請負的就労者の労賃を

法的に保護するための署名にご協力を

 

 

現在、組合では「請負的就労者の労賃を法的に保護するための署名」に取り組んでいます。「よく意味がわからない」「俺には関係ない」と思っている方もいらっしゃるでしょう。署名の背景・意義を知って、ぜひご協力をお願いします。

 

企業破綻時の債権には優先順位がある

 

ここ数年、大手・中堅ゼネコンや住販メーカーなどの倒産が相次いでおり、今後も続くのではないかと懸念されています。

企業が破綻した場合、債権者は債権を回収していくわけですが、これには次のような優先順位があります。

  1. 租税・社会保険、抵当権・値抵当権・質権などを持つ銀行や商社の債権
  2. 先取り特権
  3. 留置権
  4. 一般債権

このうち、労働者の賃金である「労働債権」は、Aの「先取り特権」になり、2番目の優先順位ですが、「請負代金」は、Cの「一般債権」に区分されるので、順番は一番最後となってしまい、実態として回収がむずかしくなるのです。

 

労働債権はなぜ保護される必要があるのか

 

では、労働債権はなぜ一般債権より手厚く保護されているのでしょう。それには以下のような理由があります。

  1. 賃金は生活の唯一の糧であること、勤め先は唯一の契約相手であることA賃金不払いによる労働者の生活破綻を防ぐ必要があること、B企業と対等な地位になく、債権確保の措置をとるのが不可能なこと、など。

また国際的な条約や国会決議などによっても、「労働者の債権は高い順位の優先権を与えるべき」とされています。

 

「一般債権」に区分されている「手間請け賃金」

 

破綻した企業の現場で、私たちの仲間もおおぜい働いていました。しかし、その就労形態が「手間請け就労」(請負的労働)であるため、「労働債権」ではなく、「一般債権」にあたるとして後回しにされ、回収できない例が多く報告されています。

しかし形態はどうであれ、実質的には正規雇用労働者とおなじように働いています。さらに「労働債権が保護されている理由」は、ほとんど請負的労働者にも当てはまるものばかりです。

なぜ「手間請け」は、労働者として認められないのか。ここに問題があるのです。

 

「労働者」の概念は法律によって決まる

 

ひとくちに「労働者」といいますが、労働基準法や労働組合法の「労働者」、民法の「雇人」、商法の「会社使用人」など、法律によってその概念・範囲はそれぞれ異なります。ちなみに労働者の「賃金先取り特権」を規定しているのは、このうち民法・商法によるもの。

これらの法律での「労働者等」の概念・範囲を、現実の労働実態にあったものにすることこそ、必要なことでしょう。

 

いま法制審議会で話されていること

 

法務省に、「法制審議会」という諮問機関があります。ここは、国の基本的な法律(六法)を改正する作業をするという重要な機関。審議会でできあがった改正案は国会へ提出されます。

この法制審議会で現在、検討されているのが、「労働者の範囲」「民法と商法の保護範囲の相違」「労働債権と抵当権などとの優先度の調整」など、まさに「手間請け労働者の労働債権救済」に関わることなのです。

 

署名をいっぱい集めよう

 

全建総連では、いま「請負的就労者の労賃を法律上で保護することを求める要請書」を、法制審議会に提出するため、署名活動をおこなっています。同審議会へ向けての署名は、他の団体でも過去に例がなく、新鮮な気持ちで受けとめられることが期待されます。また全建総連顧問弁護士の古川景一氏によれば、今回の法改正検討は「何十年に一度のチャンス」とのこと。

法制審議会では3月中頃には中間報告、5月には最終答申が出されるという日程。待ったなしです。ぜひご家族を含めて多くの方のご協力をお願いします。

お問い合わせは組合まで

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