今年の漢字

1225日号)

今年一年の世相をあらわす漢字一文字は「命」。毎年、日本漢字能力検定協会が公募、決定する「今年の漢字」が京都の清水寺で1213日に発表されました。

秋篠宮家に新たな命が誕生されたこと、イジメや虐待により子どもの命が失われたこと、高齢者の医療費負担増も命に関わる問題でしょう。

私が個人的に感じる今年の漢字は「新」です。そのわけは…今年、事務局に入った”新”人で、担当しているのが”新”聞だからです。こじつけで”新”鮮さがないのは、ご勘弁を。

辞書で「新」の漢字の成り立ちを調べてみると、辛・木・斤の文字からできていて、山で木を伐採するときに針(辛)を打って選んだ木を、斤(おの)で切る、とあります。こうして得た新木を使って神様が住む場所を作ったそうです。ちなみに次号は新年号にふさわしく、神様が住む場所=神社にまつわる記事が載りますので、皆さん期待していてください。

ということで、この号が今年の建設新聞最後の号となります。もう来年のことを言っても鬼に笑われることはないと思いますので、私の”新”年を迎えるにあたっての目標を考えてみました。いつまでも”新”人であることを言い訳にせず”新”たな気持ちで、より良い”新”聞を皆さんにお届けしていきます。

 

 

いじめ

125日号)

国語辞典で「いじめ」をひいてみると、こう書いてある。「ある集団の内部で、強い立場にある個人または集団が、弱い立場にあるものを肉体的・精神的に苦しめること」。その通り。しかし、いま社会で起こっている「いじめ」に当てはまるかと言うと、ウーン、なんかちょっと違うような気も…。

まず「強い立場」(加害者)と「弱い立場」(被害者)だが、いまの社会では、はっきり定着した「立場」などない。ある人が「加害者」になるか「被害者」になるかは、そのとき次第。ささいなことが原因で、いつでも立場が入れ替わってしまう可能性があるんだな。

もうひとつ。被害者の感覚では「いじめ」そのものなのに、加害者と傍観者(ある意味、第二の加害者)の感覚では「お互いに遊んで、ふざけているだけ」で、「苦しめている」という実感を持ってないことが少なくないということだ。これが「いじめが表面化しづらい」という原因にもなるんだけど。

暉峻淑子氏の著書「豊かさの条件」には、こんな記述がある。「ある教師は言う。子どもにケンカはつきものだ。しかし、ケンカは真剣で笑いがないが、いじめには笑いがある、と。みんなで寄ってたかって、ある子どもを死ぬほど苦しめておいて、面白がって笑っている」

 

 

味とブランド

1115日号)

コカ・コーラとペプシコーラ。どちらか、お気に入りを選ぶとき、人は「味とブランド」のどちらを基準にしているのか。どちらか一方のファンという人を集め、好きな方を飲んでいるときの脳波を調べる実験がおこなわれました。

コカ・コーラ好きの人で、ブランド名を教えた場合と教えなかった場合を比較したところ前者の場合だけ、脳の中で記憶や認識を支配する前頭葉や海馬が強く活動していました。つまり「コカ・コーラ」というブランドを強く認識していたことになります。一方、ペプシ好きの人の実験ではブランド名がわかっても、わからなくても、脳の活動に変化はありませんでした。

この実験でわかったことは「ペプシを好む人は味で製品を選び、コカ・コーラのファンはブランドの影響を強く受けている」ということ。それだけコカ・コーラのブランドイメージが深く浸透しているということでしょう。

あらためて「ブランド」という言葉の定義を調べると『商品が機能以上の価値を認められる時の指標』とあります。つまり人は”特別な何か”という、あいまいな物に強い興味を持つ不思議な生き物なのでしょう。そろそろクリスマスシーズン。ちなみにサンタ=赤のイメージはコカ・コーラの広告が発祥です。

 

 

核実験

115日号)

北朝鮮が核実験をおこなった。「オレだって核保有国なんだぞ」と世界に伝えたかったのだろう。なにしろ、国連安全保障理事会の常任理事国である米国・ロシア・英国・フランス・中国がみんな核保有国なのだ。核保有国って、ある意味「魅力的」に見えるのかもしれない。

では、そんな「魅力的な国々」は、今までにどれくらいの回数の核実験をおこなってきたのか紹介しよう。

一番はじめは米国で、1945年。ヒロシマ・ナガサキの年だ。それ以後、49年にはソ連(現・ロシア)、52年には英国、60年にはフランス、64年に中国と、次々に実験グループに参列し、1996年までの約50年間におこなった回数は計2045回に及ぶ。国別に見ると、米国が1030回でダントツ。以下、ロシア715回、フランス210回、英国と中国が45回と続く。

96年、あらゆる形での核実験を禁止する「包括的核実験禁止条約」が国連で採択されたが、米・ロ・英は、そんなことにもめげない。「爆発を伴わないから禁止条約には違反していない」という理屈で、97年からは「臨界前核実験」という新手の核実験を開始。米国は今年8月にもネバダ州で実験をおこなったばかりだ。

北朝鮮もだが、こいつらもいい加減にせんかい!

 

 

手紙の実験

1025日号)

数千キロ離れた宛先に何人の人を通して手紙が届くか? 社会学者がこんな実験をした。

無作為に選ばれた最初の人が、宛先の知ってそうな次の人を探して手紙を渡す。これをくり返したところ、何人目で無事に手紙は届いたでしょうか?

何かしら行動するとき、人は”情報”をもとに動き出す。映画を観に行くときは、どこでその映画が上映されているか。また、競馬では必ず競馬新聞を片手に予想するでしょう。これらは、あらかじめ予想できないリスク、つまり映画館に来たけど観たい映画がやってなかった。直感や好きな数字、気になる名前だけで馬を選んだけど、ボロ負けした。など、数々の失敗をしたくないから人は”情報”を求めるのです。

最初に紹介した「手紙の実験」を何回かおこなった結果、平均して5・5人の人を介するだけで数千キロ離れた場所に手紙が届くという、情報が世界をめぐる速さと精度の驚くべき事実がわかりました。

私たち、新聞の編集側もこの実験結果を受けとめ、これからもできるだけ速く(月3回の発行)皆さんに情報(紙面)を知ってもらうことで、リスクを減らして(各種の規制や補助金を知り、充分に活用する)もらえるような新聞作りをめざして頑張っていきます。

 

 

裏ノーベル賞

1015日号)

毎年10月はノーベル賞発表の季節だ。ところで同時期にやはり賞が発表されるイグ・ノーベル賞ってごぞんじだろうか。1991年に米国の科学誌が創設した、「人々を笑わせたり、考えさせたりする研究」に贈られる賞で、「裏ノーベル賞」とも呼ばれている。「皮肉を込めたもの」「脱力型(ただし本人は大マジメ)」の2つの傾向があるようだが、受賞したブツをいくつか紹介してみよう。

まずは「皮肉」系から。「ヒロシマの50周年を記念し、太平洋上で核実験をおこなった」シラク仏大統領に対して平和賞。「数百万人の仕事時間をバーチャルペットの飼育に転換した」たまごっち開発者に対しては経済学賞が贈られた。

続いて「脱力マジメ」系。「食べ物を床に落として5秒以内なら、食べても安全だという“5秒ルール”の科学的妥当性の研究」に公衆衛生賞。「逃げ出して隠れる目覚まし時計を発明して、人々を確実に起こし、生産的な時間を増やしたこと」に対して経済学賞。「ビスケットを食べる前に紅茶に浸す最適な方法や時間の研究」に物理学賞。ちなみに今年は「なぜキツツキは頭が痛くならないのか」の研究に対して鳥類学賞が贈られている。

「これぞ!」という研究テーマを思いついた方は、ぜひご一報を。

 

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