制度とシステム
介護保険って何ですか?
高齢化に伴って、大きな不安となっている「介護」を、社会全体で支えるというもので、介護サービスが必要になったときに利用できるというシステムになっています。 医療保険、年金保険についで、三つ目となる社会保険制度で、四十歳以上の国民は原則全員被保険者となります。 現行の老人福祉法などとは、@所得に関係なく行われること。A医療、福祉の両分野を一括してサービスが受けられる。B民間業者の介護にも保険が適用できる、などの点で違いがあります。 財源は、保険料の徴収分が五〇%、残りの半分は国と自治体による公費(税金)となっています。
なぜ介護保険をつくったのですか?
@高齢化が進んで、介護を必要とする高齢者の数が増えたこと、A介護に要する期間や費用が増大していること、B介護するほうにも高齢化が進んでいること、などが保険導入の大きな理由です。
サービスの主体はだれですか?
サービスの主体(保険者)となるのは、市町村などの各地方自治体です。
被保険者は?
介護の対象(被保険者)となるのは、四十歳以上の国民で、次の二種類に分けられます。 @一号被保険者(六十五歳以上)↓介護サービスを受けることができる。 A二号被保険者(四十歳以上六十五歳未満)↓保険料を納めるだけで、原則として、サービスは受けられない
サービスの内容はどのようなものですか?
医療分野と福祉分野がありますが、次の二つに大別されます。 @在宅サービス(在宅での生活を支えるためのサービス) ホームヘルプ、訪問入浴、訪問看護、リハビリ、ショートステイ等があります。 A施設サービス(介護を行う施設へ入所・入院して受けるサービス) 特別養護老人ホーム、老人保健施設など。
保険料
保険料はいくらぐらいですか?
@一号被保険者→自治体ごとに、決める。 A二号被保険者→健康保険組合などが、所得に応じて、金額を決定し、健康保険料などと同じ形で徴収。配偶者の分も一括して、徴収する。
どうやって、保険料を納めるのですか?
@一号被保険者 月額一万五千円以上の年金受給者は、年金から天引き。それ以外の人は、直接、市町村に払うか、金融機関からの口座振替になります。※特別措置として、一号被保険者が納める保険料は、平成十二年四月から九月まで国が負担し、その後十月から一年間は半額に軽減されます。 A二号被保険者 加入している健康保険料と一括で納めます。
被扶養者も保険料を払わないといけないのですか?
介護保険の保険料支払いは、世帯単位ではなく個人単位です。したがって、扶養家族になっている場合でも、支払わなくてはなりません。 ただし、四十歳から六十四歳までの方は、医療保険(健康保険)からの一括徴収で、それぞれの保険の種類によって、支払わなくて済む場合もあります。 また、生活保護を受けている場合などは、減免措置があります。
サービス利用者の自己負担
自己負担金とは何ですか?
介護サービスを受ける段階で、費用の一割が自己負担になります。また、施設に入る場合には、食費の一部にも自己負担があります。
自己負担の限度は?
利用料の負担の上限は、月額三万七千二百円。住民税が非課税の老人の場合は、月額二万四千六百円。老齢福祉年金受給者は月額一万五千円が上限になります。
ケアマネージャー、ヘルパー
ケアマネージャーってどんな仕事をしているのですか?
介護保険法に基づく介護支援専門員のことです。要介護者の希望を聞きながら、ケアプランを作り、実施のための具体的な調整などを行います。 介護保険法において、中心的な役割を果たす仕事です。医師、看護婦、介護福祉士などがなる場合が多いようです。
ケアプランとは何ですか?
どのような介護サ−ビスを受けるかを決める計画案のことです。介護を受ける本人の希望、サービス提供事業所の担当者の意見などを調整ながら、内容を決定していきます。 ケアプランは、自分で作ることもできますが、専門知識が必要となりますから、ケアマネージャーに頼んだ方がいいでしょう。また、公的機関にも有資格者がいて、ケアプランの作成を頼むことができます。
ヘルパーとはどのような仕事ですか?
「訪問介護」を行う人のことです。 食事、排泄、入浴などの介護や、料理、洗濯、掃除、買い物などの家事一般、その他、生活相談、助言などを頼むことができます。
申請と認定
サービスを受けるための申請方法は?
介護保険のサービスを受けるためには、まず要介護認定の申請が必要となります。本人か家族が、介護保険証を添えて、市町村の窓口に申請書を提出します。
二号被保険者でもサービスを受けられますか?
老化に伴う特定疾病(痴呆、骨粗しょう症など十五疾病)によるものが原因で要介護状態になった場合は、受ける事ができます。
認定はどのように行うのですか?
@自治体の調査担当者かケアマネージャーが訪問し、全国統一の問診表を使って、聞き取り調査を行います。 A介護認定審査会で、聞き取り調査結果によるコンピューター判定(一次判定)と、「訪問調査時の特記事項」、「主治医の意見書」を総合的に見て、「要介護認定」の判定をし、結果を自治体に通知します。
問診表の内容は?
身体の状態(視力、聴力、麻痺、間接の動き)、日常の生活能力(尿意・便意の認識、排泄、入浴など)、意思の伝達能力、痴呆状態など、八十五項目です。
認定の基準は? (別表が入る予定です)
要介護の認定に見直しはあるのですか?
半年に一回見直しがあります。また、要介護認定には有効期限があるので、期限が切れる前に認定更新の申請をする必要があります。
要支援と要介護はどこが違うのですか?
要支援とは、日常生活がほぼ自立できるとされるため、施設利用のサービスが受けられません。
判定結果に不服申し立てはできますか?
各都道府県の「介護保険審査会」に申し立てできます。
申請から決定まで、どれくらい時間がかかるのですか?
通常で三十日以内。緊急の場合は、すぐ受けることも可能です。
在宅サービス
在宅サービスは誰が受けられるのですか?
要介護か要支援に認定されていて、自宅か有料老人ホームなどに入居している人が対象となります。
在宅サービスにはどんな種類があるのですか?
訪問介護(ホ−ムヘルプ)、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護(デイサ−ビス),通所リハビリテーション、ショートステイ、特定施設(有料老人ホームなど)入所者生活介護 、福祉用具(歩行器、車椅子、特殊ベッド、マットレスなど)貸与、住宅改修(現金給付)等。
住宅改修はどの程度が認められるのですか?
自宅の段差を無くす工事や、風呂場に手摺りをつける工事には給付されます。ただし、一回限りで、上限は二十万円程度。(一割は自己負担)
施設利用サービス
施設利用サービスとは?
要介護と認定された人を、施設に入所・入院させて介護するサービスのことです。
どのような施設があるのですか
施設サービスを提供する介護保険施設は次の三種類に分かれています。 @指定介護老人福祉施設↓現行の特別養護老人ホームです。基本的には生活の場で、自宅での生活が困難で、常時介護の必要な高齢者が対象。 A介護老人保健施設→医療行為を行い、日常生活復帰を支援するための施設。リハビリなどに重点がおかれます。 B指定療養型医療施設→長期療養が必要な高齢者が対象で、入院して継続的な医療行為を受けるための施設です。
特別養護老人ホームはどうなるのですか?
介護保険が始まると、介護が必要な人以外は入居できなくなります。 |