24

神楽坂に残る洋風建築

 秋晴れの日に、昔の町名を多く残している神楽坂界隈へと出向くことにした。狭い路地裏は昔のままではあるが、建物はほとんどが現代的な住宅またマンションに建て替わっており、ところどころに駐車場が出来て、見るも殺風景なありさまである。

 目的地に向かう途中に日本家屋の素敵な建物があるが、今は空き家となっており大分荒れ果てており、見るも無残である。丸太の縁桁で古舞の化粧屋の廊下など、現在では都内で造ることもなくなった今日。何とも惜しいと思う次第である。目指す洋館へと足を速めて歩くことにした。出合った洋風建築を目にして思わず胸が高まるのをおぼえてしまった。

 建物を知らせてくれた人の話では、このような建築は10年程前までは3、4軒あったそうですが、現在はこの建物だけになったそうです。

 屋根は矩勾配より強くフランス瓦を使用しており、3階の外部には化粧の付柱があり、屋切の外壁には塗物の彫刻が施されており、建具は木製でガラス止めはパティであるのも都内では珍しくなってきています。昭和2〜3年頃に建てられたそうですが、代々引き継いでいるので建て替えたくてもなかなか出来ないと言っており、1軒だけ残っているだけに、多くの人々がスケッチや写真を撮りに来たりしているのを見ると、簡単には壊せないと言っておりました。

 裏のほうは日本家屋で、庭には秋の味覚、柿が赤くなっており、日本住宅にピッタリの風景を醸し出していた。

2000年)

 

TOP    BACK