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大澤 武司
(Dr. OSAWA Takeshi)



 


研 究 日 記
(2004年4月)



□2004年4月21日

 本学の服部龍二先生の手による『国際政治史の道標――実践的入門』(中央大学出版部、2004年)を読んだ。収録されている論稿はいずれもすでに個別に読んでいたが、一冊の本としてまとめられたものを通して読むとまた違った感じを受ける。先生の優れた研究業績の背後にあるものは何なのか。本書はその「舞台裏」を垣間見せてくれている。そして、研究活動というものがすべて自分の思い通りにいくものではなく、困難と挑戦の連続であることを改めて実感させてくれる。

 また、院に進んだ研究者を志望する学生が、今後自らが身を置く研究生活を「シュミレート」できるという意味でも、本書は「実践的入門」の名に恥じない、好著といえるのではなかろうか。文体も敢えて平易なものとされている。ざっくばらんな初読の感想に過ぎないが、是非、李ゼミ院生の必携書に推薦したい。


□2004年4月19日

 ジョージ・ワシントン大学歴史学部準教授である楊大慶先生と日中間における「和解」という概念について個人的に議論をさせていただく機会を得た。拙稿を書評に至るまで複写して精読してくださっている先生と1時間半にわたりお互いの問題意識を交換したことは、私の今後の研究に大きな影響を与えることになるだろう。自分の研究が学界において如何なる意味を持つのか。今後いかなる方向に研究を進めていくべきなのか。明確なヴィジョンが見えてきた。


□2004年4月17日

 対日理事会の議事録などを読んでいる.概要を知るのに「朝海報告書」は便利だ(ただ,米ソ対立が本当に激化する肝心な1949年から1951年がない).SWNCC資料にも手を伸ばしている.JCS関係資料もざっと見なければ.ただ,やはり核心の資料は中国共産党側にありそうだ.代々木の某中国書店に連日足を運んで関連する文献選編などの中身を確認しているが(購入するには高すぎるので),やはり直接的なものはないようだ.東北建設関係の資料集にありそうかな...「国防委員会」関係資料や「王世杰日記」も確認したい(どこの図書館にも入っていないみたい).個人的に購入するには高すぎるし...それに本の「雪崩」もあぶないし...

 毎回出席できるかどうか分からないが,姫田先生のゼミに参加しようと思い,土曜日の後楽園へ.講義にじっくり参加できるのは今年までかなとも思っている.本当は国際政治などのゼミにも参加したいのだが,過剰な負担は研究の進展を圧迫するので「自制」しなければと考えている.先生からは吸収しておきたいことがたくさんある.ゼミ後は浜崎君を連れて神保町と代々木の中国書店ツアーへ.


□2004年4月12日

 「三人委員会」による在華邦人引揚協議に関する史料を検索中.停戦協議が中心であったこともあり,断片的なものしか残っていない.この問題,どこまで追うべきなのか判断に迷うことろである.ただ,博士論文における「起源」の部分にあたる箇所なので,あまりいい加減なこともできない.Marshall Papers,FRUS,そしてGHQ史料とのにらめっこが続く.


□2004年4月1日

 新入社員になったのは今から8年も前のこと。大学に戻って早6年。今日からは自宅の書斎が仕事場という不思議な立場になりました。昨日と変わらずに机に向っているつもりですが、どことなく気分が違う。さらなる責任感を持って自分の研究を進めていきたいと思います。

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