じん肺とは何か

 

じん肺とはどんな病気か

・粉じんを吸い、それが肺に入って蓄積されていくことで、肺にある膠原線維(こうげんせんい)という組織が厚くなってしまうこと。及びそれを主因とする病気のこと。主な症状は、「咳」「たん」「息切れ」。

 

じん肺になるには時間がかかる

・肺組織が厚くなっていくのは、ごく小さな変化。粉じんを吸い始めて、じん肺になるまでには、1030年ぐらいかかることが多い。ひどくなるまで自覚症状はない。

 

問題は小さな粉じん

・建設作業では、さまざまな粉じんが発生する。このうち、目に見えるような粉じんは鼻やのどで気管にとどまり、咳や鼻くそと一緒に外に出てしまう。問題となるのは目に見えないような微小な粉じん。

 

合併症を起こしやすくなる

・じん肺になると、さまざまな合併症にかかりやすくなる。

代表的なもの 肺結核、結核性胸膜炎、続発性気管支炎、続発性気管支拡張症、続発性気胸、肺がん、肝炎、腎炎、リウマチなど

 

アスベストも粉じんの一種

・アスベスト(石綿)は、数十年前まで、建築物の耐火材、耐熱材などとして大量に使用されてきた。また吹き付けアスベストなど、気体状のものも、もちろん粉じんです。粉じんの一種である以上、じん肺の原因になります。

 

 

 

じん肺と労災保険

 

じん肺健康診断は事業主の義務

・常時粉じん作業をする労働者に対して、事業主は、3年に一回(労働者のじん肺の症状によっては、さらに頻繁に)「じん肺健康診断」を受けさせる義務がある(じん肺法)。これによってじん肺に関する健康管理区分を決定。必要であれば、管理区分に合った仕事内容に配置換えなどの措置をとる。

・健康診断の内容は、@粉じん作業の職歴調査、A胸部レントゲン検査、B胸部の臨床検査、C肺機能検査、D結核の精密検査、E肺結核以外の合併症に関する検査。このうちレントゲンの結果を、次の4つに区分する

レントゲン写真の像

1型

両肺野にじん肺による粒状影または不整形陰影が少しあり、大きな陰影はない

2型

両肺野にじん肺による粒状影または不整形陰影が多数あり、大きな陰影はない

3型

両肺野にじん肺による粒状影または不整形陰影がきわめて多数あり、大きな陰影はない

4型

大きな陰影がある

 

じん肺の管理区分

・健康診断の結果、じん肺の所見(またはその疑い)があれば、事業主は、各自治体の労働局に管理区分申請をし、認められれば管理区分決定が出る(決定に不服があれば、不服申し立てもできる)

・管理区分は次の通り

管理区分

結果

管理上注意すべき事項

管理1

じん肺の所見がない

制限なし

管理2

写真1型。著しい肺機能の障害がない

粉じん作業を少なくすること

管理3のイ

写真2型。著しい肺機能の障害がない

粉じん作業を少なく。場合によっては作業転換が望ましい

管理3のロ

写真3型か4型。著しい肺機能の障害がない

粉じん作業から作業転換が望ましい

管理4

@写真4型、A写真1〜4型で、著しい肺機能の障害がある

療養が必要

 

労災申請

  1. 管理区分が4、A管理区分が2か3で、合併症がある。

・合併症として認められているのは、@肺結核、A結核性胸膜炎、B続発性気管支炎、C続発性気管支拡張症、D続発性気胸、E原発性肺がん、の6つです。

 

 

特別加入者は別

  1. 管理区分申請はあくまでも労働者が対象となっており、特別加入者は、申請して認められると、「管理区分相当」という決定方法になる。
  2. 特別加入者は、労災認定の要件に、「粉じん曝露期間10年以上」という項目がある。このため、その期間に労災保険で特別加入していたことの証明が必要になる

 

 

じん肺を予防するには

 

日常生活で

 

仕事場で

 

TOP    BACK