The Hollow Lands
The Hollow Lands (1974)

 高校時代、1巻は読んでいない、内容に関する予備知識もないという状態で無理矢理読もうとした悪夢の思い出がある本です。当時、内容を知っている"Stormbringer"ですら、辞書を引きながら読んでも全く理解できなかったのですから、最初の数ページを読んでみたものの、なにがなんだかわからなかったというのは当然でしょう。表紙とタイトルからはどういう内容の作品なのか想像できませんでした。それでも冒頭に引用されている、本のタイトルを含むアーネスト・ドーソンの詩は好きで、高校時代に翻訳したものが部屋に残っています。(すっかり忘れた頃、部屋で発見されたので、どこで読んだのか思い出すまでに時間がかかりました)

 話は遠未来を舞台に始まります。Jherekの仲間たちはLatという宇宙人に遭遇します。かれらはあまり友好的でなく、逃げるときにJherekは一人、穴に落ちてしまいます。Jherekはそこでこの時代には見かけない子ども達と世話をしているロボットに遭遇します。しかし、Latもここまで追いかけてきます。ロボットと話をしてみると時間を行き来することができると言うので、Jherekは1896年のロンドンに行きたいと告げます。

 再び1896年のロンドンに来たJherekは、Ameliaの住むBromleyの家にたどり着き、Ameliaに再会します。そこに全く事情を知らないAmeliaの夫、Haroldが帰宅します。Ameliaはなんとかとりつくろうしますが、Jherekが本当のことを話してしまい、二人は家に外に追い出され、警察から逃れようと一晩中逃げること羽目に。そして、昨日訪れたロンドンのCafe Royalにたむろう友達に救いを求めます。警察とAmeliaの夫もそこに現れますが、19世紀のロンドンでも長く暮らしているJherekの遠未来の友人が二人を逃がします。選択の余地はなく、遠未来に戻ることになりますが、気がつくとそこは未来ならぬ、シルル紀だと思われる過去だった...。

 "An Alien Heat"を読んだ時から、文章がやや硬い(onではなくuponの多用、notも省略形を使わない、地の文の3人称にMrやMrsを多用するなど)と思っていましたが、これはどうも意識的にやっているようです。Cockneyを意識して書かれている部分もあるのですが、これも慣れないと意味がわからない。(これはColonel PyatのMrs Corneliusの会話文でさんざん泣かされている)

 道徳というもの概念を持たないJherekと19世紀の人間であるAmelia、Haroldとのやりとりがめちゃめちゃ面白い。コメディの技術はジョージ・メレディス(夏目漱石も影響を受けたという19世紀のイギリスの作家。文章が難解なことで有名)から学んだなどという話を聞くと、読んでみようかなと思います。「エゴイスト」が手元にありますが、ムアコックが好きなのは原書でも入手の難しい"Amazing Marrige"なんだよね〜〜。

 最初はJherekってとんでもない奴と思っていましたが、ここまで話が進むとかれを贔屓にしてしまいます(笑)かれといると絶対に楽しいだろうなあ。

イラストレーション:
The Hollow Lands, 1975, Mayflower, Paperback, UK


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