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情緒たっぷり築地の木造

久しぶりに築地界隈を歩いてみたら、まだまだ木造の建物があちこちに残っていた。幹線道路沿いは高層ビルが林立しているが、一歩横町に入ると、昭和のはじめに建てられた木造住宅がまだまだ健在であると、襟を正して建っているのが目に入ってくる。

三田の木造3階建ては長屋がなくなってしまったが、どっこい築地には木造3階建ての長屋が残っているのです。築地市場から5、6歩入ったところと、晴海道路から横町に入ったところにありました。

昭和3〜4年ころに建てられた、これらの建物はいろいろな情緒を残しているのです。

現代の住宅には、このような情緒はいらないのかもしれないが、いま建てられている住宅はなんだか殺風景に映るのは、私だけなのだろうかと思えるのである。

玄関の格子戸をはじめ、日本霧除、2階にある植木棚、鏡板の戸袋等々、これらの技術は衰退していくのかと思うと心が寒くなってくる。

霧除二は、招ね木や箕甲をつけたり、木小舞の上の化粧板には、今では使うこともなくなったネズコを使ったのが、築地にはまだ残っているのです。

驚いたことには地方ではまだ残っているウダツが築地にはあるが、人々はそのような建物には関心がなく、ただ素通りしていくのである。

築地にはまだまだ建築をする人には参考になる建物が残っているし、ここが東京の文化の発祥地であることを思い知らされたのである。

2001年)

 

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