俺はその涙にうろたえた。
その涙は俺とあいつにとって、
なんだったんだろう。
そしてあいつとの口づけ。
彼女の唇は、
懐かしかった。
<裏TFP Ver.2>
あいつの突然の行動に俺の頭は思考停止に陥る。
俺は声も出せず、指一本動かすことさえできなかった。
あいつが俺の唇から自分ものを離して、ようやく俺は口を開くことができたが、俺の口から出た言葉は、
「お、おい…」
という何の意味もない言葉だった。
あいつはそのままうつむいてしまい、俺から表情をうかがうことはできない。
「お、おい」
再度の呼びかけにもうつむいたままで何も応えようとしない。
俺はあいつの肩に右手をかけ、問い詰める。
「いったい、どうゆうつもりだよ」
だが、あいつは一向に顔をあげようとしない。
俺もあえて、あいつの顔を見ようとは思わなかった。
というより、彼女がどんな表情をしているか見るが怖かった。
俺は両手を肩につき、揺さぶる。
「いったい、どうゆうつもなんだって行ってるだろうが」
その問いからわずかな間をおいてようやく言葉を返してくる。
「知りたいか?」
そのうつむいたままのあいつからの要領をえない答えに、俺はキレる。
「だから、知りたいっていってるだろう!」
「そうか…」
そうあいつは答えて、俺に全体重をかけてくる。
突然のその動きに対応できず、俺は彼女の体を抱え込んだまま、畳に倒れこんでしまう。
「いてぇ…」
「このくらいで痛がってどうする。流刑体と戦っているときはこんなもんではないだろう」
「てめぇ」
俺の激昂したセリフはあいつの唇によって妨げられる。
「んっ」
今度のキスはさっきのキスよりも、長いキスだった。
ふあぁ、とあいつが唇を離す。
「お、お、な、なに、を、い」
俺はすっかり動揺してしまい日本語が口から出てこなくなる。
「いったいどうしたといんだ。まさか始めてだから、とか言うんじゃないだろうな」
「ば、馬鹿野郎。そ、そんなことじゃ」
また、唇を唇で塞がれる。
今度はあいつの舌が俺の唇を割って、俺の口の中に入ってくる。
今度も俺は何もすることができずに、俺の口はあいつの舌によって蹂躪される。
あいつの舌によって、俺の舌が絡め取られる。
俺の舌をもてあそぶように、あいつの舌は動く。
あいつは目をつむったまま、そのことに没頭しているかのように見える。
俺はただ眼前にあるあいつの顔を見続けていた。
その俺の視線に気付いたあいつは、笑う。
笑われた。
だが、その時の笑みはいつものからかいを含んだ笑みとは違っていた。
あいつは俺の口から唇を離す。
俺とあいつの口の間に糸が引くが、ぷつっと切れる。
そして俺の股間にあいつの手が触れている。
「お、おいっ」
「ふっ」
あいつは俺の唇をもう一度奪う。
そして俺のズボンのジッパーが開けられる。
俺の口の中に再度あいつの舌が侵入してくる。
今度は俺もあいつの舌の動きに合わせるように、舌を動かす。
俺があいつの舌の感触を感じていると、あいつは手を更に動かしている。
気がつくと俺のズボンだけでなく、パンツまでおろそうとしている。
「や、止めろって」
俺がそれを制止しようとするが、俺はあいつの前に俺のものを晒すこととなる。
あいつはちょっと俺のものを凝視した後に、俺のものに顔を近づける。
俺はそのことを把握しきれず、俺のものにあいつの顔が近づいていくのを見ているだけだった。
あいつはそのまま俺のものに口をつける。
「んっ」
その温かく、ぬめった触感に俺は思わず、声を漏らす。
ぴちゅ
俺のものがあいつの口内に包まれる。
最初は半立ちだった俺のものは既に直立している。
俺のものに口をつけているあいつなど想像もできなかった俺はあいつが俺のものに舌を這わせているのをただ見ているだけだった。
そして、あいつは次第に手も使って、俺のものに刺激を与えてくるようになる。
俺は腰が痺れるような刺激を覚えながらも、あいつが俺のものを口に含んでいるという、光景を眺めている。
ぴちゃ ぴちゃ 「んっ」 ぴちゅ ぴちゅ
俺のものはそのあいつによって与えられる刺激によって、既にびくびくと脈動している。
その様子を見たのか、あいつは俺のものから口を離す。
そして、あいつは何も言わずに立ち上がり、自分の着衣を一枚一枚剥いでいく。
徐々に露わになるあいつの裸身に俺の視線は動かせなくなる。
あいつの体の形成するラインは俺が今まで見たものの中でもっとも美しいものだった。
あいつは最後の一枚を脱ぎ、俺に近づいてくる。
俺は息をするのも忘れ、あいつの方を見続ける。
そしてあいつは俺の肩に手を掛けて、俺のものを確認して、腰を落とし始める。
その時になって俺は始めて、あいつの手が震えているのに気付く。
あいつは…俺の母親の記憶は持っている。
だが、あいつ…やよいはやよいだ。
やよいの顔を見ても、やよいがどうゆう心境であるかを推し量ることはできなかった。
だが、俺は俺の肩に置かれたやよいの手に、自分の手を重ねる。
そして、腰を俺のものに降ろそうとしているのを中断し、俺の顔を見るやよいの唇に、初めて自分からキスをした。
やよいは、泣きそうな、嬉しそうな顔をする。
俺はそんなやよいを見て、思わず両手で抱きしめる。
しばらくそうしてやよいの体温を感じたあとで、俺は口を開く。
「なあ、もういいかな。俺、我慢できそうになくてな」
やよいの表情は見えなかったが、うなずいたのは分かった。
俺はやよいを抱き留めていた手を下に動かし、やよいの腰を押さえる。
そうしてやよいを持ち上げるようにして、位置を定める。
俺のものの先端がやよいにあたる。
「ん、もう少し下だ」
やよいが言う。
俺はやよいの言う通り、やよいの体ごと動かす。
「ん」
やよいはそれだけを言う。
ここか。
俺はゆっくりとやよいの体を俺の腰に降ろしていく。
「んんん」
やよいが痛みをこらえる。
俺は一気にやよいの体を落とす。
「んっ」
やよいが俺の腕の中で体を震わせている。
「あ、おい、痛かったよな、スマン」
俺が謝ると、俺は俺の胸に水滴があたるのに気付く。
「お、おい。泣くほど痛かったか?」
そう俺がうろたえて聞くと、やよいは顔を上げる。
その頬には涙が流れていたが、顔には喜色が浮かんでいた。
「定光…」
俺はやよいにキスをして、もう一度やよいを抱きしめる。
お互いに抱きしめあいながら、唇を求め合っていたが、しばらくしてやよいが口を開く。
「もう、大丈夫だ…」
俺はその言葉にうなずくと、ゆっくりと腰を動かし始める。
初めのうちはやよいの中は動きにくかったが、徐々に体液が分泌され動けるようになってきた。
それに従い耐えるような表情を見せたやよいも徐々に表情が緩んでくる。
俺はやよいの胸に手を当て、もみ始める。
「あっ、んっ」
やよいが声を上げ始める。
その声に俺の神経は沸騰するように熱くなり、体の動きを速くする。
「んっ、んっ、んっ」
やよいが我慢するような声をあげる。
俺はやよいを床に組み敷き、床に手をついて、やよいへのに腰を叩き付ける。
「んっ、んっ、んっ、んっ」
やよいは自分の指を噛み、声をあげないようにしている。
「おい、我慢しなくていいんだぜ」
「何を言っている。下に誰がいると思っている」
何を今更、第一お前が…、と言おうと思ったが止めた。
「んふっ、んんっ、んっ、あっ」
それでも徐々に我慢しきれずに、弥生の声に高いものが含まれてくる。
俺も限界が近づいてくる。
「んんっ、ふっ、んんっ、つっ、さ、さだみつ…」
やよいが涙をこぼしながら俺の名前を呼ぶ。
「やよい」
俺もやよいの名前を耳元で囁いて、最後の一突きをやよいの一番奥深いところに突き立てる。
「んんん、んんんんん〜〜〜〜〜〜」
俺が囁いた瞬間、やよいの中が締まる。
「うっ」
それによって俺のものも限界に達する。
俺のものが脈動し、やよいの中に、俺の体液が注ぎ込まれる。
「あっ」
それを感じたのか、やよいが切なげな声をあげる。
その声を聞いて、俺のものはもう一度大きく震え、更にやよいのなかに俺のものが注がれる。
俺がやよいの中から俺のものを引き抜くと、俺のものはやよいの破瓜の血と、俺の体液でピンク色に染まっている。
「なあ、やよい」
俺が名前を呼ぶと、やよいは顔を赤くする。
「くっ、くっ、くっ」
俺はそれを見て笑ってしまう。
やよいは怒ったように口を開く。
「終わった後に笑うとは失礼な奴だ。こうゆうときは…」
俺はやよいの言葉を遮るように、唇を俺のものでふさいだ。
やよいも目をつむって、俺のキスを受け止めた。
初出 2000/10/21
まあ、いろいろありました。1/3くらい書いてあったのを放っておいたら、単行本の3巻の発売日ということに気付き、急遽書き上げようとして、8割方書いたことろでデータが飛んで、もう一度書き直して、アップしようとしたらタイトルを決めてなくて、それで悩んだり。「やよい」が平仮名だか漢字だか忘れて、一回間違えて、全部漢字に直してしまったり。
そういや、数日中に改訂するかも、です。