第1回

金物使わず、壁は漆喰――エコ住宅

最近、新聞紙面やテレビ等でエコ住宅と言って、環境に配慮された住宅造りが盛んに報道されています。大森にそれに近い住宅が建てられているので、出かけてみました。

大森郵便局の近くにあるその建物は、環境企画という会社がおこなっており、都内に数軒建てられており、大変忙しいとのこと。この建物を設計しておられる方は、40代後半の方で、このような建物ばかりを設計しているそうです。

環境に優しい住宅と聞いて、8年前銀座のとある展示場での展示を思い出しました。それは、W大学の建築科の学生と教授と町の工務店の棟梁とで開かれた展示会でした。

今回、私が見に行った現場の造りと、展示会で示されたものとは、まったく同じ造りでした。

大森で建てられているのは、ほとんど金物は使われておりません。土台は栗の5寸角。通し柱は6寸角。これは杉材で、管柱は4寸角であり、通し貫は1寸の4寸が使われており、クサビが打ち込まれていました。

この建物は、プレカットではできないので、大工さんが昔ながらの仕様で建てるのです。

屋根の野地板そして床板には、木曽でとれる5種類の一つである椹(さわら)が使われています。この板は厚さ1寸5分、幅が5寸5分のが使われており、天井には8分の5寸5分の板が使用されています。壁は土佐漆喰が塗られております。

普通の住宅より、坪当たり2、3割高くつくそうですが、これからは環境を考慮しての住宅造りが主になってくるのではないでしょうか。

2000年) 

 

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