木曾より上京し、いち早く平氏を倒した名将、木曾(源)義仲。
しかし、義仲は同じ源氏である源頼朝に命を追われる事になります。
源氏もまた、権力争う醜い「人間」の内にあったのです。義仲は、なんとかそんな内情を打破しようとしますがその術もなく。
そして、行く先を見据え決意します。「捨てよう。権力も何もかも…」
その後、宇治川の戦いで義経に敗れ、なんとか生き残った義仲の兵はわずか20名弱。
そのうちの一人、義仲と幼馴染で妻となった女武将、巴御前(ともえごぜん)。
ふと…、義仲は騎乗から巴の顔に触れ、彼女が生涯忘れられなくなった台詞を、優しく言いました。
「…帰ろう。木曾へ帰ろう」

義仲等は今の滋賀県で頼朝の命令を受けた義経の軍に囲まれます。最後まであなたの傍にいると言い張る巴。 義仲はそんな巴に
「男が最後の時、女と一緒とあらば笑われてしまう。どうか、我が男前を立ててはくれないか」 と、心にもない事を言います。
木曾で幼少を共に過ごし、成人して愛し合った二人。幾度も戦場を共にし、苦難を乗り越え、支え合って来た大切な人。
もう、言うまでも無い。義仲は、巴に生きて欲しかったのです。