二巻の始まり
(12 月25日号)「みんなを守る勉強をしとるんや」 手帳や書籍の出版をおこなっている企業が毎年、身近な人が言った、思わず感心してしまう言葉を募集している「手帳大賞」。最初に紹介した言葉は、 4歳の息子がウルトラマンのビデオばかり見ているのを、お父さんが注意した時に息子が返した言葉で、手帳大賞の候補となった作品です。お父さんは思わず、その勉強は確かに大切だな、つまらんこと言ってゴメン、と思ったそうです。ドキッとしたり、ほのぼのしたり、すこし悲しくなったり、毎年さまざまな言葉が紹介されています。今年最後の皆さんへのあいさつとして今回の手帳大賞の候補にあがった言葉を 2つ紹介します。一巻の終わりだ、と落ち込んだ時に言われた「二巻の始まり」と、大事な決断をせまられて迷っていた時に言われた「足踏みをしていても靴はへる」来年 4月から始まる「後期高齢者医療制度」によって、75歳以上の方たちが組合の健康保険から離れてしまう(組合には残ることができます)ことで組合は来年、激動の時期をむかえることになるでしょう。そういう事態になっても、一巻の終わりだとあわてることなく、新しいスタートだと感じてください。足踏みをしているだけでは前には進めないのだから。
相手のニーズを理解し
(12 月5日号)何年か前までは、街中でイヤホンをして音楽を聴いている人が持っているのは、大多数が日本製の携帯音楽プレーヤーでしたが、今は半分近くのシェアをアップル社の iPOD(アイポッド)が占めていると言われています。ここまで販売を拡大できた理由は、操作のしやすさやデザインなど、いろいろと分析されていますが、アップル社が世界中で展開している(日本には7店舗)アップルストアという、異業種の店舗と比べても一人の販売員が挙げる売り上げでトップクラスの成績をあげている、直営店の販売方法にもあるのではないかと言われています。 アップルストアの店員はまず、お客さんに話しかけていくつか質問をして相手のニーズを理解し、会話の中でそのニーズを深く掘り下げていき、最終的に一番最適な商品を紹介するのが基本姿勢だそうです。つまり、お客さんにとって店員が、ただ商品を売ろうとして接するよりも、自分の疑問を理解したうえで解決してくれる人となった時に、その商品を買おうとするということです。 組織拡大で未加入の人に声をかけよう、と言われても何から話していいのかわからないという場合は、まずその人が何を必要としているのか普段のおしゃべりの中から探ってみては?
死刑制度をめぐる意見 ( 11月5日号)鳩山発言のせいか、新聞の投書欄で死刑制度をめぐる意見のやりとりがめだつ。 「いかなる人間も、その生命の尊厳と権利は守られるべきであり、誰もそれを奪うことはできない。死刑は人権を根本から否定するもの」というのが廃止派の主張だ。これに対して存続派は「死刑廃止論者は『被害者の生命と人権を先に奪ったのは加害者だ』という視点が欠けている」として、死刑制度は「被害者の人権を守るために絶対に必要」という。「終身刑に匹敵する懲役刑を立法化すべし」と主張する人もいる。 「国民の名で行われる国家による殺人だ」として死刑に強く反対する作家の森巣博氏は、朝日新聞で次のような趣旨の意見を述べていた。 「“殺人”は公務員に負託できるような業務ではない。にもかかわらず現行の制度では、殺したい人を誰か他の者に殺させて、市民は涼しい顔をしていれば済む。日本で死刑制度が存置されているのは 8割の世論が支持しているからだというが、ならば刑務官たちに殺人の代行をしてもらわずに、日本国民の義務として、市民自らの手で処刑すべきだ。選挙人名簿から3人ほど無作為抽出して、市民自らが死刑確定者を“殺人”する。これがフェアというものだ」。あなたの意見は?
出藍の誉れ ( 10月25日号)日本語「学ぶ」の語源は、まねをする様子をあらわす「まねぶ」からきているとされています。初めは親のまね、学校では先生のまねをして、私たちはいろんなことを学んでいくのです。 10 月19日に11支部でおこなわれた「拡大一斉行動」は、未加入の職人さんが家に帰っている夜、組合員の仲間数人で家を訪れて加入を勧める、という組織拡大のために今年から始めた運動です。実はこれ、他の組合の「まね」をしたものなのです。7 月の幹部学習会で、私たちと同じ3000人規模の組合ながら、着実に組織拡大を成功させつつある「東京建設従業員組合」で一斉行動を指揮してきた方を招いて教わったものをほとんどそのまま、まねたのが今回おこなった拡大一斉行動です。「学ぶ=まねる」ということの本質を教えてくれる「出藍の誉れ」という話があります。「学ぶことをやめてはいけない。染料の青は藍の草から作るけれど、その色は藍より青くなるじゃないか」 さて、 11月19日に2回目の一斉行動がおこなわれます。けっして「まねる」ことを恥じることなく行動しましょう。まねることは、かえってオリジナルを超えることができるかもしれない、ということを「出藍の誉れ」の話は教えてくれているのですから。
名前の流行り ( 10月15日号)親がわが子に贈る最初のプレゼントが「名前」だ。どの親も子どものすこやかな成長や幸せを願ってつけるのだろう。そんな「名前」にも時代によって流行りがある。ここ最近の特徴をいくつかあげてみると。 まず「音の響き」を重視していること。 2番目が、誰もつけたことのないような名前をつけたがるということ。3番目として最近とくに目立つのが、法律に「漢字の読み方の規定」がないことを最大限に利用した、大胆な当て字だ。「稀星」と書いて「きらら」と読む名前の出生届にまつわるニュースは記憶に新しい。他にはどんな例があるのか、いくつか紹介してみよう。 宇宙(こすも)・心温(ここあ)・十兵(くりすとふぁー)・南国(ぱらだいす)・春夏冬(あきれす)・今鹿(なうしか)・愛莉(らぶりー)・美女神(びーなす)・光中(ぴかちゅう)・礼(ぺこ)…。もはやナゾナゾ? 赤ちゃんが誕生したときって親の精神状態もかなり高揚しているようで、そのハイテンションが「命名」に影響してしまい、数年後、冷静になって悔やむ例もあるという。 子どもにとっては、その後、幼少期・学校生活・社会生活とずーっと、自分でも使うし他人からも使われる大事な「名前」。お父さん・お母さん、「使いやすさ」にもぜひご配慮を。
サブプライムローン問題 ( 10月5日号)私たちが毎日のように接する紙幣や硬貨などの「お金」。単なる紙と金属なのにどうして価値があるのでしょう。この夏、アメリカで起こった「サブプライムローン」問題とそれに続く世界同時株安が、そのわけを教えてくれそうです。 「サブプライムローン」とはアメリカの、信頼度が低い顧客向けのローンです。今回の騒動は、借り手の多くが返済できなくなった結果、貸し手の金融機関が経営難になったのがきっかけとなりました。 本来なら、一部の金融機関だけが損失を受ければ済む話だったのですが、今回は貸し手側の資金の多くが様々な金融商品(投資信託など)に振り分けられていて、最終的に誰が損失を受けるか分からなかった「不安」が世界をかけめぐったことが原因になりました。この「不安」を経済用語では、信用がおけなくなるという意味で「信用収縮」と言います。 単なる紙と金属が紙幣や硬貨として価値を持つわけは、政府が発行したお金を、国民が「信用」することで成り立っているからなのです。ここ最近の政府を振り返ってみるとどうでしょう。総理大臣が急に職を投げ出すような始末。私たち国民の「信用収縮」がこれ以上進むようだと、お金が単なる紙と金属になってしまうのも現実の話になるかも。
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