大澤 武司
(Dr. OSAWA Takeshi)



 


熊 本 日 記
(2008年6月)

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□2008年6月28日(土)  韓国語劇コンテスト

 あいにくの雨であったが、学生会館で開催された東アジア学科主催「2008年韓国語劇コンテスト」を観覧。与えられたスキットを解釈し、新たな表現を作り出して演ずる「スキット部門」、映像に合わせて、自らの考えたセリフをアテレコする「映像表現部門」、そして歌う「K-POP」部門。

 本当に面白かった。また、学生さんたちの語学力の高さに感心した。留学生の協力のもと、相当練習したのだろう。私のゼミに所属している中国語コースの学生さんも参加していたのだが、見事な韓国語のセリフまわしに脱帽。見事奨励賞を受賞。ちょっと感動した。

 来月は「中国語コンテスト2008」。学園大生だけでなく、熊本市内の中学や高校からも生徒さん達が参加してくれる。しっかり準備を進めなければ。

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□2008年6月23日(月)  学長選挙

 これまでは「学生」あるいは「研究員」として「大学」という組織に属してきたが、「教員」として「大学」という組織に属していることを実感する行事であった。

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□2008年6月17日(火)  父の日


筆立てに足を装着する息子

 数日遅れで幼稚園で作った筆立てをプレゼントとしてもらう。自宅に帰るや否や、「足がないとパパ歩けないね」とつぶやき、足を取りつけてくれた。なんともアバンギャルドな作品である。

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□2008年6月16日(月)  専門演習

 ともかくいろいろと考える。やはり深追いは禁物か。

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□2008年6月13日(金)  新刊紹介

 大学の丸善で新刊本を入手。白石惠美『「中国残留孤児」帰国者の人権擁護――国家という集団と個人の人権』(明石書店、2008年)。すでにご存じの方も多いと思うが、2006年の「第9回 図書館を使った“調べる”学習賞コンクール」で文部科学大臣奨励賞を受賞した長編のレポートを刊行したものである。高校の「個人課題研究」として書かれたものではあるが、問題意識の明確性はもとより、その丁寧かつ広範囲におよぶ調査から導き出される言葉の数々は、荒削りな部分を残しつつ、読み手を捉えて離さない魅力を持っている。

 極めて近い課題に取り組む研究者として高く評価したいのは、彼女が「先行研究」と向かい合った時の謙虚な姿勢である。とかく「棄民」という視角から本問題に取り組もうとする場合、国際政治や国家外交、あるいは政治構造的な問題について、言及を最小限に留める論者が多い。だが、本書は違う。例えば、本書の65頁から71頁までの部分、すなわち1950年代における「戦後日中民間人道外交」を扱った部分であるが、一読して明らかなように、2003年に私が『アジア研究』で発表した難解な専門論文をしっかりと読み込み、当時の東西冷戦という不可避な国際情勢の現実をしっかりと踏まえ、「最大限に先行研究を咀嚼・吸収した」うえで自らの行論を行っている。前述の私の論稿は、「棄民」という議論を行う場合、いささか用いにくい部分があると思われる。だが、彼女は決して目をそらさなかった。

 「解説」にある伊藤乾東大准教授の「必要に応じて複数の視点を往還し、矛盾を矛盾と認めながら漸近的に問題を解決していく行動的な力」。すなわち「歯切れの悪い知性」により「過度に簡略化された近代主義の誤謬は回避される」という評価。私自身は社会学を専門としないが、少なくとも社会学や歴史学、あるいは法学などの複数の学問領域を往復しながらある問題を考える場合、彼女の方法論、すなわち「複数の視点の往還」を常に意識すべき必要があるのではなかろうか。「合目的」的な議論が多すぎるような気がする。むろん目指すべき方向は同じである。しかし、「学問」が「運動」に服従すべきではないと思う。

 本書は数多くのことを世に問うだろう。だが、彼女の遺したしたものは「我々」にこそ強く訴えかけるのではないかと思う。

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□2008年6月10日(火)  棒茄子


熊本の「ながなす」

 ボーナスをもらうのは10年ぶりである。それにしても熊本の茄子は長い。

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□2008年6月9日(月)  仕事あれこれ

 午前中から大学へ。所属する学科のホームページ更新に関する業者さんとの打ち合わせ。ページを1枚増やすだけで1万5000円とは...。もちろんプロに頼めばそれなりのデザインにはなるが、個人的にはタイムリーな情報更新こそが肝要だと思っている。1995年にPerforma588を入手して以来、一貫してページづくりは「手打ち」を貫く私としては、複雑な心境。とはいえ、学生募集の「顔」であるだけに、あまりにも「手作り感」が出すぎるのも考えものか...。

 午後は専門演習を2コマ。就活も最終段階に入りつつあるようで、最終面接や役員面接の話が出始めている。みんな個性的でしっかりとした学生さんなので大丈夫だろう。幸運を祈りつつ、いつごろ祝賀会を設定すべきか思案する。中華でも食べに行くか...。

 その後も打ち合わせは続く。中国語コンテストの詰めやホームページ管理関係の打ち合わせ。着任早々ではあるが、お役に立てれば幸いである。

 メールボックスに献本あり。久保亨・土田哲夫・高田幸男・井上久士『現代中国の歴史――両岸三地100年のあゆみ』(東京大学出版会、2008年)。購入しようとしていた矢先に届いたのでちょっと嬉しい。土田先生は学部時代に中央大学の民国史研究会に誘って頂いて以来、ずっとお世話になっている先生。また、井上先生は私が中央大学法学部で一般教養科目「史学」を受講した時の講師で、私が最初に中国近現代史を教わった先生である。

 来年度の講義(中国近現代史)の教科書として使うかどうかは、じっくり読んでから決めたいと思う。

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□2008年6月6日(金)  新刊紹介

 学内の丸善で本を物色。専門書となると多少納本処理に時間がかかっても研究費で買うのだが、すぐにもでも読みたい新書は自腹で買うようにしている。読みたい時が読み時である。

 手に取ったのはノンフィクション作家である保阪正康氏と元国会図書館憲政資料室のアーキヴィストで現在大学教授の広瀬順晧による対談集『昭和史の一級史料を読む』(平凡社、2008年5月)。私は純粋に昭和史を専門としているわけではないが、「史料」というものについて分野の異なる専門家が対談するという企画は極めて魅力的である。

 期待通り、私自身が常日頃考えている「史料」との向き合い方に関して、極めて示唆的な内容となっていた。詳細はぜひともご自分で手にとってお読みいただきたいが、いわゆる「史料批判」についてなかなか専門的な訓練を受けることが少ない国際政治分野の学生や院生にとって、本書は極めて有用なのではないかと思う。

 東アジア学科主催の中国語コンテストの企画打ち合わせが最終段階に入った。

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□2008年6月5日(木)  ちょっと変化球

 朝から健康診断。かなり血を採られる。看護婦さんがうまかったので、全く痛くなかった。ようやくいっぱしの社会人になった気分。健康第一。午後、一緒に着任した先生と学食前で立ち話。有益なアドバイスを多数いただく。毎回A3で3枚配っているレジュメに少し変化球を。明日の学生さんの反応が楽しみ。

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□2008年6月4日(水)  三民主義

 朝イチの講義。清末における「革命」の思想。いわゆる辛亥革命前の孫文である。子供の頃、台湾の日本人学校や映画館でさんざん「三民主義」を斉唱させられただけに、歌わないわけにはいかないだろう。マスプロなのでもちろんマイクを使っての講義なのだが、朝から「三民主義」を斉唱。ある先生が講義中に「東方紅」を歌ってくれたのを思い出したが、自分で歌う立場になるとは。恥ずかしい...。講義の後に学生さんが「孫文の外遊」について質問してくれる。嬉しい時間。

 午後は短期留学の事前研修2回目。先週講義した「中国残留日本人孤児」問題を今度はビデオで見せる。やはり映像の力は偉大である。後半は「ワーキングシート」と銘打っての小レポート。熊本県が全国第3位の開拓団送出県であると改めて気づいたのは最近なのだが、県内出身者の多い学園大で「残留孤児」や「帰国者」について知らない学生が多いことに驚き。いい授業になったようだ。

 事前研修10分間後には会議。教授会、学科会議など。計6時間ちょっと。とはいえ、まだまだ知らないことだらけ。新入りである私にとってはすべてが「研修」のようなものであり、サラリーマン時代の習性か、「自分が何をできるのか」ばかりを考えてしまう。明日は健康診断で9時までに夕食を摂らなければならないのだが、ちょっと無理そう。お嫁様に「そうめん」を頼む。

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□2008年6月2日(月)  四川大地震と募金

 かねてより学生さんから打診があったのだが、学園大でも四川大地震の被災者支援のため、学生を中心とした、いや東アジア学科を中心とした募金活動が行われた。すでに先週の木曜日、うちのゼミ長をはじめ、数多くの学生さんたちが募金活動をしていたようだが、大学のホームページで彼が募金活動に動いている写真を見て、何かできないものかと考えた。

 今日は気温も低く、断続的に強い雨も降る大江であったが、とりあえずゼミ生と一緒に学園大のなかを回ってみた。いわゆるサークル棟である学生会館のなかを上から下まで募金にまわったのは楽しかった。学生時代にタイムスリップしたようだ。雨のなか、傘もささずに図書館の前に学生さんたちと立っていたのがまずかったのかもしれない。ちょっと喉を傷めたようだ。若くないのかしら。でも、それ以上に学園大と学園大生に近づけたような気がして、嬉しい時間だった。

 自分の師匠が、私のことを初めから今の今まで「大澤さん」と「さん」づけで呼んでくださることを改めてうれしく感じた。心がけているつもりだが、私も改めてそうありたいと思った。

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