語源の由来

(225日号)

「東京建設新聞」を作成・編集する上で一番苦労する部分は? それは、この「しぶいた」つまりコラムを作ること、と言っても過言ではありません。

他の記事と違ってコラムばかりはゼロから作らなければなりません。そうかと言って、まったくのゼロからではなく、今話題になっていることやニュースから題材を持ってくることが多いのも事実。

その中でも便利で、よく利用しているのが「語源の由来」。話題の言葉や時代のキーワードを語源から調べてみるのもコラム作りの種の一つだったりします。さっそくインターネットで語源を調べることのできるページを見てみると。

「語源由来週間ランキング(よく検索されるランキング)」の中で「ろれつが回らない」「しどろもどろ」の言葉がランクインしていました。

同じページで「しどろもどろ」の関連語として紹介されているのが「しっちゃかめっちゃか」や「無茶苦茶」など。わざわざ長い文章を書かなくても、この単語をつなげれば今回のコラムで言いたいこと、わかりますよね?

 

 

いまだかつてない

(215日号)

昨年末から今年にかけて、たぶん20回以上は耳にしていると思う。いい加減ウンザリである。

昨年11月、あいさつの中で麻生首相が「未曾有」を「みぞうゆう」と読み間違えた。これをネタに、あいさつなどで「『みぞう』の○○が起きています。『みぞうゆう』じゃありませんよ」と笑いを取ろうとする人の多いこと多いこと。申し訳ないが、もう飽きた。

ところでこの「未曾有」という言葉。もともとはサンスクリット語で「びっくりした」を意味する言葉だった。ところが、仏教の経典を中国語に翻訳する際、間違って「未だかつて有らず」の意味に訳されてしまい、それが日本にもそのまま伝わったのだという。まあそれから比べれば、読み間違いぐらいたいしたことないか。

現在のこのひどい経済状況の中、頼りない政府に対して期待する人が減っているのは、内閣支持率の急降下でもわかるとおりだ。次の衆議院総選挙こそ、現在の与党を「いまだかつてない」「前代未聞」の事態に追い込む絶好のチャンスだと思うのだが。

 

 

就任式

(125日号)

「アメリカ合衆国大統領」という、世界で最も影響力を持つ指導者が変わりました。

はるか昔、ローマ帝国では国家の主権者は決して皇帝ではなく、「S・P・Q・R」と頭文字を取って呼ばれる「ローマの元老院と市民」でした。元老院と市民に愛想を尽かされるとローマ皇帝ですらも次の日からは、ただの私人になり退位をし、悪くすれば死に追いやられました。

その語源を元老院(Senatus)に持つ「上院(Senate)」があるアメリカの大統領もローマ皇帝と同じで、「国民の直接選挙」という支持を得ないと就任できません。就任式を一目見ようと集まった、200万人を超えたといわれる人たちの熱気も、自分たち主権者が選んだ代表だからこそでした。

テレビの前で就任式を見た日本人は、感動と同時に嫉妬した人も多かったのではないでしょうか。無責任にポストを投げ出し、密室の中で交代され、その就任演説も口からでまかせ、国民が愛想を尽かしても席に居座り続ける自分たちの指導者と比べてみて。

 

 

「溜め」

(15日号)

最近、反・貧困の取り組みが目立つ。

ホームレスの支援などをおこなっている自立生活サポートセンター「もやい」の事務局長、湯浅誠氏は、そんな反貧困に精力的に取り組んでいる人のひとり。氏は「貧困」を、「溜め」が奪われている状態だとして、「溜め」には次のような種類があるという。

@お金の「溜め」。Aセーフティネットと呼ばれる社会的な「溜め」。雇用保険、社会保険、公的扶助(生活保護)などがこれだ。B人間関係の「溜め」。頼れる家族、親戚、友だち、仲間など。C精神的な「溜め」。状況を見極めたり、適切に判断するための精神的余裕のようなもの。

つまり@がなくても、ABの「溜め」があれば、まだどうにかなるが、@ABの「溜め」がなくなると、Cも失われてしまうという「貧困の連鎖」が起こり、さらには「生きていてもしょうがない」として自殺にもつながりかねないのだそうだ。

建設不況もますます本格化するといわれている。組合が、皆さんにとって「溜め」のひとつとなれるよう肝に銘じたい。

 

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