★ぱーるのめもり〜ず★

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SEEKING THE PEARLという馬をひとことで言うと、 何だろう
あの い地に白い(星)という勝負服が
あれほど似合う馬も 他にいないだろう(着るのは騎手だけどね)
気まぐれ、タカビー、ワガママ・・・・・
普通に考えるとあんまりいいイメージじゃないみたい

そうだ、「自由奔放」というのはどうだろう。「ジャジャ馬」もありかな?
そりゃそのまんまだって(笑)
あの「武 豊」でさえ振り回された痛快なおてんば娘

私が彼女に魅かれるワケは何なんだろう
数少ない生観戦を含めて、レースの思い出を通して
私の「
真珠 」を探してみよう


スプリンターズステークス
'98.12.20

一番印象深いのはこのレースかもしれません。
この日初めて本物の パールに会うことができたのです。
中山競馬場でまだ暗い6時くらいから開門待ちをして、しんしんと明け方 の寒さが
足元から沁み込んでくるのをじっと耐えました。
もちろんタイキシャトルも大好きな馬でしたから、その引退レースを
何としても間近で見たい、という気持ちも強く、
不精ものの私にしては ずいぶんと気合を入れて競馬場に向かったのです。

パドックで目の前を周回するパールを見ながら
「お帰り ! パール。よく帰って来てくれたね」
心の中でそうつぶやいていました。
この夏フランスで、日本調教馬初の海外GT制覇を成し遂げ、
もう日本に帰らず海外で繁殖入りするという噂もありました。それなのに
こうして会えたのが本当にうれしかったのです。

ファインダー越しにのぞいていると、いつもTVで見ていたように、
グッと あごを引き、気合が入っているというより入れ込むような表情をし、
トコトコッと、いわゆるチャカついた足取りをしていました
それは、武 豊JKが跨っても変わらず、本当に気性のキツい馬なんだな、
と思いました。

アベック海外GTのタイキシャトルに次ぐ2番人気。この日は短距離の華と いわれる
豪華メンバーが揃っていました。
3着でいいから・・・・そんな気持ちでした
タイキシャトルに花道を飾らせてあげたいのもあったけど、何より無理をして
故障なんかしてほしくなかったから。

中山の芝1200mはあっという間に終わります。
でもその日の直線の、と いうよりゴール前の数10メートルは長いような短いような不思議な感覚でした。

4角を回るとシャトルは早めに抜け出し、
絶好の位置につけていた マイネルラヴが追随する。シャトルが引き離す、
と思ったが、はたして 引き離すことはなかった。
行き足から見てマイネルラヴが早晩ハナに 立つことは容易に見て取れた。

それでも・・・・・・

あの、シャトルなのだ、どこかでもう一度差し返すに違いない
いや、差し返してくれ、と心の中で叫んでいた。
府中にくらべれば短すぎるように思えた直線の間ずっと。
やがてゴール前、決して逆転できないという失望が広がり出した時
外から、一頭、鮮やかに追ってくる馬がいた。

赤地に白い星。パールだ

そこから先はうまく言い表すことができない。 心の中で複雑な思いがうずまいていたから。
パールが、あの娘が、ここまで やったのだ
シャトルに迫って、最後の最後とうとう、ハナ差前に出ていた。 その勢いは、
あと100mいや50m先にゴールがあれば、 マイネルラヴさえも差し切っていたように思えた。

結局、シーキングザゴールド産駒がワン・ツーを決め、タイキシャトルの
花道どころか完全連対記録すらも破ってしまいました。
私はパールが大好きだけれど、タイキシャトルを「王子様」と呼ぶ大ファン
なので喜んでいいのか悲しんでいいのか、とても複雑でした。
だけど、前走マイルCSで8着と破れ、もう後は繁殖入りするだけ
のように 思われていた(人気的にはそうじゃなかったけど)パールが最後に
あんな形で突っ込んで来るなんて予想もしていませんでした
そんな人が多かったと見えて、配当は98年のGTの中でもっとも高く、 しかも万馬券。

当然、パールフリークである私は皆から、「取った?取ったんでしょっ?」
と言われましたが、パール-シャトル、シャトル−ラヴと買っていたので
見事なタテ目を食らい、「何でなのぉ〜」とブーイングの嵐に会いました

あの、ゴール前の複雑な興奮はきっといつまでも記憶に残ることでしょう。
パールの強烈な末足とともに。

'98 スプリンターズステークスの巻 おわり