目が覚めると、俺は木偶になっていた。 「なんだよ、これ」  真っ暗な部屋の中で俺は体を動かそうとするが、ベッドの上で寝たままで手足はほとんど動かない。最初は金縛りかと思ってしまったけど、そういうわけではなくて、ただ何か紐のようなもので縛られているだけみたいだが。  こんなことをするのは…… 「真琴っ!いるんだろ、さっさとほどけって……」  俺が言い終わる前に、部屋の明かりが点き、俺はその眩しさに思わず目をそらしてしまう。 「いい格好ね、祐一〜〜」  声の主はやっぱり真琴だった。真琴の指先は電灯のスイッチに掛かっていた。 「やっぱり真琴か……。もういいだろ、怒らないからさっさとほどいてくれ」 「イヤ」 「……」  怒るな、祐一。さすがに、縛られたままはシャレにならない。 「なあ、ほどいてくれよ。もう十分だろ」  そう言いながら俺はなんとか体を起こそうとするが、途中で引っかかってベッドに引き戻されてしまった。俺の体は縛れてるだけじゃなくて、更にベッドのどこかに固定されてのかもしれない。 「おい、真琴。ちょっとやりすぎだぞ、これは」 「いいのよ、だって祐一だもの」  そう笑いながら、真琴は俺の方に近づいてくる。  俺の脳が警告する。さすがにこの状況では何をされても抵抗できない。というか、こんな状態になるまでなんで、俺は目を覚まさなかったんだ。  俺は自分の迂闊さを呪っていると、いつの間にかベッドの脇に立っている真琴に見おろされてしまっている。 「いい眺めね、祐一をこんなに見おろせるなんて」 「ああ、最悪だよ」 「あ、いいの、そんなこと言っちゃって〜」 「うっ」  確かにこの状況はマズイ。例え大声で叫んだところで名雪は起きないだろうし、こんなことで秋子さんを呼ぶわけにも……。なんとかここは真琴を言いくるめてどうにかせねば。  明日肉まんをおごってやるべきか、それともマンガを買ってやることにするか。それとも、きつく怒るか。でもそれでほどいてもらえないと、朝までこの格好か。やっぱりもので懐柔するしかないか。  そんなことを考えていると、ギシッとベッドがきしむ。 「なっ」  真琴がベッドに上がってきている。何をする気だ? 「ふふふ〜〜」  真琴が笑みを浮かべている。この笑みは何か企んでいる笑みだ。まだ何かをするつもりなんだろう。早めに懐柔しないとまずいことになりそうだ。 「お、おい。なあ、明日……」  真琴に話を持ちかけようとしたが、それは真琴の手が俺の股間にあてがわれてきたことで途切らせてしまう。 「な、何を……」  真琴はさっきの笑みを浮かべたまま、俺のペニスをパジャマ越しに握ってくる。 「あ、もう、固くなってきてるんだ」  真琴にそう指摘されて俺のペニスは真琴の手の中でビクッとしてしまう。 「や、やめろっ。ま、真琴っ。何の真似だよっ」  俺はできるだけ体を動かして逃れようとするが、縛られているためにほとんど抵抗できない。それでも少しは動けるので、体をできるだけねじって、わずかでも真琴から体を逸らそうとする。 「うるさいわね〜。じっとしててよ〜〜」  そう言って、真琴は枕もとに置いてあるティッシュの箱から、何枚かティッシュを抜き取って俺の口に詰め込んでくる。 「…っ……っ………っ……」  俺はそんなことをされて、体を動かすことも止めてしまう。 「うん、静かになったし、大人しくもなったわね。じゃ、しばらくそのままでいてね〜」  そう言いながらも真琴は俺の口に突っ込んだティッシュを手で押さえている。  鼻で息をすることはできるが、喉の奥にまで入ってきそうなティッシュで俺はむせそうになるのを耐えるので精一杯だった。  そんな俺を見て笑いながら、真琴はもう一方の手を俺の下着の中に入れてくる。 「……っ……」  そのにあるのは真琴に触られて大きくなりつつあった俺のペニス。そのペニスが真琴の指に握られてしまう。  ゆっくりと撫でるように真琴の指が俺のペニスを擦る。 「何、こんな状況で大きくしちゃって。祐一ってこうゆうのが好きなのね〜」 「ん……ん……」  違う。俺は精一杯の抵抗として首を振ったけど、真琴は気にも止めていないみたいだった。 「それにこっちも好きなんでしょ?」  そう言って、真琴の指はペニスを握っていた指を離す。真琴の指から解放されたペニスが俺の下腹部を叩く。そしてその指はもっと奥の方、俺のアナルに近づいてくる。 「ここね」 「っ……!」  俺のアナルの表面に真琴の指が触れる。俺は思わず体を震わせてしまう。 「何よ、そんなに気持ちいいの?触っただけよ、まだ……ね」  ただ触られただけだったので、気持ちいいとかそういった感覚はなかったけれど、それでもそれだけで俺のペニスも微妙に反応してしまう。 「ね……祐一って……」  真琴が俺の耳元で囁きながら、指先で俺のアナルの表面を弄ってくる。 「……っ……んっ」  俺は口にテッィシュが詰め込まれていなかったら、思わず叫んでしまっていただろう。俺のアナルを撫でるように真琴の指が這いまわっている。 「ここが気持ちいいなんて、祐一って変態よね」 「ん……ん……」  俺は背筋を這い上がってくるその感覚に耐えながら、首を振って否定する。そうしないと自分がダメになってしまいそうだったから。それでも真琴は追い討ちを掛けるようにアナルを攻めてくる。 「ほら、私の指、ちょっと入ってきたわよ」  真琴はアナルの入り口に指をほんの少し入れて、そしてゆっくりと動かしてくる。 「っ………っ………」  俺は逃げたくてたまらなかったが、縛られていてはどうしようもく、ただ真琴の攻めに耐えるしかない。 「知ってるのよ、あたし」 「……」  俺の背筋が凍る。もしかして、知ってるのか……。  真琴は俺のアナルの入り口を弄りながら、俺に囁く。 「祐一が……、美汐に頼んで、お尻をいじめてもらってるってことをね」 「んっ……っ!!」  真琴は俺に言うと同時に、一気に指を差し込んでくる。その異物感に俺のペニスも震える。真琴は俺に囁きつづける。 「ほら、だから祐一のお尻って、こんなに簡単に指入るのよね」 「………」  俺はそれに何も答えることはできなかった。多分、口に何も詰まっていなくても、いえなかっただろう。それほど、真琴の指は俺を堕としてしまっていた。  俺の腸内で真琴の指が動いている。真琴の指が俺の腸壁に触れるたびに、俺は疼きのような快感を覚えてしまう。真琴は俺のアナルを弄りながら、俺も耳元で口を動かしつづける。 「美汐に聞いちゃったのよ。うん、本人からよ。祐一にこ〜んなことをさせられているって。  可哀相よね、美汐。恋人のお尻をいじらさせちゃってるんだから。ね、祐一」  真琴は俺の腸をかき回すように指を動かす。そのたびに、俺のアナルは痺れるような鈍い快感を俺の神経に送り込んでくる。 「で、私に相談しに来ちゃったのよ、美汐。  私も最初聞いたときは信じられなかったわよ。祐一がこんな変態だったなんてね。  でも、本当だったのね……」  真琴はゆっくりと俺のアナルから指を引き抜いていく。その快感に背筋が震えてしまう。そしてまた真琴の指が俺の腸に入ってくる。 「こんなに簡単に指を飲みこんじゃうんだものね。これだったら……」  そう言って、真琴は俺の中から指を引き抜く。 「…っ」  何もなくなってしまった。自分のアナルが欲しがっているのが分る。何も入っていないことが、俺を焦らしていく。 「なによ、そんなにお尻が寂しいの……。つくづく、変態ね〜。  そんなにものほしそうな目で見ないでよ。  分ってるわよ。さ……」 「っ………」  俺の頭に火花が飛んだような気がする。 「まさか、指三本簡単に入るなんて……」  俺のアナルは引き伸ばされて、どんどん、真琴の指が侵入してくる。 「……ぁ………」  だんだん、何も考えられなくなってくる。真琴が指を入れてくるたびに、真琴の腕が俺のペニスもついでに刺激していく。 「指、三本はいっちゃったわよ……」  真琴が呆れたような声を出すが、俺はそれどころではなくてもう、真琴の指に陥落していた。  真琴の指が俺の腸内で暴れまわる。そのたびに俺の腸が焼けるように痺れる。 「もう、祐一は……しょうがないわね……」  真琴の指がアナルの入り口を内側から刺激してくる。指先がペニスの付け根を襲ってくる。指の注送にアナルが痺れる。 「……ねえ、そんなに気持ちいいの?」 「っ、っ」  俺は何も考えずに頷く。 「ふ〜ん、ホントに祐一って……、ヘ、ン、タ、イなのね」  そう真琴に言われた瞬間、俺は限界に達してしまう。  びゅるっびゅるっと、俺は下着に向けて射精してしまう。 「や、熱い……」  すぐ側にあった、真琴の腕にでもついてしまったのだろうか。真琴が顔をしかめる。  俺の下着は俺の精液で熱く濡れてしまう。それでも真琴が俺の腸をかき回すたびに、俺は断続的に射精してしまう。 「……んっ……んっ……んっ……んっ」  俺は叫べないのをいいことに思いっきり喉から声を出して吼える。それもテッィシュで虚ろな響きとしてだけ空気を震わせていった。  何回射精したのか分らなくなったころ、真琴の指が俺のアナルから抜かれる。俺のアナルはまだ真琴の指を求めて動いている。  それでも真琴は俺の下着の中から腕を取り出す。その腕は俺の精液で白く汚れていた。  そして俺の下着の中は自分の精液でぐしゃぐしゃになってしまっていたが、不思議と不快感は覚えなかった。 「お尻、いじるだけで、いっちゃうなんて……」  ぺろりと真琴が腕についた俺の精液を舐め取りながら言った。