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太陽がいっぱい − 2007910日                    

ヨーロッパも南に下り地中海沿岸の国々や地域は「太陽がいっぱい」です。

ヨーロッパはどこに行っても歴史を感じられるのですが、

特に人類の大きな文明の一つが生まれたこの地域、

中でもギリシャやイタリアの街を歩いていると街全体が博物館のように思えます。

この地域の人たちは北ヨーロッパの人たちとは少し趣が違い、

明るく開放的でお話好きのようです。

 

さて今日はこんな地中海に面したギリシャなどはいかがでしょう。

アテネから郊外に足を延ばすと自然で素朴な景色が印象的です。
この地域は温暖ですが比較的湿度が低く、よくブドウ畑やオリーブ畑が

豊かに広がっている景色を見ることができます。

時には羊飼いの群れがゆっくりと道路を横切ろうとしていたり。。。。。
その羊の群れが通り過ぎるまで人も車も気長にまっていたりして。。。。。

そして、そして・・・・エメラルドグリーン色のエーゲ海の美しさは

ここで私の貧弱なボキャブラリーでは説明できませんから

是非一度ご自分の目で確かめて下さい。

 

アテネといえばパルテノン神殿。

パルテノン神殿はアテネのアクロポリスの丘の上にあり、

神殿からはアテネの街が一望の下に見渡せるのです。

もちろんアテネの街には他にも見る所は沢山あるのですが

ちょっとした横道や脇道の小さなお店などを覗き込んでみるのも捨てがたいのです。

 
そんな地中海の夏の夜にはプラカでの食事を楽しんでみましょう。
プラカはアクロポリスの丘の中腹にある 、石畳の細い道や階段沿いに

沢山のお店やレストランが並んでいる古い町並みです。
ここのほとんどのレストランは店先や庭にテーブルを並べています。

おもいっきり日を浴びて育った真っ赤なトマトに

ヤギのミルクから作ったチーズをたっぷり乗せたサラダには、

テーブルの上のオリーブオイルとビネガーをお好みで。

ワインはもちろんメタクサ。

ちょっと日に焼けた笑顔で乾杯! 極楽。

レストランの庭の木の下のテーブルで開放的に、にぎやかに、

それでいてキャンドルライトでちょっとロマンティックに。

ライトに照らされて夜空に浮かんでいるようなパルテノン神殿を

仰ぎ見ながら気の合う仲間達と夏の一日の終わりを楽しみましょう。

いつの間にかプラカの夜は更けていってしまいます。

 

北ヨーロッパや中央ヨーロッパとはかなり趣の違う

明るく素朴で開放的な地中海地方、ここもまたヨーロッパ。

南ヨーロッパは太陽がいっぱいで、また例えがたい魅力もいっぱいです。

 

大人のヨーロッパ − 200786

ヨーロッパの大きな街にはオペラ座がある所が多い。

オペラ座で上演される一流のオペラやバレーなどは勿論ですが、

パリなどの有名なオペラ座は建物自体にも一見の価値があります。

オペラ座に足を運ぶ人達にはもちろん若い人たちも見かけますが

年配の、つまり大人のおしゃれなカップルを多く見かけます。

そしてオペラやバレーを観た後はちょっとおしゃれなカフェに立ち寄って

更けてゆく夜の街を見ながらオペラやバレーの余韻を楽しみます。

 

大人の夜の遊び場と言えば他にも洗練されたナイトクラブや

シアターレストランなどもあります。

そして・・・カジノ。

ヨーロッパのカジノは世界の他の地域のカジュアルなカジノとは違い

本当におしゃれでエレガントな社交場です。

まず受付でじっくりと身なりとマナーと身分をチェックされているはず。

男性も女性もおしゃれにドレスアップして行かなければ

場合によっては入場おことわりと言う事もあるようです。

多くのカジノの中には高級なレストランが有り、

まずここでゆっくりとフルコースのディナーを楽しんでから

ギャンブルに移ります。

ギャンブル場に入ってからは誰もが不必要なおしゃべりはご法度です。

静かでエレガントでとても華やかな雰囲気の中で、

ルーレットの回るかすかな響きや、

チップをかき集めるテンポの良い響きや、

クールな表情でカードを配るディーラーのみごとな手さばきに

見とれているうちにいつしか夜が更けて行きます。

特別に賭け事が好きでもない私にとって、

特に有名なカジノでは、ここに来ている人たちや

そのとびっきりのおしゃれを見ている方が本当は興味があったりするのです。

ヨーロッパのカジノは上流な大人の夜の遊び場です。

 

ヨーロッパの大人の社交場はいつもおしゃれでセクシーで

洗練された魅力的な男と女の遊び心であふれています。

 

北欧の朝 − 2007730

コペンハーゲンの街の中心部にある古い重厚なホテル。 
    大きくて重いドア、ちょっと暗めの廊下、

天井が高く広い部屋、ふっくらとした羽根布団。

典型的なヨーロッパの歴史あるホテル。

向かい側には古い大きな教会。

このホテルに泊まっていると朝早く教会の鐘の音で目が覚める。

ディーンドーン、ディーンドーン・・・・ 厳かに北欧の朝が始まる。

ゆっくりと身支度を整えてロビーフロアに降りて行くと

ダイニングルームがコーヒーの香りで出迎えてくれる。

窓際のテーブルに席を取り、朝食を取りながら窓越しに眺める街。

「今日は何をしよう・・・・・。

郊外に出かけようかしら、それともスウェーデンまで行ってこようかな、

夜はチボリ公園にも行ってみようかしら・・・・・。」

どれをとっても、ここにはアジアの喧騒は無い。

日本のあわただしさもない。

アメリカ的な派手さもない。

その代わり空気がひんやりと澄んでいて、静かで素朴でゆったりとしている。

ヨーロッパの人たちは以外に足早でキビキビしているのに、時間はゆったりと過ぎて行く。

コーヒーを飲みながらガラス越しに古い街のたたずまいを眺めつつつくづく思う。

「本当の贅沢ってこんな時間を持てることなのだ。」

スチュワーデス・・・何てラッキーな仕事をしていたのでしょう!  

 

空港 − 200779

エアーラインのクルーは余裕を持ってフライトの出発の数時間前には

空港に着いていなくてはなりません。

国際線を飛んでいるとフライトの出発時刻によって

いろいろな時間に家やホテルを出ることになります。

真夜中であったり、早朝であったり夕方であったり。

夜のフライトの場合、出発にあわせて多くの人達が家路に着く頃の夕暮れに

家やホテルを出ることも度々あります。

これから仕事。これから長いフライト。

だからここには何もロマンティックな背景は無いはずなのに

夜のフライトに向かう時は昼間とは少しおもむきが違うような気がします。

車で空港に向かう高速道路。

自分の前を走る車の赤いテールランプの長い列を追いかけて

夕暮れの街を抜けて行く。

やがて空港に着く頃には日もどっぷりと暮れて

夜の出発ロビーに吸い込まれて行きます。

そして滑走路に向かって続く広い暗闇と明るいターミナルビルとの

極端なコントラストが不思議にロマンティックな雰囲気をかもし出す夜の空港。

世界各地の空港にはそれぞれの特徴があり昼も夜も魅力的なのですが、

私はことさら夜の空港も好きでした。

今夜もたくさんの飛行機が飛び立って行くはずです。

到着地は朝なのでしょうか、それとも夜の空港なのでしょうか。

思いは限りなく広がってゆきます。

すてきな思い出がたくさん残りますように。

Bon  Voyage !

         

色々な経験してみたけれど・・・ − 2007423

     レストランなどに行って奥まった席などに案内されると、
     これがいけない。 
     入り口からゆっくりと奥まで通路を歩きながら
     ついつい左右のお客さんを見てしまう。
     ふと飛行機のキャビンの通路を歩いている様な錯覚に
     落ちいってしまうらしい。
     何か用など有りそうな人を見かけると 声など掛けたくなってしまう。
     食べ終わったお皿などを見かけても、 つい手を出したくなってしまう。
     その上しっかりとレストラン全体を見回したりしている。
     いけない、いけない、また出た。
     昔身に付けてしまった職業病。

     私はもうフライトアテンダントではないのです。

     レストランではゆっくりとお客にならないと。

     。。。。。

     フライトアテンダントを辞めた後もかなり長い間そんな風に思っていたのです。

     でも最近になってやっとその様な余計な反応から開放される様になりました。

     「三つ子の魂は百まで」持たない事もあるらしい。

     一方で、フライトアテンダントとして学んだ事など、つまり「昔取った杵柄」は

     今でも私の中で日々役にたっている事もたくさんあります。

     人はいつの間にか必要な事と不必要な事を自然に振り分けて

     四捨五入しながら生きているようです。

 

 

緊急時の心得 – 200749

飛行機のドアが閉まり滑走路に向かってゆっくりと動き出すと

出発前のlife vest(救命胴衣)のデモンストレーションをします。

パーサーがマイクを持って私に目で合図を送ってきました。

これから客室の一番前に立って笑顔で私の生演技が始まります。

パーサーのアナウンスに沿ってデモンストレーションを始め、

途中Life vestの後ろ側を説明する為に私はくお客さんに対して

クルッと後ろを向いたとたんに、ウヮッ、飛行機がほぼ直角に向きを変えたのです。

バランスをくずした私はそのまま一番前に座っていたアメリカ人の若い男性の

膝の上にヨロヨロスッポリと座ってしまいました!

一瞬私の姿は皆なの視界から消えてしまった・・・・・はず。

そのアメリカ人の男性は” Welcome !” と言って私を抱きかかえてくれたのですが、

数秒後笑いの渦が・・・・

続けてパーサーが笑いをかみ殺したような声で

「皆様、緊急事態はいつ起こるかわかりません。

緊急の際にはあわてずに行動して下さい。」とアドリブでフォローを入れたのです。

(私に言っている?)・・・これで笑いの渦が更に大きくなりました。

あわててなんかいませんとも。ちょっと台本通りに行かなかっただけ。
    と思って立ち上がった私もさすがに笑いがとまりませんでした。 
    思わぬハプニングに見舞われたこのデモンストレーションは

拍手喝采の内に終了したのでした。なんて事もあったなぁ。

パーサーとフライトアテンダントのチームワークは大切なのです、ね。

   

 

役に立つこと − 200742

アメリカの航空会社のフライトアテンダントになって

前述のパーサーH氏とも度々一緒にフライトをすることがありました。

サービスが終わった後など少しに時間ができると

H氏は私達のような若いフライトアテンダントに必ず幾つもの質問をしてきました。

機内にある緊急時用の装備品等の設置場所、使用方法、

いろいろな緊急時の場面を想定してそれぞれの対処法などの

緊急時に関してのものです。それはそれはうるさいほどに。

と言ってもH氏は決して怖いわけでも意地悪なわけでもありません。

いつも穏やかで親切でした。

もちろん訓練で学んだ事なので一通り理解し、覚えてはいたのですが、

それでもしばらく遠ざかっていると、いざ改めて急に聞かれると

とっさにはなかなか答えられないこともあります。

時には改めてよく考えてみると疑問も湧いてくるものです。

どんな時にもH氏は一つ一つ丁寧に説明をし、教えてくれました。

更にそれだけではなく、小さな事故や怪我を未然に防ぐ為に

いつも自分の身の回りや機内の全てに気を付けて注意を払っているようにと

クルーシートに座って世間話でもするように、私達にフライトアテンダントの

保安要員としての役割をしっかりと確認させてくれていたのです。

当たり前の事のようですが繰り返し言われるとその感覚がしっかりと身についてしまうものです。

ありがたい事にこれらの知識や感覚は飛行機の中だけではなく

日常の生活にも大いに役に立つことでした。

フライトアテンダントは人の為だけではなく自分の為にも役に立つ仕事なのですね。