巨大なオペラ座に住み居る謎の支配者、オペラ座の怪人。彼は、文学、科学、医学、芸術全てを熟知した天才。
しかし、奇形であったがために人々から忌み嫌われていたのでした。崩れた顔を仮面で隠し、オペラ座の歌姫を育て上げてきた影の演出者。
彼に対する、オペラ座一同の恐怖と不安はいよいよ募り、とうとう皆は反旗を翻します。しかし、怪人はその天才的な頭脳で彼等を嘲笑う。
怪人は、その報復にオペラ座で惨劇を演じさせ、歌姫クリスティーヌを連れ去ってしまいます。
「お前を放しはしないぞ、クリスティーヌ!!お前は、私だけのために歌い続けるのだ!!」
決起の提案者で、クリスティーヌを救い出すためにオペラ座の地下室に乗り込んで行く紳士、ラウル。
怪人は、恋敵である彼をここぞとばかりに待ち構え、縄で彼の首を括り歌姫に問います。
「さぁ!どうする!お前は私とあいつ。どちらを選ぶんだ!!!」

「好きだったのに・・・」
怪人に口づけをするクリスティーヌ。彼女の本当の想いを知った怪人は、ラウルの首の縄を焼き切り二人に向かって叫びます。
「・・・ここから出て行け。早く出て行け!!早く・・・」
クリスティーヌは背を向ける怪人に一度だけ寄り添い、ラウルとオペラ座の地下を後にします。
怪人は一人、去り行く二人を見つめ、彼女への愛の歌を口にする。そして、彼は二度と人前に姿を表すことはありませんでした。

誰も愛せず、誰からも愛されて来なかった悲しい人。しかし、愛を知ったが故に、彼はその一生を「怪人」として過ごすことはなかった。
きっと、彼は愛し続ける。もう二度と、もどらないものを。