第 29回昔の暮らしを楽しむ――明治中期建築の下宿屋
今回は上野へ足を延ばすことにしました。上野桜木町に、明治中頃に建てられた下宿屋があると聞いたからです。 上野に着いて探しましたが、それらしき建物は見当たりません。あちこちで聞いても、誰も知らないと言います。交番でも知らないと言います。 地元の人も知らないなら、我々にはとても探し当てることなどできるはずがないと思い、あるクリーニング屋の建物が古いので、聞いてみることにしました。すると探す建物の前を何度も行き来していたと聞かされ、唖然としてしまいました。 この建物、立派な門構えの家です。この下宿屋には、いま4人の芸大生が下宿しているとのことですが、小生が訪ねたときは夏休みのため誰もおらず、話を聞くこともできなかったのですが、隣の町会の会館の人から話を聞くことができました。 この下宿屋は、建てた当時のままでエアコンなどはついていないとのことです。 学生たちは、廊下をオカラで磨いたり、夏は簾を下げて簾越しの風で涼をとることや、庭に打ち水をしたりして昔の人の生活を体験しているそうです。 写真を撮るにも、塀が高く植木の葉が茂って、道路からは撮ることができず、やっとの思いで撮ったのがこの写真です。あまりよく撮れていませんが、昔の建物の姿が多少分かると思います。 学生たちはこの下宿生活で昔の暮らしを楽しんでいるとのこと。「まんざら捨てたものでもない生活だ」と言っているそうです。 ( 2002年)
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