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"Elric At The End Of Time"というエルリックがこのシリーズに紛れ込む作品があるため、そこそこ知られたシリーズ。しかし、わたしにはタイトルから内容は想像するのが難しい。内容を知ったのは、80年代前半にSFマガジンで連載されていたピーター・ニコルズ編「SFエンサイクロペディア」のムアコックの項(掲載は1984年5月号)を読んだ時。ネット・ニュースなどを読んでいても好きだという人を見かけるので、気になっていた作品です。
舞台は遠未来の地球。Jherek Carnelianは知人のパーティで、エイリアンが連れてきた19世紀の女性を見た。Jherek Carnelianは彼女に一目惚れしてしまう。彼女の名はAmelia Underwood。エイリアンとその女性の所有者をだまして、なんとか自分の元に連れてくることに成功する。家も19世紀のイングランド風にして気に入ってもらおうとするが、価値観の違いからその思いは伝わらない(Ameliaは既婚者)。Amelia Underwoodがこの世界に慣れて、かれの思いが伝わったのかという時、突如として彼女は消えてしまった。ある科学者が彼女の心からの望みを叶えて、19世紀に帰ってしまったのだ。Jherek CarnelianはAmelia Underwoodを取り戻すべく、完成したタイム・マシーンで19世紀まで追いかけて行くが、そこはかれの住んでいるのとは全く違う世界だった。盗人の手下となってしまい、やがて捕まって刑務所に送られてしまう。そこでAmelia Underwoodと面会することができて、彼女の気持ちを確かめるが、意志さえあれば彼女も戻れると言う言葉を信じて、Jherek Carnelianはもといた世界に戻ってしまう。
全体のトーンはコメディですが(なんせ大笑いした場面がある)、どことなくもの悲しさを感じさせる話です。しかし、ムアコックのイメージとは一番かけ離れた作品です、これ。なんせ、Jherek Carnelianはヒロイック・ファンタジーの主人公とは正反対で全然悩まない! 思いこみが激しくて、とにかく行動あるのみという性格。あそこまで突っ走られると、作中の人物でなくともかれの行動に悪気はなく、無垢なだけと思いたくなります。
作品を読んで、Orionから出ているこの本の表紙で、機関車が空を走っている理由がよくわりました。あの表紙は作品の雰囲気をうまいこと描き出していると思いました。
じつはすでにラストは読んでしまっているのですが、のんびり次の"The Hollow Lands"にとりかかります。わたしもこの奇妙な味のするコメディ、好きだなあ(笑)。でも、もし翻訳出たらイメージが壊されるのが嫌で、本を開けないかもしれない。
イラストレーション:
An Alien Heat, 1974, Mayflower, Paperback, UK