110

625日号)

プッシュホン式の電話機が当たり前になってしまった現在では、警察への緊急電話が「110番」である理由を実感する機会もないだろう。ジーコ、ジーコという音をたてながらダイヤルを回す黒電話の時代。「1」のダイヤルは、すぐ戻ってきたし、「0」は元の位置に戻るまでえらく時間がかかるなあと思った記憶がある。

警察への緊急電話が日本で全国的に「110番」に統一されたのは、1954年のことだ。覚えやすい番号であることを第一に、緊急性の面で「1」を、かけ間違いを防ぐ理由から「0」を選んだという。

現在では、「110番」は困った時の駆け込み寺の代名詞になっており、ちょっと調べてみただけでも、介護・虐待・人権・ストーカー・失業・恋愛・便秘・離婚・借金……。「生きているといろいろあるよなあ」と溜め息がもれるほど、何でも揃っている。「警察不祥事110番」なんてのもあったっけ。

が、そんな中でも極めて日本的な悩みであり、しかも他と異なる性質をもっているのが「過労死110番」だ。なにしろ約半数は、当事者がもうこの世にいなくなってからの「遅すぎた」相談なのだから。過労による自殺も増えている。

「いのち」や「くらし」より優先する「仕事」なんて、絶対ないのに。

 

 

アンバランス

615日号)

W杯一色である。最初の頃は、「毎日サッカーばかりテレビでやって…」と、不満げだった巨人ファンのおじさん・おばさんたちも、最近ではプロ野球そっちのけで盛り上がっているらしい。日本がロシアに勝った翌日は、一般紙もスポーツ新聞なみに数ページにわたって特集を組み、試合の模様だけでなく、各地のサポーターたちが喜ぶ様子も詳しく伝えていた。

524日、新宿・明治公園で「STOP!有事法制524大集会」が開かれた。市民団体・労働団体・宗教団体を含めおよそ4万人が参加したもので、有事法制に反対しての集会としては、これまでで最大規模である。

25日の新聞ではどのように報道されていたのだろう? 朝日新聞は社会面に載っていた。人でいっぱいの写真が大きめに配置されているが、本文は約210文字(ちなみに当欄は約520文字)。毎日新聞は約100文字のベタ記事である。「さて日本で最大の購読者がいる読売新聞は、如何に?」と記事を探したのだが、どこにも見当たらなかった。

読売・毎日・朝日を購読している市民にとって、「5・24大集会」は、そのようにしか存在しなかった(またはまったく存在しなかった)集会だったのだ。

マスコミって世界中こんなものなのかしら?

 

 

ことわざ・名言

55日号)

改革の遅れについては「急いては事を仕損ずる」。医療改革法案では「三方一両損」。そして今問題となっている有事法案では「備えあれば憂いなし」。ほかにも「万機公論に決すべし」とか「治にいて乱を忘れず」とか。いい加減ウンザリである。

小泉内閣のメールマガジンは5月20日現在で46号まで発行されていて、目玉は、首相自身が書いている「らいおんはーと」というエッセイだ。ここでも「ことわざ・名言好き」は発揮されていて、46回のうち17回に、名言の数々がちりばめられている。

講談社「中国古典名言事典」には約4800の名言が、格言・名言・ことわざなどを扱っている旺文社「成語林」には約1万6500項目が収録されているという。これだけあれば、自分の言いたいことの正当化・権威づけに利用できるような都合のいい名言のたぐいも1つや2つ見つかるだろう。

名言や故事成句・ことわざは、使用法によってはかなりヤバイものになる。自分自身で何か悩みがあるときに「おまじない」の一種として使うのならともかく、他人を説得するのに使っているときには用心した方が良さそうだ。

「駅の名前を全部言えるようなガキにだけは死んでもなりたくない」という題名の詩集があったのを思い出した。

 

 

 

大阪は燃えている

415日号)

星野・阪神タイガースが開幕から突っ走っている。開幕から10試合で9勝1敗勝率9割。昭和31年以来46年ぶりだという。果たしてこのまま驚異のスピードで優勝へまっしぐらか。「どっこい。我が巨人軍がいるぞ。最後に笑うのは、我が巨人軍ダ〜ッ」

余り熱くならないうちに野球の話はこの位にして…と。しかし、阪神が優勝すると、その経済波及効果は2000億円とも3000億円とも言われているが「ほんまかいな」

大阪といえば、「USJ」テーマパークのユニバーサル・スタジオ・ジャパンの入場者が1000万人を超えた。テーマパークとしては、異例の早さだという。しかも、隣接ホテルの稼働率は90%。若年・中高年の雇用を生み,通天閣など大阪周辺の集客など、その経済波及効果は6200億円に達するという。

何かと暗い世相の中で今、大阪は燃えている。何はともあれ明るい話題だ。(S)

 

 

 

ペイオフ

45日号)

小学校の算数の授業で円周率「3・14」を「3」と教えるということが話題になり、是か非かなどと盛り上がったのは昨年のことだった。

そして今年。東京三菱銀行では普通預金の金利を年0・001%にするという。小学校における円周率の伝でいけば、年利0%である。いや「3・14」の時代だって、「0・001」じゃやっぱりゼロか。円周率「3」と教わる小学生も、「金利ゼロの銀行」にお金を預けざるを得ない私たちも不憫というか何というか。

41日からペイオフ解禁がスタートした。1000万円以上預金がある人たちは、どうやって全額保護しようか頭を悩ますところである。新聞などでも、盛んに対処法の特集記事を組んでいた。こちらも「あの銀行は危なそうだから、こちらにしようか」などと悩んでみたいのだ、本当は。あれだけ世間で盛り上がっているペイオフ解禁に縁がないというのも淋しい。

が、建設業界ではペイオフ解禁よりはるかに深刻な問題がある。元請が倒産したときに起こる「請負労働者の賃金不払い」だ。現在、組合では「請負労働者の賃金も法的に保護せよ」と署名を集めている。組合員の皆さんや家族のどなたでも参加できる運動だ。「賃金不払いゼロの建設業」のためにぜひご協力を。

 

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