71日から改正建築基準法が実施

 

シックハウス対策を義務化

 

 71日以降の着工分から「改正」建築基準法が実施となります。今回の改正の大きなポイントとなっているのは、「シックハウス対策」。

 現在、社会問題となっている「シックハウス症候群」は、住居内の建築資材・家具などに含まれる有害な化学物質が人体に作用して起こる頭痛・吐き気・呼吸困難などさまざまな症状の総称です。

 そこで、今回の改正では、有害化学物質の使用禁止や制限、住居の換気設備の設置などによってシックハウス対策をとることを義務づけたのです。すべての建築物の居室(居住・執務・作業・娯楽などの目的のため継続的に使用する部屋)が対象になります。

 具体的な項目は、次の4点。

@クロルピリホスの全面使用禁止

Aホルムアルデヒド発散建築材料を内装仕上げ材に使うときの使用制限

B原則として、24時間機械換気設備を設置すること

C天井裏、床下などの制限

 それでは、一つずつ法律の内容と注意点を説明していきましょう。

 

クロルピリホス含有剤は使用禁止に

 

 クロルピリホスとは、防蟻剤(シロアリ駆除剤)などに使われている化学物質。クロルピリホス含有のシロアリ駆除剤はすべて使用禁止になります。

 現在流通しているものは、かなり以前の商品でない限り、クロルピリホスは含まれていないとのこと。長期在庫の品物は、気をつけるようにしましょう。

 

ホルムアルデヒド含有建材は使用制限

 

 ホルムアルデヒドは、接着剤・防腐剤・木質建材などに使用される化学物質。別表@のようにいろいろな建築資材に含まれています。今回の法律改正では、ホルムアルデヒドの発散速度に応じて、建築資材を4つのランクに分け(別表2)、発散速度の高い第1種は使用禁止に。それに続く2種・3種では、換気回数に応じて使用面積を制限することを義務づけました(別表3)。

 また今回の改正にあわせて、JISとJASが新しく「Fプラス☆マーク」の表示を採用しました。

 

別表@ホルムアルデヒド発散建築資材

合板、フローリング、構造用パネル、MDF、パーティクルボード、その他の木質建材、

壁紙、グラスウール製品、ロックウール製品、ユリア樹脂断熱材等、メラミン樹脂断熱材、

メラミン・ユリア共縮合樹脂断熱材、フェノール樹脂断熱材

塗料(現場施工)

アルミニウム・油性調合・合成樹脂調合・フタル酸樹脂ワニス・フタル酸樹脂エナメル・油性下地・一般用さび止め・多彩模様・家庭用屋内木床・家庭用木部金属部・建物用床

接着剤(現場施工)

酢酸ビニル樹脂系溶剤形・合成ゴム系溶剤形・ビニル共重合樹脂系溶剤形・再生ゴム系溶剤形

接着剤(現場、2次)

壁紙施工用でんぷん系・建具用でんぷん系・ユリア樹脂・メラミン樹脂・メラミン=ユリア共縮合樹脂・フェノール樹脂・レゾンシノール樹脂

仕上げ塗材

内装合成樹脂エマルション系薄付け・厚付け・軽量骨材・合成樹脂エマルション系複層(防水形も)

別表Aホルムアルデヒド発散建築資材の区分

区分

JIS、JASの新表示

旧表示

制限

規制対象外

F☆☆☆☆

制限なし

3

F☆☆☆

E0,Fc0

床面積の2倍まで

2

F☆☆

E1,Fc1

部分的使用のみ可

1

F☆

Fc2、E2(廃止)

使用禁止

 

別表Bホルムアルデヒド含有建材を使用できる面積の制限(居室の場合)

換気率(室内の空気)

2

3

1時間につき

70%以上

床面積の35%以内

床面積の5倍まで

1時間につき

5070

床面積の80%以内

床面積の2倍まで

 

換気設備が義務づけに

 

 ホルムアルデヒド含有建材を使用しない場合でも、すべての建築物に機械換気設備の設置が義務づけられました。住宅の場合では、1時間につき部屋の空気の50%以上を入れ替えることができる設備(24時間換気設備)が義務づけられています。

 

天井裏などの制限

 

 天井裏・床下・壁内・収納スペースなどから居室へホルムアルデヒドが流れ込むのを防ぐため、次の@からBのいずれかの措置が義務づけられました(別表4)。

 

別表C天井裏などの措置

建材による措置

天井裏などに使用できる材料は

3種、4種だけ

気密層か通気止めによる措置

気密層か通気止めを設置し、天井裏などと居室を区画する

換気設備による措置

天井裏なども換気できる設備にする

 

 

お客さんとの対応にも注意

 

 今回の改正により、新築住宅1戸につき約50万円のコストアップになるとの計算もあります。費用があがった理由をお客様にきちんと説明すること。またお客様から「値段が高くなるなら必要ない」と言われて必要な措置をとらないと基準法違反で責任を取らされるのは私たちです。ぜひ気をつけてください。

 

こんなことにも気をつけよう

 

 今回、規制対象となったのはホルムアルデヒドとクロルピリホスの2種類です。しかし、建築資材で使われている化学物質はまだほかにもたくさんあります。厚生労働省では、それらの有害性がはっきりすれば順次、規制対象にしていくでしょう。

 つまり、なるべく化学物質を含んだ建材は使わないことが大切なのです

 

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