検定ブーム

(225日号)

漢字の読み方とか、ことわざとか、最近のクイズ番組って、学校のテストを問題にしたようなのばっかりだと思いません?

もともとは中学入試の問題をクイズにした某番組あたりが起源という気もするこの傾向。わざわざクイズ作家に問題をつくらせなくても、学校のテストを問題にすればいいのだから、こんなに安直につくれる番組もない。

世の中お勉強ブームなのか、そんなクイズ番組と同様、さまざまな「検定」が大流行しているのをご存じだろうか。アッという間に超メジャーになってしまった「漢字検定」が出世頭だが、地元の知識を競う「ご当地検定」、オタク趣味をくすぐる「うんちく検定」が次々に出てきたことで一気に「検定ブーム」が広まったようだ。

「うんちく検定」をいくつか紹介してみると…。妖怪に対する理解度をはかる「境港・妖怪検定」。自然や命を大切にする心を育てる「ファーブル検定」。説明不要の「阪神タイガース検定」。ロック音楽全般の知識を審査する「MTVロック検定」。合格したらサンタになれる「サンタクロース検定」なんてのもある。

ブームに便乗して受検料めあての怪しげな検定が増えているという話も聞く。「悪質商法見破り検定」でもつくったら受検者が殺到するかもね。

 

 

オーガニック王子

(215日号)

「ハニカミ王子」こと、石川遼選手のプロデビュー戦がおこなわれたイギリスで、有名な「オーガニック(農薬などを使わない有機農法で作られた食品)王子」とは誰でしょう。

答えは正真正銘の王子、チャールズ皇太子です。皇太子が自分の領地(ダッチー)で作られたオーガニック食品を扱う会社「ダッチー・オリジナル」は開業当時の1990年当時、周囲からは王子が気まぐれで始めた事業で、どうせ長くは続かないとみられていました。

しかしその後、世の中が食の安全性について興味を持ち始めるとともに売り上げが増えていきました。気まぐれでなかった皇太子自身の有機農法への取り組みも実を結び、今や「ダッチー・オリジナル」ブランドはイギリスで、オーガニック食品の代名詞になっているといってもいいでしょう。売り上げの一部はチャリティーに寄付されていて、2006年にはその規模が25億円にもなっているそうです。

「ノブレス・オブリージュ」=「ある一定以上の社会的地位には、それに見合う責任も果たさないといけない」と長年、欧州で貴族の子弟に教育されてきたこの考え方に、チャールズ皇太子も沿っているのです。

日本の「責任ある人たち」も、今からこの教育を受けてみてはどう?

 

 

天引き

(25日号)

江戸時代、お金の貸し借りには「百一文」と「鴉金(からすがね)」の2種類があった。「百一文」は借りた額に利子を加えて返済するというもの。「100文借りて、101文返す」から「百一文」だ。

いっぽう「鴉金」は、元金からあらかじめ利子を天引きして貸し付けていた。つまり「100文借りたいと言うと、手元には96文渡され、返すときに100文払う」っていう方式だ。

この4月から、後期高齢者医療制度がスタートし、同時に、「後期高齢者医療の保険料」「65歳以上の国保加入者の保険料」を年金から天引きするという保険料徴収制度も始まる。現在も、年金からは「介護保険料」が天引きされているから、実際に手にできる年金はますます減ってしまう。

この制度、「医療保険料と介護保険料の合算が年金の50%を超えなければ天引きにできる」のだという。「政府からは『年間80万円の年金が出ますよ』と言われたが医療保険料と介護保険料が引かれ、手元に入ったのは40万円でした」―なんか鴉金みたいですな。

政府は「0910月からは、住民税も年金から天引きにする」のだという。本来老後の生活の保障であるはずの年金制度。でも政府からすると、金の取りっぱぐれをなくす横取りのための便利な存在なのだろうね。

 

 

まだ続く「偽」

(125日号)

その年の世相をあらわす漢字一文字、昨年末に発表された「偽」は年を越えてもまだ日本中を騒がしているようです。

年賀はがきに使われた再生紙が、基準以下の割合の古紙しか使われていなかったというのです。つまり、環境にやさしいといわれていた再生紙が、実はそれほどリサイクルされた製品でなかったのです。

偽装をおこなった製紙会社各社によると「基準の古紙配合率では品質が保障できない」として、基準の配合率が40%なのに対し、多いところでも20%程度しか古紙が混ざっていなかったのです。食品偽装などでは、偽装することで品質を下げていたのですが、今回は「品質を下げないように」偽装していたというのです。

電気とガソリンのハイブリッド車技術や、世界トップレベルのソーラーパネルシェアなど、これまで以上に世界中で深刻になっていく環境問題において、日本の技術=「メイドインジャパン」は大いに貢献できると期待されています。その環境技術で偽装がおこなわれていた、という点でこのニュースは根が深いものがあるのではないでしょうか。

昨年から続く世界の株式市場の下落基調の中、先進国で日本市場の回復力の低さが際立っています。「偽」の国には安心して投資できないから?

 

 

カワウソ

(15日号)

皆さんもご存じのとおり、東京都内にはいくつもの建設組合がある。そのうち、全建総連の東京都連合会に加盟しているのは15組合。連合会全体の人数は約15万5000人だ。15組合で15万人だから、仲良く1万人ずついるかというと、もちろんそんなことはない。実際には大きな組合から少人数の組合までが、それぞれの持ち味を生かしたり、地域にねざしながら存在しているわけだ。

そこで組合の規模別に4つのグループに分けて、大きさがイメージしやすいように、それぞれの組合の組合員数を哺乳類の動物の体長で比較してみると、こんな具合になる。

@12万6000人(1組合)・シロナガスクジラ(30b)。A1万6000人(1組合)・アムールトラ(3・5b)。B3500人〜1500人(3組合)・オオアルマジロ(83a)〜ミーアキャット(35a)。C1000人未満(10組合)・エゾリス(22a)〜ヒメトガリネズミ(5a)。

東京建設は、Bのグループに入る。大きさでいうと、体長70aのカワウソぐらいか。

「組合に入っていない人なんてもういないよ」という声もよく聞く。が、都内にはまだどこの組合にも入っていない建設業の仲間が15万人以上いるのだそうだ。

カワウソだって努力次第で、まだまだ大きくなれるぞ。

 

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