌を入れると、綾香は力が抜けたのかのように、再びベッドに上半身を埋める。

セリオは綾香の秘所をかき回すかのように、舌を動かす。
そのたびに綾香の口からは嬌声が漏れる。

「ふぁぁぁ、んぁぁぁ、ふぁんっ」
快感と自分の痴態に綾香は目に涙を浮かべている。
ただし、その瞳に拒むような光はない。

セリオが綾香の秘所から口を離すと、セリオの口の周りは綾香から分泌された液体で濡れている。
綾香も口でシーツを咥えて耐えていたが、自然に出てくる涎でセリオと似たような状況であったが。

セリオはそのまま綾香の秘所の直ぐ上にある、不浄の窄まりに顔を近づける。
「ダ、ダメ、そっちは、絶対…」
綾香はその気配を察知して拒もうとするが、セリオの動きは止まらない。

「……、ふぁぁぁぁぁぁぁ」
セリオの舌が綾香の菊座に達すると、綾香は大声を出す。
その声には嫌悪感が大勢を占めていたが、快感を期待する響きを含まれていた。
「ひぃぃぃぃんっ」
セリオが綾香の菊座に舌を這わせるたびに、綾香は言葉にならない言葉を吐き出す。
だが、徐々に、徐々に、その声の大きい部分を快感ともつかないものが占めるようになってくる。

セリオは綾香の足を抑えていた片手を綾香の秘所に伸ばし、口と指で、それぞれ菊座と秘所を刺激し始める。
「ふぁあぁぁ、んんんんっ、あ、んっ、ひゃぁぁんっ」
綾香の秘所から分泌される液体は既に綾香の太ももを濡らし、更にはベッドにまで達している。
セリオはそれを指で掬い取り、綾香の菊座に塗りこむ。
「んんんん、ぁっ」
そして段々と綾香の菊座を舌と指、セリオの唾液と綾香自身の分泌液を使ってほぐしていく。
「ふぁぁ、んぁ、ぁぁぁ」
綾香の声も大分艶っぽいものになってくる。

綾香の様子を見て、セリオは綾香の股間から顔を離す。
「……」
そんなセリオを綾香は涙を浮かべた瞳で見つめる。

セリオは自分のスカートの中に手を差し込む。
そして、白い下着が綾香のもののようにベッドに落ちる。
セリオはそのまま綾香に馬乗りになる。

「?」
綾香は違和感を感じる。
「セ、セリオ?」
「なんでしょうか?」
「何か当ってない?」
「何かともうしますと…」
そう言ってセリオがスカートをめくる。
「………!」
綾香は声もない。
「これでございましょうか?」
「……」
綾香はただ頷くしかない。

そこには本来女性の体…を模して作られたメイドロボ…にはありえないものがあった。
屹立した男性器…とは言っても、リアルなものではなく、かなり簡略化されたものではあったが。

「な、な、な、な……」
綾香はその予想だにしていなかった事態に身動きをとることも出来なくなっている。
そして、そんな綾香をセリオは後ろから抱きしめる。

綾香は背中にそれが当るのは気になるが、セリオが再び秘所への愛撫を再開したため、そちらへと神経が集中してしまう。
「ふぁあぁ、セ、セリオぁ、な、なんなの…」
それでも綾香は疑問を口に上させる。

セリオはその問いには何も答えず、綾香の体中を愛撫する。
「んんっ、ふぁぁ、…、むむっ、あっ」
セリオの指先と綾香の敏感な部分がふれあうたびに綾香の口からあさましい声が漏れる。
綾香自身も、自分の胸を再び愛撫しはじめる。
「ひぃ、んぁ、あぁぁぁぁ」

セリオは突然、綾香を押し倒し、再びうつ伏せにさせる。
その体勢にされて、綾香には予感があったようだ…。
綾香は大きく息を飲む。
セリオは後ろから綾香の秘所へと、セリオの股間のモノを近づけていく。
そしてそれが綾香の秘所へと触れた瞬間、綾香の中から何かが堰を切ったように溢れ出す。

「ひ、浩之…」
その名前と共に、綾香の瞳から数筋の涙が零れる。
その名前が出てくることが分っていたようにセリオは口を開く。
「やはり、浩之さんが好き…なんですね」
「……」
何も言わずに、ただ頷く綾香。

「大切なものは浩之さんに取っておきますか?」
「……」
再び無言で頷く綾香。

セリオは綾香へと体を近づける。
「あぁ……」
「綾香様…ご安心下さい…」
そう言ってセリオは自分の股間にあるものを、綾香の菊座にあてがう。

「ひゃぁ、そ、そっちは!」
「力を抜いてください」
「ん、ん、あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

セリオが体を前にかがめると、セリオのそれが綾香の蕾の中に沈みこんでいく。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
セリオのそれが外界から身を隠していく毎に、綾香は苦悶の表情を浮かべながら、息を吐き出しつづける。
そしてセリオのそれが綾香の体内に全て収められると、綾香は大きく深呼吸する。
「あぁぁ、はぁぁぁぁぁぁぁ。セ、セリオ〜〜〜、ひどいじゃない……」
綾香の涙目の抗議に、セリオはそ知らぬ顔をする。

「綾香様、どこか痛いところはございますか?」
「い、入れてから聞かないでよ……。そんなこと…。
 ん、大丈夫…、みたい」
「そうですか、安心しました」
セリオは後ろから綾香を抱きしめる。
自分の体内でものが動く感触に、綾香は「んっ」と声を漏らすが、しばらくすると力を抜く。
二人はしばらく何も言葉を交わさず、じっとしている。


「綾香様…、そろそろよろしいでしょうか?」
「んっ、や、優しくしてよね」
「はい、もちろんです」
セリオはにこりと微笑んだような表情で返事をする。

セリオは綾香に密着させていた体を引き剥がす。
そして、綾香の制服を捲り上げる。
急に外気に晒されて、綾香の体表の汗が気化し、綾香の体から熱を奪っていく。
その冷気に綾香はぶるっと体を震わせる。

セリオが綾香の体内に収めていたものを徐々に引き抜いていく。
「ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁ、ぁ」
セリオと綾香の距離が離れるたびに、綾香の口から全身から搾り出すような声が漏れる。
「ぁ、ぁ、ぁ、ううぁ」
綾香の体内からセリオのものがほぼ全て抜けると、セリオの動きが一旦止まる。
「ふぁぁぁ、あぁっぁぁ」
そして綾香の体内に収めなおされるように、セリオが身を進める。

その自分の体内の異物感とそれによってもたらされる感覚に、綾香の瞳からは涙が止まらずに流れつづける。
「ふぁぁ、あぁぁ」
そして再び、綾香の臀部とセリオの腰が密着する。
そして繰り返されるその抽送。
その排泄にも似た感覚に、綾香の脳内に熱いものが滲み出す。
「ひぃんっ、ぁ、ひぃ、ぃ、んっ、んっ、んっ、あぁ、ぁ、んっ、あぁ」
そして綾香の声の中に甘いものが混じり始める。

それを確認したセリオは、徐々に動きを早めていく。
「ひぃ、あ、セ、セリオッ、んっ、あっ、や、止めっ」
言葉では嫌がってる綾香だが、その口調に初めのような苦痛の色は見られない。
セリオは構わずに綾香の中をかき回すように腰を動かしつづける。

「あ、あぁ、かはぁ、あぁぁぁぁ」
セリオが腰を引き、セリオのものが綾香の窄まりを押し開くように出てくるときに、綾香は嗚咽にも聞こえる声を上げる。
「綾香様…」
セリオはじっとりと湿った綾香の臀部を撫でながら、主人の名前を呼ぶ。
「ふぁぁぁ、セリオ……」
綾香はセリオの名前を出す。
そして自分の名前が呼ばれるのに合わせるように、セリオは自分のものを綾香の中をかき混ぜるように押し込む。
「ひゃぁぁぁぁぁ、ぁぁぁあああぁぁぁぁぁ」
その刺激に綾香は明らかな歓喜の声をあげる。

セリオは挿入したまま、綾香を後ろから抱きかかえるようにして自分の腰の上に座らせる。
セリオの目の前にある綾香は熱に浮かされたような表情で、目からは涙を、口からは一筋の涎を流している。
その口筋の涎をセリオは指で掬い取る。
そしてそのままその指で、綾香の秘所をなぞる。
「ひゃぁぁ、や、ぁ、一緒になんて…、ふぁあぁ」
綾香はセリオの上で体をくねらせるが、そうすることによって一層綾香の中に収まっているセリオのものが綾香の中を暴れまわる。
「ひゃん」
そして大人しくなると、セリオの秘所への愛撫でまた翻弄されてしまう。

「ひゃぁぁぁ、んんぁ、あぁ、あぁ」
セリオが自分のもので綾香の腸内をかき混ぜながら、綾香の手を取る。
「ふぁ?」
そして綾香の手を綾香自身の胸へと誘導する。

「え、あぁ、ぁ……」
綾香は自分でするには羞恥心が一時的にも蘇ったのか、自分の胸をじっと見つめている。
セリオはそんな綾香を促すかのように、腸内へと秘所への刺激を再開する。
「ふぁぁぁ、んあっ、あぁぁ、んん、あぁ」
綾香も始めは胸を軽く揉むだけだったのが、のってきたのか徐々に乳首をいじったり、胸を強く揉んだりし始める。

セリオが綾香を突き上げるように、腸内をえぐるごとに、綾香は声を上げて啼く。
綾香はいつの間にか、自分の秘所をセリオの指と一緒にいじり始める。
「ふぁぁぁ、ぁ、ぁぁぁ、ふぁぁぁぁ、い、いい…」
綾香はそこをいじっているのがセリオなのか、自分なのか、既に判断力を失い始めている。
セリオが両手で綾香の体を動かすのに、専念しても、綾香の口からはセリオの名前が飛び出る。
「あぁぁ、セ、セリオォ、もっと……いじって……、んっ、あぁぁ」
セリオは更に抽送を速める。
「ひぃあぁぁ、ふぁぁ、ん、ぁ、いいの、お尻熱い…裏返りそぉぉぉ、あぁぁぁ」

「綾香様……」
「セリオ、んんんん、ぁ、もっとして、お願い…、熱いの、ふぁぁぁ」
「はい…」
セリオは綾香の感じるように、腰を動かす。綾香の腸壁を征服するかのようにその中をかき回す。
「ふぁぁぁぁ、ぃぃぃんっ、ふぁ、あぁぁ、あ、熱い…、ぁ、熱いのぉ」
綾香は既に弛緩しきった表情でセリオのものを貪る。
「んんん、ぁぁぁぁぁ、ふぁぁぁ」
自分から動き始めて、自分がもっとも感じる様に動く。
そして両手は胸と秘所にあてがわれ、自分を更に高みに至れるように感じる部分を潰すように指ではさむ。

「ふぁぁぁ、あぁぁ、あんっ、ぃぃの…、ふぁぁぁ、セリオ、お尻……熱ぃぃ」
セリオはベッドに綾香ごと倒れこみ、綾香の中に急激に挿入する。
「ひゃぁ、あぁ、あ、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁ…」
その衝撃で綾香は体を震わせて、達する。

そして綾香はセリオの腕の中で眠りに落ちていった。


「んあ?」
綾香が目を覚ますと、後ろから誰かに抱きつかれている。
「セ、セリオ?」
「お目覚めになられましたか?」
そしてその瞬間、綾香は自分の服装、あられもない様の制服の有り様に気付き、そして何があったか思い出す。
「……」
そしてそのまま赤面して黙る。
「綾香様……、シャワーを浴びられてはどうですか?」
「そ、そうね」
綾香は動揺をできるだけ隠そうとしながら立ち上がろうとする。
「ひゃ」
が、腰が動かない。
「どうかなされましたか?」
「いや、ちょっとね…」
再度立ち上がろうとするが、やはり立つことは叶わなかった。

「綾香様…大丈夫ですか」
既に立ち上がって、服を整えたセリオが尋ねる。
「誰のせいだと思ってるのよ」
綾香が頬を膨らませて言うと、セリオが応える。
「私の責任ですね」
「そうよ」
「じゃ、シャワー室までお連れしますね」
そう言ってセリオは綾香を持ち上げる。
「い、いいわよ〜」
「そうですか」
そう言われてセリオは綾香をベッドに戻す。

そして二人の間に沈黙が漂う。
「ねぇ」
「はい、なんでしょうか」
「私、やっぱり浩之のこと…好き…かもしれない」
「……」
「だから、セリオ…」
「はい」
「これからも、友達として応援してね」
「いえ、綾香様は私のしゅ…」
「と・も・だ・ち・よ」
「はい」
「だから…まずはシャワー室まで連れてって」
「了解しました」



初出 2001/03/27

 ああ、予想以上に長くなってしまいました。内容が趣味に入りまくってると長くなってしまいますね。プレーンテキストで24KB…。

 なんというか、書いてる途中で、セリオ×綾香から綾香×セリオに移行しそうで何度も軌道修正。


しばらく一言も発していなかったセリオが、手で綾香の胸への愛撫は続けながら、口を開く。
「綾香様…、気持ちよろしいでしょうか」
「な、な、な、何を聞いてるのよ、アンタは!」
綾香は思いっきり裏返った声を上げる。
「すいません…、『気持ちいい』というのが良く分かりませんので……」
「もう、そんなんで、人を気持ちよくさせようなんて……」
そう言って、口元に笑いを浮かべながら、綾香は自分の体を回転させ、セリオを向かい合う。
「さぁ、セリオ…」
そう言いながら綾香はセリオと唇を合わせる。そしてお互いに手を延ばして、お互いの胸を愛撫する。

しばらく二人は互いの胸の柔らかさを自分の手のひらで、お互いの唇の感触を自分の唇で感じていたが、綾香が口を開くことによってそれは中断される。
「どう、どんな感じ?」
「は、はい。なんとなくですが…、綾香様に触れていただいている部分から、私の体内に熱が拡散している感じです」
「そうね…、そんな感じよね」
「なんとなく、ですが、分ったような気がします」
「そう…、んっ」
セリオが再び綾香への愛撫を再開する。
「んんん」
いいかも。綾香はそんなことを思いながらセリオの愛撫を受け入れる。
徐々にその手の動きは拙さが消えて、綾香は自分の体の芯が熱くなってくるのを感じていた。


しばらく二人は互いの胸の柔らかさを自分の手のひらで、お互いの唇の感触を自分の唇で感じていたが、綾香が口を開くことによってそれは中断される。
「どう、どんな感じ?」
「は、はい。なんとなくですが…、綾香様に触れていただいている部分から、私の体内に熱が拡散している感じです」
「そう…ね、で、セリオはもっとして欲しい?」
「え?……」
セリオはしばらく黙っている。そんなセリオの様子を綾香は楽しそうに見ている。
そしてセリオが再び口を開く。
「はい、綾香様に……もっとして欲しいです」

綾香は喜色を浮かべてセリオに抱きつく。セリオもその背中に両腕を回して綾香を抱きしめる。
「綾香様…」
「ん、なに?」
「いつも、いろいろと教えていただきありがとうございます」
「はぁ、どういたしまして」
こんなこと教えてありがたられてもね〜、と思いながらも綾香は一応そのセリオのお礼に応える。


 とか。これはこれでいいんですけど。

 ちなみに今回は比較的無表情なセリオがモデルです。最近主流の表情豊かなセリオもいいんですが…。そう言えば、珍しくというか、初めてなんですが、三人称で書いてみました。 エロシーンは三人称の方が楽ですね。別に何かを狙って三人称にしたわけではないんですが。ただなんとなく…です。

 補記的に…。一応こんな設定でした。作中で言わせたかったんですが、雰囲気を残すために


「はい、綾香様の御疑念ももっとものことと思いますが、HMXシリーズは様々な状況に耐えられるよう多種多様なオプションも同時並行で開発されていました。その一環がコレです。もともとメイドロボは女性形である必然性はなく、男性形の需要もあると考えられますし…」
「え〜〜〜〜と、それはともかく、前に一緒にお風呂に入ったときは…」
「あくまで男性器を模して作られていますので、メイドロボ内のリミッターが外された場合のみ作動する仕様になっております」
「つまり…………と一緒なワケね」
「はい、概ねそのようになっております」


 

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