一昨年六月、国会で「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(住宅品質確保法)が成立し、20004月から施行されています。

 この法律は、欠陥住宅の問題が深刻となっていることから、消費者が安心して住宅を取得できるようにと、建設省の音頭で提出・成立されたものです。

 内容は、大きく分けて、@新築住宅に対する瑕疵担保責任の十年間の義務づけ、A住宅性能表示制度の創設、B住宅に関する紛争処理体制の整備の三点。

 ここでは、@の「瑕疵担保責任」について解説しましょう。

 

瑕疵担保責任のポイント

 

 瑕疵担保責任でポイントとなるのは次の二つです。

@新築住宅の取得契約(請負、売買とも)において、基本構造部分については引き渡し後、十年間の瑕疵担保責任(欠陥があったときは、補修したり、賠償する責任のこと)が義務づけられたこと。

A新築住宅の取得契約において、基本構造部分以外も含めた瑕疵担保責任が、特約を結べば二十年まで延長可能になったこと(任意制度)。

 

対象となる部分

 

 住宅の基本構造部分とは、柱や梁など住宅の構造耐力上主要な部分、そして雨水の侵入を防止する部分を指します。

 木造在来軸組工法の戸建て住宅の場合、次のように考えられます。(図参照)

構造耐力上、主要な部分 

 基礎→小屋組(屋根部分)、床版(床板)

 壁→土台、屋根版(瓦を載せる部分)

 柱→斜交(筋交)、横架材(梁)

雨水の侵入を防止する部分 →屋根の仕上げ・下地、外壁の仕上げ・下地

 

請求できる内容

 

 消費者が請求する権利をもつのは、@修補請求、A賠償請求、B解除の三点。
 これまでの民法の場合、売買契約では、修補請求権はありませんでした。
 また、「解除」は、売買契約で修補不可能な場合に限って発生します。

 

他の法律との関係

 

 宅地建物取引業法では、宅建業者自らが売り主の場合、住宅全体(基本構造部分に限定されない)について、引き渡し後二年間の瑕疵担保責任があるとされています。

 したがって、今回の住宅品質確保法施行により、引き渡しから二年間は、「住宅の基本構造部分」についての瑕疵修補義務が追加され、三年目から十年までは、確保法の適用を受けることとなります。

 また、民法の売買契約では、瑕疵の事実を知ってから一年以内に瑕疵担保責任を追及することが必要とされています。この事項は、品質確保法でも、そのまま生かされることになります。

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