『夢盗人の娘』解説補足
『夢盗人の娘』解説補足

 

正直言って、私はこの三部作の翻訳が出るとは思わなかった。
なぜそう思ったのか。
このシリーズは『薔薇の復讐』以降に発表された〈永遠の戦士〉シリーズで導入された世界観を基にして、物語が展開されていたからです。

相変わらず訳者あとがきが不親切なので、1990年以降の作品について簡単に説明します。関連作品は入手困難もしくは翻訳が出ていないので、最低、このくらいは読者に説明してほしいものです。

『薔薇の復讐』(1991)以後、1992年にはMilleniumから〈永遠の戦士〉シリーズの再編版の刊行されました。そして1995年から1996年にかけて『Blood: A Southern Fantasy』、『Fabulous Harbours: A Sequel To Blood 』、『The War Amongst the Angels』という三部作を発表しました。〈第2エーテル〉というシリーズで、これは長編二作品と短編集から。このシリーズでは「白き狼の歌」という短編の邦訳があります。さらに1997年から1998年にかけて、〈第2エーテル〉と共通する世界を舞台にした『Micheal Moorcock's Multiverse』がDC Comicsから発表されました。

1990年代後半に発表されたこれらの作品では〈永遠の戦士〉シリーズの世界に新しい要素が放り込まれましたが、その基盤となったのは『堕ちた天使』とその続編『The City In The Autumn Stars』(未訳)で描かれたフォン・ベック・シリーズでした。この後、映画化の話とともに2001年から2005年にかけて今回翻訳されたエルリックの三部作が書かれました。これはフォン・ベックシリーズの二作品と1990年代に発表された作品を踏まえて書かれています。特に三作目の『白き狼の息子』は『The City In The Autumn Stars』と深い関係があります。さらに2004年から2006年にかけて、この三部作と内容的に密接に関わっている『Elric: The Making of a Sorcerer』(全4巻)がDC Comicsよりで刊行されました。この作品の年代は『メルニボネの皇子』以前で、エルリックが皇帝になる前のエピソードです。


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