お兄ちゃんと妹が、お花を買いにやってきました。
「どんな花がいいのかな?」お花屋さんのお姉さんは、やさしく尋ねます。すると妹は元気よく答えました。
「おかあさんは赤いチューリップが好きだったから。赤いチューリップを下さい!」それを聞いて、お兄ちゃんは言います。
「…赤い花はダメだよ。赤いのはダメだってお父さん言ってたじゃないか。白い花じゃないといけないんだよ」
「…そう。」お姉さんは笑顔を絶やさず、一言だけ返事をして、10円玉や100円玉の入り混じった500円分のお金を受け取ります。
そして、一つの花さしから、全てのチューリップを取り出し、束を作って兄弟に渡してあげました。
赤、白、黄。それは、鮮やかな三色のチューリップの花束。