金木犀

99.10.11 up

金木犀の匂いを嗅ぐと、お腹が空く。
ネクタイを解き、窓を開けて空気を入れ替える。
夜の冷たい空気と共に、流れ込む甘い香り。
金木犀の匂いを嗅ぐと、お腹が空く。
 
抜けるような青空。秋晴れ、と言うのだろう。
誰も居ない静かな屋上で、彼女と二人。
彼女が持ってきた、いびつな形のおにぎりと、コンビニで買った味噌汁。
梅干しと、おかかと、醤油味の卵焼き。
校庭にある金木犀の木から、こんな所まで花の匂いが伝わってくる。
 
あれは、どのくらい前になるのだろう。
 
金木犀の匂いを嗅ぐと、お腹が空く。
 

END

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