未来予想図

35日号)

2025年、日本の科学技術はどうあるべきか? こんな「未来予想図」を政府は「イノベーション25」として発表しました。

体内にとどまって、身体に異常があると知らせてくれる検査薬・一家に一台の家事ロボット…この種の「未来の夢」は過去に何度も発表されてきました。

1960年の予想で実現したのは、携帯電話や電子レンジなど。目標に対して実現したのが4割ほどだそうです。一方、実現しなかった技術で特に多かったのが原子力関係で、7種類のうち実現したのはありませんでした。

実現しなかった理由として「高度成長期だった当事は社会全体に未来への希望が大きかったので、飛躍した考えが多かった」というのが考えられています。つまり、未来の予想や希望というのは、社会がその時に抱いている自分たちの暮らしへのイメージ、が強く影響するのでしょう。

今回発表された未来予想図を見直してみると…骨や皮膚、歯などの再生治療・防犯カメラ網による不審者の特定・光合成の仕組みを利用した環境にやさしい車など、高齢化対策・治安対策・環境問題といった「危機感が前面に出た」結果となりました。暗い予想だな、と考えずに「現実を直視した前向きな予想」と考えたいものです。

 

 

柳沢発言のルーツ

225日号)

15歳から50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」。この柳沢厚生労働大臣の発言が騒動になってから1ヵ月ほどたった。

柳沢発言のルーツはどこにあるのか。ちょっと過去をたどってみよう。

@もともと日本では昔から、「子どもを産むのが、女性の一番の役割」という男性側に都合のよさそうな考え方があった。A昭和10年代には、「産めよ殖やせよ国のため」という「結婚十訓」、「夫婦の出生数は平均5人を目標に」等を内容とする「人口政策確立要綱」が定められ、「子どもを産む」という私的なことに国家が介入してきた。B戦後、「結婚するかしないか」「子どもを産むか産まないか」は、個人が自由に選択することなのだ、ということになっている。Cただし、これは建前で、「いい年になれば結婚するのが当たり前だし、結婚すれば子どもをつくるのが当たり前」という相変わらずの考え方を持つ人は、けっこう多い。もちろん若い人たちの間にも存在する。

ゴキブリなみにしぶとく生き続けている考え方なんだよね、これって。

そこで、女性の皆さんに提案。身近にいる男性に、柳沢発言をどう思うか、本音をじっくり聞いてみては? 面白いと思うよ。 

 

 

暖冬は何が原因?

215日号)

東海道残らず梅になりにけり

梅が咲き始めると冬も終わりに近づきつつあるなと思ってしまいますが、いまだに東京に雪が降らず、このまま雪を見ずに冬が終わると、気象庁が観測を開始してから130年間で初めて雪が降らない記録的な暖冬になるかもしれません。群馬県の榛名湖を予定していた青年部のワカサギ釣りも、氷が張らずに急きょ、場所を変更したそうです。

さては、地球規模で問題になっている温暖化か? というと、それだけが原因ではないそうです。海水の温度が上がった影響で異常気象が世界的に起こる、エルニーニョ現象が今年の暖冬の一番大きな原因といわれています。人は、よりわかりやすく派手なことがら=地球温暖化、に目がとまりがちで、地味だけど確実なこと=エルニーニョ現象、にはあまり目を向けようとはしません。異常事態・緊急時にこそ、よく事実を見つめかえすことが大事なのではないでしょうか。

はじめに紹介した俳句、江戸時代に、梅の花に見たてたすごろくのコマが、東海道五十三次の宿場のマスを段々と通過していく様子を梅の開花前線と見立ててみた俳句です。しかし今年は異常な暖冬、このままでは一度に東海道中すべての梅が咲いてしまう風流のない梅の開花になりそうかも。

 

 

江戸むらさき

25日号)

皆さん「江戸むらさき」と聞いて、まず何を思い浮かべるでしょうか。あつあつの炊きたてごはんにのっけて…の、海苔の佃煮ではなく、今回取り上げるのは染色などで使われる青みがかった紫色の「江戸紫」。

この色を出すのに使う植物・紫草(むらさき)は、和歌にも歌われるほど古来から東京・武蔵野を中心に栽培されていた植物で、高貴な色とされた紫色を作るため武蔵野から朝廷に紫草が納められていました。江戸時代には、歌舞伎の演目「助六」で、主人公の助六が頭に巻く鉢巻の色にも使われるほど大流行。「江戸紫」の代名詞が確立されました。

正式な江戸紫の作り方は井の頭池のわき水を使い、水のアルカリ性が強い関東の水が青みがかった紫色を出します。同様に、京都の水で作った紫は赤みがかった「京紫」。東北の水は、あずき色に近い「南部紫」を作り出します。同じ原料の紫草を使っても、作る過程で使う水などによって、出る色に大きな違いが出ます。

やがて明治時代になると化学染料が出回り、土や空気、水の汚染によって紫草の生産が激減してしまい、現在は東京・三鷹で紫草の復活プロジェクトが進んでいます。水や空気でがらっと変わる染物のように、人や組織も心がけ次第では変われるのかも。

 

 

冷静になって考えてみると

125日号)

クイズです。「納豆」と「旧石器」の共通点を3つあげよ。はい、そうだね。「発掘」と「あるある」と「捏造」だね。

というわけで人気情報番組のダイエット特集、根拠となるデータの数々を捏造していたことが発覚し、あっという間に番組が打ち切りになった。視聴者からは「だまされた」と非難ゴウゴウで、これは当然のこと。ただ、「いい加減な情報に振り回されないよう自覚すべき」「見る方の姿勢にも問題がある」との指摘もある。視聴者の側も「いい加減めざめなさい」ってことか。

出版界でも、「○○すれば、たちまち△△が正常値に」という記事が毎月いくつもの健康雑誌で特集されている。でも冷静になって考えれば、そんなにうまい話がいくつも転がっているわけはないのだ。

見かけは科学のようだが、専門家から見れば荒唐無稽な「ニセ科学」というのをご存じだろうか。有名どころでは「血液型性格判断」や「マイナスイオン」などがある。ニセ科学は、「白黒をハッキリつける」のが得意だ。ニセ科学は、信じたいと願っていることを提示してくれる。ね、健康情報と相性が良さそうでしょ。

そうそう。小学生のテストみたいなことをやって、「脳年齢が若返る」というのも、もちろん同類です。ま、あれはゲームだけどね。

 

 

ショッキングな映像

115日号)

アメリカのブッシュ大統領が、イラクへの兵力増強を検討している。いっこうに良くならない現地の治安状況、任期も終わりにさしかかってきて一連の失敗を力づくでも押さえつけて、自分へのはなむけとしたいのか。

この増強計画には野党はもちろん、与党からも批判が相次いで出ている。「ベトナム戦争の二の舞になるのでは」と。

ついこの前、テレビでショッキングな映像を見た。ジャングルの中をチンパンジーの群れが歩いている。群れの行き先は頭上で木の実を食べている別のチンパンジーの群れ。やってきた群れのチンパンジーがいっせいに吠えはじめたと同時にカメラもあわただしく動きまわり、枝から枝へ他の群れのチンパンジーを追いかけ回す様子や、地上を走りながら木を叩いて吠え、威嚇をする様子などが撮られていた。

争いも終わり、ようやく静かになった次の瞬間、テレビに映し出されたのは襲撃で殺されたチンパンジーを皆で食べるシーンだった。

人間にもっとも近い動物と言われているチンパンジーが同種の仲間を襲う、この現象は最近確認されたことで、くわしい原因や意味などはわかっていないらしい。

もし、私たち人間が、どこかの何かに調査されるとしたら…どんな調査結果が出るのだろう?

 

 

もういくつか出すと

15日号)

お正月だし、おめでたい話題ではじめよう。読者の皆さん、この新聞の右上に書かれている号数をご覧いただきたい。「第1495号」と印刷されているはずだ。そう。つまり、もういくつか出すと東京建設新聞が「1500号」を達成するってわけです。

1955年4月20日、組合が結成される4日前にガリ版刷りの第1号を発行してから、約52年。平均すると一年間に30号を発行している計算になる。最初のころは月2回発行だったが、第3種郵便の許可をとって組合員への直送を実現するため、昭和3510月から月3回発行という現在の体制になった。

全建総連(東京建設も加盟している建設組合の全国団体)には多くの組合・連合体が加入し、それぞれ機関紙を発行しているが、圧倒的に多いのは月1回発行で、月3回出しているのは、全国でも4紙のみ。しかも毎号、組合員全員に郵便で直接届くシステムを採用しているのは東京建設新聞一紙だけだ。

ただし、実際の発行はというと、「情報が遅すぎるぞ」「発行日に届くことが、めったにない」などのごもごもごもっともなお叱りをうけることもたびたびある。改めていかなければ。

皆さんの温かい叱咤激励をはげみに、今後もみんなに愛される新聞をめざします。

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