あいつ、どこに行ったのよ。
あいつの部屋……だった部屋。
今住んでいるのは、いかにも今年上京してきましたという子。
いつのまにか部屋から荷物がなくなっていた。
あの頃私は何もできなかった、何も知らなかった。
そしてあいつがいなくなったことも知らなかった。
大学。
講義が終わって、暇そうに雑誌を開いているこたちが笑いあっている。
体育会系のサークルなんだろう。ジャージを着て歩いている人たちがいる。
もはやあいつは籍もない。
あいつはここにいたことがある人間、でしかない。
まあ、そうは言っても全然講義には出てなかったけど。
せっかく、ノートとか貸してあげたのにな。
公園。
あいつと何度か歩いたことがある。
その度、あいつは私の分からなかった私を楽しそうにいていた。
そして私が分からないという表情をするたびに謝ってた。
でも私はあいつと一緒にいることが楽しかった。
そしてこみぱの会場。
始まって、終わった場所。
もっと早くあいつを認めてあげれば、こんな後悔することにはならなかったのかな。
でも、それでも変わらなかったかもしれない。こんな結末は。
わたしはあいつの影を求めて、たださまようだけ。
あいつのいた場所、あいつといた場所。
何度も、何度も。
そしてその度に私の心は疼く。
そして扉を開く。
<Trickle>
「おじゃまします…。
うん、今日も行ってた…。
まあ、ダメよね。あんなところにいないのは分かってるんだけど…。
確かにあいつとは数年間一緒にいたけど、あいつが行きそうな場所、私、あんまり分からないしね。
知ろうともしなかった…って言ったほうがいいかな…」
彼は私をダイニングに通して、お茶を入れてくれる。
そのお茶が私の冷えた体を温めてくれる。
「あいつ、本当にどこに行ったのかな…。
ん、連絡?ないわ。
まったく電話の一本くらいよこしなさい、って言いたいわね」
あれ、目が…
「本当に…電話の一本くらい…」
まだ涙出るんだ…、あれから何ヶ月も経つのに。
彼が指で涙をぬぐってくれる。
そして私に優しくキスしてくれる。
私、あいつのことで涙を流してるのに…他の人とキスをしてる…。
寝室に誘われる。
それに頷く私…。
彼はまるで私をガラス細工のように扱ってくれる。
あくまでも優しく優しく…
私の着衣が一枚一枚剥がされ、私は下着だけの姿になってベッドに横たわる。
「ひゃんっ」
私の胸が触られる。
下着越しでも私の胸から私の体に電気が走る。
キスをされながらブラが外される。
「んんん、うんっ、ん…」
唇を合わせたまま、胸を直接揉まれる。
彼の指の使い方は優しいけど、私の弱い部分を的確に刺激し、私は口から声を漏らしてしまう。
その声は二人の唇の間でくぐもった音となる。
「んっ、んっ、んっ」
彼の手が私の腰に伸びる。
その手が私の下着に掛けられると、私はわずかに腰をあげてそれに応える。
私のあそこが外気に晒される。
私を覆っていた最後の一枚は私の足元に転がっている。
私は彼の手によってベッドに横たえられる。
彼が突然私の右足を持ち上げる。
「あっ」
私は思わず、両手であそこを隠してしまうが、彼はそのままふくらはぎに口をつける。
その思いがけないところへの刺激に驚く。
彼は私の足首の周りを口と手で愛撫し続ける。
まるで私に奉仕するようなその愛撫に気恥ずかしさを覚えてしまう。
「もう、いいから……」
彼は私の言葉を気にするふうもなしに更に私の足首を舐める。
「んんぅ」
そのくすぐったさに混じった感覚に私は声を漏らす。
それでも彼は私の足首に執着するように、愛撫を止めてくれない。
「も、もう足はいいから…他のところを…」
私はそう言ってしまい、恥ずかしいことを言ってしまったかも、と思い、身を縮ませる。
彼は少しいたずらっぽく笑う。
そしてそのまま足首から口を離すことはなかったけど、そのまま口を私の足を上るように愛撫し続ける。
徐々にあそこに近くなっていく、彼の愛撫。
それがどこに近づいていくのか私はじっと見詰めている。
しかし彼の愛撫がねっとりとゆっくりしか動かない。
私はその間中、その愛撫が終着点に達したときのことを想像してしまう。
その想像は私の体の奥を熱く疼かせる。
しかも、徐々に近づいてくるから、想像も徐々に現実味を帯びてきてしまう。
体の疼きもそれに連れて大きくなり、体から疼きが染み出ていく。
いつのまにか彼の手が私の内股に達しており、彼の吐き出す息が私のあそこにあたり、いっそうそこが熱く滲んでくる。
あたしのそこは一度も触られていないのに、濡れてきている。
私は気付かれないように、少し足を閉める。
だが、そのことがかえって彼の注意をひいてしまう。
「言わないで…」
彼にそのことを指摘されてしまう。
「ひゃんんんん」
私のあそこに彼がくちづけをする。
「い、いや、そんなところ…」
私は手で彼の頭を押しのけようとする。
「んん、ひゃぁ、ふぁぁ」
だけど彼は舌で私のあそこを舐めあげる。
それで私は全身から力が抜けてしまう。
彼は私の反応を確認するように私を見て、更に私のあそこへの口での愛撫を強める。
彼は私のお尻を両手で抱えるようにして、たまに手で私のお尻も撫でたり、揉んだりしてくる。
「うんん、ふぁぁぁ、んんんんん、んっ、ぃひぃん」
あそこの一番感じる場所を舐められてしまう。
「ひゃぁぁ、あぁぁ、いいよぉぉ、あ、あぁぁぁ」
私は思わず、恥ずかしいことを言ってしまうが、あまり気にならなくなってきた。
「ん、ん、ん、ん、んんんんん」
彼のそこへの愛撫は続く。
「ふぁぁ、ん…… あ……」
突然、その愛撫がやむ。
「あ、どう…したの?」
私が彼に尋ねると、彼は私の上におおいかぶさってくる。
彼の意図は明らかだった。
彼の問い掛けるような視線に、私は小さく頷くことで応える。
私のあそこに彼のものがあてられる。
「ん、ん、ん、ん、ん、ん…」
私の中にそれが徐々に入ってくる。
「ん、あぁぁぁ」
そして私の中が一杯になる。
徐々に彼が動き始める。
「んっ、んっ、んっ、んっ」
その体内を蠢く感覚に私はなにかすがるものを求めて、手をさまよわせる。
そして頭の近くにあった枕を頭の上でつかむ。
そして口を結んで、体に走る快感に耐えようとするが、口からはあられもない声が出てくる。
「ふぁあぁ、んん、あぁぁぁ、んん、もっとぉ、ふぁぁ、そこ…、ふぁぁ、んん」
そして彼の口から私の”惨状”を説明する言葉が出てくる。
「や、んん、そ、そんなこと、言わないで…、はぅんっ、きゃ、ふぁぁぁ」
「いやぁ、ぁぁ、あぁぁぁ、んっ、ふぁふぁあぁあぁぁ」
何も考えられなくなってくる。
ただ私の中の熱が私の体を駆り立てる。
「ひぃぁぁぁ、はぁぁぁぁ、ぁあぁぁぁぁぁぁ」
真っ白になった頭の中で、私のあそこが彼のものを求めるように動くのを感じる。
だが、私の空洞を埋めていたものが消失する。
そして私の胸の間に熱いものが挟みこまれる。
わたしはおぼろげな意識で自分の胸を手で押さえる。
私の胸も熱いもので満たされる。
胸から伝えられる心地よい振動の後、私の胸と顔に熱いものが降りかかるのを感じた……。
「じゃ、どうもありがとうね」
私は玄関で彼に挨拶する。
「うん、明日は一限からゼミがあるしね。うん、泊まっていきたいのはやまやまだけど…」
「分かってるわよ。この埋め合わせは、今度……金曜に私の手料理をごちそうしてあげるわよ。
私は彼に笑いかけながら、手を振って、部屋から出ていこうとする。
突然彼が私を後ろから抱きしめる。
「や、やめてよ。今日は…帰るのるよ…」
そう、今日はあいつを探して…、そんな日に彼のところに泊まるんなんて…。
だけど…。
「そう、あなたもさみしいのね。分かったわ。今晩は一緒にいてあげるわよ、大志」
翌日、私が講義が終わり、自分の部屋に帰ると差出人の書いていない封筒が届いていた。
私はある予感があって、その封筒を開ける。
それはあいつ…和樹があの子と幸せに暮らしていますという手紙だった。
私はうれしくて涙が止まらなかった。
ただただその手紙を抱きしめて泣き続けた。
初出 2000/11/17
ははは〜、どうでしたでしょうか。ちっと分かり難いですが、あさひEND後の大志×瑞希。あさひEND後、お互いの痕を舐め合う二人です。
それにしてもなんか妙な雰囲気のSSに…。男女カップリングで女性の一人称は初めてでしたし…。大志を喋らせなかったし…。いや、大志のつかみ所のなさのおかげで書けなかっただけなんですが。
しかも、大志を示唆するような表現を書けなかったんで書きづらかったです。書いては削り、書いては削り。しかもラストで逆に大志の名前をどこで出すか、逆に悩む始末。いったんは大志の名前を書かないで終わろうかと思ったくらいで。つまり男(謎)×瑞希。
まあ、こみぱの男の登場人物は実質、和樹と大志と立川(兄)だけなんで想像もしやすかったでしょうが。
しかし、大志、足フェチ?足首ずっと舐めてるし。