BOOK−1
Present BY Kasumi Yahagi


[順不同。これは霞美の個人的な評価です]

本の題名 作者 霞美の一言メモ 5星評価
2 いま、女として(上・下) 金賢姫 KAL517便を爆破させた元北朝鮮女工作員の告白。大統領の特別措置により死刑を免れこれを執筆。 工作員としてのこれまでや、忸怩たる想いがしっかり描写されています。 ★★☆
4 悪魔の飽食
悪魔の飽食(続)
森村誠一 大日本帝國陸軍満州第731部隊。人体実験の衝撃告白となった問題作。人間とそれを狂わす戦争の狂気を客観的に描いています。 この真実を知るには、一番好い本かも知れません。絶版。 ★★★
5 人間失格 太宰治 自伝的小説。本人の卑下する己の恥や拙さは、形は違えど、誰もが抱き合わせているものではないだろうかと、私は思いました。 ★★☆
11 キスまでの距離(1)
僕等の夏(2)
彼女の朝(3)
緑の午後(4)
雪の降る街(5)
遠い背中(6)
村山由佳 「おいしいコーヒーの入れ方シリーズ」とあるので軽い気持ちで買った本。珈琲があまり出てこない。だまされた? 純粋な恋愛もの。内容も至ってシンプル。アニメチックな美男と美女の物語です。 この手のお話を好む方はまずキャラクターにはまっていくのではないでしょうか? 個人的にはこれと言って得るものはないのですが、続巻どんどん出るのでこうなったら最後まで付き合います。 内容的には中学生から読めるもので、とても読みやすい。文庫で再販もされています。 ★★★
12 トットちゃんとトットちゃんたち 黒柳徹子 できることなら世界中の人に読んでもらいたい、涙なくしては読めません。世界中の、かわいそうな子供達へ捧ぐ本。 黒柳徹子さんがユニセフ親善大使として活動した、その経験談がのせてあります。 ★★★★☆
20 竜馬が行く(全8巻) 司馬遼太郎 誰もが竜馬に憧れる一冊。鎖国の時代。世界とは=日本であり、国とは=藩であった時代、その枠を取り払って考えることの出来た唯一の男、坂本。 その枠無き考え方は人に対しても同じでした。誰が決めたとも知れない社会の肩書きに、フラフラしなければならない我々現代人の憂鬱は、この本が取り去ってくれます。 八冊と量はありますが、読む価値はあります。 ★★★★
21 秋の花 北村薫 命の重みを垣間見る悲しみの推理小説。傷つけられた者の痛みと傷つけてしまった者の痛みが、主人公の視点で揺れ動いていきます。 「誰か私を罰して欲しい」そんな悲痛な叫びが痛いほどに読者の心を捕らえる。北村薫作品の中では一番好きです。 ★★★★
22 リセット 北村薫 人は「リセット」を続け出会いは繰り返される。私が亡くなっても、私は無くならない。永久に失われないものが、ここに存在する。 これを読み手が自分にどう当てはめるかで評価の分かれる作品だと思いました。 ★★☆
23 ターン 北村薫 「時と人」三部作の中で一番好きです。一定時刻を基準に全てが戻ってしまう、物理的に物を残せない世界。 そんな中で、主人公は何を考え、本質的に何を残そうとするのか。 トリックの仕組みや登場人物の意思。文章の二人称構成など、傑作と言ってもいいのではないでしょうか。 ★★★★☆
24 スキップ 北村薫 女子中学生が突然40歳の自分になったら。という仮定を背景に描かれた青春もの。 心の描写やその世界を語る部分は流石で、読んでいる間は退屈しませんでした。 しかし、時間のトリックには触れず、主人公をあえてその境遇に置き去りにしたという部分は 私が作者の意図を消化し切れない処です。 ★★★
25 六の宮の姫君 北村薫 文学好きの読者が自己満足で書いている感があります。後書きを読んだら案の定でした。 文学に興味がないと読破は辛い作品だと思います。 ★☆
26 空飛ぶ馬 北村薫 血の無い推理小説。日常を推理する面白さが味わえます。なかなか、お薦めです。 ★★★
27 夜の蝉 北村薫 「私」シリーズの中でも特に綺麗な描写で「おねえちゃん」などが良かったです。 ★★★
30 覆面作家は二人いる
覆面作家の夢の家
覆面作家の愛の歌
北村薫 シリーズ三作。「野外変貌性」のお嬢様が大活躍する推理物。以外にありそうで怖い。 早ければ中学生から楽しめる作品。「時と人」「私」シリーズに較べると難しい表現もなく読みやすいものです。 三冊目。「愛の歌」ラストは流石北村薫。らしい終わり方をしていて、私好みでした。 ★★★
31 殺戮にいたる病 我孫子竹丸 黒幕の予想できない展開、ラストに期待して下さい!ただ、ちょっとグロい。 ★★☆
32 十二番目の天使 オグマンディーノ 自分の死期を只管に隠し明るく振舞い続けた少年のお話。最後に見せた無垢で小さな悲願。 「僕が死んだら、祈ってくれませんか?少しでいいから」この台詞に、人間のかけがえのない部分を垣間見たような気がしました。 生きる者は一人で旅立たねばならない運命にあるからこそ、ぬくもりを欲する。 ★★★
33 果心居士の幻術 司馬遼太郎 忍者果心居士、飛び加藤、壬生狂言の夜など。司馬遼太郎、時代もの短編集 ★★☆
35 風神の門(上・下) 司馬遼太郎 霧隠の称号を持つ伊賀忍者、才蔵。関ヶ原の後、密かに再起を狙う西側(豊臣)から声がかかる。 甲賀忍者、猿飛佐助を使者にかの有名な真田十勇士結成。「真田十勇士」においては様々な本が出ていますが 信憑性で言うとこれが一番と拙者は見ているでござるよ。 ★★★☆
38 源頼朝(全3巻) 山岡荘八 保元の乱を経て平治の乱勃発へ。「宿無し源氏」と言われるまでの道のりを描く。 少々歴史を「物語」として飾りすぎているかなぁという気もしました。どうしても司馬遼太郎と比較してしまう。 ★★☆
40 源義経(上・下) 司馬遼太郎 義経の幼少時代。以仁王から平家討伐命令。木曾義仲の京入場など。面白かったのはこの時代における武士の政治感覚の洞察です。 義経にもう少し政治的意識と才覚があったなら。 ★★★☆
41 パールハーバー 源田実 真珠湾奇襲に参戦した作者の視点で描かれてます。「奇襲はこうして成功した!」というものです。 ただ戦争の悲惨に触れていない所が残念です。 ★★
43 日本の黒い霧(上・下) 松本清張 流石元新聞記者。その視野を活かした作品と言えます。戦後、GHQによる日本の民主主義化政策。 G2、GS抗争が明確に描かれています。「下山忙殺論」などお薦め ★★★★
44 点と線 松本清張 時間トリックを巧妙に駆使した殺人事件を追う刑事の物語。なかなか面白い作品でしたが、その悲劇の過程における人間の心情を もう少し描いてほしいなと、我侭に思いました。 ★★
46 誰がために鐘は鳴る(上・下) アーネスト・
ヘミングウェイ
「国家」「〜主義」などといった枠に凝り固まって考える主人公やその他の人々。これに、「私」が共感できずにいます。 しかし、これはもう世代の齟齬だと思います。作品自体は名作であることに間違いはないです。 ★★
47 松本サリン事件報道の罪と罰 河野義行
浅野健一
警察とマスコミによって犯人に仕立てられた河野氏の実体験。河野氏と一緒に活動している創価学会の大学教授 浅野氏の文章が「私の本を読めば…」等些か奢っている個所がありますが、広い気持ちで読んでやって下さい。 ★☆
48 最後の将軍(徳川慶喜) 司馬遼太郎 自ら国主たる権限を投げ出し(大政奉還)、勝てる戦をあえてしなかった。そのまま、時代の変貌を見届けた一個の人間像が描かれています。 慶喜の有能無能は専門家の間で論議の的となっていますが、大きな力を使わない事を無能と言うのなら。平和は、無能の境地とも言えそうです。 ★★★
50 燃えよ剣(上・下) 司馬遼太郎 新撰組副長、土方歳三の伝記。「竜馬が行く」くらい面白い。金も地位も欲さず、自分の信念を最後まで貫き通す。 勝算には目もくれず、たった一人残って官軍と闘い続けた男の物語です。 血の舞台裏に垣間見る、悲しみと優しさと切なさに、多々思うものがありました。 ★★★★
52 ノルウェーの森(上・下) 村上春樹 生と死、性、人生、様々なテーマが錯綜しています。たしかに面白いとは思いますが、共感はできませんでした。 些かアニメチックで、それが現実を描いた個所とのギャップを生み、外枠の見えない世界を作り出しています。 登場人物はみんな我侭です。 ★★★
53 水に眠る 北村薫 北村薫短編集。日本が「二夫一婦制」だったら。個人を密閉する移動冷暖房着「くらげ」などなど、 空想の世界を舞台に人の思いを綴っています。始めは、この世界に入るのに少々の時間を要しますが、 入ってしまえば面白い作品です。特に「ものがたり」は、何度も読み返しました。切ない・・・。 ★★★☆
54 酔って候 司馬遼太郎 幕末。各藩の大名等はその時何を思い、どう動いたか。時に運命の歯車は可笑しい程に人と人を結び合わせて事を廻している。 その風を感じることのできる作品でした。
★★★
55 パン屋再襲撃 村上春樹 短編集。漠然とした疑問を、漠然と問いかけ、問いかけっぱなしという感じがしました。 どの物語の主人公も美男で、酒、女好き。且、冷めている。村上春樹の作品を読んだのはこれで二作 三冊目ですが、ここまで「俺は俺のしたいようにやる。その変わり他人には干渉しない。」と言う意が目に入ってなりません。
★★☆
56 この国のかたち 司馬遼太郎 司馬遼太郎の歴史に対する見解。読者が歴史を知っているということを前提に書かれているので少々難しく、込み入った内容です。 物語ではないので、読んで楽しいとはまた別ものか。
★★
57 火車 宮部みゆき 分厚い本です。ラスト。「スッ」と終わるところなどは個人的に好きです。 殺しが絡み、残酷な事象があるにも関わらず表現の上手さか、そんなに嫌な気持ちにもなりませんでした。 売れる作家さんにある一ひねりの要素が見受けられる作品。 ★★☆
58 歴史と風土 司馬遼太郎 作者の歴史感が綴ってあります。体験談を交えたもので読みやすい。 無論ストーリーはありません。一個の意見として受け止めておくにいい本でした。この本では「統帥権」を非難。 ★★
59 白蓮華のように 中島みどり 浄土真宗出版。その門徒、中島みどり氏本人の闘病生活を綴ったもの。 「病気を治して欲しい」などの神頼みはせず。ただ、浄土(所謂天国)に帰るという理解の元に、死を恐れず 夫や子供達に明るく接し続けた、一個の人間の物語です。子供との交換日記などが載っています。 ★★★
62 項羽と劉邦(上・中・下) 司馬遼太郎 三国志はおろか、中国の歴史を一切知らないで読み見始めた本。しかし、すんなりとはいっていけました。 武将達の策略を知るというよりは、当時の中国人の意識を垣間見るのが面白い作品でした。広大な土地に膨大な人口ですから 飢饉の時は、市場に人肉が出たそうです。 ★★☆
63 アナスタシア ジェイムズ・B・ラヴェル 終始客観的に物事を見て文章を綴っており、真実味があってとても面白かったです。 アナスタシアではないかといわれているアンナ・アンダーソンの壮絶な生涯を、分析にも近い視野で描いています。 アンナ=アナスタシアが本当に望んでいたものは何か。それは、名前でも、権力や遺産でもなく「家族」だったのでしょう。 ★★★☆
64 大阪侍 司馬遼太郎 明治維新によって廃退して行った武士の身分。経済とそれを支えたる商人の時代が訪れ、武士達は苦悶し葛藤し各々足掻いてみる。 その滑稽さを描いた一風変わった短編集です。 ★★★
72 坂の上の雲(全8巻) 司馬遼太郎 事実関係の調査にものすごい苦労したと筆者自らが語る、言わば日露戦争実況本です。10年の歳月をかけて書き上げたといのが頷けます。 注目すべきは戦争という異常さの中にあって、人々は何を垣間見たかと言うこと。先進国の仲間入りを果たすため美しき雲を掴みに坂を駆け上がった若き国家。 しかし、いざ丘を登りきって見ると掴めるようなものは何も無かった。 ★★★☆
73 新撰組血風禄 司馬遼太郎 何かドラマを見ているような感じで、とても読みやすかったです。 新撰組隊士達にかせられた「血の結束」を縄に、それぞれの物語が締め括られていきます。 ★★★☆
74 幕末 司馬遼太郎 少々事が錯綜しすぎていて、物語にスッと入れませんでした。 「暗殺」を主軸に置いているので、どうしても世情と政情を迂遠に説明せねばならず、それと暗躍という非現実性との ギャップで、消化不良に終わったしまった。本人もあとがきに、まとめずらかった旨を書いてますね。 ★★
75 殉死 司馬遼太郎 乃木希典の伝記。知る人ぞ知る司馬遼太郎の問題作です。 (日露戦争)戦後、英雄的存在となった乃木希典の無能説について、余薀残す事無くその見解がまとめられています。 ★★★
76 オホーツク街道 司馬遼太郎 司馬遼太郎、旅の記録オホーツク編。個人的に、アイヌと松前藩の抗争について深く書いて欲しかった。 貝塚を中心とし、古代を意識しての旅だったようです。 ★★
77 連合赤軍「あさま山荘」事件 佐々淳行 事件当時の回顧録。警視庁・警視だった筆者、佐々氏は「局付」として、長野県浅間山荘へ派遣され現場を指揮。 当然、警察側からの視点で物語りは進行します。現場の雰囲気が切々と伝わってくる内容でそれについては申し分ないです。 ただ「彼等(赤軍)は、何故そうなってしまったのか」という根本に対して一切の疑問符を打たず「凶悪な奴等」の一点張りは少々解せません。 ★★☆

AD2002 05/14
77冊

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