読書

625日号)

「約4割の人はまったく本を読まない」。文化庁が昨年おこなった世論調査の結果である。16歳以上の人に、「(雑誌や漫画を除いて)1ヵ月に何冊の本を読むか」という質問をおこなった結果、「まったく読まない」が376%、「1〜10冊」が581%だったというのだ。

「ブック・オフ」など、大型の新古書店が次々に開店し、繁盛しているのを見ると、「いや、実際には本を読んでいる人はもっと多いんじゃないの」とも思うし、片や出版不況という言葉も耳にする。通勤電車での過ごし方も、ケータイやMDなど、読書以外にも多様化しているしね。「4割」って多いのか、少ないのか。

ところで、この調査結果でビックリしたことがある。「1ヵ月に21冊以上読む」という人が0・7%、「31冊以上」が0・4%いたことだ。普通の人が普通に本を読んでいて、そんなことが可能なの? ビデオを早送りで見るように、何か特別な方法でもあるのだろうか。

「本を読むのが良いこと」なのは、大方の認めるところだ。でも、それでなくても氾濫した情報におぼれてしまいそうな現代。「楽しみとしての読書」ぐらいは、気持ちにゆとりを持って「じっくりと1冊の本を楽しみ、味わい尽くす」で、いいんじゃないかなあ。

 

 

ケタがわからない

615日号)

各支部の総会に続いて組合の定期大会もぶじ終わり、まずはひと区切りといったところだ。その総会や大会で必ずおこなわれるのが、決算報告である。みんなから集めたお金を使って運営しているわけだから、もちろん必要なことだ。

ところで、決算報告書を見たり・報告を聞いていて、いつも弱ってしまうことがある。科目ごとに数字が羅列してあるのだが、パッと見て「いくらだか分からない」のだ。報告者があの数字をスラスラ読んでいるのを聞くと、「ひょっとして、報告前に数字の右端から『一、十、百…』と数えて、何か印でもつけているのでは?」なんてことを考えたりして。

3ケタごとに打ってあるコンマは、数字を千進法(サウザンドとかミリオンとか、1000ごとに単位を持つ数え方)で数える欧米人にこそ意味があるのであって、「万進法」を使う私たち日本語圏の人にはまったく意味がない。コンマなんて要らないから、4ケタごとに「万」とか「億」とか書き入れた方が一目で理解できるのになあ。

メートル法が施行されているとはいえ、日本の建築業界では、人間工学的に合理性のある尺貫法がまだまだ健在だ。数字の書き方だって、日本語にとって合理的なほうが良いと思うんだが。無理かしら。

 

 

有事法制で何を守るの?

525日号)

この国会で成立しそうな有事法制。武力攻撃事態対処法・改正自衛隊法・改正安全保障会議設置法の3つからなる。その中身は、簡単に言うと「日本が他国から武力攻撃を受けた(とは何かがあいまいだが)ときに、住民や企業・地方自治体を政府の言いなりにさせ、自衛隊が自由にふるまえるようにする」ための法律である。

有事3法案が衆議院を通過した翌日の5月16日。朝日新聞朝刊の1面にこんな記述があった。「自衛隊や警察は住民避難の主力部隊にはなれない」(鳥取県警本部長のことば)。「我々の任務は国家を守ることだ。それが国民の生命や財産の安全につながる。自衛隊は国民を守るためにある、と考えるのは間違っている」(自衛隊陸幕のある幹部のことば)。

どうやら他国から攻撃されたときに守ろうとしているのは、市民の生命ではないらしい。だよなあ。

半世紀前だって、「一億玉砕」つまり「国民全員死んででも国を守れ」と、正気の沙汰とは思えないことを言っていた政府。その流れとして現政府があり、さらに子分である日本のバックには、戦争大好きな「世界一の番長国家・米国親分」もいるわけだから。

昔も今も、市民の命をないがしろにしてまで絶対に守りたいモノって、一体なに?

 

 

日本国憲法の正体

55日号)

ゴールデンウイークの一日であること以外、「憲法記念日」の存在は、とくに気に留めたことがない。「日本国憲法」についても、「たしか法律よりも上の位置にあって、憲法に反した法律は無効になったりするんだよなあ」という程度の知識である。「これじゃ、いかん」ということで、『やさしいことばで日本国憲法』(マガジンハウス刊)という本をながめてみることにした。

「やさしいことばで」というわけで、わかりやすく書き直されている。具体的にはこんなぐあいだ。「日本国民」は「日本のわたしたち」に。「国の交戦権は、これを認めない」を「戦争で人を殺すのは罪ではないという特権を国にみとめません」に。

初めて知ったことがいくつかある。@日本国憲法には主語があり、それは「日本のわたしたち」だということ。A日本国憲法の正体は、「わたしたち」から政府(つまり国家)に対して「政府ができること・できないこと」を定めた命令・義務規定だということ。B基本的人権は「政府が民衆に対して絶対に侵すことのできない条項」なのだということ。などである。

一般の法律は「国家から市民への命令」だけど、憲法はこちら側のモノらしい。これからは、もう少し親身になって接してみるかな。

 

 

仕掛けなし

415日号)

最初に見た時の感想は「アレって本当にやってるのかなあ。それとも特撮?」というもの。その後、「仕掛けなしで本当にやっている」ことがわかったのだが、放送されるたびについ見入ってしまった。最近、第2弾も始まっており、これまた面白い。

某アミノ酸飲料の肉体派CMのことだ。第1弾は、女子高生が駅のプラットホームに立ち、その場で前方宙返りをくるくる回るというもの。正式には「片足踏み切り前方伸身宙返り」という名で、難易度Dの技である。そして現在放送中の第2弾(「上昇サラリーマン編」という名前だそうだ)では、逆立ち状態で、旗を掲揚するポールにつかまり、足腰の反動で上まで登っていく。まさに「なんだこりゃ!」な場面が繰り広げられているのだ。中国雑技団の人たちがやっているのかな、とも推測するが、メーカーでは「企業秘密」としている。

現在のCG技術を使えば、きっとあの映像は簡単につくれるだろう。しかし、ああした「ホンモノ」を見せられた後では、しょせん作り物は作り物である。生身の肉体による日頃の鍛練のすごさを再認識した。

第3弾以降では、どんな超絶技を見せてくれるのだろう。さらにレベルアップした内容を楽しみにして、待っていようっと。

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