ペット

325日号)

3月下旬。東京では、「あれよあれよ」と言う間にお花見の季節が始まってしまった。入学式シーズンまでまだ2週間ある。いくらなんでも早過ぎだ。大田区にある花見の名所、洗足池では業者の人たちが大あわてで屋台を設置している光景もみられた。ズラッと並ぶ露店を期待してきた花見客の中にはがっかりして帰る人が結構いたようだ。

先日、皇居の前で行き倒れになっている野生のタヌキが発見された。実は23区のほとんどで野生タヌキの存在が確認されているそうで、もう立派な「シティー派」動物なのである。タヌキがなぜ都市部に移ってきたのかというと、どうやら住んでいた場所をアライグマに追い出されたためらしい。アライグマは北米原産。テレビアニメで人気になりペットとして飼われていたが、気性が荒いため飼うのを放棄した人たちが山などに捨て、それが野生化して増えたという。

必要なときには大事に育てられ、要らなくなると捨てられる。産業もペットも同じようなものなのかもしれない。ペットは生命ある生き物だし、産業だってそれを支えてきた多くの労働者がいるのだが。

お花見帰りにボーッと眺めていた洗足池では、これも捨てられたペット、米国原産のミドリガメたちが甲羅干しをする姿があった。

 

万能ではない

315日号)

日本機関紙協会主催の「新年号コンクール・ホームページ部門」で、東京建設のホームページが「優秀賞」を受賞した。受賞の知らせを聞いたとき、担当者がとっさに思ったのは「ひょっとして、東京建設しか応募しなかったのかしら」ということだそうだ。

実際には、6作品の応募があり、その中の1等賞ということだから、まあ少しは喜んでもいいのかもしれない。ちなみに、いっしょに応募した「東京建設新聞」本紙は、参加賞のひとつ上の「審査員特別賞」。残念でした。

先日、保育園で保母さんの手伝いをしているという組合員の奥さんが、こんなことを話してくれた。「最近のお父さん・お母さんは、どこか豪華な所へ連れていってあげることが子どもとのふれあいだと思っているみたいで、ふだんの食事や生活についてはおろそかなことが多いんですよ。本当はそっちの方が大切なんですけどね」。

「じかに話しあう」という原始的なコミュニケーション手段に比べて、「インターネット」などの最新技術ははるかに便利だし、優れたところも多い。しかし、万能ではないのだ。組合が、組合員にとって「ふだんの食事や生活」みたいな存在になれるよう努力すること。HPを充実させつつ、そのことを忘れないようにしないと。

 

 

食文化

35日号)

「ポシンタン」という韓国料理がある。犬肉と野菜を煮込んだ韓国伝統のスタミナ料理だ。古代、中国東北部を中心とする狩猟民族にとって、猟犬は大切な「宝」だった。その「宝」を神さまに捧げ、人間と神が一緒に「捧げもの」を食するという伝統が、韓国の「犬肉を食べる習慣」のルーツだそうだ。

サッカーW杯の主催団体である国際サッカー連盟が、開催国・韓国の「犬肉食文化」を「動物虐待だ」と非難している。じつはソウル五輪のときも同様の批判があり、そのときはソウルの表通りから「犬肉料理店」の看板を撤去した。しかし今回は違う。韓国サッカー協会の会長が「伝統文化を覆すわけにはいかない」とまっこうから反論しているのだ。

日本で「韓国の犬肉食文化」にあたるものとして連想されるのが「鯨肉食文化」だろう。「鯨肉食」のルーツは、先史時代、浜に打ち上げられた鯨を食げてきたことだという。1月に鹿児島で、2月に茨城で、その「自然の恵み」が届いたが、おおっぴらに食べたという話は聞かない。しかも水産庁では、「衛生上問題がある」として、4月から「食べるのを禁止する」ことにした。

本当は、「日本の食文化」に対して弱腰になっているだけだったりしてね。いいじゃない、食べたって。

 

 

 

表現点

225日号)

詳細は不明だが、冬季オリンピックの「フィギュアスケート競技」で、採点に不正があったようだ。他の競技とのバーター取り引きだったとの報道もある。でも、こう思っている人も少なくないのでは。「今までだって、あの表現点って、特定の国に肩入れしてるのが丸見えだったもの。最初から公平だなんて思ってなかったよ」。

体操・フィギュアスケート・シンクロなど、採点競技と呼ばれる種目は、一般の観客には勝ち負けを判断するのがむずかしい。とくにやっかいなのが、表現点とか芸術点といわれるもの。技術点と違って客観的な尺度となるものがなく、各審判の主観に頼った得点形式になっている。

もともと主観による「表現点・芸術点」でスポーツ競技を採点すること自体、無理があると思うんですけど。

政治の場合、技術点は「政策の確かさ・実行力」、表現点は「パフォーマンスの派手さ・うまさ」ということになろうか。「表現点」の得点の高さによって高支持率を続けていた小泉首相、ここのところ失速気味である。「表現点」が下がったのが主な理由だろう。賞味期限が近づいたのだろうか。

「技術点」を棚に上げ、「表現点」のみで小泉人気を上げたり下げたりしているマスコミは反省が必要かと思うんですけど。

 

 

申告書

215日号)

所得税の確定申告書が39年ぶりに改定された。一目みて思ったのは、「やけに金がかかってそうだなあ」ということだ。申告書本体のほかに、付属の「所得税の確定申告の手引き」全32ページまで4色オールカラー印刷である。

確かに昨年までの申告書は、「一反もめん」のような形で、コピーは取りづらいし、記入欄も小さすぎるという代物。A4判にしたのは時代の趨勢なのかもしれない。また、カラー化して見やすくなったのも確かだ。それにしても全面4色刷りとは。「印刷代もバカにならないだろうに」と思うこちらがセコイのかしら。

組合で確定申告の相談を受けていて、色と形以外にも大きな変化があることに気がついた。「手引き」と「申告書」の性格が変わってしまっているのだ。昨年までは、「手引き=解説書(あってもなくても気にならない。申告が終われば捨てちゃう)、申告書=計算用紙プラス解答用紙」だった。が、新しいものは「手引き=解説つきの計算用紙(場合によっては大切な記録書類にもなる)、申告書=解答用紙」という形式になっている。まず「手引き」で計算し、その結果を「申告書」に書き写すという方法に変わったわけだ。

こうした変更も国税庁はちゃんと納税者に説明しているのだろうか。

 

 

外交

25日号)

「俺が参加させないようにしたんだ。文句あっか」と、ひとこと言ってくれればよかったのに。今までにも、鈴木宗男代議士が外務省職員を手足のように使っているのは、周辺で何度も目撃されている。今回も、NGO代表のところに外務省から「鈴木氏が大変怒って、会議に出席させるなと言っている」と連絡が入り、その後、このNGOは参加を拒否された。真相は明らかだろう。

この騒ぎで、霞んだかたちになっているが、129日に米国・ブッシュ大統領がおこなった一般教書(施政方針)演説は、ますます物騒さがエスカレートした内容だ。「対テロ戦争は、アフガンで終わるどころか、まだ始まったばかりだ」と述べ、今度は北朝鮮・イラン・イラクを「悪の枢軸」として次なる対象に定めている。さらに軍事費を増やす理由の中ではこんな発言も見受けられる。「アフガニスタンで証明されたのは、高価な精密兵器は敵を負かし、罪のない人たちの命を助けるということだ。こうした兵器はもっと必要だ」。

世界中の人たちが復興へ向けて行動を起こしている時に、またまた他国を破壊するための費用の話を持ち出しているというわけか。

現在の外務省には何も期待できない。しかし本当の意味での外交の重要さは増すばかりだ。

 

 

年賀状

125日号)

今年もおおぜいの組合員の皆さんから組合あてに年賀状をいただいた。ありがとうございます。その中の一枚、昨年末で組合を脱退なさった塩澤英二さん(大森支部・大工)からはこんな賀状をいただいた。全文を紹介しよう。

「迎春あけましておめでとうございます。当組合には三十数年にわたり御世話様になりありがとうございました。平成十三年末を以って七十歳の定年退職と同時に組合を脱退せざるを得なくなりました。それは大不況の為町場の仕事がない事と生活防衛の為、出費を抑える事でした。町場の仕事が甘くなり始めたのは丁度二十年ほど前の事で、オイルショック以降大手企業が住宅産業に手を出して以来、徐々に町場の仕事が少なくなって、今では町から建築の音が消え全く静かなものです。高齢者が増え、少子化が進み、住宅の必要数が少なくなって行く様に思いますが、この難局を乗り越える事を期待します。皆様のご多幸を祈ります」。

「生活を守るために」入った組合から、「生活を守るために」脱退せざるを得ないというこの現実。組合の力不足を痛感するばかりだ。

心ならずも組合から去っていった方たちの声をもっともっと聞くべきではないか。そこに組合が進むべき道筋もあるのでは。そんな気がする。

 

 

今年こそ良い年に

15日号)

今年こそ、良い年になるよう念じたい。今年は聖域なき構造改革で不良債権処理が進み企業倒産が多発するという。昨年暮れに中堅ゼネコンの青木建設が民事再生法を申請、事実上の倒産だ。小泉総理は「不良債権の処理が順調に進んでいる証拠」と言う。冗談ではない。関連会社5000社とそこに働く労働者、家族はどうなるのか。痛みを伴う構造改革とはこういうことなのか。

今年の4月を目指して医療改革の論議が進んでいる。小泉総理は「三方一両損」という言葉を使っている。はたして、総理の言うことは正しいのだろうか。

落語にある「三方一両損」は左官の金太郎が三両の金を拾って、落とし主の大工の吉五郎に届けたが、受け取らない。そこで、大岡越前は、自分が一両をだして、正直者の二人に褒美として、二両ずつ与えた。

医療改革の負担は、患者が一両の損(負担)と医療機関の一両の損(負担)ばかりで、国の負担を少なくする。これでは、話が違う。

「聖域なき改革」「米百俵」「恐れず怯まず捉われず」「骨太の方針」など、昨年の流行語大賞に選ばれた”小泉語録”の中身しっかり吟味しないと危険だ。「ヤだねったら、ヤだね」にならないようにしたい。

ともあれ、今年も頑張ろう。(S)

 

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