no,05[ゴーレム]


1000年前の「神魔戦争」において、強力無比な神々/魔神と渡り合う為、人の錬金術師達が作り上げた人造戦闘体がゴーレムである。

その装甲にはエルニュウムがふんだんに用いられ、強力な物理防御能力を誇る。が反面、属性攻撃に弱い側面も持つ。胎内に埋め込まれたアーティファクト”岩の心臓”は、イエロージェムと石炭を利用した蒸気発電機である。今は失われてしまったそのテクノロジーを求め、岩の心臓は高額で取引されている。

以上のことから推測されるのは、ゴーレムは古代の魔道師達の護衛に使われた可能性である。近接防御の為、呪文詠唱時間を稼ぐ為、ゴーレムは盾代わりに用いられたのではないだろうか。

ゴーレムの本質が人の守護者であるとするならば、時折現れるゴーレムと心を通わせる者の存在は決して不思議なことではない。我々も耳を澄ませば、あるいは。

「神魔戦争」により、その偉大な知識とともに古代の魔道師達は死に絶えた。しかし、彼らの遺産であるゴーレムは世界各地で生き残った。魔道師達は、自らの”盾”に自動攻撃能力を持たせなかったのだ。そのため、木偶と化したゴーレムは何百年、何千年の間、誰からも省みられることなくひっそりと生き延びていた。新たな戦争の息吹が聞こえ始めた近年、ゴーレム最大の生息地帯とされたゲフェンタワーから、ゴーレム達が一斉に姿を消した。そして時を同じくして、塔には古代の亡霊たちが現れ始めた。これを「主の帰還」と噂する者も少なくない。