劣化ウラン弾 ( 3月25日号)91 年のいわゆる「湾岸戦争」で、米・英軍が使った爆弾に「劣化ウラン弾」というものがある。その数は、空爆で94万発・その他1万発の計95万発。300トン以上の量だ。劣化ウラン弾は、簡単にいえば核兵器や原発に使うために濃縮したウランの残りカスである「放射性廃棄物」を原材料とし、主に貫通弾として使用される爆弾だ。爆発すると、チリのような微粒子(もちろん放射性物質)になる。 その後どうなるか。風に乗って広い範囲の水や土地を汚染し、その影響は当然、人体にも及ぶ。イラクでは「広島に投下された原爆の 1万4000〜3万6000倍」の放射能原子がばらまかれたという。ウランの半減期は45億年。放射能の影響は永久に残ると言っても差し支えあるまい。子供が放射能の影響を受ける度合いは、大人の 10〜20倍という。戦争後、イラク国内では何が起こっているのか。子供の白血病・ガンが、戦争前に比べ約 10倍になった。胎児では、奇形児出産の激増。水頭症、二重胎児、手足のない子供、無脳児、目が一つの子供…。バグダッドの病院では先天的障害児の出生率は26・9%との報告もある。湾岸戦争以来、米国はすべての戦争で劣化ウラン弾を使用している。今回だけ例外ということはありえないだろう。
イラク攻撃反対の集会 ( 3月15日号)むかし流行った歌の歌詞にこんな一節がある。「いくつの耳をつけたら為政者は民衆の叫びが聞こえるのか?/何人死んだらわかるのか? あまりにも多く死にすぎたと」。でもテキサスあたりでは、その答えは竜巻とともに空の彼方に吹き飛んでしまったに違いない。 これを書いている時点では、米国・英国・スペインが国連に対して最後通告を発し、ほんとにイラク攻撃は秒読み段階に入ってしまった。皆さんにこの新聞が届く頃には、いったいどうなっているのか。 ここ数ヵ月、イラク攻撃に反対するデモや集会が世界中で盛んだ。日本国内でも 2月・3月と開かれ、若者を中心に3〜4万人規模の人が参加している。皆さんの中にも参加した方がいるかもしれない。デモや集会といえば、労働組合などの組織が主体のものという印象がある。しかし最近の「イラク攻撃反対」集会には、どこの組織にも属さない人たちが自らの意志で、あちらこちらから集まってきたという雰囲気が漂っている。新聞やテレビで見ても、プラカードや服装など、いい意味でバラバラだ。 もちろん良い面ばかりではないだろう。しかし集会の意義が、みごとに一般の人たちに浸透しているのが分かる。参考にすべき点が大ではないかしら。
住民票 ( 2月25日号)2月6日、横浜市西区役所が「タマちゃんを住民登録する」と発表し、住民票を交付したのはご存じだろう。それに対して 22日、アザラシが住む帷子川で「同じ『外国人』のタマちゃんが住民票をもらった。私たちにも住民票を」と、外国籍の日本住民たちがアピールの集会をおこなっている。地方自治法では、外国人も「住民」だ。住民票は、本来は「その市町村の住民であることを証明する」証書と考えるべきだが、実際はそうではない。住民基本台帳法の「日本国籍を有しない者その他政令で定める者については、適用しない」という適用除外条項によって外国籍の人はその対象からはずされているからだ。 そのことに関連する弊害は数多くあるが、一番の問題点は、住民の当然の権利である「参政権」がないことだろう。もうこの際、横浜市としては外国籍の人にも参政権を認めちゃったらいいんじゃないかしら。 今回の件で、区に対して何か反響はなかったのかとの疑問に、広報の方がこう話してくれた。「『外国籍の人にも住民票を』との要望や苦情は、直接はないんですよ。一番多いのは『うちのワンちゃんにも住民票を交付してほしい』といった内容ですね」 あのなあ、そっち方面にしか発想が働かんのかい!
歩きタバコ禁止 ( 2月15日号)日本で嫌煙権運動がスタートして今年で 25年。成人男性の喫煙率は、78年の75%から02年には49%にさがり、電車や公共施設での禁煙・分煙も当たり前になってきた。「タバコ被害」に悩む人にとっては大きな前進の25年間といえるだろう。昨年 10月、千代田区で「歩きタバコ禁止条例」が施行されたのは皆さんご存じのとおりだ。今年に入り、杉並区・品川区でも同様の条例案が区議会に提出される予定だという。このぶんでいくと、23区内全域が「歩きタバコ禁止区域」になるのもそう遠くはなさそうだ。そういえば英国では、歩きタバコをしていた証拠写真をもとに、30年以上昔の行為を「けしからん」と言われた人がいたらしいが…。タバコ問題は2つに分けられる。ひとつは喫煙者の体にとって、タバコが有害だということ。いっそのこと麻薬として「非合法ドラッグ」に指定するという無茶で乱暴な方法が一番てっとり早いかもね。 もうひとつが喫煙作法という公共マナーの問題だ。現在、各区が進めているのは、実はたかがマナーを法律や条例で取り締まろうということにほかならない。今回は「タバコ」という明らかな悪者が対象だから反対も少ないのだろう。しかし、この考え方って結構アブナイ感じがしませんか?
インフルエンザ ( 2月5日号)インフルエンザの当たり年である。昨年末、まわりで予防接種を受けたと言う人が多いので「オヤ?」と思っていたのだが、このことだったのだ。さらにインフルエンザの薬が不足しているらしいという噂も耳にしていたが、知り合いが実際に、病院で「いま薬が切れているんです」と言われたと聞き、「本当にそんなことがあるのか」とちょっとビックリした。 2月最初の段階で、全国での患者数は昨年の4・8倍に達しているというが、実感ではもっと多いような気がする。あなた周りでも、例年になくインフルエンザにかかっている人が多くありませんか。ちなみに全国の幼稚園・保育園・小中学校・高校だけでみてみると、患者数は昨年の約 10倍。ということは、医者にもかからず市販のかぜ薬で体をごまかし、休まずに仕事に出ているオトナがきっと大勢いるのだろう。もともと日本社会は、「ガンバリすぎ」で、「やせ我慢」が大好きな社会だ。さらに先の見えない景気の悪さの中で、「カゼぐらいで仕事を休むとはたるんどる」「カゼぐらいじゃ仕事を休めないよ」という意識がインフルエンザ以上に列島全体に蔓延しているのだろう。 2月に入り、インフルエンザのピークはいよいよこれからだ。無理はやめましょうぜ。
50年後の未来 ( 1月25日号)「アトムが天馬博士の手によって誕生したのは、 2003年4月7日のことだった」というのが、『鉄腕アトム』の時代設定。つまり今年だ。そして今年4月、再び『鉄腕アトム』が新作アニメとしてテレビにお目見えする。手塚治虫が漫画誌『少年』にアトムの連載を始めたのが 1952年のこと。手塚治虫は50年後の「明るく希望に満ちた未来」に思いをはせて「科学の子」を描いていたのかもしれない。もう少し、未来を舞台にした作品にあたってみよう。英国の作家ジョージ・オーウェルが「未来はバラ色」に異を唱えた小説『1984年』を出版したのが 1949年で、これはタイトル通り35年後の未来が舞台。アーサー・C・クラークとスタンリー・キューブリックが『2001年宇宙の旅』の製作に着手したのが1964年だから、37年後の未来の話だった。『アトム』や『2001年』は、煎じ詰めれば「未来は、科学と宇宙の時代なのだ」と語っていた。かたや『1984年』は。「管理社会となった反ユートピアの未来の恐ろしさ」を訴えている。 世界一の帝国がいよいよ大量殺戮をおっぱじめようとしている年、 2003年がスタートした。もし手塚治虫がいま生きていたら「今から50年後の未来」をどんな風に描くだろう。
ヒツジを数える ( 1月5日号)なかなかねむれなくて困っている夜、「ヒツジを数えてごらん」と言われた経験のある方は多いだろう。「ヒツジが1匹、羊が2匹…」というアレだ。数取団ならこんな風だろうか。「ブンブン羊、ブンブン1匹、ブンブン羊、ブンブン2匹…」。自分で数えるのが面倒だというものぐさな人のために、有線放送には「羊を数える」専門のチャンネルもあるそうだ。 ところで誰もが感じる疑問は、なぜ「ヒツジ」なのかということだろう。その答えは、この「ヒツジ睡眠法」が英語圏で生まれたことに関係があるのだという。英語で言うとヒツジは「シープ」。単数も複数も一緒である。そこで、@眠りの「スリープ」と、音の響きが似ているからという説、A「シープ」の「シー」で息を吸い、「プー」で息を吐くことによって、呼吸が整っていき、眠りやすくなるという説、の2つが有力な候補になっている。 組合にとっては、今年も「組織拡大」が一番で最大の目標だ。「ヒツジを数えるように」はいかないけれど、「木を1本ずつ植えていくように」、そして1本1本の木がしっかりと根づき、やがて森になるように、そんなふうに組合を大きくしていければいいのではないか。 あらためて、今年も東京建設新聞のご愛読をお願いいたします。 |