後期高齢者医療制度ってどんな内容?
どんな制度?
・
75歳以上の人(後期高齢者)すべてを対象とした独立の医療制度。・
75歳になると、現在入っている国保や健康保険を脱退し、新制度に移行することが義務づけられる。・被保険者には一人に
1枚保険証が発行される。
対象となる人は?
@
75歳以上の高齢者全員(約1300万人)・
75歳の誕生日から資格取得となるA
65〜74歳で一定の障害の状態(障害認定1〜3級)にあることを広域連合から認定された人・認定日から資格取得
※ともに生活保護受給者は除きます。
なぜつくった?
・
2006年6月の医療制度改革関連法成立により、老人保健法が改正され、・ちなみに年間約
32兆円にのぼる国民医療費は、50%以上が65歳以上の高齢者、
運営するのは?
・今回、後期高齢者医療制度を運営するために各都道府県に設置されることになった
特別地方公共団体である「後期高齢者医療広域連合」が運営。
保険証の交付、保険料の決定、医療の給付などをおこなう。
・ただし、申請、相談の窓口事務、保険証の引き渡し、保険料の徴収などは区市町村がおこなう。
財源は?
・給付財源(患者
1割負担分は除く)は、公費約5割(国・都道府県・区市町村の比率4:1:1)、
国の公費 ( 33・3%) |
都道府県 公費 ( 8・3%) |
区市町村 公費 ( 8・3%) |
後期高齢者支援金 健保・国保組合から ( 40%) |
保険料 ( 10%) |
・ただし、国の公費の
4分の1は「調整交付金」となっている。
保険料の算定方法は?
・保険料は個人単位で計算され、個人が納付義務者となる。
・保険料は、均等割(誰でも同じ金額)と所得割(被保険者個人の所得額によって異なる)の合計額。
保険料の料率は広域連合内では、同一。この場合の所得は旧ただし書き所得を使う。
・
2007年11月に決まったのは、20年度・21年度のもの。※旧ただし書所得とは、前年の総所得金額及び山林所得金額ならびに長期(短期)譲渡所得金額の合計から基礎控除額
33万円を引いた金額
保険料はいつから?
・被保険者となった月から保険料がかかる
・
08年4月以降、各市町村から被保険者に納入通知書で保険料を知らせる
保険料の支払い方法は?
保険料の支払い方法は次の2つ
@特別徴収(年金から天引き)
・公的年金の支給額が年額
18万円以上の場合、2カ月ごとに支払われる年金から2カ月分の保険料を天引きA普通徴収(納付書か口座振替で納める)
普通徴収の対象となるのは次の場合
・年金(複数の年金をもらっている場合は、一つの年金が)が年額
18万円未満・介護保険料と合わせた保険料額が、年金の
2分の1を超える(ただし、介護保険は年金から天引きです)・年度途中で
75歳になった、年度途中で他の区市町村から転入してきた
保険料を滞納すると?
@短期被保険者証の交付
・滞納4ヵ月を目安に短期被保険者証に切り替えられる
A資格証明書の発行
・保険料の納付が可能なのに
1年以上滞納すると、保険証を取り上げられ、
B給付の差し止め、医療費からの滞納保険料相当額の控除など
・
1年6ヵ月間、滞納が続くと、療養費や高額療養費などの保険給付の全部または一部を差し止め、
保険料の納付が困難なときは?
・区市町村の後期高齢者医療担当窓口に相談すること
保険料の減免措置は?
保険証の減免措置には次の4つがある
@前年の所得が一定基準以下の人は均等割の部分を軽減
・軽減割合は、同一世帯内の被保険者本人と世帯主の前年の総所得金額をもとに次のように減額
総所得金額 |
|
B基礎控除( 33万円)=168万円以下の収入 |
7 割軽減 |
@+A+B+ 24・5万円×当該世帯に属する被保険者数(被保険者である世帯主を除く)=192・5万円以下の収入 |
5 割軽減 |
@+A+B+ 35万円×当該世帯に属する被保険者数=238万円以下の収入 |
2 割軽減 |
※いずれも収入は公的年金で、夫婦
2人世帯(2人とも75歳以上として計算)
A被用者保険の被扶養者について、制度加入時の軽減
・後期高齢者医療制度に加入する直前に、健康保険などの被用者保険の被扶養者であった人は、
激変緩和のため、制度加入時から
・ただし平成
20年度(2008年4月〜2009年3月)においては、
B災害や所得減少などのときの保険料減免
・災害により重大な損害を受けた、事業の休廃業による収入の激減、などの理由で生活が困難な場合、
保険料の減免措置(原則
C広域連合独自の減免措置
・東京都も都独自の減免措置をおこなっている」
保険証は?
・一人に1枚交付する
・配布は
2008年3月末までに(それ以降は誕生日の前日までに)区市町村から郵送または手渡しで・有効期間は
2年間だが、最初だけは2年4ヵ月(2010年7月末まで)
医療機関での支払い(窓口負担)は?
・現役並み所得者 →
3割負担(住民税の課税所得が145万円以上で年収が夫婦520万円、単身383万円以上)・年収が上記未満 →
1割負担
4月から、組合員本人と家族の健康保険はどうなる?(建設国保の場合)
|
家族が 75歳未満 |
家族が 75歳以上 |
本人が 75歳未満 |
本人・家族とも 建設国保のまま |
本人→建設国保 家族→高齢者医療制度 |
本人が 75歳以上 |
本人→高齢者医療制度 家族→他の健康保険 (市町村国保、他の家族の扶養など) |
本人・家族とも 高齢者医療制度に 一人ずつ加入 |
今までとの大きな違い・問題点は?
@
75歳以上の人すべてに保険料の負担・家族に扶養されている人を含め、すべての
75歳以上の人が保険料の負担を求められる。※現役でサラリーマンとして働いている人が
75歳になると、高齢者医療制度に移行するため、
A保険料が年金から天引き
・年金額が月
1万5000円以上(年額18万円)の人は、保険料は介護保険と同じように否応なしに・この制度に便乗するかたちで、国保に加入している
65歳〜74歳の人(前期高齢者)も、※納付猶予、分納などの制度を必要としている人も年金をもらっているだけで、天引きになる可能性。
B滞納者は保険証を取り上げられる
・保険料を「年金天引き」ではなく、「現金で納める人」(政府試算では約
2割)が保険料を滞納すると・従来、
75歳以上の高齢者は、障害者や被爆者らと同様に、人道的見地から
C自動的に保険料が上がる仕組み
・2年ごとの保険料の見直しが義務づけられている。
各広域連合の医療給付費の総額をベースにして、その
D
75歳以上に定額制診療報酬(包括払い)導入・現在の医療費は、治療や検査など診療行為ごとに決められた単価を積算して診療側に支払うのが原則。
つまりおこなった診療すべてに報酬がつく「出来高払い」。
・しかし厚生労働省は
08年4月から、75歳以上の「後期高齢者」を対象に、・定額制になると、診療側は治療費が上限を超えると持ち出しになるため、収入減になる。
逆に診療行為が少ないほど利益が上がる。そのため「過少診療」の心配がある。
・国保中央会が昨年
12月に次のように提言。後期高齢者は、かかりつけ医を選び、※定額制はすでに
2003年度から大きな病院などで入院患者に限り導入されている。(現在、全国の一般病床の約2割)
E独自の保険料減免が困難に
・保険料は、広域連合の条例で決めていくことになるが、一般財源を持たないため、
独自の保険料減免などの措置が困難。
F広域連合に国民の意思を反映できるシステムがない
・広域連合議員の定数は制限(区市町村の半数)されており、半数の区市町村からは議員を出すことができない。
しかも、その議員は「各市町の長及び議会の議員」のうちから選ばれることになっているため、
当事者である後期高齢者の意見を直接的に反映できる仕組みとしては不十分。
・広域連合では、次のような意見反映のシステムがあると言っている
◎通常の地方自治体と同様に請願・陳情、各請求をおこなうことができる
・被保険者の声を反映させる機関として「医療懇談会」を設置
TOP