美坂栞を玄関で出迎えたのは、その姉美坂香里その人だった。 「おかえり」 「あ、お姉ちゃんただいま」 「どうだった、って勿論大丈夫だったでしょうけど」 香里は定期検診の結果を念の為聞いておく。 「もちろん、もう大丈夫ですよ。先生も太鼓判を押してくれましたし」 「そうね……」 元気な栞の姿を見るのが嬉しいのか、香里の相好は崩れまくっている。 「もう祐一さんともどこにでも遊びに行け……」 怪訝そうな表情をする栞。 「何?」 その栞を見てこちらも怪訝そうな表情をする香里。 「お姉ちゃん……、祐一さん……、来てたでしょ。それに……」 栞は靴を脱いで香里に詰め寄る。その剣幕に思わず香里はのけぞってしまう。 「お姉ちゃん……、祐一さんと…寝たでしょ……」 「な、何のことかしら…」 香里は同様を押し隠そうとしているが、失敗してる、そんなことにも気付かないくらい動揺している。 妹の恋人と寝たと、当の本人に突然指摘されれば、当然ではあるが。 「ど、どうしてそんなこと言うのよ……」 「ウチに帰ってくるとき…祐一さんに送ってもらったんですよ……。  でも何か様子がおかしかったんです。優しいところはいつも通りでしたけど、お姉ちゃんの話になると……」 栞の説明を、香里は勤めて平静を装って聞く。その腕はいつもクセで胸の前で組まれている。 「そして帰ってきたら……。お姉ちゃんはもうシャワー浴びてますし、何か…テンション高いですし…。それに…」 「それに?」 「その首筋のキスマーク…見えないようにした方がいいですよ……」 「えっ」 香里は驚いたように首筋に手を当てる。 その様子を見た栞は確信を持ったように口を開く。 「お姉ちゃん……、こんなのに引っかかるなんてお姉ちゃんらしくないですよ」 「し、栞……」 「それで祐一さんとは寝たんですね……」 栞は香里を追い詰めるように、問いを放つ。 香里は諦めたように口を開く。 「そうよ」 「っ……」 栞の顔が蒼白になった、と思う間もなく紅潮する。 「お、お姉ちゃん」 「相沢君は拒まなかったわよ……」 「ゆ、祐一さんはっ」 「でも悪いのは私よね……。妹と同じ人…妹の恋人を好きになったんだから……」 香里の独白に栞は姉の顔を見つめつづける。その手は握り締められ、血の気が引いている。 「でも、私は引かないわよ。相沢君は…私のモノなんだから…」 「私のモノ…って妹の恋人を呼ぶにことかいてモノですか」 「だって、私の体…で相沢君が触っていないところはないわよ……」 そう言った瞬間、香里は美坂栞の姉ではなくなる。 その雰囲気に飲まれ栞は言葉を発することが出来ず、ただ唇の動きは空気を震わせるだけだった。 「相沢君が望むのなら私はどんなことでもやるわよ……」 そう言いあがら香里は栞に近づく。 栞は後ずさろうとするがすぐに廊下の壁に突き当たってしまう。 香里は手を壁につきたて、栞を覆い被さる。 香里の指が栞の唇に触れる。 「相沢君とキスはしたわよね」 「しました…」 香里の指が栞の髪を梳く。 「相沢君に撫でてもらったわよね」 「はい、撫でてもらいました」 そして香里の指がつぅと栞の体のラインを伝わって降りてくる…。 そして、その指が栞の胸の頂点で止まる。 「揉んでもらったの?」 「はい…」 栞は顔を真っ赤にしながら答える。 「じゃ……」 更に香里の指は下っていく。栞の喉から唾を飲む音が響く。 「ここは……、してもらったわよね……」 そう言うと香里は指でスカートの上から栞の秘部を擦る。 「ひゃぁ、お姉ちゃん…」 「どうなの……、栞……」 「し、してもらいました……」 「ふぅん……」 香里は笑みを浮かべる。 その笑みに栞は恐怖に近い感情を覚えるがどうすることもできずに壁に背をあずけ、自分の姉の顔を見つめつづける……。 「じゃぁ」 香里の手が栞のスカートに侵入する。 「あ、止めてよ…お姉ちゃん…」 「私が…相沢君とどんな風にしてるか…聞きたくないの……」 そのセリフに栞の体の動きが止まる。 「ふふっ、いい子ね……」 そう笑いながら香里は栞のパンティーに指をかける。 「あ、やぁ…」 栞は身をよじらせるが、香里の手が既に下着の中に入っているため、逃げることもできない。 「ねぇ、私はね……、相沢君にね……」 「……」 「こんなところまで愛してもらっているのよ……」 「きゃぁ、あぁ、そんなところ……、お、お姉ちゃん」 自分の肛門が姉によって触られた恥ずかしさか、自分の恋人がそんな嗜好を持っていることが分ったためか、それとも最愛の姉がそんなことを許しているためか、どの理由によるものなのか、栞の瞳から涙が零れる。 「相沢君は……、お尻をいじるのがうまいのよ……」 「そ、そんな……」 「とても気持ちいいの。そう、とてもね。相沢君にしてもらうとね、体の中から良くなるのよ。  相沢君のが…お尻に入ってくると……何も考えられなくなるくらい……」 そう言って栞のアナルに力を込める。 「ひゃぁぁ、お、お姉ちゃん……」 排泄口への刺激に栞は顔を歪める。 そんな妹の表情を見ながら香里は、更に妹のアナルに指を沈めて行く。 「あぁ、あぁ、ぁぁぁぁ」 「どんな気分……」 「どんなって…あぁぁぁ…」 「ね、もう栞のお尻の中に、私の指が全部入ってるのよ……」 「い、いゃぁぁぁぁ」 「どんな気分…かしら」 「あ、お、お姉ちゃん…、う、動かさない…で……」 「でも、相沢君にしてもらうとね……」 「………」 「ねぇ…」 「は、はい……」 「相沢君……、これから家に呼ばない?」 そのセリフが意味することは一つ。 そして僅かな逡巡ののち、栞は「はい」と頷いた。 「なんだよ、いまさら…」 俺は香里の「今すぐウチに来てくれる、栞も首を長くして待ってるからね」という短い電話一本で美坂家に行くはめになっている。 雪は降っていないとは言っても、冬は冬。寒い。 香里の嫌がらせか? そんなことをブツブツ思いながら美坂家にたどり着く。 が、チャイムを鳴らしても誰も出る気配がない。家にあかりは点いている。 不安を感じた俺はドアノブを回す。あっさりと開いて、俺の不安は増す。 そして俺は玄関に立ち、「おじゃまします…」と小声で挨拶を一応する。 「あがっていいわよ〜〜〜」と二階から香里の声が聞こえ、俺は安堵する。 「心配させやがって」と俺は毒づきながら、スリッパに履き替え、二階に上る。 水瀬家と同じように、美坂家でも二階に香里と栞の部屋がある。 さて、どっちの部屋に二人は……。と思った瞬間に栞の部屋から香里の声が聞こえる。 「入っていいわよ…」 そこは自分の部屋じゃないだろ、と思いながら「しおりのへや」というプレートが欠けられたドアを開けると、栞の机の椅子に座った香里と、ベッドに座っている栞がいる。 香里はなぜか凄く上機嫌に俺に手を振ってくるが……、栞はなぜか顔を真っ赤にして俯いている。 「よぉ」 俺は二人に挨拶みたいなものをする。まあ、今日二人とも会ってるしこんなもんだろう。 だが俺の挨拶にも栞の反応は鈍い。 「ど、どうしたんだ、栞」 いつもの栞とのギャップから俺は思わず、栞に近づいて肩に手を掛けようとする。 が、それを栞は、身を震わせて避ける。 「あっ、ち、違うんです…」 栞はそれだけを言って黙ってしまう…。 「なあ、香里……、栞はいったい……」 「うん、栞ね、相沢君に言いたいことがあるんだって」 「お、お姉ちゃんっ」 栞はすごい勢いで香里の言葉を遮る。 「なあ、栞…それって俺に…だよな…一体…」 栞は相変わらず、俯いたままだ。 その様子を見かねたのか、香里が栞の隣に座り、栞に何かを囁いている。 それに決心したのか、栞は立ち上がり、俺を見上げる。 それでも顔は赤いし、なんか目も潤んでいる。 「ゆ、ゆ、祐一さんっ」 「ぁ、あぁ」 栞に気圧されてしまう…。 「わ、私…わ、私の……」 「………」 「私のお尻にして下さい……」