BOOK-21
Present BY Kasumi Yahagi


[順不同。これは全く個人的な評価です]

本の題名 作者 霞美の一言メモ 5星評価
962 GOSICK[(上・下) 桜庭一樹 第二次大戦勃発に引き離されるふたり。 学園での最後の別れ。コルデリア捨身の救出劇。二人のブライアンの想い。 妹の愛を知り、運命に抗うグレヴィール兄。戦地でヴィクトリカを思う九条。 逃亡の果てに、九条との再開を夢見るヴィクトリカ。ひとりひとりの思いが胸に迫る、 読んできて良かったと思える最終巻でした。11/08/05 ★★★☆
963 万能鑑定士Qの事件簿] 松岡圭祐 鑑定業を始め、失敗ばかりしていた莉子が恩人瀬戸内に授けられた思考法で急成長を遂げる。 その最中、悪徳弁護士に理容店を奪われた親子と知り合い、事件解決へと導いてゆきます。 賢くなるには考え方を変えること、その知識を引きだす冷静さを保つことが大切と実感。 留置所の瀬戸内を気遣う莉子。そして、莉子を嫌いになれない瀬戸内の娘の心情が切ないです。11/08/10 ★★★
964 息子よ オ・ヨンラン パク・ヨンハの母が息子との今日までを語った一冊。 彼の謙虚さや家族への思いを知って、その最後が悔やまれてなりません。 誠実で素直でそれ故の不器用さも併せ持った、そんな人でした。 最愛の夫と息子を失い、それでも「私はまだそっちにはいかないからねと」声を張る著者の言葉が胸に響きます。11/08/12 ★★★
965 初恋 ツルゲーネフ 少年ウラジミールが隣に越してきた年上の女性ジナイーダに恋をする。 やがて、彼女の恋の相手が自分の父だと知って絶句する主人公。何とも切ない物語です。 サドなジナイーダのキャラが強烈。アニメのツンデレを見ているようで、真面目に解釈し辛かったです。11/08/14 ★★☆
966 催眠術入門 多湖輝 著者の経験を元に、催眠のかけ方からその効果まで解説。催眠術は誰でもかけられるんですね。自己催眠法など興味深いです。 不思議な症例が沢山載っていますが退行催眠による前世説には否定的。11/08/17 ★★☆
967 青いバラ 最相葉月 バラ育種家鈴木省三の取材を通し、青バラにおける長い歴史を膨大な資料と共に読み解く。 育種家の異種交配と科学者の遺伝子操作。バラににじり寄る双方の手。 「青いバラができたとして、それが美しいと思いますか?」鈴木の一言が筆者の胸に深く刻まれます。11/08/24 ★★☆
968 奪還 蓮池透 北朝鮮に拉致された蓮池薫の兄である筆者が、拉致被害者家族会と共に奔走した苦闘の日々を綴ります。 拉致の事実すら認めない政治家達のご都合主義にはほとほと呆れるばかりです。 筆者の思いが胸に響きます。「私たちは政治や思想とは関係なく、囚われた肉親を帰して欲しいという自然な感情で行動してきたに過ぎません。 それが理解できないのですか」拉致問題を身近に感じる一冊です。11/08/26 ★★☆
970 エクスかリバー
 最後の閃光(上・下)
バーナード・
 コーンウェル
アーサー王物語。6世紀前後、ケルト人がサクソン人を打ち破ったベイドン山の戦いを描く。 騎士と巫女それぞれの過酷且つ残酷な戦いが御伽話と違ってリアル。アーサー王に仕えるダーヴェル夫妻の絆が印象に深い物語でした。 本書は三部作の三作目。伝説と違うランスロットのへっぽこぶりが不憫。11/09/09 ★★☆
971 そうだったのか!アメリカ 池上彰 アメリカの今と歴史を解りやすく解説。特に関心深かったのは先住民族の悲劇です。 人口が激減するほどの虐殺が行われ、彼らは今尚不便な砂漠の地に追いやられて暮らしています。 大統領の匙加減一つで大きく変わる帝国の挙動。好戦的なブッシュ(息)に失望し オバマになってまたアメリカに希望を抱いたという筆者の後書きに苦笑いです。11/09/14 ★★★
972 王国の鍵1
 アーサーの月曜日
ガース・ニクス 創造主の遺言を守るべく選ばれた病弱の少年アーサー。 ハウス(神の国)で曜日の名を持つ管財人から支配権を取り戻すための使命を担うことになります。 マンデーを屈し、現世で病原菌に対抗すべくナイトスイーパーを放るシーンは鮮やか。 アーサーを助ける少女スージーの今後にも期待しています。11/09/18 ★★☆
973 1Q84 BOOK3 村上春樹 終に天吾との再開を果たす青豆。1Q84年からの脱出をかけて彼女はもう一度あの場所へと天吾を誘います。 謎の懐胎をした青豆。彼女を守るタマル。追う教団と牛河。そして、世界の入り口へ辿り着く二人。 これまでの不思議なできことがひとつに帰結し、また新たな旅が始まる。 読了後暫く、二人の未来を想像して止みませんでした。11/09/28 ★★★★
974 万能鑑定士Qの事件簿XI 松岡圭祐 嘗て瀬戸内に師事した兄弟子、水無住職と対決する莉子。寺の予言トリックを暴くため、小笠原と証拠集めに奔走します。 この二枚目相手に毅然と立ち向かう彼女の凛々しさが清々しい。 水無と小笠原の狭間で揺れる莉子の女心にも注目です。11/09/30 ★★☆
975 鬼物語 西尾維新 全てを飲み込む謎のブラックホールから遁走する暦と忍。その正体を知って、一つの覚悟を決める八九寺真宵。 このままでよいはずがないと思っていた問題が、ここへきてふと解決され、何とも寂しい気持ちを覚えました。 今回は殆ど真宵の物語と言ってよいです。11/10/04 ★☆
976 ブルースカイ 桜庭一樹 時代を飛び交う少女の魂。三つの時代を背景に、少女の身に起こった出来事を追ってゆく。 16世紀ドイツ、魔女狩りの時代で知り合う少女との物語に興味を抱いたのですが、話は途中で次の時代へ。 全体的に見てもやや未完の気があります。残念。11/10/07 ★★
977 ラブ、スターガール ジェリー・スピネッリ スターガールが日常を綴ったレオへの手紙を追って物語は進行。 屋外恐怖症の隣人、万引き少年、エンジニアを辞めた牛乳配達員の父、ドーナツ屋の気の強い少女。 多くの人と触合い、朝日の瞑想会を成功させる彼女。そして、レオからの手紙に魂を通わせる一瞬。 前作で抱いた彼女の不思議イメージにリアリティ加えてくれる一冊でした。 スターガールのみならず、全員が主役と言ってもいいような魅力ある人々に惹かれます。11/10/17 ★★☆
979 歳月(上・下) 司馬遼太郎 明治政府下で日本の法の礎を築いた佐賀藩士、江藤新平。 法の平等の元に井上馨の汚職を裁いた尾去沢鉱山事件の成敗は見事。 経済とは国を「経」め民を救「済」する。そう信じる江藤が、佐賀の乱を起こし、 大久保の奸謀とも言える断罪によって梟首させられる。とても言いし難い気持ちです。 現代においても、なくてはならないタイプの政治家です。11/10/30 ★★★
980 そうだったのか!中国 池上彰 自国他国共に伏せられてきた毛沢東政策の大失敗。大躍進政策や文化大革命によって失われた数知れぬ命。 中国を且つ世界の歴史を学ぶにおいて必要不可欠な真実を知ることができました。 中国には自国の失敗を直視し、それに学んで新たな未来を見出して欲しいです。11/11/05 ★★★☆
981 カダフィ正伝 平田伊都子 無血革命を成功させリビアに巣食う先進諸国を追い出し、奇跡的速さで国民にその恩恵を分け与えたカダフィ大佐。 大国のイスラエル建国によって国を追われたパレスチナ人民の悲劇。小国を無視した国連決議の不当性。 レーガン大統領の「テロ防止」という名の民家爆撃。彼の言動を通じてアフリカ諸国がいかに大国によって 苦しめられてきたのかが分ります。本書は1990年出版ですが、少なくともここまでの彼を知るに、 あんな酷い殺され方をされるような人ではありませんでした。11/11/10 ★★★☆
982 池上彰のお金の学校 池上彰 保険に入るとは、ローンを組むとは、どういうことか。FXやギャンブルは投資として考えたとき、割に合うのか。 お金に関する身近な問題を取りあげて解説。お金に対する心構えができます。 震災を受けて円安にならない理由など、世界のお金の話も興味深いです。11/11/11 ★★★
983 続・世界の日本人ジョーク集 早坂隆 確かに笑えるのですが、歴史観の違いなど全巻よりは考えさせられるものが多かったです。 沖縄住民が追い詰められて身投げした崖で手を合わせる日本人。大はしゃぎで記念写真を撮る中国人。理解を迫りたくなるのも解ります。11/12/06 ★★☆
986 カラマーゾフの兄弟
 (上・中・下)
ドストエフスキー カラマーゾフ家の父と息子三人の物語。一人の女性を取り合う長男ミーチャと父フョードル。 その様を悪しき期待を持って眺める次男イワン。皆の善を信じ奔走する主人公三男アレクセイ。 物語に内包されるテーマは多々。人は人嫌いが進むほど世界愛に目覚める、人や社会の深層を秀逸に付いています。 フョードル殺害の嫌疑を受け、冤罪に気の触れるミーチャ。 裁判を見ているうちに、人は殺したいと思った時点で既に罪を犯したことになるのではないかと、迫られる思いがしました。 子供たちと駆け出すアレクセイの背に物語は帰結。11/12/09 ★★★
987 万能鑑定士Qの事件簿XU 松岡圭祐 万博の象徴「太陽の棟」で消えた女性を追って奔走する莉子と小笠原。 最初話がどこへ向かうの皆目分からず、只管文章について行く感じでしたが、その謎が万博世代のミステリーに行き着いた時は驚きでした。 莉子にアピールする小笠原の勘違いがイタイ。二人の仲は次の推理劇シリーズに持越しです。11/12/13 ★★
988 そうだったのか!日本現代史 池上彰 政党の生生流転を解りやすく説明。そこから、55年体制崩壊の必然。公害を認めない企業と政府。過度な組織運動の末路など、時代を追ってゆきます。 政府の利権優先の体質は、今も然程変わっていないのが悲しいところです。沖縄基地問題を背景に紹介された、太田実少将最後の電文に胸打たれたので特筆。 「沖縄県民斯く戦えり、後世格別の御高配を賜らん事を」11/12/18 ★★★☆
989 少女不十分 西尾維新 酷な本性を知られてしまったと、大学生を誘拐する小学生。家の物置に閉じ込められて数週間。不思議な拉致監禁生活は、意外な形で終わりを告げます。 ルールに従い自らを押し隠す少女の図に、悲しい既視を覚えました。眠る少女の声無き声があまりも切ないです。11/12/22 ★★★☆
990 万能鑑定士Qの推理劇T 松岡圭祐 謎の実業家が主催する鑑定トーナメントへと乗り出す莉子と小笠原。鑑定家の立場を逆手に取った巧妙な犯罪を暴いてゆきます。 イギリス皇族を前に、罠にかかり鑑定眼を失うライバル。それを救う莉子。彼女の信念ともいえる言動の数々が、読んでいて心地良いです。 新キャラの天才添乗員さんも気になります。11/12/27 ★★☆
991 人間の条件 ハンナ・アレント 労働、仕事、活動の三つに着目し、アリストテレスやマルクスなど賢人たちのを言葉を多分に引用しながら社会の中に在る人間を解く。 私の理解力を超えた放埓な文章のレトリックに頭を抱えましたが、それでも、一日二章ずつの熟読にそれとない充実感を覚えました。 見解の多くにキリスト教的考察が見て取れます。12/01/04 ★★☆
992 オラドゥール大虐殺の謎 ロビン・マックネス ナチスSS隊による謎のオラドゥール村襲撃事件の全容を描く。マキの襲ったSS隊が偶々持ち合わせていた金塊。その金塊を回収するため 行方不明となったナチ将校の誘拐疑惑にこじ付け、たまたま間近にあったオラドゥール村を捜索、そして虐殺。筆者の実体験だけに説得力があります。 これが真相であるならば無情極まりない。12/01/10 ★★★
994 百万遍 青の時代(上・下) 花村萬月 思春期の惟朔が薬や女に溺れながらも生きる道を模索する自伝的小説。60年代の文化や暮らし、彫師の世界などは興味を持って読みましたが 薬や万引きが当たり前の彼の精神に共感を得るところは少なかったです。主人公が苦もなく薬をやめている部分は、疑問として色濃い。12/01/24 ★★
995 恋物語 西尾維新 神となった撫子を騙し恋人阿良々木を救って欲しいと戦場ヶ原に依頼される、詐欺師貝木。 貝木視点での語りが新鮮で、意外にも面白い。最後に明かされる撫子の本当の姿に小さな共感を覚えました。大切なものは、いつだって胸の内に。12/01/27 ★★★
996 知らないと恥をかく
 世界の大問題
池上彰 リーマンショックや中国のバブル、パレスチナ問題。国内は与党民主党の新政策など、2009年当時の問題を解りやすく解説。 当時の世論と同じように民主党政策に期待を寄せていますが、現在のマニフェスト総崩れに切れていいです池上さん。12/01/27 ★☆
998 ビブリア古書堂の事件手帖
ビブリア古書堂の事件手帖2
三上延 物語は各章一冊の古書をベースに進行。古書店主栞子と店員の主人公五浦大輔が、古書を廻る様々な事件を解決していく。 太宰治や足塚不二雄の希少本。司馬遼太郎=福田定一『名言随筆 サラリーマン』など本好きのツボ突いた本書。 前半、五浦に突き放される栞子。それから仲直りに至るまでのやり取りがまたなんともいい感じ。 母親の姓癖を己に鑑みて一生結婚しないと言い切る彼女。五浦との今後に注目です。12/02/04 ★★★★
1000 そうだったのか!現代史
そうだったのか!現代史パート2
池上彰 戦後の世界をわかりやすく解説。中国の文化大革命やカンボジアポルポトによる大虐殺。ソ連のチェルノブイリなど。 共産圏で起きる大惨事は、事後でなければ明らかにならないというこの悲惨さに顔を顰め、 隠蔽体質の国家がいかに危険かを思い知りました。国の在り方に興味を持つようになれる一冊です。12/02/17 ★★★☆
1001 晩年 太宰治 短編集。「死のうと思っていた」から始まっちゃう本書。私の肌には合いませんでしたが、それでも数話の創作に心惹かれました。 安寧の檻を破り仲間の猿と一緒に動物園を脱出する「猿ケ島」がお薦めです。12/02/23 ★★
1003 親鸞(上・下) 五木寛之 9歳で比叡山へ出家し、やがて法然と出会い、野の聖となって親鸞と名乗るまでのお話。 親鸞の説法を期待して読んだのですが、ここまで殆ど触れておらず、しかも著者の親鸞像がしっくりこなくて残念。 親鸞はこんな畏まった人じゃないと思う。12/03/07 ★☆
1004 時の娘 中村融(編) ロマンティックSF短編集。ロバート・F・ヤングの「時が新しかったころ」が一押し。 誘拐犯に追われている火星人の少年少女を助ける主人公カーペンター。多くの危険を乗り越え二人を守りきるも、独り石器時代に取り残されてしまう。 そこへ、自分を助けに来た顔見知りの部下たち。彼らの正体とは−。彼の代表作「たんぽぽ娘」にも引けを取らず、ロマンティックです。12/03/14 ★★
1005 ミャンマーの柳生一族 高野秀行 ミャンマーの軍事政権を江戸幕府、政府関係者を柳生一族に置き換えてミャンマーの旅を物語る。 緻密なのかいい加減なのか筆者を監視する軍関係者の滑稽な遁走ぶりなど、愛着を持って笑えます。 ミャンマーが世界12を争う読書国家だったことは驚きです。浅くでもミャンマーの近代史を知ってから読むとよいです。12/03/16 ★★☆
1006 奇妙なはなし 文藝春秋(編) 短編集。絶版のロバート・F・ヤング「たんぽぽ娘」収録。未来から来たと語る森の少女の正体とは。 妻にしろ誰にしろ、自分にとって知り合う以前の女性は皆、未知の旅人で有りうるのですね。素敵な物語でした。 津山鉱一の摩訶不思議な世界「時間をかけた料理」もお薦めです。12/03/22 ★★☆
1007 嘘つきアーニャの真っ赤な真実 米原万里 ソビエト学校時代のクラスメートを訪ねて歩く筆者。 多民族紛争紛に翻弄されるユーゴスラビア連邦最期の大統領の娘、ヤスミンカの物語が印象に深い。 どんなにお金を持っていても、高価な物を買うことはない。紛争でいつ失ってもおかしくないからだ。 争いが身近な彼女の言葉に、湧いて止まぬ物憂げな物欲が恥ずかしくなります。 ヤスミンカは訴えます「私空気になりたい。誰にも気付かれない存在になりたい」大宅荘一ノンフィクション賞受賞。12/03/26 ★★★
1008 容疑者xの献身 東野圭吾 たかりをやめない前夫を殺してしまう母と娘。ふたりを庇う、隣人の数学者。 彼はなぜ全てを捨ててまでふたりを助けようとするのか。親友の物理学者がその謎に挑みます。 母子の笑顔に生きる力を取り戻す数学者。慈しみの心。しかし、愛と罪は切り離して受け止めねばならない。 その愛が深いだけに切なくて仕方がなかったです。本格ミステリ大賞、直木賞受賞作。12/03/28 ★★★★
1009 ピーナッツバター作戦 ロバート・F・ヤング ピーナッツバターを欲しがる小人の異性人。少年に報いる彼らの恩返しとは。小人の存在を訴える少年。叱責する父親。 物語は童話チックにまとまると思いきや、ラストで流される父の涙に、その枠を超えてゆきます。 彼はきっと信じる心を取り戻したのでしょう。12/03/30 ★★
1010 真夜中のパン屋さん 大沼紀子 子育て放棄を繰り返す母を啄木鳥の託卵に擬えて語る孤高の少女、希実。 伯母(故)の夫のパン屋に居候することとなり、やがて客の数々の人生問題に触れてゆくことになります。 希の学校問題。ホームレスになったニューハーフ。手放すことで子を守ろうとした母。その母を慕う少年。 どの物語も優しくも痛ましい。登場人物達の過去が明らかになったところで、話は続刊へ。12/04/05 ★★★
1012 黒い兄弟(上・下) リザ・テツナー スイスの田舎からイタリアへ煙突掃除夫として売られてゆく少年ジョルジェ。親友のアルフレド。 煤で肺を冒され倒れゆく親友の遺志を胸に、ジョルジェはイタリアからの脱出を試みます。 人間扱いされない煙突夫の少年たち「黒い兄弟」と、ジョルジェを支え続けた病床の少女アンジェレッタ。 そして、高貴なスイス人の医師によって脱出は成功。その尊い犠牲の上に、少年たちの悲劇に終止符が打たれます。 史実に基づく物語ですが、不幸に抗い生きてゆく子供たちの強さに脱帽です。12/04/13 ★★★
1013 トーマの心臓 森博嗣 萩尾望都の漫画を小説家。自殺した美少年トーマそっくりの転校生エーリク。彼を突き放すユーリ。見守る主人公オスカー。 何故あしらわれるのか納得のいかないエーリクが不憫ながらも可愛らしい。 トーマ自殺の原因とユーリの心の古傷。オスカー出生の秘密。辛い過去を見つめ合うところで 三人はそれぞれの道を歩んでいきます。原作の雰囲気と筆者の表現力が見事なまでに同色を成した、素敵な一冊。12/04/19 ★★★

Last Up Data : 2012/04/23

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