第 15回威風堂々、路地裏の酒屋
人情と言えば下町。ここ下谷は上野浅草に近く寺院が多いのも特徴です。 ここは昔からの長屋の路地裏や指物細工など懐かしいものがまだ残っていました。そんな一角に昭和4年に建てられた木造3階建ての酒屋さんがあります。 店の格子戸や天井や梁は2階根太が剥き出しで、黒光りして来客に上を向いて、梁や根太をよく見てくれと言わんばかりでした。街のあちらこちらでは、ビルが建ち並んでいますが、まだ下町特有の木造の長屋があちらこちらに点在しています。 2階建てではあるが、酒屋さんのような、出し桁造りの建物も数軒残っています。 3階建ての家屋が今まで現役でいるのに、我々が先にへこたれてはと、また3階建ては、俺の後について来いと言わんばかりに、威風堂々としており、当分はビル等には負けていられないと私に訴えているようでした。 持ち主もこのような建築は今後造る事ができないので、できる限り永くこの家を保存したいと言っておられました。 ( 1996年)
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