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数寄屋造りの旧侯爵邸

 ここ駒場は明治10年頃に駒場農学校がつくられ、近代農業に多大な功績を残して本郷に移転した跡地の一部を、現在の東大教養学部と教育学部、そして加賀百万石の当主だった旧前田利為侯爵の住居が造られました。

 この住居は鉄筋コンクリート造りの洋館と木造の和風数寄屋造りの2棟からなり、昭和4年から5年にかけて建造されたそうです。

 この建物の設計者は東京帝国大学教授の塚本靖という事ですが、実際は技師の高橋禎太郎が担当したそうです。和館は侯爵がロンドン駐在武官であった事から、外人客接待用にと建てられたとも言われていたそうです。

 第二次大戦中に中島飛行機製作所の手に渡り、戦後は占領軍に接収され、米軍のリッジウェイ極東司令官等が官邸として使用していました。昭和32年に日本に返還され、再度、民間の手に渡り、国が買い取ったときは傷みがひどく、昭和63年から4年間かけて修復工事が行われ、今では一般にごく一部ではありますが開放され、都民の憩いの場となっております。

 広々とした屋内から見る庭の眺めもまた格別なものがあります。皆様もぜひ一度見学に行かれてはいかがでしょう。入場は無料です。

1995年)

 

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