ものづくり

(615日号)

半世紀にわたり町工場で働いてきた旋盤工・作家の小関智弘氏。氏がものづくりの現場をルポした本『町工場巡礼の旅』に、小関氏と、機械化のすすんだネジ工場の工場長とのこんな会話が出てくる。

「これではもう、働いている人たちの個性なんて、出ようがないですね」「とんでもない。規格にはずれてないんだからこれでいいや、という人のネジと、規格にはずれていないけれど、こんなものを出荷したら工場の恥だ、と考えている人のネジとでは、箱にたまったネジの山をひと目見たらすぐにわかります。美しさがちがいますよ」

この本には東京建設の組合員さんも登場するのだが、そこは現物にあたっていただくとして、続いて青年部の文集「年輪」から高橋幸男くんの文章の紹介しよう。

「(前略)間違いなく言えるのは、道具の進歩だけに頼っているだけでは家は建たないということだ。知識を磨き、新しい道具や材料と融合させ、体を使って働く(後略)」

ああスペースが足りない! ぜひ、両方とも現物をご覧あれ。

 

 

現実を直視するための格言

(415日号)

「相場は悲観の中で生まれ、懐疑と共に育ち、楽観の中で天井を打ち、幸福感とともに消える」

相場(株式市場)に関するこの格言。皆が弱気になっている時に買い(安値)のチャンスが来て、皆が上昇気分の中で浮かれているうちには、もう売り(高値)の時期になっている、という経験則と人間心理を良く表している言葉です。

20年度は組織人員の減少が8年ぶりの100人を超える結果となったことは、記事にあるとおりです。改正建築基準法による現場の混乱から、そのまま今回の不況に突入してしまった現在の状況。100人を超えてしまった減少という現実に、今まさに悲観のまっただ中と思っている方も多いでしょう。

冒頭の「相場は悲観の中で育ち…」の格言と照らし合わせてみると、今は反転の時?いいえ。「人は自分の見たい現実しか見ようとしない」これもまた人間の心理です。耳に心地良い格言にすがるだけではなく、これを現実とするために行動を取る時が来た、と現実を直視するための格言と思いたい。

 

 

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