活字の海を渡ろう1997年7月 7月31日
 大森望氏の日記を読みに行くと、、、びっくり仰天。ここは日常の巡回ページなので、そこで自分のHPのことが書かれているのには、非常に違和感があります。先日、リンクしますというメールを頂いているのですが、日記に書かれてしまうとは。しかし、良く考えると原書では「リトル・ビッグ」より「ミサゴの森」の方が後に書かれた作品なんです。これは翻訳された順序の問題なのでしかたないのですが。

 段ボールに埋まっていた資料も引きずり出したことですし、この週末になんとかエヴァの感想はまとめたいと思っています。

7月28日 エマ・テナント「まぼろしの少年リック」(金の星社)

 買うつもりはなかったんだけど、店頭で見たらイラストをめるへんめーかーさんが担当しているので、まあいいやということになりました。子供向けの短編なので、さすがに15分くらいで読み終えてしまいました。
 いささかフィリッパ・ピアス「トムは真夜中の庭で」を彷彿とさせますがが、原題のThe Ghost Child が示すように、主人公の少女が祖父母の家で見かけた少年は死者です。そしてその日は少年が亡くなった日でした。ロンドンでの再会を約束します。そして、嵐の中、いえ少女には戦争中の光景が広がる中、そこに現れたのはあの少年でしたが……。
 ファンタジーだからこそ描ける生と死の交差する物語だと思います。わたし自身、こういうラストには弱いのですが。

7月27日
 本日、予告通りエヴァを見てきました。細かい感想は後日アップしますが、春の時のCFをコマ送りして見た内容から予想した通りで、これはわたしがもっとも望まなかった展開でした。すでに見た人のネタバレなしの感想を読んでそれなりに覚悟していたのですが、「まあ、こんなもんか」という感じです。なぜそう感じたのかは別項で細かく書くつもりです。

7月26日 ジェフ・ヌーン「花粉戦争」(ハヤカワ文庫SF)

 少し前になりますが、ドラッグ(LSDを含む)をやったことのあるロックファンの話を聞いたことがあります。ドラッグをやりながら、60年代後半のサイケなどを聴いていたそうですが、ドラッグをやったことのある人間の作った音楽というのはすぐわかるそうです。一番はまったのは GONG だとか。
 読後の感想は「べろべろに酔った!」という感じです。前作の延長上の世界でありながら、人間の欲望は尽きないないのか、さらに病んだ世界(ナンシー・A・コリンズの「ソーニャ・ブルー」の世界と近いものがある。あるいは「ヴァート」の時点ですでに引っかかっていたジョナサン・レサムか)になっていました。夢の世界がこちら(現実)に流れ込んでくるというのは、ファンタジーによく見かけるものなんだけど、ドラッグを媒体に現実の延長として描くアイデアには脱帽。SFというところから出たのがなんとも不思議に感じられる作品です。

7月25日
 現在、ジェフ・ヌーン「花粉戦争」(ハヤカワ文庫SF)を読んでいる最中。前作以上に英国の雰囲気を生かした作品世界で、60年代後半のロック好きのわたしにはたまりません。日本でアピールするのか少し不安だけど。一応3作目も出る予定はあるみたい。読んでいる途中なのでこの辺でやめておきます。

 Model Graphix誌(模型の雑誌です。エルリックのフィギュアを作ることを考えるようになってから、目を通すようになった)の水玉螢之助さんのページを見ていて、この人はもしかしてタニス・リー「銀色の恋人」(ハヤカワ文庫SF)が好きなのではないかと思ったんですね。やはり本日発売のSFマガジンのこの人のページを見たら(ああ、ここにもガイにいちゃんがいる)、やっぱりそうみたいですね。「銀色の恋人」は少女の自立というテーマが中心でありながら、あのラストシーンに尽きます! なんか読みたくなっちゃった。昨年、急に読みたくなって買ったので、部屋のどこかに埋まっているはずなのですが、掘り返す気力がない。

 今週はガガガのCDとLDで終わりました。CDがなかなか見つからなくて探し回ることになってしまい、足はガタガタです。(年かな?)しかし、その労力を報われるような内容でした。最初から凱と命ちゃんはカップルで好きでした。うちのパソコンのスタートアップスクリーンの画像はエヴァから、Niftyで拾ってきた第8話の「勝利の鍵」の設定画にのっとられちゃった。でも、この作品、キャラが好きで見ているのではなく、物語が面白いからここまではまったような気がします。「好きなキャラは?」と聞かれると返答に困ります。最近はレイコちゃんがお気に入り。別所で書いているので、ホームページ上でなにかやろうという気持ちはあまりなかったりします。
 あっちこっちでつい「承認!」と言いたくなって、困ります。

7月20日

 少し前から見たいと思っていた映画「去年、マリエンバードで」を見ました。マリエンバードというと、真っ先に昔好きだった歌手の出身地だったことを思い出します。物語は謎に満ちていて、最終的に謎があまり解決されない。その辺のさじ加減がうまくいった作品なのではと思います。それにしても舞台となるホテルとシンメトリカルな庭、鏡を効果的に使った場面が印象に残りました。どうもわたしは映画を絵として見てしまう傾向があるようです。

7月19日

 天気が良くて、そろそろ梅雨明けかなあと思っています。こういう暑い時期に砂漠を舞台にした小説を読んでいると気分満点。昨年の夏はリサ・ゴールドスタインの"Toursits"(未訳)という中東の架空の国を舞台にした作品を読んでいました。そのあとはジョージ・アレック・エフィンジャーの「重力の衰えるとき」(ハヤカワ文庫SF)に夢中になり・・・。なにも読んでいる作品の季節と、実際の季節がシンクロしなくてもいいのに。

 今日はお休みですが早起きをして「2112年ドラえもん誕生」と「ドラミちゃん&ドラえもんズ ロボット学校七不思議」、それに「機動戦艦ナデシコ」第3〜10話を見ました。どうもエヴァでアニメの勘を取り戻したようです。面白い作品があればいいんですけどね。
 ドラえもんをみるのは一体何年ぶりかわからないのですが(小学生以来であることに間違いはない)、とても面白かったです。「2112年ドラえもん誕生」はもちろんエピソードそのものは知っているのですが、なんかしんみりしてしまいました。また「ドラミちゃん&ドラえもんズ ロボット学校七不思議」は驚くことにロボットアニメしていて(!)、内容的には「勇者王ガオガイガー」の第1話に通じるものを感じました。個人的にはその昔、気に入っていたけどなかなか出てこないドラミちゃんが中心の話だった、というのが嬉しい誤算。近いうちに今年の春に公開された作品も見ようと思っています。キャラクターの動きを見ていると、宮崎駿氏の作品に通じるものを感じました。米谷監督は今後も注目したいと思います。
 「機動戦艦ナデシコ」は人づてに聞いた評判通りです。近年、とみに物語を人間関係中心で見るようになったせいか、登場人物が片方の性だけに偏った作品に、面白味を感じなくなりつつあります。エヴァは極端な例だけどそういう部分が非常に面白かった。わたしにとって「ナデシコ」は女性中心なため、ちょっと辛いです。SFの設定やSF小説絡みの部分を楽しんでいるような感じでしょうか。全体の印象はスター・トレック+90年代SF小説って感じでしょうか。

 SF ONLINEでエヴァの映画のレビューを読んで(本当は21日に見る予定だった。28日に見るかも)、特集「90年代SF大研究」を読む。90年代といっても、今年はすでに97年なんですね。ここ数年間、SF小説におけるわたしにとっての傑作は「ハイペリオン」(早川書房)。でも、これの存在は非常に大きすぎて、あとは少し小粒の作品という印象しかないです。

 最近、再び調子の悪いハードディスクに泣かされています。本体開けて叩くと動くというのはなんなのでしょう。

7月13日 ニコラス・リーヴス「図説 黄金のツタンカーメン」(原書房)

 今読んでいる英語の本にツタンカーメン王墓の発掘の話が出てきたものの、王墓が発見された正確な年を思い出せなかったため、参考にと読んだ本。埋葬品についての部分が細かく、この手の本を読むのは久しぶりだったのでとても楽しかった。小説に関連した部分に関しても、とても大きな手がかりも得ました。
 古代エジプト史関連の本を読むのはたぶん10数年ぶり。中学時代、オリエント史の本を取りつかれたように読んでいましたが(エジプトの観光ガイドをボロボロになるまで眺めていた)、数年後、さすがに一般向けでは読むものがなくなってそこでストップ。こういうことでもなければ、エジプト関連の本を読むことはなかっただろうなあ。中学時代、とにかく行ってみたいと憧れた地でした。今でも機会があれば、ツアーでいいので行ってみたいと思っています。ただし、わたしが本当に行きたいと思っているところは絶対にツアーに入っていません。遺跡だと階段ピラミッドとか屈折ピラミッド、都市だったらテル・エル・アマルナ。

7月12日
 日曜日にWOWWOWで放送された「メイキング・オブ・12モンキーズ」を見ました。最近は映画館でほとんど映画を見ないのですが、テリー・ギリアム監督の作品だけは別です。(でも、「未来世紀ブラジル」はまだ見ていない)この人の作品は是非とも映画館で見たいと思っています。さてこのメイキングですが、映画作りというものを見たような気がします。編集があんなに大切な作業だとは知りませんでした。昨年、映画館で見たときにもう一度家でゆっくり見たいと思ったのですが、やはりレンタル・ビデオを借りてこよう。
 しかし、来週の連休は米谷良知監督作品ということで「ドラえもんズ」を見ようと思っています。「2112年ドラえもん誕生」の公開時、街中のポスターでこのタイトルを見たときは「なんでよりによって2112年なの?」という疑問が浮かびました。まさかこういう形(監督に興味がある)で見ることになるとは、予想もしませんでした。
 なお、エヴァについては、夏の映画を見た後に何か書くつもりでいます。(アニメに久方ぶりに戻ってきたら、いろいろと違和感も感じたので、そのあたりの所感も書く予定>声優ブーム等)ただ8月は忙しいので、アップは9月に入ってからになる可能性が高いです。参考までに書いておくと、ここ2回ほど「SFマガジン」の連載「サはサイエンスのサ」はわたしの考えに近いです。

7月10日 フィリス・アイゼンシュタイン「氷の城の乙女」[上、下](ハヤカワ文庫FT)

 昨年の秋に出版が予定されていたものの、諸事情により1年ほど延びました。いまだにカタログには残っている「妖魔の騎士」(ハヤカワ文庫FT)の続編です。なぜか機会に恵まれず「妖魔の騎士」を読んだのはちょうど1年ほど前。時ととも自分の感覚も少し変わったのか、前半は物語にのめり込めませんでした。
 で、この「氷の城の乙女」ですが、物語の展開を通して著者が言いたいことはよくわかるけれど、一般論として語られているように感じました。それぞれのキャラクターの個性を感じる言葉にはなっていないのです。ただ、これは前作から感じていたので、主人公の性格付けに問題があるのかも知れません。いい意味でも悪い意味でも、主人公はやや個性に欠ける優等生ですから。スプリンガーの「闇の月」(ハヤカワ文庫FT)のトレヴィンのようだ。昨年秋のSFマガジンに掲載された同じ著者の短編が、非常によい出来だと感じただけに残念です。
 著者が言いたいことを、物語やキャラクターの個性を通して語らせるのは難しいと感じた作品でもあります。

7月8日
 本日、9日予定のアイゼンシュタイン「氷の城の乙女」を購入。8月はナンシー・A・コリンズ「フォーリン・エンジェル」とイアン・マクドナルドが楽しみ。しかし、「フォーリン・エンジェル」というタイトルはあんまりという気もします。オリジナルのPaint It Blackのほうがかっこいい。もとは当然、ローリング・ストーンズの曲だと思うけど。

7月7日
 Locus 7月号が届く。まだ、あまりきちんと目を通していないけれど、今年後半の刊行予定は非常に便利。特にイギリスはどうなっているのかわからないので。もっと昔から購読していればと思いました。読むペースを考えるとそうおいそれとは買っていられないんだけど。

7月4日 ジョン・クロウリー「リトル・ビッグI, II」(国書刊行会)

 この本が出るまで何年待っただろう。今週の日曜日にあるHPを見ていたら出ているのを知って、あわてて買いに走りました。1年半くらい前、まだ国書刊行会から出るということを知らなかった頃、原書を手に入れようとしたのが今となっては懐かしい思い出です。(手に入らなかったけど)
 アメリカのニュー・イングランドが舞台だと思われるけど、あまりにも隔離された環境のせいか、アメリカが舞台であるとは感じられない。シティという言葉が指すのは、アップルという言葉から考えればたぶんニュー・ヨークだと思われます。物語は男性が結婚相手の家を風変わりな方法で訪ねる場面から始まる。結婚相手の女性の一家−ドリンクウォーター−には謎めいたところがあるが、それはなかなかあかされない。物語は派手な事件が起こるわけでもなく、その三代前の物語と分家に当たる人々の物語をはさみながら進んでいく。
 ジョージ・マクドナルド「ファンタステス」(国書刊行会)とロバート・ホールドストック「ミサゴの森」(角川書店)などと共通する雰囲気を感じました。物語の間に透けて見える妖精界はあまりにもさりげないので、もう一度読まないと完全にはつかめないと感じました。繊細な詩を読んでいると思う部分もありました。(原文が見たい)ラストはもの悲しさを感じました。正直なところ、この年になってファンタジーというジャンルで、こんなに素晴らしい作品を読めると思いませんでした。今年はどんな本の刊行が予定されているかわかりませんが、文句なしでわたしのNO.1になるんじゃないかな。

 ここ一週間くらいとても天気が良くて、例年この時期は梅雨で一年で日の長い時期を体験することができません。毎日遅い夕暮れを見ながら、二年前に訪れたアイスランドのことを思い出します。カーテンを閉めて夜だという雰囲気を作らないと眠る気にならないほど、日が長いのですが、今となってはあの長い夕暮れが恋しくてしょうがないのです。予想以上に気に入ってしまったようです。でも次に行くなら白夜ではなく、オーロラが見れる九月を狙っています。


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