大澤 武司
(Dr. OSAWA Takeshi)



 


熊 本 日 記
(2008年7月)

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□2008年7月29日(火)  CM撮影



学園大百景 其の五 独鈷山にてCM撮影に臨む息子

 東アジア学科は「語劇」コンテストが恒例行事となっていることもあってか、映像に強い関心を持つ学生さんも多い。課外実習の一環ということで学生たちのCM撮影に同行。息子をキャストに起用したいとの強い要望があり、出演子役の保護者としても参加することとなった。

 とはいえ、あくまで3歳児。思うようには動いてくれない。何度も撮り直して、ようやく使えそうな映像をゲット。帰路、頑張った息子にとびきりのご褒美を買ってあげたことはいうまでもない。

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□2008年7月28日(月)  オーラルヒストリー

 定期試験の採点も終わり、ようやく春学期が完全に終了。朝から研究室にて久しぶりのインプット作業に精を出す。特に近々予定しているオーラルヒストリー関係プロジェクトの準備は、これから本格的に着手しようとしている研究分野に重なるところが多いため、ついつい熱が入る。夕方ちょっとした学科会議。その後、通町筋にて「反省会」。久し振りに「禁酒」を忘れる。

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□2008年7月24日(木)  採点

 定期試験の採点を開始。東洋史概論141枚。国際社会と日本226枚。合計367枚。いずれも論述形式とした。

 当選確率をここで出すつもりはないが、それにしてもあまりにもネットからの安易な引用が多すぎる。論述とはいえ、講義を前提とした試験。講義内容(大量のレジュメ)をまったく無視して「それらしいこと」をネットやテキストから「丸写し」をしても、単位を「ゲット」するのは無理だろう。そのあたりが一種の「線引き」である。

 つい先日の会話。

某先生:単位ぐらい出してあげなさい。悩むもんじゃないよ

私:はぁ〜

某先生:どんどん出してあげればいいんだよ

私:そうですよね。『仏のたけちゃん』と呼ばれるのもいいですよね

某先生:そうそう。ちなみに私の学生は初め全学で200名ぐらいだったけど、そんなことしてたらいまは600名になっちゃった。ははは...

私:....

 なんとも深みのあるお言葉である。受講生の数は決して人気のバロメーターではないようだ。

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□2008年7月21日(祝)  KUMAGAKU中国語コンテスト2008



学園大百景 其の四 自由論題スピーチに参加する我がゼミ生

 ともかく無事に終わって良かった。久しぶりに思いっきり「ロジ」った感じ。権限を持って「ロジ」ると仕事は早い。とはいえ、もうそろそろ「人」に任せることも覚えないと。自己満足の完璧主義ではいずれ破たんするだろう。熊本県内の中学、高校、そして学園大。100名を超える参加者と大勢のお客さんが3時間余りにわたって中国語に浸った。テレビや新聞でも報道され、理事会での評判も良かったとのこと。さて、次は秋の中国語「語劇」である。

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□2008年7月15日(火)  『中共党史研究』

 熊本に来て4か月。ようやく論文刊行。来熊草々天津まで行って行なった周恩来国際検討会で報告した原稿を整理した「周恩来与対日本戦犯的処理政策」。編集部よりメールで「2008年第4期(7月10日)に掲載しました」との連絡。あれよあれよという間に掲載が決まったので、実物を見ないと実感がわかないのだが、苦労して現地で報告したのが報われたか。論文の内容を考えるに、党中央の「実事求是」の実践に思わず「大丈夫かしら」と心配する。

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□2008年7月14日(月)  国際シンポジウム

 慶應義塾大学東アジア研究所現代中国研究センター主催の国際シンポジウム「東アジア地域協力と中国」に参加。担当講義「国際社会と日本」の前半で地域統合の問題を扱ったこともあり、最先端の議論を確認すべく参加。来年度の講義としては「ASEAN+3」と「六カ国協議」の錯綜と「次なる枠組み」という問題について、もう少し突っ込んだ議論を紹介する必要があると認識。米大統領選挙以降、東アジアの「枠組み」に動きがあるか。その意味で、春学期の講義は「ASEAN」を強調しすぎた嫌いがあったかもしれない。

 興味深かった話。「G2」。トロント大学の洞爺湖サミット・福田首相のリーダーシップ評価。「東アジアにおけるアメリカン・プレゼンスの『内在化』」。

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□2008年7月12日(土)  東アジア社会文化研究会



学園大百景 其の三 研究棟受付横にて配布される大量のピーマン

 「KUMAGAKU中国語コンテスト2008」の準備でテンテコ舞いしているため朝から研究室へ。先週は日曜日の研究室で蒸し風呂を初体験したため、今週は土曜日に仕事を片付けることにする。

 いつものように研究棟に入ると、受付の横に何やら怪しいカゴがふたつ。大量のピーマンである。写真ではすでにひとつカゴが空になっているのだが、最初、左のカゴには緑色のピーマンが山と積まれていた。

 さまざまな種類の紀要が陳列されているその前にピーマン...。あまりにも妙な取り合わせなので1枚パチリ。「あのピーマンは何ですか」と受付のひとに質問すると、「○○先生が収穫されて、お持ちになったんです。ご自由にどうぞ」とのこと。何とものんびりとした光景である。いいぞ熊本!

 午後は幹事をしている「東アジア社会文化研究会」に参加。私と同じく4月に着任された土井浩嗣先生が「併合前後期の朝鮮における勧農体制の形成過程―ー本田孝介ほか日本人農学者を中心に」というテーマでご報告された。題名の通り、日韓併合前後の朝鮮における日本による「勧農」システムの形成過程を扱うもので、、その過程において日本人農学者たちがいかにこれにかかわったのかを明らかにしようとするものである。

 朝鮮の近代農業については、学部時代に東大にいらした宮嶋博史先生にサシで1年間みっちり講義を受けたこともあり、今回の報告も本当に面白く聞くことができた。日頃から戦後日中関係における民間農業外交の研究を進めたいと考えている私としては、東アジアの「農」に関する正統派の東洋史学者である先生とご一緒できるのは嬉しい限りである。

 明日は東京出張である。

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□2008年7月11日(金)  春学期定期試験「国際社会と日本T」

 英米学科が定期試験期間中に海外研修に出発するため、最終講義の時間に定期試験を実施。私自身、学園大に着任して初めての試験である。この講義は受講者241名。外国語学部の「必修」であるため、単位が取れないと卒業できない。

 春学期の本講義は「国際機構論」ならびに「地域統合論」と銘打って、国際社会の基本構造や戦後日本外交、あるいは「東アジア共同体」など、幅広く基礎を紹介するものとなった。私自身も授業準備のなかで学ぶことが多く、反省が多々ありながらも、まずは良かったのではないかと思っている。

 試験は60分間。3問中1問選択の論述問題。とりあえず講義で「論述の作法」みたいなことは話したので、結構「形」になっている答案が多い。嬉しいことである。採点はまだだが、じっくり読ませてもらいたいと思う。

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□2008年7月9日(水)  出欠票

 担当している大教室講義の出欠票の集計を確認。「上に政策あれば、下に対策あり」ということで、学生さんたちもいろいろと工夫しているようだ。もっとも、私は崩し文字の原史料を読む研究者である。出欠票の筆跡鑑定は楽しい(暗いか・・・)。普通の先生は、出欠票をそのまま教務課に提出するのだろうが、私はその前にひと手間かけている。学生諸君、ゆめゆめ油断召されますな!

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□2008年7月7日(月)  ゼミ締め



学園大大澤ゼミ第1期生

 春学期のゼミ締め。学園大大澤ゼミ第1期となる今年は、まず毛里和子『日中関係』(岩波新書、2006年)を素材にして、文献検索やレジュメの切り方、あるいは報告の仕方など、方法論の基礎を中心にゼミを進めてみた。卒論執筆予定の3名も、とにかく「何かしなければ」という意識は持ってくれているようだ。

 当然のことながら、4年生は就職活動で「出入り」があるので、春学期は3年生と合同ゼミの形をとり、「全体」で輪読を進めることで何とかリズムを維持。今後も「就活」戦線は続くが、とりあえずピークは過ぎたということで、秋学期は正式にゼミを分割して、それぞれの目標を追えるようにできるのではないかと思う。

 卒業アルバム用のゼミ写真の撮影。その後は学内のローソンでそれぞれにアイスやらジュースやらを御馳走して、まったりとしながら3年生が新井利男「裁くとはなにか――中国の戦犯政策」(『季刊中国』第61号、2000年)を報告。論点が多いテーマだけに、結構興味を持ってくれているようだ。今日は導入。秋学期が楽しみである。

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□2008年7月6日(日)  梅雨明けと蟷螂

 最近夜遅くまで仕事をしていたせいか、6時半に朝食を食べた後に二度寝。10時過ぎまで寝たのは何年振りだろうか。家族思いの私は、目覚めるとすぐ、妻と子供のために特製焼うどんを作り、自分は昨日の夕食で作ったスバゲティ・ボロネーゼをアレンジして昼食とした。

 少しばかり仕事をするため研究室へ。日曜日はエアコンが入らないのだが、5階にある我が研究室は気持ちよい風が入り、快適である。梅雨明けをした熊本では、こんな形で仕事ができるのも今日ぐらいまでか。来週の日曜日はきっと無理だろう。

 試験問題の作成と印刷を終え、授業準備の続きを始めると何やら研究机のうえに虫が...。「まさか、ここは5階だぞ。それも研究室の中だぞ」。いや、紛れもなく積み上げられた本にしがみついているのは蟷螂(カマキリ)。2センチ程度の赤ちゃん蟷螂である(生まれたばかりのはもっと小さいが)。

 つぶさないように紙袋へ。帰りがけに安い虫籠を買って息子のお土産に。家にはすでに2年選手の狛江から連れてきた蝸牛こと「でん次郎」がいるが、新しい仲間が加わることになった。

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□2008年7月4日(金)  専門試験の論述

 午前中は時事中国語の講義。春学期は「基礎」ということもあり、いわゆる『時事中国語』の課本を教材にして、「うまい日本語訳」を作るトレーニングをしてきた。やはり3か月経つとそれぞれの学生さんの個性が出てくる。言葉の選び方などについては、やはりセンスがある学生さんのほうが(私よりも)、荒削りながらも「キラッ」と光るものを見せてくれる。嬉しい時間であった

 昼休みは学科のホームページ更新関係の業務を片づけ、しばらく服部龍二先生から頂いた『広田弘毅』(中公新書、2008年6月)を読む。昨日から読み始めてすでにおおよそ読み終えていたので、一気に最後まで読む。面白かった。特に広田の首相就任のくだりは「う〜ん」と唸った。その後の「ぐだぐだ感」をうまく引き立てていた。史料面については私などが何かを言える立場にない。。ただただ勉強になる。そして、やはり自らの「文体」を磨き続けていらっしゃる先生の姿勢に改めて強い感銘を受けた。

 読み終えて大教室講義の「国際社会と日本」へ。本日は春学期の最終講義。最終的に今年前半は「国際機構論」と「地域統合論」と銘打って、「国際連盟」や「国際連合」、東西冷戦と日本、あるいは戦後日本外交と国連、さらには欧州連合からASEAN、はては「東アジア共同体」などなど、現代国際社会の基本事項を理解してもらう時間となった。もちろん「パンダ外交」や「救援外交」にも触れた。

 この講義は最終授業日(来週)に試験を実施するので、簡単に「専門試験の論述」の作法について話す。私自身、大学の講義のなかで「論述の仕方」を教わったことはなかったが(法学部法律学科であったため、司法試験受験者は答練でやったのだろう)、少なくとも膨大な「感想文」や「エッセイ」の海に溺れないようにするためにも、先手を打っておくことにした。

 講義後、何人かの学生さんたちが質問にきた。「論述の作法」と「小論文」の違いなど。とにかく私にとっても学園大最初の試験である。まずはお互いに様子見という感じだろうか。

 その後、「中国語コンテスト」の打ち合わせ。帰宅後、12月出版予定の共著の最終原稿を仕上げて送る。続けて「コンテスト」の最終企画案作成。夜中2時半過ぎ、今日から寝しなに『中国共産党資料集』を少しずつ読み返そうと考えていたので、読み始める。寝転がって読むにはちと重い。

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□2008年7月2日(水)  いずこも土砂降り

 朝から土砂降り。「熊本の梅雨2008」は例年に比べて倍の降雨量とのこと。とはいえ、そこは「火の国」。1限目の東洋史にもいつも通り真面目な諸君が集まってきてくれていた。特に高校生などはみんな雨の中を平気で傘を差して自転車を立ち漕ぎである。

 講義終了後は少しばかり事務作業を片づける。お昼には学生さんも集めて中国語コンテストの打ち合わせ。再び授業準備などをしているとあっという間に教授会の開始時間。2時間程度で教授会は終わったが、その後は続けて学科会議。忙しい時期を前にして協議事項も多い。終わったのは7時過ぎ(一般的には短いほうなのかしら)。

 昔、ある人に教わった「数字は嘘をつかない」という言葉を思い返す。今さらながらまったくその通りだと思う。

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