ホクトヘリオス

  まだオグリキャップだけを応援していた、馬券はG1をやっと買い始めた頃。

テレビの競馬中継で聞いたことのある馬が出ていた。

つい最近のレースで勝った気がする。

当時はレースの格も距離も知らない。

ましてや馬に適正距離があるなんて考えつくわけがない。

だから「東京新聞杯」で勝ったホクトヘリオスが、どうして「中山記念」で5番人気なのか  

理解ができなかった。

 スタートしてみると、ホクトヘリオスは最後尾を走っている。

先頭の一団がまとまって4コーナーをまわり、中山の坂を駆け上がる。

その真ん中をドーンと割って白い馬が先頭にたった。

脚色がちがうとはこのことだ!

 ゴール板を駆け抜けたと同時に、騎手がヘリオスの首をポンポンッと叩き、

小さく力強くガッツポーズをした。

先に馬をねぎらったそのガッツポーズがたまらなくカッコ良かった。

柴田善臣は初めて連れて行ってもらった府中競馬場で、最終レースに勝った騎手だ。

名前だけは憶えていた。

 私はその時以来、ずっと善臣を応援しています。

 ホクトヘリオスは私に騎手の存在を教えてくれた馬です。

 オグリキャップとバンブーメモリーの熱戦に沸いたマイルCS

最後の直線は2頭しか写されなかったけど、とんでもないところからヘリオスがこの3着に

突っ込んでいる。

 人気があってもなくても必ず一番後ろから、直線だけで勝負する。

最後の脚にすべてをかけている。

 

 北海道でヘリオスが種牡馬をしていた頃、会いに行って来ました。

厩務員さんたちがとても親切で、「今から行ってもいいですか」と電話をいれると、

小雨の中 厩舎にしまうのを待っていてくれました。

おかげで、きれいに洗ったばかりのホクトヘリオスと一緒の写真があります。

 私に善臣を教えてくれてありがとう。

おかげで競馬が何倍も楽しくなりました。

 私はホクトヘリオスが好きです。

 来年生まれてくる仔が最後の産駒。なんとか彼のを残して下さい。

もう一度あの追い込みを見せてください。

<1998年5月>