「変」

(1225日号)

「変」が、今年一年を象徴する漢字として(財)日本漢字能力検定協会から発表されました。

「チェンジ=変化」をスローガンにかかげたオバマ氏がアメリカ大統領選に勝ち、世界的な金融市場の混乱で経済も急激に「変化」するなど、政治や経済で大きな変化が起こった一年を表しています。

そのアメリカですが、止まらない金融市場の混乱に対して、金利をゼロにすると同時にお金を市場に大量投入しました。いわば血液(お金)がドロドロな状態からサラサラにして、ちのめぐりを良くする大輸血手術をおこなったのです。実はこの方法、過去に日本でもおこなわれた政策とほぼ同じ物です。

しかし当時の日本と違うのは、そのスピードの速さ。日本での先例があったとはいえ、この「変化の速さ」には金融市場の不安を取り除く意味でも大きいものがあると言えます。

大統領選挙でも、国民が変化を望めばそれを実行するアメリカ。それに対して「変化」を望んでないような日本の政治が、世界で「変な目」で見られないことを望みます。

 

 

ヴォルテールの言葉

(1125日号)

「私は君の意見に反対だ。しかし、君がそれを言う権利は私の命をかけてそれを守る」

17世紀フランスの哲学者ヴォルテールが残した、思想・言論の自由の原則をずばり言い表しているこの言葉が、つい先日、現代の私たちに突きつけられました。

元厚生労働省の幹部を狙った連続殺傷事件。犯人が捕まる前は、年金制度に不満を持った者の思想・政治テロなのではないか、と私たちを不安におとしいれました。

夫婦共に亡くなられた被害者の家の台所には夕食の用意がされ、換気扇も回ったままでした。おそらく、これから夕食を食べようとしていた、まさにその時、宅配便をよそおった犯人に襲われました。

幕末の混乱した日本でも、「天誅」という名のもとに思想・政治テロが横行しました。卑劣な犯人は「天誅」と自認しているのでしょうか。もし、そうだとしたら大間違いです。歴史的にみても思想テロが実を結んだ例はありませんし、ヴォルテールからの課題に私たちは真正面から逃げずに向き合うだけです。

 

 

カーボンオフセット

(115日号)

「のどもと過ぎれば熱さを忘れる」もので、11月ともなるとひどく暑かった夏を忘れてしまいます。

その、暑かった夏ですがニュースなどでは、猛暑など異常気象のひとつの原因として「地球温暖化」という言葉が何度もくりかえされていました。車の排気ガスや森林伐採など私たち人間の活動で必要以上に増えてしまった二酸化炭素が温暖化の状況を作りあげてしまったのです。

世界中で今、二酸化炭素がこれ以上増えるのを止めようといろんな努力をしています。そんな運動のなかで注目されているもののひとつが「カーボンオフセット商品」。余分な二酸化炭素を使わない。つまり工場の電力などで自然エネルギー(太陽光発電や水力・風力発電)を使うなどして生まれた商品のことをカーボン(二酸化炭素)オフセット(相殺)商品と呼びます。正直なところ、説明しているはしから分からない言葉だらけで「脳みそが温暖化」しそう。

吐く息(二酸化炭素)が白く見える季節にこそ温暖化問題を考えてみてはどうでしょう。

 

 

女性閣僚

(1015日号)

「やっぱりね」と、思った人も多いのでは。

9月末に発足した麻生内閣で、小渕優子議員が少子化対策担当大臣になった。2003年、小泉首相の時代に新しくできたポスト「少子化対策担当大臣」。初代の小野清子から、南野知惠子・猪口邦子・高市早苗・上川陽子・中山恭子の各議員が歴任して、今回の小渕優子。これで10回連続して女性議員の就任だ。まあ、これが偶然だと思う人なんていないよね?

日本初の女性閣僚は、1960年の池田内閣のときに厚生大臣を務めた中山マサ氏。が、これは本当に例外中の例外で、内閣に必ず一人は女性が入るようになったのは、約20年前の海部総理からである。その当時、女性議員が任命されることの多かったのがわりと影の薄いポストである環境庁長官だった。

ちなみに今回の麻生内閣ではもうひとりの女性閣僚として野田聖子議員が「消費者行政推進担当大臣」に任命されている。

「消費者」や「少子化」は女性に任せるってこと? まさか「お飾り」の大臣でもないだろうが。

 

 

虚業と実業

(105日号)

アメリカの国内総生産における金融業は、年々増え続けて今や20%台(投書は10%)。製造業は30%だったのが10%そこそこと、半減しました。つまり製造業よりも金融業に重点を置いて成長してきた、ということです。

アメリカ金融業界の成長は、無責任な債権を世界中にばらまいてきたからこそ可能だったものでした。そのほころびが破けて、今は日本のバブルショックの時のように金融機関を公的資金、つまり税金で救済しようとしています。日本は、その後「失われた10年」と呼ばれた長い不況となりました。

金融機関は資金を融資して、企業の活動を助ける重要な役割を持っています。しかし、今回のアメリカ金融バブルは、金融業本来の「実業」ではない「虚業」をふくらませ過ぎた結果起こったことなのです。

一方、日本の製造業の割合は24%。「ものづくり」を基本とする姿勢は、まだかろうじて残っています。私たち建設業も「ものづくり」を基本とする「実業」。「虚業」が消えていく時こそ、私たちが輝く番です。

 

 

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