「星降る街角」

「この辺りって暗いよね。夜帰る時怖くない?」

うちに遊びに来る友達からよく言われる。

暗くねぇよ!

あたしは重いペダルをこぎながらつくづくそう思った。

改めて探すと暗いところなんてドコにもない。

もう4時過ぎている。

『獅子座流星群』のピークの時間のはずだ。

だいたいマンションが多い。

玄関灯のあかりってこんなに強いものだったんだ。

京葉道路のインターが近いからこんな時間でも結構車通りがある。

「中山競馬場まで行こうかな・・・」そう思っていたのに往来する車の多さにイヤになった。

どこかない?どこか・・・。

うーん・・・ここでいいかな。

広い駐車場。めずらしく電灯が少ないし、止めている車もあまりない。

自転車にまたがったまま空を見上げる。

気のせいかいつもよりも星がいっぱい見える。

星って色々あるんだね。

妙にチカチカしていたり、白かったり赤かったり・・・。

たけしが書いた詩は星に関するものがいい。

大きく流れた様な気がする。

気のせい・・・だよね。

流れ星って見たことあるけど、ドラマの効果じゃあるまいし、

あんな大きいわけないよ。

その何回か感じた気のせいが、気のせいじゃなかったことは、

家に帰ってテレビを見るまで知らなかった。

だってもっとワーって向かってくるようにたくさん降るんじゃなかったの?

おかげで感動できなかったよ。

でも、ゆっくり星を見てなんだか満足。

『獅子座流星群』を見ていますっていう理由がなかったら、

こんな時間にこんな長く上を見ていたら変だよね。

UFO待っているのかと思われるね。

星がポツポツと光る。

それは何万年も前の光が届いたにすぎなかったりするんでしょ?

すごいね。

時間の流れを歪んで感じる一瞬。

あたしも宇宙のチリの一つ。

大きく星が流れる。

33年前に見た人はもっと綺麗な空の下から見たんだろうな。

33年後は・・・66年後は星が見えているのかな。

宇宙のソレ自体はたいして変わらない。たいした時間じゃない。

東の空の端が薄紫色になってきた。

さぁ帰ろう。

コンビニに寄って、雑誌とパンを買う。

さてさて、仕事をしなくっちゃね。

今日はまぁまぁきれいな朝焼けだ。

現実の世界に戻りましょう・・・。

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